玉川上水の辺りでハナミズキと共に

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえてすずしかりけり (道元)

*乃木大将

2017年11月20日 | 捨て猫の独り言

 立冬の日に「日展」を見学しようと出かけた。ところが国立新美術館の門は締まっている。そこで手元の招待券を見ると毎週火曜は休館日とある。最近これと似たような事態を経験したことがあるなと考える。あれこれ記憶をたどっているうちに、思い出すことができた。そうだ、夏に孫たちと出かけた東御苑だ。定例の月曜の休みでその日は東御苑の中に入れなかった。

 予定を変更して付近を散策することにした。まずミッドタウンにあるはずのサントリー美術館を探すことに。こちらも休館日だったが、それはビルの3階にあった。戻ろうとして、同じ階にどこか見覚えのあるステーキ店を発見した。息子の家族と一度だけ食事をした店だった。「ミッドタウン10周年」の垂れ幕で、その食事は10年前のことだと知った。

 それから外苑東通りを青山霊園を目指して歩いてゆくと、思いがけなく乃木公園と乃木神社に出会った。公園には漆黒に塗られた壁が印象的な乃木希典・静子夫妻の邸宅と、レンガ造りの厩が保存されている。ちょうど昼時で斜面にできた公園のベンチで食事をとる人を多く見かけた。坂の下にある乃木神社の宝物殿では、殉死にまつわる興味深い写真などで多くのことを知った。

 

 そして近くの青山霊園を訪ねて、乃木大将の墓所を探すことにした。霊園の案内板の右下に記入された「乃木将軍通り」の小さな文字に最初は気付かずに手間取ったが、何とか辿り着く。それは青山特別支援学校の近くにあった。その二日後に私は漱石の「こころ」を半日かけて読んだ。「私に乃木さんの死んだ理由が能く解らないように、貴方にも私が自殺する訳が明らかに呑み込めないかもしれませんが、もしそうだとすると、それは時勢の推移からくる人間の相違だから仕方がありません」「私は私の出来る限り此不可思議な私といふものを、貴方に解らせるように、今までの叙述で己を尽した積です」

コメント
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