なんだか寒いですね~
桜はまだ満開にならないかな?と待っていたところ、急に暖かくなり、そして雨。雨後のたけのこ、どころか
雨後に寒くなる、そんな春ですが、いかがお過ごしでしょうか?
さてさて、もうすぐ新茶というこの時期、この寒さで少し足踏み状態。
そんな中、お茶屋って、我々って本当にお客様にとって必要なのか?いらなくないかな~?
と、冷たい風に散る桜を眺めながらそう感じたりしています。
最近「単一茶園、単一品種」、シングルで飲むという、ちょっとした流れがあります。
品種は、確かに単一で飲むと特徴がありお茶を楽しんで頂けます。
単一茶園は、お茶の葉は、茶畑の広さからたくさん取れるだろうと思われる方が多いかも知れませんが、
実際は、お茶の葉にすると結構少量になるので、単一茶園=希少性のようなイメージと実際そうなので面白いですね。
お茶を皆様にお届けするまでには、大きく分けて3つの会社があります。
農家さん/生産家 → 製茶問屋 → 地元のお茶屋
です。農家さん栽培して、「荒茶」という、よくご存じのお茶の形に近い形にします。
これを仕入れて、形を整えて(粉や茎を取り除き、お茶の葉の形を均一にする)、火入れという、
熱して乾燥させます。ほぼほぼお茶の完成です。これを仕入れをするのが、地元のお茶屋さんです。
「やっぱり流通経路が多くてコストが高い!農家から直接ネットで買おう!!」と考えます。
「農家のお茶」「荒もみ茶」「荒茶(あらちゃ)」と言われるのが、このお茶です。
もっと商売っ気があると、生産家さんが製茶問屋に委託して加工して、産直で販売するところもあります。
大きな会社ですと、製茶問屋が町のお茶屋さんと合体しているところがあります。
スーパーで買っても同じじゃない?製茶会社でお茶出来てるんだから。では、私たちのような町のお茶屋さんは何してるの?
と、言いますと、私たちは【合組(ごうぐみ)】というものをします。紅茶などで言うところの「ブレンダー」です。
例えば、生産家は、自分のお茶しか扱いません(もちろんですが)。出来が良くても悪くても、自分のお茶、それを合組します。
製茶問屋は、だいたい地元の生産家のお茶を仕入れして合組します。なので、製茶問屋はお茶の生産地域にあることがほとんどです。
私たちはお茶屋は、主力の産地はありますが、全国の製茶問屋から、自分の鑑定眼とお客様のお好みを考えて仕入れして合組します。
良い素材をおいしいものに作り込んでいくのがお茶屋です。
これは、先日、東京都茶業組合主催の「お茶のおいしい淹れ方講座」で使用したお茶です。
左下が「掛川産 深蒸し茶」 上が「川根産 普通煎茶」 右下が「この二つを混ぜたもの」
試飲してみました。
この掛川茶は、味は濃いですが、少しおとなしい印象で味の奥行はあまりない感じでした。
一方、川根茶、スッキリしていますが、強火で乾燥しており香り立ちますが、軽すぎる印象でした。
この二つを合わせますと・・・
正直、全然違うお茶になりました。強火の香りを深蒸し茶の新鮮味が抑えつつ、お茶らしい香気に整い、
それに合わせるように、味は平たい印象から、奥行きが出て、深みが出ました。
「ああ、やっぱり合組だな」と感じました。
「何よりお茶が飲みたいんだ、味の機微より濃いのがいい!」などの好みがあれば、産直の方が
値段が多少安いのはそうだと思います。好みがあるので、どの時点で買われてもいいと思います。
是非、お茶を飲んでください。
もし、「美味しいお茶」が飲みたいのであれば、よろしければ町のお茶屋さんに行ってみてください。
この合組にも特徴がありますので、お店ごとに違いがります。
もうすぐ新茶の時期です。日本茶で素敵なひと時を過ごして頂ければ幸いです。