「もののあはれ」の物語

古き世のうたびとたちへ寄せる思いと折に触れての雑感です。

文字遊び その二

2005年07月02日 | ああ!日本語
 先日の「爪のない爪の話」のコメントで、つい調子に乗って、「子」文字の遊びを提起しました。
 早速の「ネえ、ネえ、コのコどこのコ、」や、「一ダースなら安くなる」などの傑作が寄せられましたが、もともとは一体どう読むの、気になって仕事の邪魔とお叱りもありました。
 「宇治拾遺」に出ているところでは、嵯峨天皇が、小野 篁に、「子」文字を12個書いて、「読め」とおおせられ、篁が「猫の子の子猫、獅子の子の子獅子」と読んで、難を切り抜ける話になっています。片仮名のネは古くは子と書いたので、子は「ね」とも、「こ」とも読むし、音読だと「し」です。これでよろしいでしょうか。
 今でも訓めない歌が万葉集にはありますが、その中で、戯訓はかなり「おあそび」の要素が濃いものです。十六を「しし」八十一を「くく」、馬声を「い」蜂音を「ぶ」などと訓んでいます。

 「江談抄」の中の難題から、「木頭切月中破」なんだか詩句のようですが、これは、木の頭を切った文字は、「不」月の中を破ったのは「用」で、「不用]という返事でした。
 そのほかにも、七と刀を離して書いて「寄らば切るぞ」だとか、千の字を九つ書いて[泉岳寺]などおしゃれです。
 車の頭をひっこめたら、「でんしゃ」でしょうか。こんなのは今時のお若い携帯世代の独壇場でしょう。
 文字あそびを楽しむのは、わが国古来の伝統文化のようです。