日本人にとって韓国語はとてもやさしい。
概して日本人は外国語に必要以上にコンプレックスを持っている人が多いようですが,それは大部分の日本人にとって最初に学習する言語が英語だからなんですね。英語は,先に紹介した資料によれば,日本人にとって最も難しい言語の一つ。文字が違う,語順が違う,文法が違う,語彙が違う(最近は英語からの借用語が増えてきたとはいえ)。最初の英語の学習で日本人は叩きのめされちゃう。
もし,日本人が最初の外国語として韓国語を習っていたならばどうなるか。
「なんだ,外国語といったって,日本語とほとんど同じじゃないか」
「言語というのは共通点が多いものなんだなあ」
ということになって,外国語コンプレックスを抱くことはなかったかも(これは田中克彦という言語学者がどこかの本で書いてました)。
では,なぜやさしいか。
まず文法です。
日本語と韓国語はどちらも膠着語といって,文章の成分を決定する鍵を握るのが助詞(後置詞)です。用言の活用も,原則として語尾変化中心で,似ている。助詞があるから,語順は比較的自由です。文章で必須不可欠の成分は「述語」のみ。主語もかなり自由に省略できる。
外国人にとって「は」と「が」の違いが難関だと言われますが,韓国語にはそれにあたる助詞「은/는,이/가」があるから驚き(ただ,大野晋によればタミル語は「は」と「が」の違いだけでなく「係り結び」まであるそうだ)。
やはりアメリカ人,中国人などが苦手とする「である体」と「ですます体」も,韓国語にはそっくりの区分がある。
次に語順。
身近の外国語には「S(主語)V(動詞)O(目的語)」が多いですが,日本語は「SOV」。日本語は特殊だなあ,と思ったものですが,言語学の本を読んでみると,世界の数千の言語の半数は,日本語と同じ「SOV」。ただメジャーな言語(印欧語,中国語など)に「SVO」が多いというだけのことらしい。
語順が同じというのは,通訳するとき楽ですね。同時通訳というとすごいことのように思うかもしれないけれど,日韓の同時通訳はあんまりすごいことではない。聞いたままの順序で機械的に置き換えていけばいいわけですから。人によっては,逐次通訳より同時通訳のほうが楽という人がいるくらい。
そして語彙。
日本と韓国は同じ漢字文化圏に属していて,漢字語が多い。その多くが借用語なので共通している。これは欧米語がラテン語系語彙を共有しているのと似てますね。
ただ,文字と発音が難しいというのはしょうがない。でも文字(ハングル)についていえば,韓国人が誇らしげに言うように「世界で最も科学的な文字」だから,本気で覚えようとすれば1週間でマスターできます。
発音のほうは……。
これはマスターするのにかなり時間がかかる。もともと日本語は音節の種類が極めて少ない言語です。音節が開音節(母音で終わる)しかないから,全部で110種類ぐらい。
これに対して閉音節を持つ言語(だいたいの言語がそうです)は音節の種類がとても多い。中国語は少ないほうで,400ちょっと。韓国語は正確にはわからないけれど,2000ぐらい。二重子音,三重子音をもつ英語は,多すぎて数えた人がいなそうですが,推定3000以上。
発音の練習は根気よく続けるしかないようで。
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