先日都内某所で色付きかけたさくらんぼを見ました。
そろそろ良いんでないかいって、確認に行きました。わあ!熟れている!!
しかもこんなに沢山!
実を摘むとホロリと採れました。口に入れると、期待より甘くはないけど、ちょっと野趣があって美味しいです。採れたてだし・・・
電車の通過を見ながら数粒摘みます。美味い(o^~^o)
そうしたら知らない小母さんがやって来て言います。「採って食べて良いわよ」
もう食べてるとは言えません。ちょっと後ろめたいですが、そもそも誰だろう?
彼女が話を続けます。「これ佐藤錦だから」「えっ!?なんでそんな事知っているんですか?」「夜店で買ったのよ。佐藤錦の苗をね。そうしてここに植えたのよ。もう30年になるのよ。肥料も手入れもなんにもしないのに毎年実が成るのよ。今年は特別に沢山よ」
「ほら、食べなさいよ」と剪定挟で枝を切ってくれます。
写真に撮ると、「枝振りが良くて実が多いのが良いわよねえ」とまた切ってくれます。
やっと落ち着いてきた私に事情が掴めました。この小母さんが都電の線路脇の土地に佐藤錦の苗を植えて、毎年熟して来るとこうやって剪定鋏で切り取って食べていたようです。
毎年熟したかなと思って行ってみても、いつも高い枝に少し残っているだけでした。なるほど、こういう事だったのですね。今年は私が訪れたタイミングが良かったのですね。
東京下町では、河川敷や線路脇に茄子やトマトや白菜や葱や枇杷や桃や葡萄などを、沿線の住民が自分宅の前の空地(ホントは国や東京都や運営会社のもの)に植えるのです。当たり前のように洗濯物も干します。でも、都電ではここの他に例を見ません。
とうとう小母さんは家に取って返して新聞紙を持って来て、バサバサと佐藤錦の枝を切りました。
私に「これに包んで持って帰りなさいよ。枝に付いたまんまのさくらんぼのなんて滅多に食べられないわよ」と言います。躊躇していたらガサガサと新聞紙に包んで渡してくれました。セロテープまで持って来て・・・ 私も共犯にされた気持ちですが、「毒を食らわば皿まで」と開き直りました。これがそうです。
新聞紙を開くと、、、これが今年の収穫です。そして、初物の佐藤錦です。立夏の味ですかね。
今日28℃の東京を3時間かけて帰ったらぐったりしていたので、こぼれた実だけ食べてバケツの水に浸けてやりました。そうすると瑞々しい葉の緑とサンゴ色の実が生き返りました。こうなると、食べるのが惜しい・・・