弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

拒絶査定後の審査官との対話

2008-02-03 11:25:35 | 知的財産権
特許出願の審査において、拒絶査定がされると、30日以内に拒絶査定不服審判を請求できます。そして請求から30日以内であれば、明細書類について補正を行うことができます。補正書が提出された場合、審査前置といって、まずは審査官が補正後の出願の審査を行います。原則として拒絶査定を出した審査官が審査することになるでしょう。

通常の審査係属中であれば、拒絶理由通知に対応して補正を行う場合、審査官に相談を持ちかけることができます。補正案をファックスで送って審査官に見てもらい、それで許可されるかどうかを事前に相談できます。もちろん面接を申し込むこともできます。

ところが、拒絶査定がされると、出願が審査の係属から外れ、審査官はその出願と切り離されてしまいます。包袋も審査官の手元で見ることができなくなるようです。従って、拒絶査定後に審判請求して補正書を提出する場合、相談する相手の審査官が存在しないという状況になってしまうのです。

拒絶査定不服審判請求時、審査段階での審査官に電話すると、「自分の手元には包袋がないので調べられない」との返答だったり、場合によっては一度電話を切り、わざわざ包袋を取り寄せて調べてくれたことはありました。いずれにしろ、気軽に審査官と相談することができませんでした。

ところが最近、毎月出席している判例研究会で雑談していて以下の話を聞きました。

最近は、拒絶査定後であっても、審査時の審査官が、審判請求時の補正について相談に乗ってくれるようになったというのです。
出願人側にとって、非常に有り難いサービスです。特許庁にしてみても、これによって審判請求後のスムーズな処理を促進することができるのですから、メリットがあるはずです。

査定不服審判を請求するということはそれなりに重要な特許案件ですから、審判請求時の補正に関しても、前置審査でその補正を審査する審査官と対話を行いたいケースは多いのですよね。
次回のチャンスには、ぜひ審査官と電話連絡を取ってみようと思っています。

この記事をご覧の皆さんの中に、拒絶査定不服審判請求時における審査官との対話に関して、ご経験をお持ちの方がおられましたら、ぜひコメントをいただけたらと思います。


ところで、今年の特許法改正で、査定不服審判は拒絶査定から3月以内と期限が延長されますね。一方、審判請求時の明細書等の補正は、審判請求と同時にしかできなくなります。
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4 コメント

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Unknown (とおる)
2008-02-04 05:26:47
私の経験上、原則的には、審査官が相談に乗ってくれるのは、審判請求をした後、補正前だったと思います。もちろん、対応のばらつきはあると思います。

審判請求前は出願が特許庁又は審査部に経属してないという建前(「包袋が手元にない」という理由と同様)が有り、実務上は、請求前の相談に乗っても、そこで成立の可能性を探られて、請求を取り止められた場合に労力が無意味になる現実があるからだと思います。

これは審査請求前の出願について、審査官が面接や電話相談に乗ってくれないことと同様だと思います。

今回の改正で気になるのは、補正が審判請求と同時に限定されたので、建前的には相談するタイミングが無くなり、相談し難くなることです。
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審査官との連絡タイミング (ボンゴレ)
2008-02-04 16:27:38
なるほど。
審判請求した後、補正前であれば、審査官が対応してくれるということですね。
今回法改正前にチャンスがあったら、そのタイミングに審査官と相談してみようと思います。

法改正後については、審判請求前であっても対応してくれないと困りますね。
返信する
Unknown (Unknown)
2008-02-06 11:25:55
特許庁の平成19年11月1日施行の面接ガイドラインでは、審査請求から特許査定又は長官報告までの間が面接可能な期間となっています。
ただし、拒絶査定後には「拒絶査定後においても補足的に面接等は行いますが、その際は、具体的な不服申立ての理由及び補正案の提示が求められる点に留意する必要があります。」と記載されています。

したがって拒絶査定後であっても面接は可能と考えますし、実際に本年になってから面接を実施していただいた案件もあります。

http://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/pdf/mensetu_guide/tokkyo.pdf
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拒絶査定後の面接 (ボンゴレ)
2008-02-06 15:22:37
Unknownさん、コメントありがとうございます。

面接ガイドライン記載内容のご紹介、ありがとうございます。確認しました。
平成19年11月以前の面接ガイドラインについて、私の手元には「解説・平成6年改正特許法の運用」でしか調べられないのですが、調べたところ、似たような記述がありました。

必要な案件があったら、まずは審査官に連絡することにします。
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