1月5日の日経新聞朝刊トップニュースです。
「特許 ソフトも保護対象 大幅な法改正で明確に」
「特許庁は1月下旬から・・長官の私的研究会で1年間かけて検討。2010年には産業構造審議会で審議したうえ、11年の通常国会に特許法改正案か新法を提出、12年の施行をめざす。」
概略、以下のような改正の方針が示されています。
特許法見直しの主な検討項目
《保護の対象となる「発明」の定義の見直し》
記事「いまの特許法は、保護する発明の対象を「モノ」と定義する。・・・今回の見直しでは施行後初めて、無形資産を明確に保護対象と位置づける方向だ。」
《「差止請求権」の放棄など技術革新の促進に向けた制度づくり》
記事「『差止請求』について、特許の開放の際にいったん差止請求権を放棄すると、その後は差止をできなくする方向だ。」「『発明の保護と利用を図る』という特許法の目的に『技術革新の促進』を加えることも検討する。」
《「職務発明規定」の見直し》
記事「特許権の保有者を発明者、企業のいずれにするか、技術者と企業の契約のなかで定めるべきかなどを慎重に探る。」
《審査基準の法制化に向けた検討》
《迅速で効率的な紛争解決方法の検討》
《審査の迅速化と出願者のニーズへの対応》
《分かりやすい条文づくり》
--------以上--------
《保護の対象となる「発明」の定義の見直し》について
記事に明らかな誤りがあります。現在の特許法の保護対象は、「物」のみならず、「方法」「物を生産する方法」をも保護対象としているからです。
本当の改正方針は、発明の定義の修正でしょう。現行法では発明を「自然法則を利用した技術的思想の創作」と定義づけています。この定義があるため、保護対象の発明の裾野が定まっていることは明らかです。保護対象を、現在の限界からどのような方向に広げようとしているのか、そしてそのためには特許法の発明の定義をどのように変えるべきなのか、研究会での試案を早く見たいものです。
《「差止請求権」の放棄など技術革新の促進に向けた制度づくり》について
差止請求権は特許権の根幹です。何の見返りもなく、特許権者が差止請求権を放棄することなど考えられません。特許権者にどのようなメリットを与えることにより、差止請求権の放棄を促進しようとしているのでしょうか。
特許法の目的について、現行法でも「発明の保護と利用を図る」に加え、「発明を奨励し、もって産業の発達に寄与すること」を目的としてうたっています。これにさらに「技術革新の促進」を付加する意味合いは何なのか、意図するところをよく聞きたいものです。
《「職務発明規定」の見直し》について
現行法では、特許を受ける権利を原始的に取得するのは発明者です。従業者である発明者の所有する権利を使用者に譲渡するのですから、対価は必須であり、対価について両者の合意が得られなければ、裁判所に決めてもらうしかない、というのは当然の帰結です。
しかし、企業の研究活動の成果として生まれる発明ですから、その成果たる特許権の所有者を発明者のみとすることにはやはり無理があると言わざるを得ません。
一方で、発明を奨励するためには、発明者の権利をないがしろにすることは許されません。一体どのあたりでバランスを取ろうとするのか、これも議論の帰趨を見守ることにしましょう。最終的には、特許法の目的である「産業の発達」という観点から最適解を探ることになるのでしょう。
第4項目以降については、記事でも何らコメントされていませんでした。このようなポイントが上げられているというに止まっています。
「特許 ソフトも保護対象 大幅な法改正で明確に」
「特許庁は1月下旬から・・長官の私的研究会で1年間かけて検討。2010年には産業構造審議会で審議したうえ、11年の通常国会に特許法改正案か新法を提出、12年の施行をめざす。」
概略、以下のような改正の方針が示されています。
特許法見直しの主な検討項目
《保護の対象となる「発明」の定義の見直し》
記事「いまの特許法は、保護する発明の対象を「モノ」と定義する。・・・今回の見直しでは施行後初めて、無形資産を明確に保護対象と位置づける方向だ。」
《「差止請求権」の放棄など技術革新の促進に向けた制度づくり》
記事「『差止請求』について、特許の開放の際にいったん差止請求権を放棄すると、その後は差止をできなくする方向だ。」「『発明の保護と利用を図る』という特許法の目的に『技術革新の促進』を加えることも検討する。」
《「職務発明規定」の見直し》
記事「特許権の保有者を発明者、企業のいずれにするか、技術者と企業の契約のなかで定めるべきかなどを慎重に探る。」
《審査基準の法制化に向けた検討》
《迅速で効率的な紛争解決方法の検討》
《審査の迅速化と出願者のニーズへの対応》
《分かりやすい条文づくり》
--------以上--------
《保護の対象となる「発明」の定義の見直し》について
記事に明らかな誤りがあります。現在の特許法の保護対象は、「物」のみならず、「方法」「物を生産する方法」をも保護対象としているからです。
本当の改正方針は、発明の定義の修正でしょう。現行法では発明を「自然法則を利用した技術的思想の創作」と定義づけています。この定義があるため、保護対象の発明の裾野が定まっていることは明らかです。保護対象を、現在の限界からどのような方向に広げようとしているのか、そしてそのためには特許法の発明の定義をどのように変えるべきなのか、研究会での試案を早く見たいものです。
《「差止請求権」の放棄など技術革新の促進に向けた制度づくり》について
差止請求権は特許権の根幹です。何の見返りもなく、特許権者が差止請求権を放棄することなど考えられません。特許権者にどのようなメリットを与えることにより、差止請求権の放棄を促進しようとしているのでしょうか。
特許法の目的について、現行法でも「発明の保護と利用を図る」に加え、「発明を奨励し、もって産業の発達に寄与すること」を目的としてうたっています。これにさらに「技術革新の促進」を付加する意味合いは何なのか、意図するところをよく聞きたいものです。
《「職務発明規定」の見直し》について
現行法では、特許を受ける権利を原始的に取得するのは発明者です。従業者である発明者の所有する権利を使用者に譲渡するのですから、対価は必須であり、対価について両者の合意が得られなければ、裁判所に決めてもらうしかない、というのは当然の帰結です。
しかし、企業の研究活動の成果として生まれる発明ですから、その成果たる特許権の所有者を発明者のみとすることにはやはり無理があると言わざるを得ません。
一方で、発明を奨励するためには、発明者の権利をないがしろにすることは許されません。一体どのあたりでバランスを取ろうとするのか、これも議論の帰趨を見守ることにしましょう。最終的には、特許法の目的である「産業の発達」という観点から最適解を探ることになるのでしょう。
第4項目以降については、記事でも何らコメントされていませんでした。このようなポイントが上げられているというに止まっています。
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