元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「Shall we Dance?」

2005-12-01 19:02:31 | 映画の感想(英数)
 オリジナル版が2時間16分であるのに対し、このハリウッド版は30分短い。だから元ネタで冗長と思われるシーンが削れた反面、ドラマがバタバタと駆け足で終わってしまう印象も強い。

 一番の欠点は主人公がダンスを習い始める動機付けが弱いこと。要するにダンス教室の若いヒロインに対する思い入れが描き切れていない。もっとも、アメリカ映画でそのへんを突っ込むと“不倫映画”と似てくるかもしれないから、これが限界だろう。

 その代わり本作では主人公の社会的ステイタスをアップさせて“何不自由ない生活の中の漠然とした不安”を物語の基盤にしている。ただし、それがなぜダンス教室なのかというと、これまた説得力がない(他の趣味でも良かったはずだ)。

 リチャード・ギアとジェニファー・ロペスはいいとして、オリジナルでの竹中直人や田口浩正らのコメディ・リリーフと比べると脇のキャスティングが甘い。アルコール依存気味だった教室のベテラン教師が立ち直るエピソードはオリジナル版にはない独自のものだが、印象的に描くには時間が短すぎた。

 とはいえ、楽しげな音楽に乗って主人公たちが踊り出すと、観ているこちらもウキウキとした気分になってくる。どんなに“外見”が違おうと、物語の設定だけで観客を喜ばせてしまう、オリジナル版の着眼点の素晴らしさを再確認することが出来る。

 ピーター・チェルソムの演出は取り立てて才気走った点はないが「マイ・フレンド・メモリー」などに比べるとタイトにまとめている。

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