知財高裁(平成16(行ケ)214)で敗訴判決を受けた被告(特許権者)は、最高裁に上告しませんでした。審決取消判決が確定し、再度の審決では、知財高裁判決通り、請求項1を無効とする審決が成されました(H17.5.24.送達)。
特許権者はこの時点で、今度は自分が原告となって審決取消訴訟(平成17(行ケ)10530)を提起します(H17.6.17.出訴)。
その後特許権者は、請求項1を含む特許請求の範囲を訂正します。訂正の手段として、出訴から90日以内にできる訂正審判請求ではなく、別の7件目の無効審判における訂正請求を行う、という作戦です。たまたま、7件目の無効審判(2005-80132)の副本がH17.5.28に送達され、それに対応する訂正請求(H17.7.21)が、たまたま出訴から90日以内に合致していたというわけです。
この場合、上記のように無効審判の副本送達後60日以内に訂正請求しても良いし、無効審判継続中といえども訴え提起から90日以内には訂正審判請求できるからそちらでも良かったでしょう。そしていずれであっても、審決取消訴訟において、特181条2項により差し戻し決定をすることができると思われます。
ところが審決取消訴訟では、特181条2項に基づく審決取消決定(差し戻し決定)をせずに、請求を棄却しました。
私には差し戻し決定が妥当であると思われますが、なぜそうせずに請求棄却判決が出されたのかよく分かりません。特許権者(原告)は上告受理申立をしているようです。
本件は今後の推移を見守る必要がありますが、いくつかの疑問点があります。
(1) 知財高裁(平成16(行ケ)214)で敗訴判決後に上告受理申立を行う途もあったと思われるが、なぜそうしなかったのか。
(2) 2度目の審決を受け、特許権者が原告として審決取消訴訟提起した後、別の無効審判事件における訂正請求ではなく、訂正審判請求をしたらどうだったか。特181条2項では「訂正審判を請求し、又は請求しようとしている」とありますから。
(3) 最高裁はどのような判断をするのか。
(4) 今回の訂正の内容は、最初の判決の既判力が及ぶ範囲を外れることができているか。
いずれにしろ、正しい判断がされることを願うばかりです。
特許権者はこの時点で、今度は自分が原告となって審決取消訴訟(平成17(行ケ)10530)を提起します(H17.6.17.出訴)。
その後特許権者は、請求項1を含む特許請求の範囲を訂正します。訂正の手段として、出訴から90日以内にできる訂正審判請求ではなく、別の7件目の無効審判における訂正請求を行う、という作戦です。たまたま、7件目の無効審判(2005-80132)の副本がH17.5.28に送達され、それに対応する訂正請求(H17.7.21)が、たまたま出訴から90日以内に合致していたというわけです。
この場合、上記のように無効審判の副本送達後60日以内に訂正請求しても良いし、無効審判継続中といえども訴え提起から90日以内には訂正審判請求できるからそちらでも良かったでしょう。そしていずれであっても、審決取消訴訟において、特181条2項により差し戻し決定をすることができると思われます。
ところが審決取消訴訟では、特181条2項に基づく審決取消決定(差し戻し決定)をせずに、請求を棄却しました。
私には差し戻し決定が妥当であると思われますが、なぜそうせずに請求棄却判決が出されたのかよく分かりません。特許権者(原告)は上告受理申立をしているようです。
本件は今後の推移を見守る必要がありますが、いくつかの疑問点があります。
(1) 知財高裁(平成16(行ケ)214)で敗訴判決後に上告受理申立を行う途もあったと思われるが、なぜそうしなかったのか。
(2) 2度目の審決を受け、特許権者が原告として審決取消訴訟提起した後、別の無効審判事件における訂正請求ではなく、訂正審判請求をしたらどうだったか。特181条2項では「訂正審判を請求し、又は請求しようとしている」とありますから。
(3) 最高裁はどのような判断をするのか。
(4) 今回の訂正の内容は、最初の判決の既判力が及ぶ範囲を外れることができているか。
いずれにしろ、正しい判断がされることを願うばかりです。
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