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弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

NHK爆笑学問「ヒトと殺しと男と女」

2009-05-21 00:06:36 | 歴史・社会
NHK爆笑問題のニッポンの教養5月19日は、長谷川眞理子先生の「ヒトと殺しと男と女」でした。

長谷川眞理子先生、現在は総合研究大学院大学先導科学研究科教授で、日本進化学会の会長でもあります。

長谷川眞理子先生のテーマ「ヒトと殺しと男と女」については、このブログでも3年前に取り上げました
「人が殺人を犯す比率は、年齢・性別の影響を強く受ける。世界中どの国でも、文化・宗教によらず共通している。二十台前半の男性が殺人を犯す比率が圧倒的に多い。ところが唯一の例外があり、現代の日本では二十代男性の殺人比率が劇的に下がっている。」
という事実を中心とした研究テーマです。

今回の番組でもこのテーマが中心でした。
《なぜヒトのオスは二十台前半に殺人を犯すのか》
“何十億年の地球の歴史の中を生き残ってきた生物が有している性質は、種のDNAを存続させる上で意味を持っているに違いない”と仮説するそうです。そうすると、ヒトのオスがカッとなって殺人を犯しやすいという性質も、ヒトという種が存続する上で役に立ったはずだとの考え方です。

《なぜ現代日本人の男性は二十台前半に殺人を犯さないのか》
長谷川先生は、“戦後の日本の終身雇用、年功序列、格差の少ない社会のおかげで、若い男性も失うものが多くなり、自制するようになったからでは”という仮説です。
もしそうなら、終身雇用、年功序列が崩れ、格差社会が到来したという現代日本、また日本人の若い男性が犯す殺人比率が上昇するはず、という結論が導かれます。

番組で爆笑問題は、予想したとおり、草食男子との関連を論じていました。
日本人の若手男子が、殺人を犯さなくなったこととひき替えに、覇気を失ってしまったのだとしたら大問題ではあります。そのような論点で検証や議論を進めていくべきでしょう。

私は番組の中で、長谷川先生の以下の発言に注目しました。NHKのサイトでもこの発言を以下のように収録していました。
「大学で教えている時に、生物学でこうやってゾウアザラシが一所懸命けんかしたりするのを見せていろいろしゃべると、時々ね、生き物は何でそんなに一生懸命生きているか分からないっていう質問をする子がいるんですよ。で、私はすごい驚いたの。何を説明しようかというと、一生懸命生きてなかったら、いないのよと、ここには。生き物ってみんなそうやって一生懸命何かやって、で、子どもが残って、上の世代は死んじゃって、その子どもがまた一生懸命何かやって、だから一生懸命やっていないっていうのは、見ることが出来ないのよ。で、それでもしあなたが一生懸命生きなくてもいられて、人から一生懸命やっていない人がここにいるっていうのが見られるとしたら、それは随分不思議なことで、生き物としては。それは誰か別の人が、あなたがそうやって一生懸命やらなくても生きていけるように支えてくれているからなのよっていうのだけを言うんです。」

「一生懸命に生きる」という性質を有しない種は、地球上から抹殺されて途絶えてしまいます。ヒトだってつい50年前まではそうでした。
「一生懸命生きること」が格好悪く、「自分が本当にやりたいことが見つかるまではずっとパラサイトで居続ける」ことが可能である現代日本人というのは、数十億年の生物の歴史の中ではきわめて異常な状態であると言わざるを得ないでしょう。
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