郵政民営化法が、ばたばたと改正に進んでいるようです。民主党連立政権発足以来政権の懸案でしたが、ここにきて公明党が、続いて自民党が妥協したため、あっという間の改正です。明12日には衆議院で可決するといいう話になっています。
昨日は、プライムニュースで特集『郵政民営化見直し法案 経営悪化と利便性は?』(前編、後編)で取り上げられました。私の知りたいところは、『今回の法改正で、ゆうちょ銀行はどのような銀行になるのか。その修正は、日本の金融界にとって好ましい方向なのか。』という点です。
しかし、発言者のうちで民主党(大塚耕平氏)と自民党(林芳正氏)は法改正を推進する側です。唯一批判する側の発言者は前郵政民営化委員会委員(野村修也氏)ですが、残念ながら弁護士だということで、金融や銀行業の専門家ではなく、私が知りたいポイントについての突っ込みが不十分でした。
ネットニュースでも、今回の郵政民営化法改正についての詳細がなかなか報道されていません。そこで、取り敢えずは法律の条文をチェックすることとしました。
この記事の後半に、以下の3点について関係する条文をアップしています。
【郵政民営化法等の一部を改正する等の法律案】
【銀行法】
【(改正前)郵政民営化法】
現行法については、法令データ提供システムで法令名に「郵政民営化法」とインプットすることにより閲覧できます。一方、今回の法改正の内容については、例えば、衆議院の第180回国会 議案の一覧から閲覧できます。
改正法案は、例えば『○○条の「△△」を「□□」に改める』のような文章で、これでは内容が理解できません。そこで、法律の条文を改正法に書き換えました。今回改正があった条文の部分を太字として区別しています。
2009年10月、このブログの「ゆうちょ銀行とはどんな銀行か」という記事で検討したことがあります。
そこでも書いたように、民営化法98条1項によると、ゆうちょ銀行は銀行法で規定する「銀行」とみなされているのですね。「みなし銀行」ですか。ただし、普通の銀行であれば銀行法によって厳しく規制され、所定の条件を満たさなければ銀行として認められません。それに対してゆうちょ銀行は、民営化法98条1項のみによって銀行として認められました。そのため、普通の銀行とは異なる条件が付されています。
現行の(改正前)民営化法によると、第7条2項で『日本郵政株式会社が保有する郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式は、移行期間(平成十九年十月一日から平成二十九年九月三十日までの期間)中に、その全部を処分するものとする。』として、移行期間内に完全民営化することが義務化されています。さらに、この移行期間中については、銀行法で規定された銀行の業務範囲のうち、
一号の中の 外貨預金の受入れ
二号 資金の貸付け又は手形の割引
については、
(1) 内閣総理大臣の承認を受けなければならない(98条2項1号)
(2) 株式の全部を処分するまでは、内閣総理大臣及び総務大臣の認可を受けなければならない(110条)
という制約を受けています。
また、総理と総務大臣が認可するに際しても、110条5項で『内閣総理大臣及び総務大臣は、第1項の認可の申請があった場合において、次に掲げる事情を考慮し、郵便貯金銀行と他の金融機関等との間の適正な競争関係及び利用者への役務の適切な提供を阻害するおそれがないと認めるときは、同項の認可をしなければならない。』と規定され、同6項で『民営化委員会の意見を聴かなければならない。』と規定されています。
結局、平成29年9月までには完全民営化すること、それまでの間は政府と民営化委員会がにらみを効かせ、『他の金融機関等との間の適正な競争関係及び利用者への役務の適切な提供を阻害するおそれがない』ことを担保しているのです。
それでは、今回の法改正で上記の制度がどのように変わるのでしょうか。
まず、ゆうちょ銀行の株式処分については「できる限り早期に処分するものとする」(7条、62条)と努力規定となりました。そして、株式の1/2以上を処分したら、その後は、民営化法110条の制限を受けなくなるのです(新設110条の2)。そして、従来110条で制限を受けていた業務を行おうとするときは、内閣総理大臣及び総務大臣に届け出さえすればいいのです。
110条2項で、従来制限されていた業務を行うに当たっては、ゆうちょ銀行自身が「他の金融機関等との間の適正な競争関係及び利用者への役務の適切な提供を阻害することのないよう特に配慮しなければならない」と規定されています。しかし、ゆうちょ銀行が主観的に配慮するだけで足りるのだとすると、「本当に適切な運用が担保されるのか」という疑問が湧いてしまいます。
ゆうちょ銀行の株式を1/2売却したところで売却を止めれば、国の保護があると思われます。その段階で、ゆうちょ銀行は自分の意思で種々の業務を開始できるのです。
これでは、諸外国から「民業圧迫だ」と非難されても仕方ないでしょう。諸外国から非難されるということは、日本国内での民間銀行との関係でも不健全な関係になってしまいます。
----それでは、以下に法律の条文を掲載します----
第一八〇回衆第六号
【郵政民営化法等の一部を改正する等の法律案】(郵政民営化法の一部改正)
第1条 郵政民営化法(平成十七年法律第九十七号)の一部を次のように改正する。
第7条
2項 日本郵政株式会社が保有する郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式は、その全部を処分することを目指し、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の経営状況、次条に規定する責務の履行への影響等を勘案しつつ、できる限り早期に、処分するものとする。
(株式の処分)
第62条 日本郵政株式会社は、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式について、その全部を処分することを目指し、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の経営状況、第七条の二に規定する責務の履行への影響等を勘案しつつ、できる限り早期に、処分するものとする。
2項 日本郵政株式会社は、次の各号に掲げる場合には、遅滞なく、その旨を総務大臣に届け出るとともに、当該各号に定める者に通知しなければならない。
一号 郵便貯金銀行の株式の二分の一以上を処分した場合 郵便貯金銀行
二号 郵便保険会社の株式の二分の一以上を処分した場合 郵便保険会社
3項 総務大臣は、前項の規定による届出を受けた場合には、速やかに、その旨を内閣総理大臣及び民営化委員会に通知しなければならない。
(銀行業の免許の付与)
第98条 郵便貯金銀行は、この法律の施行の時において、銀行法第4条第1項の免許を受けたものとみなす。
2項 前項の免許は、次に掲げる条件が付されたものとする。
一号 第110条第1項各号に掲げる業務を行おうとするときは、内閣総理大臣の承認を受けなければならないこと。
第三節 移行期間中の銀行法 等の特例等
(通則)
第105条 内閣総理大臣及び総務大臣は、第62条第3項の規定により日本郵政株式会社が郵便貯金銀行の株式の二分の一以上を処分した旨を総務大臣が内閣総理大臣に通知した日以後に、郵便貯金銀行について、内外の金融情勢を踏まえ、次に掲げる事情を考慮し、この節の規定を適用しなくても、郵便貯金銀行と他の金融機関等()との間の適正な競争関係及び利用者への役務の適切な提供を阻害するおそれがないと認めるときは、その旨の決定をしなければならない。
一号 日本郵政株式会社が保有する郵便貯金銀行の議決権がその総株主の議決権に占める割合その他他の金融機関等との間の競争関係に影響を及ぼす事情
二号 日本郵便株式会社、郵便貯金銀行、郵便保険会社その他日本郵政株式会社が設立した株式会社の経営状況及びこれらの株式会社(郵便貯金銀行を除く。)と郵便貯金銀行との関係
2項 内閣総理大臣及び総務大臣は、前項の決定をしようとするときは、民営化委員会の意見を聴かなければならない。
3項 第一項の決定は、取り消すことができない。
4項 内閣総理大臣及び総務大臣は、第一項の決定をしたときは、遅滞なく、その旨を郵便貯金銀行及び機構に通知しなければならない。
(業務の制限)
第110条 郵便貯金銀行は、次に掲げる業務を行おうとするときは、その内容を定めて、内閣総理大臣及び総務大臣の認可を受けなければならない。
一号 銀行法第10条第1項第一号 に掲げる業務(外貨預金の受入れその他の政令で定める業務に限る。)
二号 銀行法第10条第1項第二号 に掲げる業務(次に掲げる業務を除く。)
イ 預金者等に対する当該預金者等の預金等を担保とする資金の貸付け
ロ 国債証券等を担保とする資金の貸付け
ハ 地方公共団体に対する資金の貸付け
ニ コール資金の貸付け
ホ 日本郵便株式会社、郵便局株式会社又は郵便保険会社に対する資金の貸付け
ヘ 機構に対する資金の貸付け
(中略)
5項 内閣総理大臣及び総務大臣は、第1項の認可の申請があった場合において、次に掲げる事情を考慮し、郵便貯金銀行と他の金融機関等との間の適正な競争関係及び利用者への役務の適切な提供を阻害するおそれがないと認めるときは、同項の認可をしなければならない。
(中略)
6項 内閣総理大臣及び総務大臣は、第1項の認可の申請があったときは、民営化委員会の意見を聴かなければならない。
第110条の2 郵便貯金銀行については、第62条第2項の規定により日本郵政株式会社が郵便貯金銀行の株式の二分の一以上を処分した旨を総務大臣に届け出た日以後は、前条第1項の規定は適用しない。この場合において、郵便貯金銀行が同項各号に掲げる業務を行おうとするときは、その内容を定めて、内閣総理大臣及び総務大臣に届け出なければならない。
2項 郵便貯金銀行は、前項後段の規定により業務を行うに当たっては、他の金融機関等との間の適正な競争関係及び利用者への役務の適切な提供を阻害することのないよう特に配慮しなければならない。
3項 内閣総理大臣及び総務大臣は、第一項後段の規定による届出を受けたときは、速やかに、その旨を民営化委員会に通知しなければならない。
【銀行法】
(営業の免許)
第4条 銀行業は、内閣総理大臣の免許を受けた者でなければ、営むことができない。
(業務の範囲)
第10条 銀行は、次に掲げる業務を営むことができる。
一号 預金又は定期積金等の受入れ
二号 資金の貸付け又は手形の割引
三号 為替取引
【(改正前)郵政民営化法】
(平成十七年十月二十一日法律第九十七号)
(新会社の株式)
第7条 政府が保有する日本郵政株式会社の株式がその発行済株式の総数に占める割合は、できる限り早期に減ずるものとする。ただし、その割合は、常時、三分の一を超えているものとする。
2 日本郵政株式会社が保有する郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式は、移行期間(平成十九年十月一日から平成二十九年九月三十日までの期間をいう。以下同じ。)中に、その全部を処分するものとする。
(株式の処分)
第62条 日本郵政株式会社は、移行期間中に、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の全部を段階的に処分しなければならない。
2 日本郵政株式会社は、次の各号に掲げる場合には、遅滞なく、その旨を総務大臣に届け出るとともに、当該各号に定める者及び機構に通知しなければならない。
一 郵便貯金銀行の株式の全部を処分した場合 郵便貯金銀行
二 郵便保険会社の株式の全部を処分した場合 郵便保険会社
3 総務大臣は、前項の規定による届出を受けた場合には、速やかに、その旨を内閣総理大臣及び民営化委員会に通知しなければならない。
第三節 移行期間中の銀行法 等の特例等
(通則)
第105条 内閣総理大臣及び総務大臣は、郵便貯金銀行について、内外の金融情勢を踏まえ、次に掲げる事情を考慮し、この節の規定を適用しなくても、郵便貯金銀行と他の金融機関等()との間の適正な競争関係及び利用者への役務の適切な提供を阻害するおそれがないと認めるときは、その旨の決定をしなければならない。
一 日本郵政株式会社が保有する郵便貯金銀行の議決権がその総株主の議決権に占める割合その他他の金融機関等との間の競争関係に影響を及ぼす事情
二 郵便局株式会社、郵便貯金銀行、郵便保険会社その他日本郵政株式会社が設立した株式会社の経営状況及びこれらの株式会社(郵便貯金銀行を除く。)と郵便貯金銀行との関係
2 内閣総理大臣及び総務大臣は、前項の決定をしようとするときは、民営化委員会の意見を聴かなければならない。
3 第一項の決定は、取り消すことができない。
4 内閣総理大臣及び総務大臣は、第一項の決定をしたときは、遅滞なく、その旨を郵便貯金銀行及び機構に通知しなければならない。
(業務の制限)
第110条 郵便貯金銀行は、次に掲げる業務を行おうとするときは、その内容を定めて、内閣総理大臣及び総務大臣の認可を受けなければならない。
一 銀行法第十条第一項第一号 に掲げる業務(外貨預金の受入れその他の政令で定める業務に限る。)
二 銀行法第十条第一項第二号 に掲げる業務(次に掲げる業務を除く。)
イ 預金者等に対する当該預金者等の預金等を担保とする資金の貸付け
ロ 国債証券等を担保とする資金の貸付け
ハ 地方公共団体に対する資金の貸付け
ニ コール資金の貸付け
ホ 日本郵政株式会社、郵便事業株式会社、郵便局株式会社又は郵便保険会社に対する資金の貸付け
ヘ 機構に対する資金の貸付け
昨日は、プライムニュースで特集『郵政民営化見直し法案 経営悪化と利便性は?』(前編、後編)で取り上げられました。私の知りたいところは、『今回の法改正で、ゆうちょ銀行はどのような銀行になるのか。その修正は、日本の金融界にとって好ましい方向なのか。』という点です。
しかし、発言者のうちで民主党(大塚耕平氏)と自民党(林芳正氏)は法改正を推進する側です。唯一批判する側の発言者は前郵政民営化委員会委員(野村修也氏)ですが、残念ながら弁護士だということで、金融や銀行業の専門家ではなく、私が知りたいポイントについての突っ込みが不十分でした。
ネットニュースでも、今回の郵政民営化法改正についての詳細がなかなか報道されていません。そこで、取り敢えずは法律の条文をチェックすることとしました。
この記事の後半に、以下の3点について関係する条文をアップしています。
【郵政民営化法等の一部を改正する等の法律案】
【銀行法】
【(改正前)郵政民営化法】
現行法については、法令データ提供システムで法令名に「郵政民営化法」とインプットすることにより閲覧できます。一方、今回の法改正の内容については、例えば、衆議院の第180回国会 議案の一覧から閲覧できます。
改正法案は、例えば『○○条の「△△」を「□□」に改める』のような文章で、これでは内容が理解できません。そこで、法律の条文を改正法に書き換えました。今回改正があった条文の部分を太字として区別しています。
2009年10月、このブログの「ゆうちょ銀行とはどんな銀行か」という記事で検討したことがあります。
そこでも書いたように、民営化法98条1項によると、ゆうちょ銀行は銀行法で規定する「銀行」とみなされているのですね。「みなし銀行」ですか。ただし、普通の銀行であれば銀行法によって厳しく規制され、所定の条件を満たさなければ銀行として認められません。それに対してゆうちょ銀行は、民営化法98条1項のみによって銀行として認められました。そのため、普通の銀行とは異なる条件が付されています。
現行の(改正前)民営化法によると、第7条2項で『日本郵政株式会社が保有する郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式は、移行期間(平成十九年十月一日から平成二十九年九月三十日までの期間)中に、その全部を処分するものとする。』として、移行期間内に完全民営化することが義務化されています。さらに、この移行期間中については、銀行法で規定された銀行の業務範囲のうち、
一号の中の 外貨預金の受入れ
二号 資金の貸付け又は手形の割引
については、
(1) 内閣総理大臣の承認を受けなければならない(98条2項1号)
(2) 株式の全部を処分するまでは、内閣総理大臣及び総務大臣の認可を受けなければならない(110条)
という制約を受けています。
また、総理と総務大臣が認可するに際しても、110条5項で『内閣総理大臣及び総務大臣は、第1項の認可の申請があった場合において、次に掲げる事情を考慮し、郵便貯金銀行と他の金融機関等との間の適正な競争関係及び利用者への役務の適切な提供を阻害するおそれがないと認めるときは、同項の認可をしなければならない。』と規定され、同6項で『民営化委員会の意見を聴かなければならない。』と規定されています。
結局、平成29年9月までには完全民営化すること、それまでの間は政府と民営化委員会がにらみを効かせ、『他の金融機関等との間の適正な競争関係及び利用者への役務の適切な提供を阻害するおそれがない』ことを担保しているのです。
それでは、今回の法改正で上記の制度がどのように変わるのでしょうか。
まず、ゆうちょ銀行の株式処分については「できる限り早期に処分するものとする」(7条、62条)と努力規定となりました。そして、株式の1/2以上を処分したら、その後は、民営化法110条の制限を受けなくなるのです(新設110条の2)。そして、従来110条で制限を受けていた業務を行おうとするときは、内閣総理大臣及び総務大臣に届け出さえすればいいのです。
110条2項で、従来制限されていた業務を行うに当たっては、ゆうちょ銀行自身が「他の金融機関等との間の適正な競争関係及び利用者への役務の適切な提供を阻害することのないよう特に配慮しなければならない」と規定されています。しかし、ゆうちょ銀行が主観的に配慮するだけで足りるのだとすると、「本当に適切な運用が担保されるのか」という疑問が湧いてしまいます。
ゆうちょ銀行の株式を1/2売却したところで売却を止めれば、国の保護があると思われます。その段階で、ゆうちょ銀行は自分の意思で種々の業務を開始できるのです。
これでは、諸外国から「民業圧迫だ」と非難されても仕方ないでしょう。諸外国から非難されるということは、日本国内での民間銀行との関係でも不健全な関係になってしまいます。
----それでは、以下に法律の条文を掲載します----
第一八〇回衆第六号
【郵政民営化法等の一部を改正する等の法律案】(郵政民営化法の一部改正)
第1条 郵政民営化法(平成十七年法律第九十七号)の一部を次のように改正する。
第7条
2項 日本郵政株式会社が保有する郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式は、その全部を処分することを目指し、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の経営状況、次条に規定する責務の履行への影響等を勘案しつつ、できる限り早期に、処分するものとする。
(株式の処分)
第62条 日本郵政株式会社は、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式について、その全部を処分することを目指し、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の経営状況、第七条の二に規定する責務の履行への影響等を勘案しつつ、できる限り早期に、処分するものとする。
2項 日本郵政株式会社は、次の各号に掲げる場合には、遅滞なく、その旨を総務大臣に届け出るとともに、当該各号に定める者に通知しなければならない。
一号 郵便貯金銀行の株式の二分の一以上を処分した場合 郵便貯金銀行
二号 郵便保険会社の株式の二分の一以上を処分した場合 郵便保険会社
3項 総務大臣は、前項の規定による届出を受けた場合には、速やかに、その旨を内閣総理大臣及び民営化委員会に通知しなければならない。
(銀行業の免許の付与)
第98条 郵便貯金銀行は、この法律の施行の時において、銀行法第4条第1項の免許を受けたものとみなす。
2項 前項の免許は、次に掲げる条件が付されたものとする。
一号 第110条第1項各号に掲げる業務を行おうとするときは、内閣総理大臣の承認を受けなければならないこと。
第三節 移行期間中の銀行法 等の特例等
(通則)
第105条 内閣総理大臣及び総務大臣は、第62条第3項の規定により日本郵政株式会社が郵便貯金銀行の株式の二分の一以上を処分した旨を総務大臣が内閣総理大臣に通知した日以後に、郵便貯金銀行について、内外の金融情勢を踏まえ、次に掲げる事情を考慮し、この節の規定を適用しなくても、郵便貯金銀行と他の金融機関等()との間の適正な競争関係及び利用者への役務の適切な提供を阻害するおそれがないと認めるときは、その旨の決定をしなければならない。
一号 日本郵政株式会社が保有する郵便貯金銀行の議決権がその総株主の議決権に占める割合その他他の金融機関等との間の競争関係に影響を及ぼす事情
二号 日本郵便株式会社、郵便貯金銀行、郵便保険会社その他日本郵政株式会社が設立した株式会社の経営状況及びこれらの株式会社(郵便貯金銀行を除く。)と郵便貯金銀行との関係
2項 内閣総理大臣及び総務大臣は、前項の決定をしようとするときは、民営化委員会の意見を聴かなければならない。
3項 第一項の決定は、取り消すことができない。
4項 内閣総理大臣及び総務大臣は、第一項の決定をしたときは、遅滞なく、その旨を郵便貯金銀行及び機構に通知しなければならない。
(業務の制限)
第110条 郵便貯金銀行は、次に掲げる業務を行おうとするときは、その内容を定めて、内閣総理大臣及び総務大臣の認可を受けなければならない。
一号 銀行法第10条第1項第一号 に掲げる業務(外貨預金の受入れその他の政令で定める業務に限る。)
二号 銀行法第10条第1項第二号 に掲げる業務(次に掲げる業務を除く。)
イ 預金者等に対する当該預金者等の預金等を担保とする資金の貸付け
ロ 国債証券等を担保とする資金の貸付け
ハ 地方公共団体に対する資金の貸付け
ニ コール資金の貸付け
ホ 日本郵便株式会社、郵便局株式会社又は郵便保険会社に対する資金の貸付け
ヘ 機構に対する資金の貸付け
(中略)
5項 内閣総理大臣及び総務大臣は、第1項の認可の申請があった場合において、次に掲げる事情を考慮し、郵便貯金銀行と他の金融機関等との間の適正な競争関係及び利用者への役務の適切な提供を阻害するおそれがないと認めるときは、同項の認可をしなければならない。
(中略)
6項 内閣総理大臣及び総務大臣は、第1項の認可の申請があったときは、民営化委員会の意見を聴かなければならない。
第110条の2 郵便貯金銀行については、第62条第2項の規定により日本郵政株式会社が郵便貯金銀行の株式の二分の一以上を処分した旨を総務大臣に届け出た日以後は、前条第1項の規定は適用しない。この場合において、郵便貯金銀行が同項各号に掲げる業務を行おうとするときは、その内容を定めて、内閣総理大臣及び総務大臣に届け出なければならない。
2項 郵便貯金銀行は、前項後段の規定により業務を行うに当たっては、他の金融機関等との間の適正な競争関係及び利用者への役務の適切な提供を阻害することのないよう特に配慮しなければならない。
3項 内閣総理大臣及び総務大臣は、第一項後段の規定による届出を受けたときは、速やかに、その旨を民営化委員会に通知しなければならない。
【銀行法】
(営業の免許)
第4条 銀行業は、内閣総理大臣の免許を受けた者でなければ、営むことができない。
(業務の範囲)
第10条 銀行は、次に掲げる業務を営むことができる。
一号 預金又は定期積金等の受入れ
二号 資金の貸付け又は手形の割引
三号 為替取引
【(改正前)郵政民営化法】
(平成十七年十月二十一日法律第九十七号)
(新会社の株式)
第7条 政府が保有する日本郵政株式会社の株式がその発行済株式の総数に占める割合は、できる限り早期に減ずるものとする。ただし、その割合は、常時、三分の一を超えているものとする。
2 日本郵政株式会社が保有する郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式は、移行期間(平成十九年十月一日から平成二十九年九月三十日までの期間をいう。以下同じ。)中に、その全部を処分するものとする。
(株式の処分)
第62条 日本郵政株式会社は、移行期間中に、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の全部を段階的に処分しなければならない。
2 日本郵政株式会社は、次の各号に掲げる場合には、遅滞なく、その旨を総務大臣に届け出るとともに、当該各号に定める者及び機構に通知しなければならない。
一 郵便貯金銀行の株式の全部を処分した場合 郵便貯金銀行
二 郵便保険会社の株式の全部を処分した場合 郵便保険会社
3 総務大臣は、前項の規定による届出を受けた場合には、速やかに、その旨を内閣総理大臣及び民営化委員会に通知しなければならない。
第三節 移行期間中の銀行法 等の特例等
(通則)
第105条 内閣総理大臣及び総務大臣は、郵便貯金銀行について、内外の金融情勢を踏まえ、次に掲げる事情を考慮し、この節の規定を適用しなくても、郵便貯金銀行と他の金融機関等()との間の適正な競争関係及び利用者への役務の適切な提供を阻害するおそれがないと認めるときは、その旨の決定をしなければならない。
一 日本郵政株式会社が保有する郵便貯金銀行の議決権がその総株主の議決権に占める割合その他他の金融機関等との間の競争関係に影響を及ぼす事情
二 郵便局株式会社、郵便貯金銀行、郵便保険会社その他日本郵政株式会社が設立した株式会社の経営状況及びこれらの株式会社(郵便貯金銀行を除く。)と郵便貯金銀行との関係
2 内閣総理大臣及び総務大臣は、前項の決定をしようとするときは、民営化委員会の意見を聴かなければならない。
3 第一項の決定は、取り消すことができない。
4 内閣総理大臣及び総務大臣は、第一項の決定をしたときは、遅滞なく、その旨を郵便貯金銀行及び機構に通知しなければならない。
(業務の制限)
第110条 郵便貯金銀行は、次に掲げる業務を行おうとするときは、その内容を定めて、内閣総理大臣及び総務大臣の認可を受けなければならない。
一 銀行法第十条第一項第一号 に掲げる業務(外貨預金の受入れその他の政令で定める業務に限る。)
二 銀行法第十条第一項第二号 に掲げる業務(次に掲げる業務を除く。)
イ 預金者等に対する当該預金者等の預金等を担保とする資金の貸付け
ロ 国債証券等を担保とする資金の貸付け
ハ 地方公共団体に対する資金の貸付け
ニ コール資金の貸付け
ホ 日本郵政株式会社、郵便事業株式会社、郵便局株式会社又は郵便保険会社に対する資金の貸付け
ヘ 機構に対する資金の貸付け
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