犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

韓国の高校野球

2006-08-24 07:16:45 | 韓国雑学

 今週は,一週間遅れの夏休みで日本に来ています。日曜日,月曜日と,数年ぶりにゆっくり甲子園の高校野球決勝戦を見ました。延長15回,決着つかず再試合。早実の斉藤投手,駒苫の田中投手,体力と精神力の限界まで投げ抜いた両投手の健闘を讃えたいと思います。

 ところで、以前,うちの職員に聞いたことがあります。
「韓国にも高校野球ってあるの?」
「ありますよ。日本と同じですよ」
「ふーん。でもテレビでは見たことないな。いつやるの」
「私はよく知らないけれど,好きな人は好きですよ」
「そうなんだ」

 これを機会にちょっと調べてみることにしました。ヤフーコリアで検索すると,出てくる,出てくる,高校野球。なんかやたらとあるなあ。青龍旗,鳳凰旗……。大きい大会だけで4つほどあり,それぞれホームページがある。

 まずは青龍旗大会。今年で61回目を迎える最も歴史のある大会らしい。主催は「朝鮮日報」,6月開催で出場校は27校。

 黄金獅子旗大会。青龍旗に次ぐ60回大会。主催は「朝鮮日報」の宿命のライバル,「東亜日報」で,出場校は同じく27校,開催は7月初め。

 こりゃ,中央日報も黙っておるまいと思いきや,案の定,「第40回大統領杯」は中央日報主催。これまた27校出場で4月開催。

 なんか将棋のタイトル戦みたいだ。


 もう一つある。「第35回鳳凰大旗大会」。韓国日報主催で歴史は最も浅いが,出場校は57校で最大。8月開催。

 こりゃ日本以上に盛んなのかもしれないぞ。

 ところで,これらの出場校は全国何校の中から勝ち抜いてきた強豪なんだろう。日本は今年,4112校だったよな。韓国は国も小さいし,部活動も盛んじゃないと聞いたから1000校ぐらい
 ところがこれがなかなかわからない。それぞれの大会のホームページに飛んでも予選については書いてない。
 となるといよいよ知りたくなって,韓国の新聞データベースなどを検索してみました。すると,こんな記事があった。

「学校運動部,緊急点検-うちの子供,運動部に入れるのは怖い②~合宿所の子どもたち」

 ハンギョレ新聞2005年7月20日付記事です。そういえば,学校の合宿所の火事で多くの子どもたちが犠牲になった事件があった。その関連記事のようです。

 だいたいの内容は,
「ある女子中学サッカー部の合宿所(学校に設けられた泊まり込み施設)の風景。部員は、週日は泊まり込みで週末だけ家に帰る生活を送っている。韓国にはこのような合宿所が小中高合わせて1300弱あるという。合宿生活では携帯電話も取り上げられ,ひたすら猛特訓が行われる。学校からの財政支援は少ないので,保護者が40~50万の合宿費を負担している。地方から上京してきた生徒は週末も家に帰らず,年間4~5回の大会があるので,帰郷は年間1カ月程度。一般の学生にとって学校生活のよい思い出として残る修学旅行も,運動部の学生には無縁だ。合宿所では掃除,洗濯を強要され,先輩の機嫌をうかがい,ときにはリンチも受ける。実態はほとんど軍隊と変わらない。」

 うーん,これが韓国の国家代表選手予備軍の生活なのか……。それに続いて興味深い記事が。

■お隣りの日本では
 お隣りの国,日本の学校の運動は韓国と全く違う。運動部が優先ではなく,運動を楽しむことを優先する。日本の兵庫県ミカゲ高校を事例として日本の学校の運動の現況を見てみよう。去る5月16日から21日まで現地を訪問した国民体育振興公団体育科学研究院イ・ヨンシク研究員(教育学博士)が協力してくれた。
 日本の元気さは学校の運動部に起因するのかもしれない。各学校に基本的にプールと体育館が備わっている。運動系の部活動は非常に活性化されている。放課後、運動部の活動が始まるのだが「楽しい運動」が核心だ。指導者は主に学校の先生が引き受ける。ボランティアが来て教えることもある。すべての先生が、学生時代から一人一つの運動をしているので無理なく何かしらの種目を指導することができる。ミカゲ高校バレーボール部は、英語の先生が監督だ。そして教師中心ではなく学生中心に活動している。
 男女共学の公立ミカゲ高校は3学年全体で826人。このうち592人が、サッカー,野球,テニス,バスケットボール,バレーボール,テニス,陸上,水泳,ラグビー,バドミントンなど15の運動部に入って活動している。10人中6.4人が何らかの運動クラブで活動しているわけだ。
 兵庫県(人口555万574人,2000年)全体を見ると,高校生16万3090人中,運動部で活動する学生が6万6478人で40.7%にもなる。学校当たりの運動部の数は平均で17個だ。兵庫県の中学校も全学生の70%が運動部に入っていて,学校当たり平均運動部は11個だ。
 運動部の活動時間は普通,授業が終わった午後4時から7時までだ。運営費は学生会費から一部充当され,高校では月400円(4000ウォン)と年間部費1800円,大会参加費(毎回2000円) ほどの出費がある。レベルの高い運動部がある学校に行くために推薦が必要なときもあるが,基本的に韓国のようにベスト4,ベスト8に入賞すると大学に進学するというような制度はない。
 たとえば日本の高校野球部は全国で3500もあり(),韓国(50余り)の70倍にのぼる。また地域ごと1,2,3部リーグと水準別に分け(??)、優秀な選手が自然に育つようにしている。
 高校野球の最高権威の甲子園大会は唯一の全国大会で,春休みと夏休みにだけ行われる。野球部が50余りしかないのに,8つの全国大会が乱立して選手たちを酷使し,夏休みも冬休みも合宿訓練をする韓国の「準プロ高校選手」作りとは対照的だ。こんなふうに楽しみながら運動部に参加し、学生は,試験期間は部活動をせず,公式大会に出場する運動部でも一時間ほどで練習を切り上げるというのが常識だ。
 イ・ヨンシク研究員は「日本の特徴は,文部科学省が学校の運動部のすべてを管理運営してエリート選手を育成するという過去の枠組みから脱することができたこと」,「韓国も,運動ばかりする学校運動部を,学生が自発的に集まる部活動に変えていかなければならない」と強調している。

 この記事からいろんなことが推測できます。

 韓国の学校はプール、体育館が標準装備ではないらしいこと。

 全国大会でベスト8またはベスト4になると大学に進学できる、という制度があるらしいこと。

 極めつけは
韓国には野球部が50余りしかないこと。

 つまり,韓国日報主催の鳳凰大旗大会57校参加というのは,予選を通過したチームではなくて,韓国に存在する野球部のすべてなんですね。そのそれぞれは,上の記事のように学業を放棄し,生活のすべてを野球に捧げる軍隊式合宿生活を送っている、ということのようです。そして,一般の勉強のよくできる学生からは蔑みの目で見られている……。


コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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1234 (잘봤수)
2009-09-24 13:23:00
꽤 재밋는 기사로군요
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한국사람이세요? (보신탕)
2009-09-26 08:23:43
한국말로 코멘트를 받는게 처음이에요. 앞으로도 놀러 오세요.
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