リドリー・スコット監督作品としては明らかに「ブラックホーク・ダウン」の延長線上に位置する。しかも、アメリカ側から描くしかなかったあの作品とは違い、12世紀のエルサレムを舞台に十字軍とサラセン帝国との抗争を題材にした本作では、余計なしがらみ無しに容赦なく“戦争の真実”に迫ることが出来る。
その“真実”とはつまり“戦争は善悪の彼岸にある”ということ、そして“平和とは危ういパワーバランスの間でかろうじて達成できるもの”ということである。聖地エルサレムを巡ってはキリスト教徒、イスラム教徒、ユダヤ教徒それぞれの“正義”があり、各勢力の利権も複雑に絡み合う。
たまたま当時はハンセン氏病に冒されたキリスト教側のエルサレム王と、イスラム側の指導者サラディンが有能であったため束の間の休戦状態を維持していたが、エレサレム王亡き後たちまち戦争が勃発。それでも主人公バリアン卿の奮闘により和議が成立するが、題名通りの“天国の王国”を追い求める人々の願いとは裏腹に、900年経った今でも火種は消えていないという苦い事実が残るのみだ。
テーマ自体がシビアであるため、娯楽性は希薄。特に史実の紹介に明け暮れる中盤までは退屈でもある。しかし、そこはオーランド・ブルーム主演作、後半からはヒロイックな活躍場面が目立ってくる。クライマックスの戦闘場面は監督の力量がフルに発揮されており、見事な特殊効果も相まって観客を圧倒する(「トロイ」なんて忘却の彼方だ)。
基本的に英雄譚ではないのでスカッとした娯楽活劇を求める層には不向きだが、主題の堅牢性は捨てがたく、見応えのある映画だと言える。
その“真実”とはつまり“戦争は善悪の彼岸にある”ということ、そして“平和とは危ういパワーバランスの間でかろうじて達成できるもの”ということである。聖地エルサレムを巡ってはキリスト教徒、イスラム教徒、ユダヤ教徒それぞれの“正義”があり、各勢力の利権も複雑に絡み合う。
たまたま当時はハンセン氏病に冒されたキリスト教側のエルサレム王と、イスラム側の指導者サラディンが有能であったため束の間の休戦状態を維持していたが、エレサレム王亡き後たちまち戦争が勃発。それでも主人公バリアン卿の奮闘により和議が成立するが、題名通りの“天国の王国”を追い求める人々の願いとは裏腹に、900年経った今でも火種は消えていないという苦い事実が残るのみだ。
テーマ自体がシビアであるため、娯楽性は希薄。特に史実の紹介に明け暮れる中盤までは退屈でもある。しかし、そこはオーランド・ブルーム主演作、後半からはヒロイックな活躍場面が目立ってくる。クライマックスの戦闘場面は監督の力量がフルに発揮されており、見事な特殊効果も相まって観客を圧倒する(「トロイ」なんて忘却の彼方だ)。
基本的に英雄譚ではないのでスカッとした娯楽活劇を求める層には不向きだが、主題の堅牢性は捨てがたく、見応えのある映画だと言える。
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