ブログ“愛里跨の部屋(ありかのへや)”

本ブログでは、毎月の占いと癒し記事をお届けしております。

愛里跨の恋愛スイッチ小説(華ちゃん編 16)

2010-09-27 06:46:23 | Weblog
16、見えない不安



航平の誕生日から、何日か経ったある日の昼休み。
久しぶりにお店向かいのカフェで食事した。
ガラス越しに行き交う人や車を眺めて、穏やかな時間に浸ってた私。

(カフェ店内)
ホットラテを飲みながら、航平からもらったメールを読んでいた時。

男性の声「あの。君、海崎華だよね?」
華 「はい?」
私は声のする方を見た。
するとコーヒーを持った、スーツ姿の男性が立ってた。
華 「あの…すみません。貴方どなたでしたっけ?」
男性「俺、高校3年の時に同じクラスだった、堤谷翔太。
   覚えてない?」
華 「堤谷…。あっ!デリバリー翔太!?」
翔太「何だよ、そのあだな。海崎、久しぶりだな。ここ座っていい?」
華 「ええ、どうぞ。本当に久しぶり。
   だって、貴方いつも誰かにお弁当調達させてたじゃない」
翔太「そういう事で俺を覚えるなよ。他に凄い武勇伝あるだろ?」
華 「例えば?」
翔太「例えば!体育祭のクラス対抗リレーで、
   アンカー走って牛蒡抜きでクラスを勝利に導いたとか、
   バレー部の主将してて、うちのチームが全国大会出場して注目浴びたとか」
華 「んー、そうだったかな?」
翔太「何だよ。それが感動の再会のセリフかよ」
華 「あははっ、ごめんね。ちゃんと覚える。
   そう言えば、バレンタインデーにラブレター付きチョコ貰ったね(笑)」
翔太「あーあ!笑えよ。
   『今日は女の子が好きな男の子にチョコ渡す日なのに逆でしょ!?』って、
   俺はその場で振られたんだったよな」
華 「あははっ、そうだっけ?よく覚えるわね。
   翔太君って根に持つタイプ?(笑)」
翔太「ああ!根に持つね。当時マジだった俺には、
   一生一代の告白だったんだ。
   あれ以来、後にも先にも女に告白してない」
華 「うそ!誰にも?」
翔太「ああ!まぁ、昔も今も俺はモテるから、
   女の方が告ってくるし、恋愛は成立してるけど」
華 「そういうこと自分で言う?今でもナルシストぶりは健在ね」
翔太「海崎もその毒舌相変わらずだよな。ところで仕事何してるの?」
華 「この向かいの、ほらっ、見えるでしよ?
   あの水色の屋根の店で働いてるの。翔太君は?」
翔太「俺は隣町の外車ディーラーで営業して8年になるよ」
彼は私に名刺を渡した。
華 「ありがとう。私も名刺あるの。はい(名刺を出し渡す)」
翔太「サンキュー。
   俺さ、今日は納車でその先のオフィスビルに行った帰りなんだ」
オフィスビルって、航平の会社があるビルかしら?
華 「そうなの」
翔太「海崎は今彼氏いる?まさか結婚してるとか?」
華 「結婚はまだだけど彼はいるよ」
翔太「俺も。彼女はいるけど、あいつとは結婚はできないな」
華 「え?どうして?」
翔太「ん?今はまだ人妻だから」
華 「は!?何で人妻と付き合ってるの!?」
翔太「何でって、成り行きかな。もう1年半付き合ってる」
華 「ごめん。全然笑えない」
翔太「別に俺がいいんだからいいだろ?
   割り切って付き合ってるんだし、
   結婚する気はさらさらないしな」
華 「そうね。貴方の恋愛だから私がとやかく言うことじゃないわね」
翔太「でも、俺を本気で愛してくれる女が目の前に現れたら、
   その時は一途に付き合って、結婚考えるだけどな」
翔太君はじっと私を見つめてる。

何だかこの雰囲気、苦手だな…

華 「そうね(汗)早くそういう女性が見つかるといいわね」
翔太「海崎がそうかもな。
   これって世間でいう『運命の再会』ってやつだろ?
   今の男、お前と本気で付き合ってるのか?
   もしかしたら遊びじゃない?」
華 「あのね!彼は真面目で、正義感が強くて優しい人なの。
   毎日遅くまで仕事もバリバリこなしてて、
   カッコよくて素敵で完璧な人なんだから。
   いつも私を大切にしてくれて、料理だって作ってくれる。
   こないだも私達は離れ離れにならないって言ってくれたし」
翔太「ははははっ!そんなドラマに出てくるような、
   カッコいい完璧な男なんてこの世の中にそう居ないさ。
   他の男がやることを彼氏もやってるだろうし、
   外に出れば付き合いで、
   女が嫌がる世界に足を踏み入れる時もある。
   もしかしたら、今だって他の女と一緒に居るかもしれないぞ。
   俺達みたいにさ」
華 「えっ!?彼はそんな人じゃない!あなたとは違うの!」
私は彼のデリカシーの無さに腹が立って、思わず立ち上がってしまった。
周りのお客さんが私達の方を一斉に見た。

翔太「おい、座れよ。それに大声なんか出して恥ずかしいだろ?」
華 「ご、ごめん」
翔太「分かった分かった。
   海崎の彼氏はお前にとってスーパーマンで完璧なんだ。
   でもさ、これだけは言っとくよ。
   男の言葉をどっぷり信用すると命取りだぞ。
   彼氏だって人間だし、欲求もあるただの男。
   欠点の1つや2つはざらにある。
   それを知らずに付き合ってるお前は、いつか彼氏に失望するぞ」
華 「失望?失望するって何に?」
翔太「お前さ、彼氏の欠点何個あげられる?」
華 「欠点…。欠点は…な、い」
翔太「ほらっ、最悪だ。付き合ってどれくらいになる?」
華 「んー、もう少しで半年かな」
翔太「あー、それじゃ分かる訳ないか。
   今一番楽しい時だから、いいとこしか見えてないし見えないよな。
   彼氏はお前に自分の格好悪いとこ見せてる?
   お前は彼に自分の欠点見せてる?」
華 「んー。格好悪いとこ…」

航平の欠点…
彰彦との取っ組み合いの時…格好悪くない。私を守ってくれた。
お兄さんとの再会の時…全然格好悪くない。
私の為に冷静になろうとしてくれてた。
蜘蛛とお化けが苦手。それって格好悪い?
私もゴキブリと蛇苦手だし…

翔太「まぁ、これからは彼氏をちゃんと見とけよ。お互いの今後の為にも」
華 「翔太君さ、何で私にそんなこと言うの?」
翔太「今でも海崎が好きだからに決まってるだろ」
え?今でも好きって、どういう意味…
翔太「今はおとぎ話の主人公でいいけど、これからもっと男を知らなきゃな。
   段々自分が苦しくなるし、本当に幸せな結婚なんてできないぞ」
華 「うん。分かった…忠告ありがとう」
翔太「お前は俺のこと、
   粗野でデリカシーのない男って思ってるだろうけど」
この人鋭いかも(汗)
翔太「俺もこれまで伊達に恋愛なんかしてないさ。
   あいつの姿見てると『結婚』って二文字が虚しく見えてくる。 
   あいつに関わると余計…ただそれだけだ」

何だか一瞬、彼女のことを話す翔太君が凄く寂しそうに見えた。
何か悩み抱えてるのかな…

華 「結婚が虚しいって何故?…(腕時計を見る)
   わぁ!もう昼休み時間とっくに終わってる!
   ごめん(汗)私、店に帰るわね」
翔太「海崎!連絡するから、またゆっくり話そうな」
華 「うん。またね!」
翔太「おいおい。慌てて道路で転けるなよ(笑)仕事頑張れよ」
華 「ありがとう。翔太君も頑張って」
翔太「おう!」
私は翔太君が気になりながらも、慌てて店に戻った。


(華の店『パティキュラリー』)
お店に戻った後も、私は亜何だか気になった。
翔太君の言葉や瞬間見えた寂しそうな顔が浮かんで。
翔太君の彼女ってどんな人なんだろう。
結婚に虚しさなんて、お家が大変な人なのかな。
しかし航平の『欠点』って何かな…

苗 「華、何かあった?昼休み終わってからずっと深刻な顔してるよ」
華 「ううん、何でもない…
   あっ、苗ちゃんは堅太郎さんの欠点って幾つあげられる?」
苗 「え?何?いきなり。そうねぇ~、ありすぎて両手じゃ足りないから、
   両足の指使ったとしても…それでも足りないわ(笑)」
華 「それって具体的にどんなこと?」
苗 「うーん。まず辺り構わずオナラするでしょ?
   エロ本観ながらトイレにこもったままでてこないし」
航平は私の前でオナラしたことない。
マンションにあった本は、経済誌とか男性ファッション誌とかで、
エロ本なんてなかったな。
苗 「部屋中の電気つけっぽなしで寝ちゃうし、
   可愛い子がいたらすぐ声かけるし」
航平はいつも電気ちゃんと消してる。
時々ベッドルームでアロマキャンドル灯してくれて、
ロマンチストだもん。
私と居る時は、可愛い子いても見向きもしない。
苗 「ご飯の後すぐ寝ちゃうし…」
ご飯の後、一緒に片付けてくれるし…
苗 「華、どうしたの?何だか変だよ」
華 「うん…やっぱ変な質問よね。ごめんね」
苗 「海辺さんと何かあった?」
華 「実はさ…」
私は昼休みの一件を話した。すると苗ちゃんは大笑いして、
苗 「なんだぁ、そんなこと気にしてたの。
   別に彼の欠点見つけられないからって気にすることないわよ。
   私だって付き合い始めの頃は、欠点も堅の魅力だって思えたくらい、
  “痘痕もえくぼ”だったよ。
   『私の彼は完璧で毎日ラブラブ!』って思ったな」
華 「そっか」
苗 「じゃあ、華が彰彦さんと付き合ってた時はどう?その前の彼は?」
華 「そうね…あの人とは、付き合い当初からよくケンカしてた。
   他の人の時も愚痴ってた気がする」
苗 「あのさ、その同級生君。
   華が海辺さんのことを自分の前でのろけるから、意地悪したんじゃない?
   学生時代、華に思いきり振られたわけじゃない。
   久しぶりに憧れの華と嬉しい再会したのに、また振られたんだから」
華 「そうなのかな…」
苗 「きっとそうよ。だから華は今まで通りでいいの。
   そんなマイナスなこと考えずに、海辺さんと仲良くしてればいいのよ」
華 「そうね。苗ちゃん、サンキュー」
苗 「You are welcome!」
今夜は航平と会う日。今日会ったら彼の欠点見つけられるかもしれない。


 

(航平のマンション)
私達はいつものように、航平が作ってくれた料理を食べて、
片付けを済ますとシャワーを浴びて、ソファーでDVDを観ながらワイン飲んだ。
航平「僕さ、この『Meet Joe Black』大好きなんだ。
   ジョーとスーザンが出会うシーンとか愛し合うシーン。
   “Lightning could strike”
   「探してればいつか稲妻が落ちる」ってシーンは特に。
   僕も華と会った時に稲妻が落ちたな(笑)」
華 「そうね。私も稲妻が落ちた(笑)」
航平「それと誰も『死と税金』からは逃れられない。
   僕は仕事でも、逃れられないものがたくさんあるけどね(笑)」
華 「そっか。そう言えば映画観てて思ったんだけど、
   主人公の“ジョー”って航平に似てる」
航平「え?本当に?それは嬉しいなぁ。
   男からみてもブラピはカッコいいし、
   “ジョー”みたいなキャラは手本にしたいな。
   でも僕はそんないい男じゃないよ」
華 「だって…、素敵だから。
   それに一緒にいても航平の欠点見つからないんだもの」
航平「僕の欠点?」
華 「うん…いつも私に優しくて、仕事しっかりこなしてて、
   身だしなみもきちんとしてる。
   お部屋はいつも綺麗だし、
   お料理だって出来て何でも手際よくこなしちゃう」
航平「それは華が大切だからだし、家事は独り暮らしだから自分がやるしかない。
   仕事なんてミス多いし、いつも上司や先輩に怒鳴られてるよ」
華 「功太お兄さんも、航平は学生時代生徒会長したり、
   凄く成績優秀だったって言ってた」
航平「兄貴とそんな話ししたんだ」
華 「私は欠点だらけ。料理や片付けは苦手で、仕事もテキパキできない」
航平「華、僕にも欠点はあるよ。
   欠点や苦手に思うことを少なくする努力はしてるつもりだけど、 
   でも完璧じゃない。それに、華が欠点と思うことを僕は欠点と思ってないよ」
華 「え?でも…航平は私の前でオナラなんかしないでしょ?
   トイレでエロ本観たりもしないし」
航平「あははははっ!何それ。もしかしてオナラして欲しいの?
   普通はオナラしないで!って怒って言われるけど、
   華って本当に面白いな(笑)
   こないだは、エスカルゴの缶詰めと格闘してたしね(笑)」
華 「航平!」
航平「ごめんごめん(笑)そこが可愛いってこと。僕もオナラはする。
   エロ本は持ってないけど、AVのDVDは先輩や兄貴に借りて観たことあるし、
   出張先のホテルで観たりもする。彼女いない時は夜のお供だった時もある(笑)
   華の前でそんな自分を見せてないだけだよ。
   それって誰でもあるんじゃないかな」
華 「うん…」
航平「華。まだ何か納得してなさそうだね。何が不安?」
華 「ん…。分からないから不安かも」
航平「え?分からないから不安じゃ、解決しようがないな。
   欠点は付き合っていくうちに見えてくるし、
   知ったら華は僕を嫌いになるかもな」
華 「そんな。欠点が見えても嫌いにならないよ」
航平「そう?じゃあ遠慮なく、思いきり出すかな!
   欠点1、華とのエッチ大好き男。
   欠点2、華の愛情欲張り男」
航平は私を押し倒しkissした。

これが、航平の欠点なら私は大歓迎!
大好きだから…航平の何もかもが嬉しい。
でも私、一体何が不安なのかな…
きっと航平との日々がとっても幸せだから、かも。
それとも…何かの予感?
(続く)


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ポエム609号室

2010-09-26 14:17:02 | Weblog
ちょっと頑張りすぎたかな…と感じたある日の夜
ラジオから聴こえるピアノのメロディーが部屋中に流れる
少し肌寒いベランダに出て 風に揺れるいちょうの木を眺めながら
温かいミントティーを飲み
頑張った時だけ実感する 小さな幸せをかみしめる
体にも心にも 1日頑張ったねって言える瞬間
この青白い月が西の景色に沈んで 東の空からオレンジの光が差し込むと
また闘いの1日が始まるから
今だけは何も考えないで この幸せの時間に浸りながら
闘った自分に優しいご褒美


今日の自分はよく頑張ったなって時が、皆さんにもあると思います。
そんな日は自分にご褒美あげたくなりますよね。
温泉でゆったりと体を休めるとか、
美味しいものをたくさん食べて元気を蓄えるとか、
最近、自分にご褒美してないなっていうあなたは、
日頃たくさん頑張って自分に、いろんな形で癒やしを与えてあげて、
次の活動のためのパワーを補ってあげて下さいね。


さて、今日はそんな癒やしを提供しているお店、
女性専用・タイ古式マッサージ&ヨガのプライベートサロン『セレスタイト』さんのご紹介です。
『セレスタイト』さんでは、ココロと体に心地よい満足をにこだわりながら、
お客様が『輝ける自分』に近付けるように、
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女性のための隠れ家サロン『セレスタイト』で、
あなたの疲れた心身にご褒美を与えてみては如何でしょうか。



☆北九州市八幡西区~女性専用・タイ古式マッサージサロン セレスタイト☆
TEL…093-601-7075(完全予約制、11時~20時/電話予約受付19時まで)
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ブログ…http://celestite420.blog32.fc2.com/
パワーストーンサイト【セレスタイト アネックス】
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FMラジオ星占い

2010-09-24 22:33:00 | Weblog
皆さん、こんばんは。愛里跨です(*^_^*)
やっと秋らしいお天気なってきましたね。
ただ昼夜や、日によっては寒暖さが酷く、東京では18℃の日があったほど(汗)
皆さん、風邪を引かないように、お体に気をつけて下さいね。


さて、皆さんにお知らせです。
毎週土曜日15時から放送の一時間番組、
FM HIBIKI 『あなろぐカフェ♪♪』(88.2Mhz)にて、
「愛里跨の星占い」がスタートすることになりました。

『あなろぐカフェ』第4土曜日のメインパーソナリティは、
マスターのウェルカム黒崎さん&ウエイトレスのうっちーさんと言う、
大人の甘い香りを放つ素敵なお二人。
第4土曜日は、レコードを中心としたアナログな音楽と、
北九州で活躍中のミュージシャンのスタジオライブやゲスト出演、
エコや動物愛護・高齢者問題やボランティアなど、
北九州の良さを追求した皆さんに優しい番組です。
日常のデジタル世界から、アナログな世界に皆さんにお連れして、
ストレスで疲れた心を癒してくれます。

“愛里跨の星占い”は、明日9月25日(土)からスタートいたしますが、
10月23日(土)から毎月第4土曜日は、
私くし愛里跨が、1ヶ月の星占いをお届けすることになりました。

素敵なお二人と一緒に、聴いて下さっているリスナーの方々に、
楽しい番組がお届けできるように頑張りますので、
皆さん、土曜日のティータイムを楽しみながら、
是非『あなろぐカフェ』聴いて下さいね♪(*^ ・^)ノ⌒☆


Air Station HIBIKI HP
http://www.hibiki882.jp
MAIL.info@hibiki882.jp/
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愛里跨の恋愛スイッチ小説(華ちゃん編 15)

2010-09-14 15:15:39 | Weblog
15、Happy Birthday


今日は8月22日、航平の誕生日。
私の誕生日は8月8日。二人とも獅子座さん。
占い好きな苗ちゃんによると、私達は相性がいいらしい。
今まで占いはあまり気に止めてなかったんだけど、
最近はちょっと気になってて、
苗ちゃんが行くときに一緒に見てもらおうかな、なんて思ったりする。
航平との仲がどうなるかとか、2人の将来って言うより、
航平のお父さんの病気の事が、今後の航平にどう影響するのかなとか、
久しぶりに学生時代の友人や後輩と会って、
佐世保暮らしの方が良くなって、
もしかしたら長崎に帰りたいと思うんじゃないかとか…


(華の店『パティキュラリー』)
優里亜「華ちゃん。はい、注文してたペアネックレス。
    確認してみて?」
華  「優里先輩、ありがとうございます」
私は袋から商品を出した。
二頭のドルフィンが向かい合い、
キスしてる上にハート3つ浮かんでる金のネックレス。
ドルフィンがハート型になってるから、四つ葉のグローバーの形にみえる。
華  「うわぁ~」
苗  「可愛いー!」
川ちゃん「素敵ですね!シルバーアクセはたくさん見るけど、
    ゴールドって珍しいですね」
優里亜「でしょ?イタリアのデザイナーに特注でお願いしたから、
    世界でひとつしかないチャームよ」
華  「ありがとうございます!ドルフィンはお願いしてたけど、
    こんな素敵なアクセが出来上がってくるなんて感動ー!
    凄く嬉しいです!」
優里亜「海辺さんのネックレスは、チェーンを太く長いのにして、
    チャームを小さめにしてもらってるから、
    普通に付けても違和感ないと思うわよ」
苗  「うん。これって海辺さんと華のイメージに合ってるわ。
    今夜は熱い夜になりそうねぇ。ねっ!華」
華  「もう、苗ちゃんったら。
    でも、優里先輩。特注でゴールドだったら、
    予算内で納まらなかったんじゃないですか?」
優里亜「あのね、そこはコネの力。
    私達のウエディングリングもそのデザイナーにお願いしたの。
    予算内だから安心して」
華  「そうだったんですね。本当にありがとうございます!」
苗  「私のエンゲージリングも優里先輩にお願いしようかな」
川ちゃん「苗先輩も彼氏と婚約するんですか?」
華  「え?苗ちゃん、そうなの?」
苗  「実はね…来春くらいに結婚しようかなんて話が出てて、
    年内に結納するかって堅のお父さんが言っててさ」
華  「苗ちゃん!良かったね!おめでとう!」
優里亜「まぁ!良かったわね。おめでとう」
川ちゃん「苗先輩おめでとうございます!
苗  「ありがとう。やっと私も長すぎた春にピリオドよ」
川ちゃん「皆さん、彼氏さんとラブラブでいいなー」
優里亜「川ちゃんは若いんだから、まだまだこれからでしょ?」
川ちゃん「はーい(落ち込み)」

初めて購入したペアのアクセサリー。
元カレや彰彦と付き合ってた時には、そんな発想は思いつかなかった。
もうひとつのプレゼントは、ドルフィンのついた牛革の名刺入れ。
航平に喜んで貰えるかな…
私の誕生日の時は、航平がスカイタワーの最上階にあるフレンチレストラン
『SALUT(サリュ)』に連れて行ってくれた。
美味しいお料理と宝石を散りばめたようなキラキラ揺らめく夜景、
赤とピンクの薔薇の花束にピアスをプレゼントしてくれた。

(回想シーン)
航平「華、お誕生日おめでとう」
華 「ありがとう。うわぁ、綺麗な薔薇。これ開けていい?」
航平「うん、いいよ。華はアクセサリーのプロだからな。
   素人の僕のイメージで選んだもので、
   気に入ってくれるか分からないけどね」
華 「航平が選んでくれたら私は嬉しいの」
私は赤いリボンをほどき、小さな手提げ袋から箱を取り出して開けた。
フタを開けると、ピンクダイヤのハートピアスが輝いてた。
華 「可愛い…綺麗…航平ありがとう!つけていい?」
航平「ああ、いいよ」
私は今付けてるピアスを外し、航平から貰ったピアスを付けた。
航平「やっぱり、華に合うのはこれだと思ったんだ。すごく似合うよ」
華 「本当に?嬉しい」
航平「それからこれは、こないだ華が佐世保で僕達にしてくれた、
   心遣いの感謝も込めて、兄貴達から預かった」
華 「え?」
航平はもうひとつ紙袋を出して私にくれた。
開けてみると、ワインカラーのベルトで、
文字盤にルビーのついた腕時計だった。
華 「素敵な時計…」
航平「実はそれペアでね。
   僕も兄貴達から誕生日に貰ったんだ。ほらっ!ここ」
航平の左腕には、ネイビーのベルトにサファイアのついた、
同じデザインの時計があった。
華 「航平、私…凄く嬉しい…凄く幸せ…(涙ぐむ)」
航平「おいおい、華(汗)バースデーのお祝いはこれからだよ。
   さぁ、乾杯しよう」
華 「うん」
私達はワイングラスを持ち、
私の誕生日と二人のこれからに乾杯をした。

本当に嬉しくて、涙がでるほど感動した誕生日だったな…
苗 「華?」
うふふっ、航平♪
苗 「華!」
華 「は、はい!」
苗 「もう。何、思い出し笑いしてんの?
   まぁどうせ、海辺さんとのラブラブシーンを
   思い出してたんでしょうけどね」
華 「違う…わよ。今日これからのこと考えてただけ」
苗 「どっちも海辺さんのことだから一緒じゃない(笑)
   はい、ラッピングはこれで宜しいですか?お客様」
華 「うん!いい。苗ちゃん、ありがとう」

今日は、航平のマンションで私がフランス料理を作る予定!
と、張り切って食材と本を買ったんだけど…
はっきりいって料理苦手でフレンチなんて初挑戦(汗)
まともに食べれるものが作れるのやら。



(航平のマンション)
航平「ワインはよし!っと。ん?華?大丈夫?」
華 「う、うん。だ、大丈夫」
エ、エスカルゴって…日本じゃ、
は、葉っぱの上はってる、か、かたつむり、なんだな。
(菜箸でツンツン)
私…山下清になってる(笑)
何でフランス人ってかたつむり食べるのよ(汗)
私はまな板の上のエスカルゴとにらめっこしてた。

航平「華、缶詰めのエスカルゴは噛みついたりしないよ(笑)」
華 「うん、そうね。動かないしね」
航平「ははははっ!いいよ、手伝うよ。これ作るの?」
華 「うん」
航平「分かった」
航平はチラッと本を見ただけで、フライパンを熱したり、
お鍋にお湯を沸かしたりし始めた。
野菜を切る手つきも、まるで本物のシェフみたいに手際よくて、
私は傍観してしまった。

航平「華、そこの海老の殻とってくれる?」
華 「うん」
さっきのエスカルゴが、もうフライパンの中でパスタと混ざってる!
この一時間の間に、航平は3つの料理を作った上に片付けまで終わってた。
私がしたことと言えば…
殻剥きとハムと海老を盛り付けだけだわ(*´Д`)=з

航平「華、料理テーブルに持っていこう」
華 「うん。航平、ごめんね。
   航平の誕生日なのに殆ど作らせちゃって…」
航平「謝らなくていいよ。僕が手伝うって言ったんだし、
   勝手知ったる我が家だから」
作った料理は、エスカルゴとキノコのクリームスパゲティに、
生ハムと海老のサラダ、
そして…何なのかな、このお料理。
華 「航平、これは何ていう料理?」
航平「これはね、真鯛のポワレだよ」
華 「ポワレ…」
航平「『ポワレ』はフランス語でソテーって意味。
   フライパンで短時間強火で焼いたものだよ」
華 「そっかぁ。航平は何でも知ってるな。
   いつも作ってくれる料理も、
   お店の料理みたいにキレイに盛り付けしてあって、
   味も凄く美味しいもの」
航平「ああ(笑)それはね、僕が大学時代に
   関西のホテルのレストラン厨房で、
   四年間アルバイトしてたからだよ。
   そっか、この話しはまだしてなかったな」
華 「関西って、航平は大阪にいたの?」
航平「ううん。佐世保出てから兵庫県の大学に行って、
   学校求人で今の会社に入ったんだ。
   その時にアルバイトしてて、
   2年くらい功太兄貴と一緒に暮らしてたこともあったからね」
華 「そうだったのね。だから料理も上手なんだね」
航平「華、その話しは後。お腹すいたから食べよう。
   ワインもってくるね」
華 「うん」

航平は私にkissをして、冷蔵庫からワインを出してきた。
そして、ワインを抜きグラスに注いでくれた。
華 「航平、お誕生日おめでとう」
航平「ありがとう」
乾杯してワインを飲んだ後、私は航平にプレゼントを渡した。
航平「2つもあるの?開けるよ」
華 「うん。気に入ってくれると嬉しいけどな」
航平は包装紙を取り開けた。
航平「凄い!ペアのゴールドドルフィンだ」
華 「うちのお店のセレクト品で、2つとも世界に一つしかないの」
航平「気に入ったよ!今使ってる名刺入れさ、
   もうボロボロだから新しいの買おうと思ってたんだ。
   華、ありがとう!」
華 「気に入ってくれて良かった」
航平は嬉しそうにネックレスをつけた。
華 「うん!似合う!かっこいいよ!」
航平「そっかな、ありがとう!」
華 「やっぱり航平が付けると一段とネックレスも引き立つわね」
航平「華、髪上げて」
航平は席を立って私の後ろに来ると、私にネックレスを付けてくれた。
そしてぎゅっと抱きしめ熱いkissをした。

私達は航平の料理を食べながら話した。
航平のお父さんの様態や、今度いつ佐世保に帰るつもりだとか
これからの航平の予定を聞いた。
華 「お父さん、少し動けるようになって良かったわ」
航平「うん。抗がん剤が効いてるみたいでね。
   もともと病気知らずな親父だったから、
   食べれるようになった途端に動いてるみたい」
華 「航平。あの…やっぱり、
   いずれは東京を出て長崎に帰るの?」
航平「ん?それは実家にってこと?」
華 「う、うん」
航平「そうだなぁ、実家には洋一兄貴夫婦が親と同居でいるからね。
   僕の帰る場所はないもんな。
   今の会社に勤めてる間は転勤があるから、
   いつかは東京を離れることもあるだろうけど。
   その時は転勤先に住むようになるだろうね」
華 「そっか。転勤って、いつ頃とか分からないわよね」
航平「そうだな、僕はまだ大阪支社から東京本社に転勤して1年半だから、
   当分ないと思うよ」
華 「そうなんだね…」
航平「ん?華。どうした?何か変だよ」
華 「ううん。何でもないの」
航平「本当に?」
華 「うん。いつも航平とこうやって
   楽しくて幸せな時間過ごしてるから、
   離れ離れになるようなことがあると辛いなって思っただけ」
航平「華。僕達は何があっても、
   離れ離れになんかならないから安心していいよ。
   もし僕が何年か先に転勤になったとしても、
   その時は華を一緒に連れて行くから」
華 「え?連れて行くって…」
航平「はははっ(笑)この先は、to be continued!」
華 「えー!今聞きたい。航平、教えてよ」
航平「教えない!また今度ね(笑)
もうお腹いっぱいになった?」
華 「うん、美味しかった。航平、ありがとう」
航平「こちらこそ、ありがとう」

私達は食事の片付けをしたあと、シャワーを浴びた。
お風呂上がり、私は窓の外を眺めてた。空には三日月が浮かんでる。
穏やかで幸せな時間。
ずっとこのまま続けばいいな…

そのうちシャワーを浴びた航平が出てきた。
航平「華」
航平は私を見つめながら髪を撫でて、引き寄せ抱きしめた。
今日の航平はいつもより大人の男性に感じて、
見つめられると胸がキュンとする。
航平「華、ベッドに行こう」
華 「うん」
航平はいつもより激しく愛してくれた。
きっと「もし離れ離れなったら…」ってあの言葉が、
航平の感情に火をつけたのかな。
私達はいつもよりたくさん愛し合った。
私は航平の腕の中で落ちた。



(翌日。航平のマンション)
目が覚めると、航平が私を見つめてた。
航平「華、おはよう」
華 「航平。おはよ。もう起きてたの?」
航平「うん。華の寝顔を見てた」
華 「あまり見つめられると恥ずかしいでしょ」
航平「んー!今日もいい女だ(kiss)」
華 「航平も今日もかっこいいよ(Kiss)」
航平「サンキュー。さあ、起きて支度しよう」
華 「うん」
私は着替え、洗面室に行った。
化粧を終えて部屋に行くと、
航平はびしッと決まったカッコいいスーツ姿に着替え終わってて、
世界を相手に闘う凛々しい戦士状態になってた。
航平「華、支度できた?コーヒー入ったよ」
華 「うん。ありがとう」
航平「今日は支社長会議入ってるから、また大変だ」
華 「そっか、私も今日納品数多いから忙しいな」
航平「そうなんだね。今日もお互い頑張ろうね」
華 「うん」
航平といるといつも前向きになれる。
仕事でも女性としても、彼に認めて貰えるような人になりたい。
航平「よし!行こうか。いざ出陣!」
華 「うん!」
私と航平は人の波にのりながら、足早に駅に向かった。
(続く)


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愛里跨の恋愛スイッチ小説(華ちゃん編 14)

2010-09-10 17:15:38 | Weblog
14、愛情の証


私は三人の姿を見てて思ったの。
今しか仲直りのチャンスはないんじゃないかと。
航平のお父さんのためにも、早く兄弟が仲良くしなくちゃいけないって。
家族じゃない他人の私が、そんな風に思うのはお節介なのかな…


(病院玄関先)
三人は無言で、病院玄関横にいた。
航平は、止めた車のボディにもたれたまま下を向いてる。
華 「あの…。航平も、お兄さん達も、
   ゆっくり三人で話した方がいいと思うんです。
   今までこと何も知らない部外者の私が、
   生意気なこと言ってすみません」
功太「華さん…。堪忍な。
   見苦しいとこ見せて、気を遣わせてしもうたな。
  (涙を拭いながら)もう大丈夫やからな」
華 「功太お兄さん。見苦しいなんて全く思ってないですから。
   私は兄弟が仲良くなってもらえるなら、
   それでだけで嬉しいんです」
功太「華さん…あんたは、ほんまにええ人やなぁ」
華 「航平。いい機会だと思うから、今まで思ってたこと、
   お兄さん達と心ゆくまで話した方がいいよ」
航平「華…」
華 「航平の気持ち、分かるからね」
航平「ありがとう…。
   さっきは取り乱してごめん。びっくりしたろ?
   もう大丈夫だから、華も一緒に話そう」
華 「ううん。今は私が居ない方が、
   三人とも気を使わずに話せると思うの。
   私は前のレストランに居るから。色気より食い気かな(笑)」
洋一「華さん、ひとりで大丈夫?」
華 「はい。大丈夫です(笑)
   それに、少し佐世保の街も散歩しながら観てみたいから。
   もしもの時は航平に電話します」
航平「華、何かあったら必ず電話してよ。
   遠慮なんかしないで、絶対だよ」
華 「ラジャー(笑)じゃあ、ごゆっくり」
私は笑顔でそう言って病院玄関に向かった。

玄関を出る時、後ろを振り返ると、航平は私をじっと見ながら、
お兄さん達と病院の待合室の長椅子に座って話してた。
兄弟が久しぶりに会えたのだから、
そして長い間、傷つき苦しみながらも許し合えたのだから。
キッカケは悲しい出来事から始まったけど、
航平やお兄さん達の事を考えると良かったんだと、素直に思えた。
私の家族にはまだ体験のない悲しみは、
いつか時が経てば確実にやってくる悲しみなのだ。
航平や航平の家族からたくさん学んだ家族の絆。


私は隣接している公園のベンチに座り、景色を眺めてた。
「何だか急に苗ちゃんの声が聞きたくなったなぁ」
私は携帯を手にした。
(電話のコール音)
苗 「もしもし、華」
華 「苗ちゃん、お疲れ様。今いい?」
苗 「うん。今日は休みだからいいよ。
   華どうした?海辺さんと今、長崎のはずじゃないの?」
華 「うん。今、佐世保でね。航平のお父さんに会った」
苗 「そっか。何か声聞いてると、
   大変そうな感じ、ひしひしと伝わるよ。大丈夫?」
華 「うん。私は大丈夫なんだけど、航平が心配で。
   詳しくは話せないけど、今は兄弟で話してる」
苗 「そう。うちも経験あるから大変なの、分かるわぁ。
   私の父さんもガンだったから」
華 「そうだったわね…」
苗 「もううちは4年になるから落ち着いたけど、
   華、海辺さんにどう接したらいいか、分からないんじゃないの?」
華 「苗ちゃん…何で分かるの?そうなんだ。本当は内心…不安で。
   航平やお兄さん達にどう声をかけていいか、分からないんだよね」
苗 「私も堅太郎のお母さんの時に同じ経験してるから分かるよ。
   私の父親の時は、堅太郎が傍にずっといてくれたから、
   どっぷり甘えて毎日泣きじゃくった。
   少しして堅太郎に『あの時俺はどうしたらいいか分からなくて困った』って、
   真顔で言われたわ。でもそのあとに堅ね、
   『大切な人が大変な時こそ、何かを言わなくても、
   傍に居ることが俺にできることで愛情の証だから』って言ったの」
華 「堅太郎さん、そんな素敵なこと言ってくれたんだ」
苗 「そう(笑)今の堅からは想像つかないでしょ?
   私もびっくりの発言だった。
   だけど、誕生日や記念日のプレゼントより、
   今までのどんな歯の浮くような言葉よりも、
   私は凄く愛されてるんだって感じたわ。
   それからは私の方が堅にベタボレ。
   だから華も、海辺さんのこと大好きで大切にしたいなら、
   何も言わなくても、ただ彼の傍に居てあげるだけで、
   それだけでいいんじゃないの?」
華 「うん…」
苗 「華を見てて、私にも分かりすぎるくらい、
   二人が付き合い始めて短期間で色々あったし、
   今はもしかしたら最悪の状況で、
   楽しい恋愛してるって感じないかもしれないけど、
   そんな大変な時にこそ、見える真実や気持ちがあると思うわよ」
華 「苗ちゃん…ありがとう。何だか、凄く落ち着いた」
苗 「そう、良かった。
   華、早く海辺さんの傍に戻ってあげなよ。
   きっと彼は今凄く不安で、華のこと心配してると思うよ」
華 「うん。苗ちゃん、ありがとう。
   みんなのお土産買って帰るからね」
苗 「ありがとう。ついでにノロケ話も待ってるわ。じゃあね」
華 「うん。またね」(携帯を切る)
苗ちゃんはすごい…大人だわ。
私の体験してないことや大変な思いもしてて、
何より愛情の証をたくさん持ってる。

私はまた、来た道を歩いて病院へ向かった。
(航平の携帯着信音)
あっ!航平。
華 「もしもし」
航平「華!今どこに居るの!?メール入れたのに返事ないし、
   レストランに行っても居ないから心配したよ」
華 「ごめんなさい。
   レストランに入る前に、苗ちゃんと電話で話してたから」
航平「そっか(溜め息)良かった。
   声聞いて安心したよ。病院に戻っておいで。
   兄貴達も華と一緒に食事したいって言ってるから」
華 「うん。航平、本当にごめんね。もうすぐ病院に着くから」
航平「分かった。待ってるから。じゃあ」
華 「うん」(携帯を切る)

病院に着くと、三人は玄関で待ってた。
功太「華さん!どこ行ってたん!?心配したで。
   余計な気い遣わせて堪忍な」
華 「こちらこそ、ごめんなさい(汗)心配かけてしまって。
   川沿いがとっても綺麗だったから、
   見ながら歩いてたら公園の方まで行ってしまって」
洋一「華さん、心遣いありがとうね。
   二人と素直に話せたのは、あなたが後押ししてくれたお陰だよ」
華 「洋一お兄さん…本当に良かったです」
航平「華、ありがとな」
華 「航平」
功太「腹減ったな。さぁ、みんなで食いに行こう。
   華さん、本場の皿うどん食べに行くで」
華 「はい!」

それから私達は洋一お兄さんの案内で、中華料理のお店に行った。
航平が学生時代、よく部活の帰りに立ち寄ったお店で、
家族ともよく食事をしたらしい。
お兄さんオススメの皿うどんと餃子は、本当に美味しかった。
でも何より、三人が話しながら見せる笑顔と、
航平の穏やかな姿に私の心は胸いっぱいで大満足だった。


その夜は、航平と佐世保の街をドライブしたの。
その途中で、偶然にもお祭りと花火に遭遇。
そこで、航平の同級生や部活の後輩達にも会った。
航平は、少年の頃にタイムスリップしたみたいに、
無邪気な笑顔で昔の仲間達と思い出話に盛り上がってた。
また私の知らない航平が目の前にいて驚かされる。
お兄さん達と会った時もそうだったんだけど、
でも何だか…航平と一緒に居るだけで、
私も此処の住人になったような、不思議な感覚も味わえたの。

私達は出店でたこ焼きと焼きトウモロコシを買って車に戻り、
ネイビーブルーの海と佐世保の灯りが見える場所で、食べながら話したの。
喜怒哀楽、いろんな航平をたくさん知った1日だったけど、
航平と過ごすだけで今までに実感したことのない安心感と、
幸せな気持ちで居られたのだ。


翌朝、航平と功太お兄さんは、お父さんの病院にお見舞いに行き、
そしてお昼過ぎには、航平一人ホテルに戻ってきた。
功太お兄さんは、地元の親友に会いに行ったらしい。
航平の顔は昨日よりもすっきりしてるように見えた。

(ホテルの一室)
航平「華、本当に行きたいところはない?」
華 「うん、無いよ。昨日はドライブも連れてって貰えたし、
   お祭りや綺麗な花火も観れたもの」
航平「華」
華 「私は、航平の傍に居られたらそれだけでいいの」
航平「うん、もちろん僕も。その言葉凄く嬉しいし、
   僕も華と同じ気持ちだけど、華も度々休み取れないだろうし、
   今度はいつ一緒に佐世保に来れるか分からないだろ?
   ハウステンボスや西海パールラインって景色のいい橋もあるよ。
   ちょっと足延ばして長崎まで走れば、
   浦上天主堂とかグラバー園もあるしね。
   まぁ、こっちでは修学旅行みたいなコースだけど、
   観るとこたくさんあるから」
華 「航平、ありがとう(笑)本当に大丈夫よ。
   今日が最後でもう長崎に来れないって訳じゃないし。
   私、また時間作るから一緒に佐世保に来よう。
   その時は色々案内して。
   それに今夜は東京帰る日だし、
   大阪まではお兄さんが運転してくれても、
   大阪から東京まで11時間、
   またかなりの走行距離を走るんだから、
   航平も少し体休めなきゃ。
   明後日の仕事にも差し支えちゃうよ」
航平は、ギュッと私を抱き締めた。
航平「分かった。今回は急だったから車にしたけど、
   今度来るときは飛行機にしようね」
華 「そうね(笑)その方が航平もゆっくりできる」
航平「本当に、華は出来た彼女だな。自分よりいつも僕なんだから」
航平の温もりが背中から伝わって、安心感をくれる。
華 「航平だっていつも私のこと考えてくれてるでしょ?」
航平「そうだけど。僕の方が年下でも一応男だからね。
   少しは甘えて欲しいな」
華 「分かった。今度はちゃんと甘える(笑)」
航平「華。僕は今、甘えてほしいんだけどなぁ」
航平は優しくkissをした。
今日も穏やかな海はため息が出るほど青く、
窓の向こうは躍動感に溢れてキラキラ輝る景色が広がってる。


その夜、私達は佐世保を後にした。
功太お兄さんの運転で高速をひたすら走り、翌朝大阪に着いた。
私達はお兄さんのマンションにお邪魔して、
ひと休憩した後、また東京に向けて走り出した。
しかし、疲れ知らずの航平のパワフルさは凄い!
航平は、運転しながらたくさん話してくれた。
お兄さん達との思い出話しや、病院で語ったお父さんの本心、
洋一お兄さんや功太お兄さんが長年感じて思っていたことを、
やっと聞けたってことも…
同じ景色が流れ続ける中、航平が嬉しそうに話すのをずっと聞いてたの。
話してくれればくれるほど、心を開いてくれていると感じて、
聞いていた私は、自分のことのように嬉しかったな。
長い長い車の旅は、不安を抱えてた私達に、
たくさんの愛情を感じさせてくれた気がする。
そして、私達は夜遅く自宅にたどり着いて、
自分の居場所に戻り旅を終えた。


翌日、航平も私もいつものように出勤した。
不思議だけど、移動の疲れは全く感じなかったんだ。
私は自分の事よりも、航平の方が心配だった。
お父さんの突然の病気に長距離運転、
この何日間は彼にとって目が回るような出来事だったはずで、
旅行の間も私に気を使ってたと思うし、心身疲れきってるはず。
なのに航平は、昼の電話も「大丈夫だよ!元気元気!」
って笑っていつもと変わらず話してたし、
いつも通り、仕事が終わると代わる代わる今日の出来事を、
電話で話して「おやすみ」を交わした。
二人の間に今までと違うものがあるとしたら…
きっとそれは、口には出して言わなくても分かる、
お互いの存在と、揺るぎない安心感…
これって、大きな愛情の証かもね。
(続く)


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愛里跨の恋愛スイッチ小説(華ちゃん編 13)

2010-09-03 00:04:31 | Weblog
13、家族の絆



夜が明けて、いよいよ今日は病院へ行く日。
航平の両親にどんな顔で会えばいいか、お兄さんはどんな態度をしてくるのか、
あれこれ頭に浮かんで、私はなかなか眠れなかった。

(ホテルの一室)
航平「華、おはよう。眠れた?」
華 「航平。おはよう。うん、眠れたよ」
航平「ん?目が赤いよ。本当は眠れなかったんだろ?」
華 「えっ(焦り)ははっ、ちょっとだけね(笑)」
航平「華。やっぱり不安だよね?」
華 「ううん。私は航平が心配なだけ」
航平「僕は大丈夫だよ。
   佐世保に帰ると決めた時から、何が起きても覚悟はできてる。
   何より、僕の側に華が居てくれるから何も怖いものはないよ」
華 「うん。私もそうよ」
航平は後ろから私をギュッと抱きしめてkissをした。
窓の外に見える景色は、今から起きることを想像させないくらい、
澄んだ青空とどっしりと佇む街、
ゆっくり進む船を見守る穏やかな海が広がってた。
航平「さぁ、行こうか」
華 「うん」


エレベーターを降りて、ホテルロビーに行くとお兄さんが待っていた。
功太「航平、華さん、おはよう。華さん、よく眠れたかな?」
華 「おはようございます。はい、眠れました」
兄弟して同じこと聞くのね(笑)
航平「兄貴、おはよう。車玄関に回してくるから待ってて」
功太「おう!頼むで」
航平は、ホテルの駐車場へ向かい、私と功太お兄さんはホテルの玄関で待ってた。
功太「多分、病院に行けばお袋と洋一兄貴が居るやろうけど、
   華さんは何も心配いらへんから、俺と航平に任しとき」
華さん「はい。私、何と言えばいいのかなって…」
功太「普通に挨拶しといたらええ。長居はせえへんから大丈夫や」
華 「はい」
私達は車に乗り込み、いよいよ病院へ向かった。


大きな橋を渡ると広い公園があり、その並びに病院はあった。
車を止めて、病院に向かい玄関を入ると待合室があり、
エレベーター横の長椅子に、ほっそりとした髪を束ねた女性が座ってた。
その人は、航平のお母さんだった。

(S病院ロビー、待合室)
航平の母「航平、功太。よお帰ってきたね。
    こん度は忙しい時にすまなかったね。心配かけてしもうて」
功太 「親父の具合はどうね」
航平の母「今は薬も効いて様態も落ち着いてね。ご飯も食べれるようになったとよ」
功太 「それなら良かった。俺、先に親父の病室に行ってるで」
航平 「ああ」
航平の母「功太、病室に明子さんが居るからね」
功太お兄さんはエレベーターに乗った。
航平 「落ち着いたなら安心したよ。
    母さんは大丈夫ね。寝とらんのやないと?」
航平の母「大丈夫。洋一と明子さんが手伝ってくれてる。航平、そのお嬢さんは?」
航平 「ああ。母さん、僕の付き合ってる女性で海崎華さん。
    東京で彼女や彼女のご家族に、色々助けて貰ったりお世話になっててね。
    華、僕の母さん」
華  「初めまして、海崎華です。
    お父様が大変な時に突然伺って申し訳ありません。
    これはほんの気持ちですが召し上がって下さい」
航平の母「初めまして、航平の母です。
    まあまあ、ありがとうございます。遠いところよく来てくれたね。
    しかしまた、こんな綺麗か人が航平と縁があるんやね。
    いつも航平がお世話になってありがとうね」
華  「いえ、私の方こそ航平さんにはお世話になってます」
航平 「母さん、洋一兄貴は?」
航平の母「ああ。あん子は今、仕事で総鑑部に行っとるから後でここに来るよ」
航平 「そう。僕らもそろそろ上がろう」
華  「はい」
私達は、3階の南病棟に入院している航平のお父さんの病室に向かった。

ドアを開けると二人部屋で、航平のお父さんは窓際のベッドに居て、
功太お兄さんと話していた。
航平 「父さん。どうね」
航平の父「おお、航平。元気にしとったか?」
航平 「ああ。父さん、随分痩せたね」
航平の父「ご飯が食べれんかったからな。
    功太も航平も、すまんかったな。仕事ば休んできたとやろ」
航平 「そんなこと気にせんでよか。
    父さん、今日は僕の恋人連れてきたよ。彼女は海崎華さん」
華  「初めまして、海崎華です」
航平の父「華さん。よか名前やな。お前たち結婚するとね?」
航平・華「けっこ…」
功太 「そうや。航平と華さんは来年には結婚予定や。
    そやから親父は早よ元気になって、孫の面倒見らなあかんのや」
航平の父「そうか。それは早よ退院せんといかんな。
    功太はまだせんとか?」
功太「俺も彼女はおるし、もうすぐ結婚もする。
    来月親父のところに連れてくるから、心配せんでええ」
航平の父「そうか」
明子 「航平さん、一段と男前になって。
   うちらの結婚式以来やから見違えたわ」
航平 「姉さん、久しぶり。姉さんもいつまでも若いし分かってなかね」
明子 「まぁ、上手やね」

病室で航平のお父さんにお母さん。
上のお兄さんの奥さん明子さんに、功太お兄さん。
そして航平が、久しぶりの再会に思い思いの会話を弾ませていた。
それを見てる私には、航平や功太お兄さんが話してた、
長い間の家族の確執なんて全く感じなかった。
良かった…航平が笑ってお父さんと話してる。
会えて本当に良かった…
何だか自分の事のように嬉しくて、ウルウルしてくる。

功太 「じゃあ、親父の元気な顔も見たし、少し休まんとまた疲れ出るで。
   俺たちはまた来るから、お袋も無理せんようにな」
功太お兄さんはお母さんとお父さんの肩を叩き、お父さんの手を握った。
明子 「もう帰ると?うちのがもうすぐ来るから、もう少しおったら?」
功太 「明子姉さん、またゆっくり来るから。
    親父のこと頼むで。兄貴に宜しく」
航平 「じゃあ、父さん。あんまり無理せんように、早く治して元気にならないとね」
航平の父「おお。近いうちに退院やろうから、たまにはうちに帰ってこい。
   華さんも一緒に連れて、今度はゆっくりうちに帰ってこいよ」
航平 「父さん…」
航平の父「華さん、航平を宜しく。
    長崎は魚のうまかところがたくさんあるから、今度は食べにいこうな。
    航平とうちへゆっくりおいで」
華  「はい、是非伺います。お父様も早く元気になって下さいね」
航平の父「んっ。華さん、ありがとう。航平、ありがとな」
航平のお父さんは、優しく微笑んで私と航平の手を握った。
その手は温かくて、優しい顔は航平とそっくり。
航平は今にも溢れそうな涙を必死でこらえてた。
航平のお父さんの何気ない言葉や表情一つ一つが、
航平と航平の家族の悲しみを痛感させ、私まで胸が詰まり涙がでそう。

私達は挨拶をして病室を出て、一階に降りた。
航平はエレベーターの壁にもたれて、下を向いて声を殺して泣いてた。
功太お兄さんはそれを知ってか、私に話しかけてきた。
功太「あの頑固親父が見る影もない。病気は人を変えるな。
   俺らも自分の体、大事にせなあかんな。なぁ、華さん」
華 「はい」
待合室に降りて玄関に向かう廊下で、功太お兄さんと航平は急に立ち止まった。
私はなぜ二人が立ち止まったのか、すぐには分からなかった。
玄関の方を見ると、白いシャツにネクタイ姿の体格のいい男性がこちらに近づいてくる。
ん?誰だろう…
近づいてきたのは、肩と左胸に徽章の付いた制服を着た航平の上のお兄さんだった。

洋一「二人揃って何しに来た。親父と俺を笑いにきたか」
功太「相変わらずやな。久しぶり会って他に言葉ないんかい」
洋一「航平。お前、よく親父に会いにこれたな。土下座でもして謝ったか」
航平「……」
功太「洋一兄貴!場所わきまえろや。
   お前んとこじゃ、そんな礼儀も教えてくれんのかいな」
洋一「おい!何が言いたい。そんな口を俺にきけるほど貴様偉くなったんか!」
功太「なんやて!?警察なめとったら」
航平「功太兄貴!僕は大丈夫だから!」
功太「しかしあの言い方はないで。くそ腹の立つ…」
航平「洋一兄貴、久しぶりだね。今日は親父の顔見にきたよ。
   それと彼女を連れてきた。兄貴、海崎華さん。僕の大切な人だ。
   父さんと母さんにも今会わせて、彼女を認めてくれたんだけど、
   洋一兄貴は何か不服でもある?」
洋一「航平の彼女?」
ひぇ~!航平いきなり振らないでよ~(汗)
華 「は、初めまして、海崎華と申します。宜しくお願いします!(汗)」

異様な空気の中、私は必死で平静を装ってた。
それは航平の傍に居て、必死で辛い気持ちを抑えてるのが伝わってたから。
洋一「初めまして。自分は航平の兄で洋一です。
   東京で航平がお世話になってるようですね」
華 「いえ、私の方がいつも航平さんにお世話になってます。
   お父様が大変な時に、今日は突然お邪魔してすみません」
洋一「いえ。こちらこそ知らなかったとはいえ、ご無礼して許して下さい。
   遠いところよく来てくれました」
功太「こんなとこで立ち話も何やから、茶店でも行こか。
   兄貴もそのくらいはええやろ」
洋一「ああ」
私達は、病院近くにある喫茶店に行くことにした。
洋一お兄さんって、登場した時は迫力あってドキっとしたけど、
こうやって話すと思ったより怖くないかも。
三人並んだ姿見るとやっぱり…似てる。カッコいい三兄弟だわ。

洋一お兄さんと功太お兄さんは、お父さんの話しになると、
ちょっと声が大きくなって、口論になりそうになったけど、
航平が二人を上手くまとめて落ち着かせた。
第三者の私から見てると、三人は何となく…
歩み寄りたいんじゃないかなと思える。
特に洋一お兄さんの姿は、私には寂しそうに映った。
何とか話は落ち着いて、約束が出来たみたいだった。

私達は喫茶店を出て、病院玄関まで戻った。
航平が駐車場に車を取りにいき、功太お兄さんは売店に行って、
私は洋一お兄さんと二人きりになった。
洋一「華さん。ひとつ聞きたいのですが、航平は今の会社で頑張ってるんでしょうか」
華 「はい。私は同じ会社ではありませんから、詳しいことまでは分かりませんが、
   彼の仕事ぶりはかなり上司の方から有望視されているようです。
   毎日遅くまで会社に残ってお仕事してますし、
   会社の皆さんからも頼りにされてるようですよ」
洋一「そうですか…アイツなりに頑張ってるんですね。教えてくれてありがとう。
   航平に伝えてほしいんですが、
   実は、親父は今年いっぱいもつかどうかなんです」
華 「え!?」
洋一「今までのことは全て許すからと、
   それまでに一度くらいは実家へ帰ってこいと伝えて下さい」
華 「洋一お兄さん。それはお兄さんから航平さんに伝えてあげて下さい。
   私が伝えるより、お父様とお兄さんの言葉の方が、
   航平さんは何よりも嬉しいはずです。
   彼は仲直りして家族と楽しくお話したいんだと思います。
   お兄さん、お願いしますから」
功太「そうや。華さんの言う通りや。本当に兄貴は素直じゃない。
   兄貴から航平にちゃんと言ってやったらどうや」
洋一「功太、立ち聞きするとは質が悪いぞ。
   さっきもあんな態度をとった俺が、今更どんな顔して航平に話せばいい」
功太「今話したままでええやないか。それしか言えんやろ」
話してるうちに、航平が車から降りてきた。
航平「どうした?何かみんな深刻な顔して」
華 「洋一お兄さん、お願いします。航平さんに話してあげて」
航平「何?話って?」
洋一「航平。親父のことだが…親父は末期の胆管ガンで。
   もって今年いっぱい、正月を迎えられるか分からん」
航平「今年いっぱい!?」
洋一「今までお前や功太に辛く当たってすまなかった。
   これからは、気にせず時々うちに帰ってきてくれないか」
航平「5ヶ月…」
功太「航平。俺も病室入る前に廊下で、明子姉さんから聞いたんや」
航平「5ヶ月…たった5ヶ月で…今までの穴埋めが出来るとか…。
   なぁ、兄貴。僕や功太兄貴に、
   12年もの空白をこの5ヶ月で穴埋めせえって言うとかっ!」
華 「航平…」
洋一「本当にすまん。二人とも親父の為に出来る範囲でいい。
   顔見せてやってくれないか。頼む」
洋一お兄さんは深々と二人に頭を下げた。
航平「いつも勝手なことばかり言いやがって…(泣)
   今さらすまんはなかろうが!」
功太「航平!落ち着け!俺達が出来ることがそれしかないなら、
   親父が生きてる間、精一杯してやることが12年間の穴埋めやろが!」
航平「クソッ!何でこんなことに…(泣)」
三人は無言で下を向き泣いていた。
私はかける言葉もなく、ただ三人の側に居るしかなかったの。
(続く)


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ポエム608号室

2010-09-01 00:00:09 | Weblog
頭で想い描いてるだけじゃ 何一つ伝わらない
最悪の結果ばかりを想像したって 何一つ上手くいかない
面と向かって目を見て 自分の今まで秘めてた思いを
言葉に出して 投げかけなきゃ
相手の心には響かないし
微笑み返されることも 手を差し伸べられることもない
あと一歩の勇気 踏み出せば
ガッチリと掴むことが できるかもしれないのに
相手は語りかけてくれることを 待ってるかもしれないのに
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