残ったり消えたり

2017年03月03日 16時20分10秒 | 黒猫のひとりごと

                                          ォォォォォ  ・・・・・・

                      ―――

      

影が増えた・・・

僕の前、ライトが点いたから。

近づくと点くのだ。

ジッとしてると消えるけど。

夜になって、男は荷台に戻った。

僕も。

もう寝てると思う。

箱島の向かいにある小島の上に、しまネコとトラネコが寝てた。

空箱の毛布の中で。

僕はだいたいのライトの位置を覚えた。

荷台の箱は箱だから、なめらかではない。

デコボコしたすき間や陰を行くと、ライトを点けずに動ける。

「・・・」

3つあった影は、もう1つ。

鳴いたら点くかな。

ライトが見えないように、箱と箱の間を進む。

狭いわけじゃない。

箱1つ分の幅がある。

           

最後の影も消えて、暗くなった。

「・・・」

うっかりシッポが上に向かないように、注意して進む。

ひげがあるから、周囲は探れるのだ。

メジロは寝てるし、たぶんリスも寝てる。

荷台の奥では、斧さんとリフがそれぞれの箱ベッドで寝ている。

男の箱ベッドはそれよりも前で、冷凍庫から近い。

冷凍庫の前の箱壁の向こうには、ハットさんの箱ベッド。

カールさんは、家トレーラーに行った。

                ―――

「・・・」

ここからネコハンモックの近くの箱までは、隠れる場所がない。

シッポと体をまるくする。

家トラックとかと違って、荷台の中はそんなに暖かくない。

外よりは暖かいけど、たき火の近くはもっと温かい。

           スル

僕は前足を、ゆっくり箱の陰から通路に出す。

積んだ箱の上だから、点いたら下に影出るかな。

                             ―――

影が出た。

左に灯りで、右の箱と壁に大きな前足。

ツメ出すとそれもわかるのだ。

下にも、すこし動き。

            ダッ

跳ねる――

                            

                                        ―――

              トン

向かいの箱でもう一度跳ねて、後ろに体を1回転させて壁際の箱にのった。

「・・・」

このまままっすぐ行けば、ネコハンモック。

平らではないけど。

              ――

影が増える。

                                                ゴォォォ   ・・・・・

荷台は広くて、雨の音がよく響く。

屋根の外にはロープがあって、大タープの下にいないのである。

だから、直接落ちて来る雨があたる。

高く積まれた箱の上に行くと、音が大きくなる。

壁はつめたいと思う。

          

前足でふれる。

「・・・」

つめたくて、すぐ離した。

枠台車の枠も、きっとつめたい。

枠の間に、ネコハンモックが張ってある。

毛布もあって、もぐり込めば暖かい。

でも僕は、高い箱の上で座る。

耳を向けると、細かな音がする。

あたる音がたくさんだから、ぼやけるけど。

天井の明るい部分とそうじゃないところの境目は、僕が動くとかわる。

影なのだ。

僕も同じ色だから、影ネコになれるかな。

石像ネコは、簡単である。

でも僕は耳を動かす・・・・

                ・・・・

                                            ォォォォオオ   ――――

           ―――