駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

難しいことになった

2017年03月12日 | 世の中

      

 高齢者による交通事故が多い。この半年で急に多くなったとも思えないが、勘違い事故や死亡事故が多いため、強調されて報道される所もあるだろう。そうしたわけで、我々かかりつけ医にも認知症高齢者の運転免許更新に手を貸して欲しいと警察庁から協力の依頼があった。

 協力するのにやぶさかではないが、運転免許がないと困る、とても困る、物凄く困ると色々な患者さんが居られるので、現場では「はいあなたはもう無理ですよ」と簡単には申し上げられない。五年、十年、十五年と長い通院で親しくなった患者さんに、突然あなたは認知症で運転は無理ですと強く申し上げることは難しい。かといってお隣の医院から回ってきた患者さんを一回診察して認知の程度や生活性格を把握するのはできない相談だ。

 結局、かかりつけの患者さんの外堀を埋め内堀を埋め、そうして免許を返納する方向に持って行くのが一番角が立たず賢い方法だと思われる。ここで、家族の後押しがあれば、やりやすいのだが、家族にお父さんが運転できないと困ると言われると一苦労しそうだ。

 時速40km以下で半径5キロ以内の買い物、通院、子供の家訪問だけなどというAIの自動車が間に合えばいいのだが、費用開発の時間の関係でもう十年くらい待たねばならないだろう。とりあえずこの数年は認知症が始まってきた患者さんの免許返納に気を遣うことになりそうだ。

 尤も、そのうち医師免許の更新にも試験が始まるかもしれない?!。

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2 コメント

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前見ても後ろ横も皆 高齢者 (柳居子)
2017-03-13 06:52:09
 車の運転だけでは無く、高齢者の就労に添付の健康診断を受け持っている友人は、就労が無理かなと思っても、就労可のゴーサインを出します。時々そのサインに付いて 警察とか管掌から問い合わせが有るようですが、生活保護も受けずに 必死に頑張っているお年寄りを切るような事は私には出来ないと言うと 『そうですね 判りました』と納得するそうです。

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Unknown (arz2bee)
2017-03-13 08:52:53
それは卓見ですね、しかも実行されるとは凄い。小生も見習いたい。尤も、車の運転は事故につながるのでそうはゆきませんが。
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