弁理士の日々

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民主党政権で「記者クラブ」はどうなる?

2009-09-17 20:41:17 | 知的財産権
9月16日夜半に開催された民主党政権の閣僚記者会見、なかなかおもしろいイベントでした。

従来、新大臣が決まると、就任決定から記者会見まではほとんど時間がもらえませんでした。新大臣は、官僚が準備した「べからず集」のレクチャーを受け、その線で記者会見に臨むこととなり、結局は官僚の望む方向に答弁せざるを得なかったのです。
このブログでも、高橋洋一著「さらば財務省!」(4)において、民主党新政権がこの轍を踏まないように留意してほしいと述べました。

今回の記者会見、まさにその点に留意したようですね。各大臣は事前に役人と一切接触せず、コメントを自分で準備して会見に臨んだようです。役人からの情報を得なければ、官僚にコントロールされないメリットはあるものの、内容が薄っぺらになる危惧があります。しかし何人かの会見を聞く限りは、みなさん立派なスピーチをされておられました。
この会見が深夜だったにもかかわらず、高い視聴率を出したようです。政権交代でしばらくは“政治の季節”が続く可能性があります。

話は変わりますが、日本の各官庁、官邸、自民党などには「記者クラブ」があります。記者クラブに加入している報道機関は、その官庁などから優先的に情報をもらうことができます。記者会見に参加して質疑できるのも記者クラブ加入機関に限られます。
もし記者がその官庁に都合の悪い記事を書いて記者クラブ出入り禁止になると、記者クラブ経由の情報がもらえなくなるので、記者クラブに加入する大手報道機関は、官庁に真っ向から切り込む記事を書くことができません。記者クラブの問題点については、「ジャーナリズム崩壊 」で以前取り上げました。
このような記者クラブ制度が、官庁の権力増長に手を貸していることは明らかです。民主党政権が成立して、この記者クラブ制度を切り崩してくれるのかどうか、注目しているところです。

ところが将に今回の新閣僚記者会見において、この記者クラブ制度が崩せなかったようなのです。
鳩山内閣早くも公約違反? 隠れた官僚支配の温床壊せず
声の主は、「ジャーナリズム崩壊」の著者であるあの上杉隆氏です。
「2002年、(民主党は)当時幹事長だった岡田克也氏(外務大臣に就任)が、週刊誌やスポーツ紙、海外報道機関、フリージャーナリストなど広くに記者会見を開放し、以降「どなたでも参加いただけます」とのスタンスを貫いてきた。
そのスタンスは民主党が政権を取ることが確実となった総選挙以降でも変わらない。投開票日の開票センターの会見や、連日、民主党本部で開かれた会見は、広く、国内外のメディアに開放された。
しかし、場所が官邸に移った途端、事情が変わった。会見への参加が許されたのは、内閣記者会に加盟する各社の記者、海外メディアの記者10人程度、そして、日本雑誌記者会に加盟していて、国会記者証を持つ5人の雑誌記者である。上杉氏は、官邸の外にいた。」

民主党は野党でいる間は記者クラブを設けず、広くジャーナリストに記者会見を開放していたのに、今回の記者会見では急に、上記のように会見へ参加できる記者を制限したというのです。

民主党に問い合わせたところ、民主党としては雑誌記者も含めて会見に参加してもらおうとの意図を持っていたのだが、開催元が官邸だったため、官邸、つまり官僚の意向で記者会見が運営されてしまったようです。

今後、民主党の政治主導で記者クラブ制度を打破することができるのかどうか、注目です。

なお、上記上杉隆氏のコメントを元にした記事については、現在の記者クラブ制度が有している問題点について述べているので、読むに値します。
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