ういーくえんど・なちゅらりすと

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セミヤドリガ

2011-08-25 16:26:23 | その他の昆虫
多少涼しくなっても、わずかでも気温が上がればまだまだ元気なのがセミ達。
自宅まわりでも、アブラ、ミンミン、ツクツク、ヒグラシ、ニイニイと一通りまだまだ元気に鳴いている。クマゼミはまだ進出してきていないので、時々遠くで聞こえる程度。

そのセミに、夏の終わりが近づくとよく見られるのが、外部寄生をするガの幼虫。セミヤドリガだ。
成虫はいたって地味な黒い小さなガらしい。
ただ、この幼虫がセミの体に取り付いて成長するのだ。

5齢幼虫になると真っ白な衣をかぶるので、かなり目立つのだが小さいときにもよく見るとなかなか不気味な姿をしている。
このヒグラシの腹には3匹の幼虫が寄生している。まだ褐色なので4齢くらいか。

アブラゼミやミンミンゼミにも寄生するらしいが、割合的には圧倒的にヒグラシが多い。
ヒグラシは日中、薄暗い林の比較的低い場所にとまっていることが多いので、林の中を歩いていくとたくさん見ることができる。それを見ていくと、飛び立つ個体が意外なほどに寄生されているのだ。
飛び立ったその姿に白い塊がついていれば間違いないのだが、実際には幼虫が小さいときには目立たないので、その寄生率はかなりのものなのではないかと思う。

ちなみにこんなに寄生されても、セミにとってはあまり影響がないらしい。
こんなのがいくつもついて、本当なんだろうか・・・

浮き島現象

2011-08-22 12:27:13 | 日記
冬の湘南の海岸ではよく見られる現象だ。
遠くの島や町並みが海面から浮いて見えるというもの。

蜃気楼と同じような気もするし、実際にニュースなどでは蜃気楼扱いされたりもするが、実際には大きな違いがあるらしい。
富山湾で有名な蜃気楼は冷たい海水と暖かい大気で光が屈折されて、遠くのものが浮き上がって見える現象。
浮き島は暖かい海水と冷たい大気で光が屈折され、空が海面に反射しているような姿に見えるらしい。暖かい海水と冷たい大気があれば生じる現象なので、暖流の流れ込む湘南海岸では、冬の遠景ではほぼ常に見られる、別に珍しくもない風景だ。

週末、秋雨前線の影響でこの時期としてはかなり冷え込んだ。
冷たい雨まじりの北風が吹き込み、とても海水浴などできそうにもない気温だったが、そんなときにも湘南海岸の国道は渋滞していた。
その渋滞にはまりながらふと三浦半島の突端を見ると、おや、浮いている。
ポケットのコンデジで、デジタルズームを目一杯効かせて写してみると、ささやかではあるが浮き島になっていた。


このときの車載の温度計表示は20度。
気象庁によると海水の表面温度は27~28度といったところだから、これくらいの温度差が生じれば8月でも起きる現象らしい。
当たり前といえば当たり前なのだが、自分の中で浮き島は冬、と決めつけていたものだから、一人で渋滞の車のなか、はしゃいでいた。

ミヤジマトンボ

2011-08-17 15:32:11 | トンボ
安芸の宮島、といえば有名な観光名所。
厳島神社にあなご飯、もみじまんじゅうが有名だ。
これはごく一般的な観光の話。

トンボの世界でも実はこの島は有名。
日本ではここにしかいない、ミヤジマトンボが生息しているからだ。
とある夏の週末、私はほぼ日帰りで、この島を目指していた。

現地で友人と合流し、夏草をかき分け進むこと数時間。
やっとの思いで到着したのは小さな砂浜だった。
砂浜?そう砂浜なのだ。
ミヤジマトンボは海水と真水の混じる汽水に生息する数少ないトンボ。
山からにじみ出た水が海岸近くで湿地をつくっている、そんなごく限られた場所にのみ生息しているのだ。
飼育実験を行った話だと成長に塩分は必要ないそうだから、もっと広い範囲に生息場所を広げても良さそうに思う。
だが、おそらく他のトンボとの競争で負けて、海水が混じるような場所に生息することによって細々と生きながらえてきたのだろう。
瀬戸内の他の島にも生息していて良さそうなのだが、残念ながら見つかっていない。
日本で最も絶滅の恐れのあるトンボの一つ、といっていいだろう。

さて、その湿地を覗き込むと、早速、いた。
ひょろりと細長いグレーの姿。オスが縄張りをつくっている。
雰囲気は同じシオカラトンボ属でもホソミシオカラトンボに近い感じだ。
多くの個体は調査兼採集防止で翅にナンバーが書いてある。
しばらく粘っているとメスも現れた。こちらは麦わら色。このあたりもいかにもシオカラ属だ。

やがて暑さにめげてきたところを見計らうように豪雨襲来。
対岸の山に広がる積乱雲にハラハラしながらの帰り道となった。


ベッコウバチの綱引き

2011-08-15 10:21:33 | その他の昆虫
その時、私はとある地方都市にいた。
仕事あけの夜行バスが1時間以上も早くついたおかげで、友人との約束まではまだずいぶんとある。
クマゼミの大合唱を聴きながら、しばらく近くを散策してみようと歩き始めた。

しばらく歩いていると、菅原道真を奉った神社に行き当たった。
説明によると道真が左遷される途中で立ち寄って水を組んだ場所ということらしい。近くの林の中には、道真が水を汲んだ沢が流れていて、こういった場所にはお定まりの『腰かけ石』まであるらしい。
『腰かけ石』はともかく、神社の聖域なら沢は面白いかもしれない。

多少の期待を胸にクモの巣をはらいながら向かった薄暗い林の中。ところが現れた沢は、三面護岸された細流。しかも今では水の流れはなんとか護岸を濡らす程度で、とても長旅に必要な水を汲めそうにもない。おまけに『腰かけ石』も看板だけで、果たしてどれがそうなのかよくわからない。
期待はずれもいいところだ。

ため息一つ、引き返そうとするとその護岸の底を大きなクモが移動するのが見えた。げげっ。
アラクノフォビアの気のある私としては速やかに立ち去ろうとして、だが、どうにも様子がおかしい。
よく見れば真っ黒な姿に黄色の紋のベッコウバチ、大形のクモを狩るので有名なオオモンクロベッコウが引きずっているのだ。すでに仕留められているようだ。
ほっとしながら見ていると、それを追いかける別の姿が。黄色い翅に黒い体のベッコウバチ、こちらもクモを狩るキバネオオベッコウだ。

キバネオオはするすると追いつくと、なんとオオモンクロが引きずっているクモの脚をくわえて引っ張った。
なんと、綱引き状態である!
ぴくりとも動かなくなった。

こんなことがあるのだろうか。
確かにオオモンクロベッコウもキバネオオベッコウも大形のクモを狩る、大形のベッコウバチだ。
だが、他の個体が捕獲した獲物を横取りしようとするとは。

この結末、どうなるのか眺めていたかったが、すぐそこに約束の時間とカの大群が迫っていた。
仕方なくその場をあとにしたのだが、果たしてあの後どうなっただろう。
何かに引っかかったと思ったオオモンクロが様子を見ようとはなした隙にキバネオオが持ち逃げしたのか、捕獲したという意識の強いオオモンクロが引き切ったのか。
果たして・・・