白い巨塔と慰安婦問題

　いやあ，いよいよ盛り上がってきた「白い巨塔」。

　公判での，被告，原告そしてそれぞれの弁護士の激しい応酬。そして，今まで被告側に立って証言してきた気の弱そうな医師が，ついに偽証を告白！

　でも，クライマックスで「またあした」になっちゃうんだよなあ。

　それにしても，裁判というのは厳しいですね。証言のちょっとした矛盾を取り上げて，追及する。ここまでしないと，真実は明らかにならない。

　で，放送直後のニュースのトップが

「安倍首相，従軍慰安婦強制動員否定発言」

　堤岩里の次は，慰安婦か。憂鬱になります。

　中央日報はさっそく社説にまで取り上げた。題して「従軍慰安婦を否認した安倍総理の妄言」（→３月３日社説）

　おいおい，誰も従軍慰安婦を否認してなんていないぞ。

　本文を読めば，正しく「日本政府・軍隊の従軍慰安婦強制動員を否認」となっているし，第一報（→リンク）も「安倍，慰安婦強制動員証拠ない」なのに，社説の表題は「従軍慰安婦を否認」と歪曲されている。

　困りますね。

　軍に慰安所があって，その移送，運営などに軍が便宜を与えていたことは周知の事実。どんな右翼もこれを否定する人はいない。

　問題は，日本軍・官憲が「強制動員」に関わったかどうか。

　これが，いくら調べても証拠が出てこない。
　元慰安婦の証言しかないわけです。その証言たるや，白い巨塔に出てくるような辣腕弁護士の手にかかったら，ボコボコにされちゃうようなものばかり。とても証拠にはならない代物。

　でも韓国の世論は「かわいそうなハルモニの言うことを疑うなんて，ひどい！」の一点張りで，「証言はすべて事実認定」されている。

　実際は，軍慰安所にいた数千人の朝鮮人女性（数万人とか２０万人とかではない！）は，大部分が，貧しさから自ら進んで，あるいは親に売られ，あるいは女衒（ほとんど朝鮮人）に騙されたりして連れてこられた人たち。「挺身隊」でもなければ，強制動員でもなかった。

　けれども，そんなこと韓国政府は絶対に認めたくない。

　元慰安婦も，「自分から進んで」とか「親に売られた」とか「同胞に騙された」とは言いにくい。それですべて「日本に強制連行された」ことにしちゃう。

　双方譲らないなか，なんとか韓国のメンツを立てるために作られたのが，９３年の「河野談話」なんですね。

「慰安婦の募集については，軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが，その場合も，甘言，強圧等による等，本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり，更に，官憲等が直接これに加担したこともあった」

「その募集，移送，管理等も，甘言，強圧による等，総じて本人たちの意思に反して行われた」

　証拠は出なかったのに認めちゃったのが，今日まで禍根を残すことになった。

　それにしても今晩９時４０分が楽しみ（もちろん白い巨塔が）。