ォォォォォ ・・・・・・
―――
ト
影が増えた・・・
僕の前、ライトが点いたから。
近づくと点くのだ。
ジッとしてると消えるけど。
夜になって、男は荷台に戻った。
僕も。
もう寝てると思う。
箱島の向かいにある小島の上に、しまネコとトラネコが寝てた。
空箱の毛布の中で。
僕はだいたいのライトの位置を覚えた。
荷台の箱は箱だから、なめらかではない。
デコボコしたすき間や陰を行くと、ライトを点けずに動ける。
「・・・」
3つあった影は、もう1つ。
鳴いたら点くかな。
ライトが見えないように、箱と箱の間を進む。
狭いわけじゃない。
箱1つ分の幅がある。
ト
最後の影も消えて、暗くなった。
「・・・」
うっかりシッポが上に向かないように、注意して進む。
ひげがあるから、周囲は探れるのだ。
メジロは寝てるし、たぶんリスも寝てる。
荷台の奥では、斧さんとリフがそれぞれの箱ベッドで寝ている。
男の箱ベッドはそれよりも前で、冷凍庫から近い。
冷凍庫の前の箱壁の向こうには、ハットさんの箱ベッド。
カールさんは、家トレーラーに行った。
―――
「・・・」
ここからネコハンモックの近くの箱までは、隠れる場所がない。
シッポと体をまるくする。
家トラックとかと違って、荷台の中はそんなに暖かくない。
外よりは暖かいけど、たき火の近くはもっと温かい。
スル
僕は前足を、ゆっくり箱の陰から通路に出す。
積んだ箱の上だから、点いたら下に影出るかな。
―――
影が出た。
左に灯りで、右の箱と壁に大きな前足。
ツメ出すとそれもわかるのだ。
下にも、すこし動き。
ダッ
跳ねる――
タ
―――
トン
向かいの箱でもう一度跳ねて、後ろに体を1回転させて壁際の箱にのった。
「・・・」
このまままっすぐ行けば、ネコハンモック。
平らではないけど。
――
影が増える。
ゴォォォ ・・・・・
荷台は広くて、雨の音がよく響く。
屋根の外にはロープがあって、大タープの下にいないのである。
だから、直接落ちて来る雨があたる。
高く積まれた箱の上に行くと、音が大きくなる。
壁はつめたいと思う。
ト
前足でふれる。
「・・・」
つめたくて、すぐ離した。
枠台車の枠も、きっとつめたい。
枠の間に、ネコハンモックが張ってある。
毛布もあって、もぐり込めば暖かい。
でも僕は、高い箱の上で座る。
耳を向けると、細かな音がする。
あたる音がたくさんだから、ぼやけるけど。
天井の明るい部分とそうじゃないところの境目は、僕が動くとかわる。
影なのだ。
僕も同じ色だから、影ネコになれるかな。
石像ネコは、簡単である。
でも僕は耳を動かす・・・・
・・・・
ォォォォオオ ――――
―――