AMASHINと戦慄

~STARLESS & AMASHIN BLOG~
日々ブログレッシヴに生きる

さいなら平成 ~あま選平成邦画名鑑~

2019年04月30日 | しねしねシネマ
平成最期の日。

夕方頃なんとなく思い立って、すべての予定をキャンセルし(ブックオフとイオンに行こうと思ってたんやけど)、急遽やっちゃいました。

個人的平成邦画ベスト10。
これ書き終えるまで平成の世は明けま10。

急ごしらえもええとこなので、もうムチャクチャです。
まぁ自分やっぱり洋画中心やったので邦画はホンマに全然観れてません。
なのでかなり無理があったかなぁと。
でも鑑賞した作品が限られてるので、絞り込みは案外早かった。
観ておもしろかったなぁ~って思えた邦画作品で、思いついたやつをパッパッパっと。

つかほんま偏りまくってて、2000年~2001年にめっちゃ集中しています。
つまり邦楽にはまりだした頃です。
だからその時好きやった邦楽アーティストがけっこう関係しているかと。

まぁとにかくご覧になってください(今回も年代順で)。



1.『リング』 1998年 監督 中田秀夫


貞子フィーバー、そして呪いのビデオブームを巻き起こした日本ホラー映画の金字塔的作品。
とにかく終始めっさ怖かった!ビビりまくっていた。
今にも出てきそうでなかなか出てこないという、迫りくる見えないものの恐怖。
ラストのブラウン管からの出現は、やりすぎ感が否めないながら見事なホラー演出であった。
まぁそれ以降、同じ手法のホラー映画がゴミのように世に出まくって、そっから抜け出せない日本ホラー映画界の発想力の欠乏ぶりは残念というほかなかったが。
エンドロールで流れるHIIHによるEDMナンバーの「きっと来る~~きっと来る~~♪」っていう歌詞も不気味に怖い。



2.『黒い家』 2000年 監督 森田芳光


保険金がらみのサイコパスホラー。
原作者が元生命保険会社の営業マンだったこともあって、前半のその辺の話が小難しくてウトウトしながら鑑賞してたが、中盤からのシリアルキラー展開に目がパチリンコ。
なんつっても大竹しのぶの己を捨てた(それとも素?)怪演ぶりに度肝抜かれた。
この人はやっぱりすごい。
「乳しゃぶれ~~~!!」



3.『ユリイカ』 2000年 監督 青山真治


陰惨な事件に巻き込まれ、心を閉ざしてしまった者たちの、再生への道を探る逃避行的ロードムービー。
3時間超えの、永遠に続くんやないかっていうくらいユルユルと展開する、登場人物がなかなか台詞をしゃべらないモノクロ映像の果てしなき物語。
で、このなんともいいようのない空気感と、人と人との距離感の微妙さがやけにクセになってくる。
さりげに国生さゆりや尾野真千子がチョイ役でいい味出してたり。



4.『式日』 2000年 監督 庵野秀明


庵野監督といえば『エヴァ』とか『シン・ゴジラ』とかが有名だが、私が唯一ハマったのが本作で、これがなかなかの異色作。
スティーヴン・セガールの娘(しかもこの映画の原作者でもある)と、なぜか岩井俊二が中心になって話を回す一応ラブストーリー映画なのかな?
最初「なんやねん!この面倒くさい女」ってなるんだが、これが不思議とだんだんクセになってくる。
ここでも大竹しのぶさんが素みたいなほんといい演技してる。
ラスト絶妙なタイミングで流れるCoccoの「Raining」が見事物語のシメを飾る。



5.『リリイ・シュシュのすべて』 2001年 監督 岩井俊二


これでもかっていうくらい過酷で陰湿で救われぬ展開、でもその分崇高な音楽によってとてつもなく癒される(浄化される)、そういう映画ではビョーク主演の『ダンサー・イン・ザ・ダーク』が最強だと思っていたが、本作はそれを超えた感があった。こっちはなんか、すごくリアルだから。
ドビュッシーのピアノ曲が実に効果的に使われており、この映画はとにかく音楽がいい。



6.『ピストルオペラ』 2001年 監督 鈴木清順(RIP)


この作品も、かなり新感覚な衝撃を受けた、私にとってはMVに近い映像作品だった。
こういうのはその辺の監督が撮ると、ただ奇をてらっただけのサブカルクソ映画に陥りがちだが、巨匠クラスの監督が撮ると、やはり破壊力、アヴァンギャル度がハンパない。
演劇風舞台アートと演出、そしてエゴラッピンやらこだま和文やらTICOらのダブがかったBGMが絶妙にシンクロした、実に芸術性溢れる目も眩むような映像世界。
江角や永瀬などのメジャーどころの演技は多少難アリだが、それすらも払拭させてくれる彩(エイジャ)でおなじみの山口小夜子さん(RIP)、韓英恵さんらの不可思議な存在感、そしてなんといっても平幹二朗氏(RIP)のまさにプロフェッショナルな台詞まわしが秀逸。



7.『盲獣VS一寸法師』 2004年 監督 石井輝男(RIP) 


正直初期の石井監督の乱歩ものは苦手なのだが、本作のエログロナンセンス映像にはなんともいいようのない衝撃を受けた。
本作は、数々の乱歩映像作品の中でも最高峰にあたるかと思われる。
平成の世じゃ考えられないくらいタブー犯しまくりの昭和B級テイスト、そして全編に渡って妖気漂うイビツな雰囲気のヤバさがハンパない。
一寸法師役には実際の侏儒の役者さんを起用してるし、裸女もいっぱい出てくる。まぁこの辺の倫理感のなさ加減はインディー作品ならではってとこか。キャストの顔ぶれといい好き放題やってる感じ。
一種異様な名状し難い妖しい音響効果もたまりましぇん。



8.『フラッシュバックメモリーズ 3D』 2012年 監督 松江哲明


交通事故により、重度の記憶障害を患ったディジュリドゥ奏者GOMA氏の、事故後の苦悩や、突如開花した点描画の不思議なアート活動を追ったドキュメンタリー映画。
まぁ本作はGOMA氏の人物像や、数奇な運命に見舞われたGOMA氏の家族との絆を追ったドキュメントとしても非常に興味深いが、音楽好きにとってはGOMA & The Jungle Rhythm Sectionによるド迫力のプロモーションライブ映像が最高に楽しい。
それを3Dでヴィジュアル的に楽しませるといった監督の奇抜な発想が実に功を奏していて、本作でようやく3D映画の効果というものを楽しめ、生ライブでは体感できないその手法の意義というものを感じることができた。
まぁその後、さらに映像に生ライブをも融合させた4Dとか実践しはるんやけど。



9.『リップヴァンウィンクルの花嫁』 2016年 監督 岩井俊二


正直『リリイシュシュのすべて』以外の岩井監督作品はおもろいと思ったことがなかったのであるが、この作品でまたしても「やってくれた」と思った。
本作はちょっとクライムサスペンスな趣もあって、相変わらず過酷なことは過酷なのだが、なんだかほんのり淡いボーイズラブならぬガールズラブが描かれていて、黒木さんとCoccoの対照的なコンビが絶妙なハーモニーを生み出している。
とにかく、Coccoファン、ガンダムファンは必見。



10.『カメラを止めるな!』 2018年 監督 上田慎一郎


平成最期に心底「やられた」と思った傑作映画。
そして、不覚にもなんかハッピーな気分にもさせられた。



というワケで、なんとかかんとか書きあげました。

ほんじゃ、ま、そういうことで、さよなら平成!

みなさんよい令和元年を!

フジウルクォイグムンズハー


今日の1曲:『平成朝ぼらけ』/ 人間椅子
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あま選平成ベストヒットソングス

2019年04月28日 | まったり邦楽
平成邦楽アルバムベスト30やってたら、仕事中にモラホラと平成TUNEベストも考え出してしまって、こらもう実施するしかないかなと。
で、テキトーにiPodでプレイリストを作成。
これはけっこうすぐ決まった。

このアーティストそんなに好きやないけど、どっかでかかっててこの曲だけはめっさええなっていうのが結構あったりするじゃないですか。
まぁそういう場合、ベストをレンタルするか中古で買ったりすることが多いんですけど。
その曲でビビっときてアルバム買ったら、ホンマにその曲しかええのがなかったりもよくしましたし。

平成のこの10年はスマートフォンの普及により、音楽のデータ化、ネット配信が急速に進んでいき、ダウンロードして曲のみを購入するというシステムに徐々に移行していきました。
それによって、悲しいかな、CDショップもどんどん潰れて逝きました。
最近ではデータすら持ち歩かずに、その場その場で音源を配信して聴くみたいなシステムになってきているんですってねぇ。

私はガラケーユーザーで、音楽をデータで買うということにいまだ抵抗を感じておるんですが、まぁ5年くらい前からCD音源をパソコンに取り込みデータ化し、iPodで聴くというスタイルにはなりました(ディスカウントスーパーやブックオフを徘徊する時のための耳栓がわりに)。
iPodを使い始めて、プレイリストを考える行為がけっこう楽しい。
曲順も人差し指一本で簡単に変えられるし。

媒体が変わっても、お気にメタル編集テープをシコシコ作ってた中学時代(昭和)からやってることはちっとも変わっとらん、令和になっても永遠の13歳です!




ベストTUNEはキリのいいところで50曲を選曲。
今回もアーティスト名義かぶりなしというルールで。
まぁiPod画面をそのままスクリーンショットで撮って貼り付けることにしたのでめっさ楽でした。

cocco キリンジ bird crazy ken band ゆらゆら帝国 bonnie pink


cibo matto blue beat player the boom drill king tofubeats pushim dry & heavy


capsule shellshock 餓鬼レンジャー きゃりーぱみゅぱみゅ tica baho salyu


bush of ghosts lily chou-chou perfume オーバードーズ blanky jet city


筋肉少女帯 54-71 電気グルーヴ 小島麻由美 baho 中山うり 川上つよし


super junky monkey 倉木麻衣 宇多田ヒカル 矢井田瞳 cro-magnon
gargoyle ego-wrappin' geisha girls サザンオールスターズ


異常、あま選平成邦楽ベストでした。

ひょっとしたら平成邦画ベスト10やるかも。
ひょっとしたらですよ。

とりあえず、よい令和元年を。


今日の1曲:『かわいそうなゾウ』 / ド・ロドロシテル
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さいなら平成 ~あま選平成邦楽名鑑~ その3

2019年04月26日 | まったり邦楽
あま選平成邦楽ベスト30残りの10枚です。
みなさまの予想は的中しましたでしょうか?

ここ10年、やはり齢を重ねるにつれ感性が鈍り、音楽に対する探求心も徐々に減退していきましたね。
突如クトゥルー神話への尋常ならざる探求心に目覚め、それ関連の書物や音楽ばっか漁ってた時期もあったりと。

邦楽くくりのフェスはけっこう行ってて、RUSH BALLやOTODAMAとか、あと最近では東京でのM.D.T.フェスや、ついこないだ神戸での『Q』フェスなど。
外タレフェスと違って邦フェスは、ミュージシャンのMCが理解できていいですよね。
国内最大級の邦楽フェスRISING SUNにもいつかは行ってみたい・・・・
北海道行ったことないんで。



21.『Untitles』 / 54-71 (2002)


英詩で90年代米オルタナからの影響をバリバリ感じさせるバンドなんだが、なぜか実に日本的で不可思議な個性を持ったバンド54-71。
音数を極限まで減らしたシンプルで肉体的なバンドサウンド。病んでいるようで実に気持よさそうに呻く素っ頓狂で奔放なラップ。そしてタメがいちいちカッコいい。
生々しく乾いたギター音が、まるでジャケットの水墨画のような匠の技を思わせる。


22.『Diving into your mind』 / 畠山美由紀(2002)


Port of Notesの畠山さんのソロデビュー作。
楽曲によっては(語弊があるかもしれないが)80年代の懐メロ歌謡に聞こえなくもないが、そこはLITTLE CREATURESの面々がプロデュースしているので決して安っぽくはならず、バックバンドの極上の演奏力とシャレオツなアレンジで、畠山さんのジャジーでエレガントな歌を堪能できる贅沢な一枚に仕上がっている。


23.『From Creation』 / DRY & HEAVY(2002)


ADFやMassive Attackなどの音楽に触れていたときからダブ嗜好は自分の中になんとなくあったが、ここまで本格的でディープな残響音を響かす本格派のダブはドラヘヴィのこのアルバムが最初だったと思う。なんせエンジニアがメンバーの中にいるからな。
Doorsのトリップ感ハンパないカヴァーなども収録されてて、ロック色が強めで楽曲が極めてキャッチーだったこともあって、この手のジャンルには疎い私にとって本作は実に馴染み易かった。
英語発音のハッキリしたリクル・マイさんの突き抜けるような、そして時に妖しいVoがとても痛快。


24.『QUEENDOM』 / PUSHIM(2004)


レゲエに関しては疎いが、聞くところによると、どうやらレゲエというものには大きく分けてダンスホール系とルーツ系との2種類があり、その両者は犬猿の仲ってゆーくらい好みがハッキリ分かれるそうな。
PUSHIMはその因縁深い垣根を取り払ったレゲエアーティストということで、まさにLOVE&PEACEな存在といったところか。
本作はレゲエのみならず、R&B、サンバ、ヒップホップと、雑多な楽曲をPUSHIMの圧倒的パワーヴォーカルでぶちかましているとった攻撃的作品。
平成の音楽業界最大の汚点にして大罪である忌まわしきCCCDの犠牲となった作品でもある。


25.『GAME』 / Perfume(2008)


広島出身の同級生3人組の一介のアイドルユニットが、結成8年目にして日本のJ-POP界に革命をもたらしたテクノポップ史に残る大名盤。
本作に詰め込まれたおしゃれ且つポップなサウンドのハイクオリティな粒揃いの楽曲群・・・この時の中田氏の研ぎ澄まされた創作力はまさに神がかっていたといえる。
敢えてそれぞれの自己主張を抑え、エレクトロサウンドに寄り添うヴォーカル加工の、そんなスマートな音楽が社会現象になったのだ。
それはやはり、Perfumeの楽曲がその辺のヒットメイカーが作るメニーピープルに“ウケる音楽”ではなく、“覚醒させる音楽”だったということである。
その後J-POPやJ-ROCKアーティストのエレクトロ指向が急速した傾向がそれを如実に物語っている。


26.『Johnny Cliche』 / TICA(2009)


美しい旋律のアコギが爪弾かれ、カオリさんの崇高なる麗しのヴォイスがスッと入ってきた瞬間、部屋の空気が一瞬で変わる。そんな音楽は初めてだったかも。
まぁ正直この作品の醍醐味は冒頭のオリジナルダブナンバー2曲まで。
あとは、Ticaのお家芸である2人の研ぎ澄まされたセンスと極上のサウンドアレンジで調理されたスタンダードやロックバンドのカヴァーを(ただ、ヴィレヴァンなどでよく流れてるような安っぽいカヴァー曲とはワケが違う)カフェミュージックよろしく優雅に楽しむといった趣向の作品。
ただ、打ち込み傾向の強いTicaのアルバムの中でも、本作は実にアコースティッキーで生楽器の温かみあるサウンドであるところがいい。


27.『s(o)un(d)beams』 / salyu x salyu(2011)


小山田圭吾氏の立体的でヒーリング効果の絶大な驚異のスタジオワークには以前より関心があったが、コーネリアスの楽曲は自分にはアンビエントすぎるというか、とくに歌の部分が馴染めなかった。
その小山田氏に積極的にアプローチをかけ、自らの声を素材としてここまで難易度の高い音の構築を成し遂げたSalyuの音楽に対する意識の高さには敬服するほかない。
Salyuの様々な歌声が万華鏡のごとく広がり花開き、アンビエントとポップが交差する驚異的な音像が脳内に絶大な恍惚と癒しをもたらしてくれる。
屈辱的で辛い時期に、この作品には随分助けられたもんだ。


28.『photogenic』 / Salyu(2012)


結局オマエはSalyuが一番好きなんじゃねーの?と思われるかもしれませんが、いや、たまたまSalyuがVoをとってる作品のデキが良かっただけです。
Salyuソロ名義になってからの作品は最初、小林武史氏との相性が本当に合っているのか?と思わせるくらいなんかシックリくるものがなかった。
Salyuのあの凄まじい高音域の歌唱は、相当のヴォイストレーニングを想像させるもので、それが時には痛々しかったり聴き苦しかったりもした。
で、本作でようやくSalyuの歌声が楽曲にうまくフィットしてる感じになり、優雅な歌いまわしも見せ、楽曲によっては達観、あるいは余裕すらも感じられるようになった。
キャッチーとは言い難いが、弾むようでSalyuのしなやかな歌がフィーチャーされた素敵にポップな作品。


29.『なんだこれくしょん』 / きゃりーぱみゅぱみゅ(2013)


中田氏はPerfumeとはまた違った方法論で(歌に感情を込めさせないのは一緒だが)、きゃりーの奇抜なキャラクターをさらに音楽によって拡張させることに見事成功している。
本作はとにかくおもちゃ箱をひっくり返したような、楽しい音で溢れかえっている。
「にんじゃりばんばん」やら「きゅーきゅきゅーきゅきゅきゅ」といった意味不明の擬音や造語だらけのまさに「なんだこれ?」といったフレーズ群は、奇をてらったというより、すべては耳心地の良いポップな楽曲の素材なのであって、歌詞の意味などもうどうでもよくて、音を楽しむとはそういうことなんだってこと。
きゃりーの音楽が海外でも人気があるのはそのためだ。


30.『ナマで踊ろう』 / 坂本慎太郎(2014)


人類滅亡後のBGMというコンセプトのもとに制作された坂本慎太郎くんソロ第二弾。
ポップセンス抜群の楽曲群、スティールギター、サックス、バンジョー、そして様々な種類のパーカスの音色が作品を楽しく彩っている。
でも哀愁と虚無感の入り混じる坂本君の歌を聴いていると、なんだか怖くなったりもする。
この坂本君の終末思想的アルバムを聴きながら、平成最後の夜を迎えるのも悪くはないかと。


てかここ5年間からの作品皆無ですね。
全然ダメですね。


平成22年11月@静岡



今日の1曲:『森のこびと』/ うたううあ
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さいなら平成 ~あま選平成邦楽名鑑~ その2

2019年04月23日 | まったり邦楽
あま選平成邦楽ベスト30第二弾を発表します。

大学を卒業してからくらいから、ケーブルテレビでSSTVに加入していたこともあって、民放では映らない良質のアーティストに触れる機会が多くなって、ここらへんからグッと邦楽に対する興味が急増しました。
一方メタル、洋楽に対する興味は激減。

そして邦楽の曲を知ることによって、あれだけ忌み嫌っていたカラオケにも積極的に参加するようになった。
やっぱ日本語で歌を歌うのは気持ちがいい。だってちゃんと歌えるから。

あの頃は、世の中的にも邦楽がすごく盛り上がっていたような気がする。



11.『ブーゲンビリア』 / Cocco(1997)


バレリーナになるために単身上京した沖縄の女が、突如歌手デビュー。きっかけは復讐。
音楽的な教養皆無であったCoccoの才能を見出し、音の通訳となってアレンジを担当した根岸宗孝氏によるヘヴィロック的アプローチが功を奏した衝撃のデビュー作。
復讐に燃える女の生々しい歌は、残酷にしてエロティック、そしてこのCocco描くジャケ画のようにしなやかでアーティスティックな美しさをも内包している。
小手先の技術ではなく、Coccoの歌は彼女の内面から溢れ出る原始的な魂の叫び。共感とかじゃなく、その凄まじい感情の表現力にただただ圧倒されるばかりなのだ。
こんな恐ろしい音楽が大ヒットしたのだから、ようやく日本の音楽シーンがおもしろくなってきたなと思った。


12.『3×3×3』 / ゆらゆら帝国(1998)


ミッシェル、ブランキーは意識の高い実力あるバンドとして一目置いていたがハマることはなく「なんかカッコつけてんな」って感じだったのに対し、ゆらゆら帝国を初めて目の当たりにしたときは一瞬で心を奪われ、心底「カッコいい!!」と思った。
なにか体内のどこかから溢れだすイケナイ分泌物が、ギターのシールドを通ってアンプから発散されるような、そんな危険な香りのする彼らの轟音に脳天をブチ抜かれる思いがした。
悲哀、虚無感、エロティシズムといったものがグニャグニャと入り混じる坂本君のサイケな歌といい、日本にも凄いバンドがいたんだなって思った。


13.『勝訴ストリップ』 / 椎名林檎(2000)


デビュー当時から林檎の歌声はあまり好きじゃなかった。どうも神経に触るというか。サディスティックで倒錯的な歌詞、奇をてらったタイトル、巻き舌、サブカル演出、メンヘル、コスプレ、胸の谷間の強調・・・・と、まぁハッキリいってキワモノの部類だろう。テレビに映ってるときはやけにとりすましてるけど、かなりのナルシスト感が否めない。とにかく全てが打算的。ホンモノだったら殺人未遂か自殺未遂くらいしなくちゃ。
まぁでもそういうのひっくるめて、このアルバムはよくできている。


14.『Mind Travel』 / bird(2000)


ジャズ、ソウル、ヒップホップ、ボサノヴァなどの要素をほどよくブレンドさせた大沢伸一(モンドグロッソ)による卓越したサウンドプロダクション、そこに水を得た魚のように軽快に歌うbirdのソウルフルな歌が織りなす極上の一枚。
基本的に女々しいバラードソングは好きではないが、birdの諦めと未練がましい感情が入り混じる切ない歌の「4PM」には胸を締めつけられずにはおれない。
とにかくバラエティに富み、捨て曲というものが見当たらない完璧な作品。
ひとつ苦言を呈するなら、このジャケットなんやねん!!


15.『3』 / キリンジ(2000)


近年シティ・ポップへのリバイバルな動きが音楽業界で巻き起こってるような気がするが、まぁその手のジャンルにはあんまり関心が持てない自分なんだが、なぜかキリンジの音楽に惹かれるのは、そのオシャレなポップ感の中に、スティーリー・ダンからの影響を感じさすヒネリや、70年代プログレッシヴロックのエッセンスが感じられるからだと思われる。
そして、マジなのかふざけてるのか測りかねる不可思議な感覚を持ったアンティークなリリックがひっかかってしゃーない。


16.『FIVE』 / RIP SLYME(2001)


悪そうなヤツはだいたい友達であることを自慢し、この平和ボケした国でぬくぬく育っておきながらスラム街育ちのチンピラを気どる邦ヒップホップグループにはほとんど興味なかったが、シモネタ混じりの快楽主義的なノーテンキライムをまくしたてるリップスのヒップホップ感には不思議と抵抗がなかった。
フミヤのつむぐユニークかつオシャレなインストが耳心地よく、バカボンのママがフィーチャーされた「Talk to me」とか最高。


17.『満ち汐のロマンス』 / EGO-WRAPPIN' (2001)


埃っぽい場末のキャバレーのステージで生演奏してるような、戦後間もない荒んだ街のシアターで上映してるコジャレた映画のBGMで流れてるような、そういう自分の生まれる前の時代の風景を思い浮かばせるのがエゴラッピンの音楽かもしれない。
ただ、当時昭和歌謡とか、レトロミュージックとか言われてたみたいな単純なものではなく、今聴いても色褪せない普遍性があり、音の質感も実に洗練されていて、これ以降の作品の試行錯誤、紆余曲折ぶりが痛ましいほどに完成度の高い作品。


18.『Buddhists Tracks』 / BUSH OF GHOSTS(2001)


DETERMINATIONSの市原夫妻を中心に、関西のダブ系ミュージシャンがワイワイ集まった、まぁ関西限定のお遊び感覚のインディーダブプロジェクトなんであるが、これがムチャクチャかっこいい。
ループするぶっ太いベースの重低音に、徐々に迫りくるダブのとてつもない高揚感。とにかくこのバンドはライブが凄かった。
京都の情緒あるライブハウス拾得で憑き物がついたかのような異常な盛り上がりを見せた、あの夜のライブは忘れられない思い出となっている。
なので後にリリースされたスタジオ作品がとても物足りなく感じた。


19.『呼吸』 / Lily Chou-Chou(2001)


リリイ・シュシュは、インターネット小説上の、あるいは映画の中でのみ浮遊するエーテルのような架空の存在。
岩井俊二×小林武史×Salyuの奇跡の三位一体が、その音像だけでリリイ・シュシュという実態のない存在に命を与えた。
映画『リリイ・シュシュのすべて』は、これまでにないくらいに感情を揺さぶられた衝撃の内容だった。それからしばらく私はリリイの亡霊にとり憑かれることになる。
あの憂いのこもった浮遊するかのようなくぐもった歌声・・・・それを後に正式ソロデビューを果たすことになったSalyuに求めたりもしたが、やはり違っていた。
Salyuは今でもちょくちょくリリイの楽曲をライブで歌うが、全く別物である。まぁ仕方ない。Salyuはリリイではないからな。


20.『Chat Chat Determination』 / DETERMINATIONS(2002)


なんの迷いや他意のないゴキゲンにスカしたスカミュージックをマイペースで演奏するその堂々たる佇まいが、彼らが育った大阪の下町の(知らんけど)情緒深さを感じさせる。
乾いた音色のギターといい、抜けのいいドラムといい、音の質感も渋すぎる。
これからって時だったのになぜか突然解散してしまった。


あと残り10枚!
平成の世も残りわずか!はよせな


BUSH OF GHOSTS@拾得



今日の1曲:『DEVIL』/ JUDE
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さいなら平成 ~あま選平成邦楽名鑑~ その1

2019年04月21日 | まったり邦楽
もういくつ寝ると、平成も終わっちゃいますね。
そこで先々月くらいにふとメチャクチャ面倒くさくしんどい企画を思いついちゃったんですけど。

自分的平成邦楽ベスト30選とかいうの。

新譜を全然購入しなくなって、5枚すら選ぶことにも無理が生じて毎年やってた『AMASHINレコード大賞』もやめてしまって、こういう企画は楽しいけど面倒くさくって全然やってなかったので、元号が変わる節目としてやってみるのもおもしろいんじゃないかと。つかもうこれは義務感ですね。

まぁ大半が本ブログで紹介したことのある作品になってしまうと思われるので、文章の方は同じこと言うてるやんけってなるかもしれませんが、まぁ今に始まったことじゃないので。

平成の30年の間にリリースされたアルバムということで30枚選出しようかと思います。
日本の元号くくりなので邦楽のみで。
何位とかは付けてません。一応リリース年代順で。
上原ひろみとかKUNIなどの、半分以上外人のミュージシャンが混じってるような国際的なアーティストの作品は断腸の思いで外させていただきました。

まぁ、私が邦楽をよく聴きだしたのは20世紀も末期の頃で、90年代のはじめの頃は、まだまだ洋楽至上主義のクソメタル野郎だったので、邦楽というものをほとんど聴いてなかったんですよね。
バンドブームでうじゃうじゃ出てきた日本のバンドなんかも全然聴いてなかったし。

そんな私の選ぶ30選なものだから、時代によってだいぶ偏りがありますし、一応同じ名義のアーティストの作品を選ばないというルールで選出したものだから、絞り出すのにけっこう苦戦いたしました。
まぁこの30年間邦楽全然聴けてなかったんやなぁと痛感させられたしだいであります。

90年代初頭にも自分が知らないだけでまだ出会ってない素晴らしい邦楽アルバムがたくさんあるかと思われます。
でも全てのアルバムを聴くなんてことはまぁ誰だって不可能なことだと思うんで、「あの名作が入ってないなんて、コイツ全然音楽を知らないなぁ」って思いつつもどうか許してやってくださいマンモス。


1.『Incompetent...』 / DOOM(1989)


アヴァンギャルドにして粘着質な曲展開・・・
DOOMサウンドのこの異質なる陶酔感は、人間の心の奥底に潜むヌラヌラとした変態嗜好を呼び覚ましてやまない。
「I Can't Go Back To Myself」の間奏における諸田コウ氏(RIP)の驚異的なフレットレスベースワークは、平成史に残る(まぁ平成史どころじゃないけど)至極の名演。


2. 『MOTAL DAYS』/ SHELLSHOCK(1989)


演奏、サウンド共にとてもチープだが、各楽曲がとてもシッカリしていてデキがよく、AKIRA氏のトンがっていてドスのきいたVoが素晴らしい。
ピュアなスラッシュサウンドを奏でた良質なスラッシュメタルアルバムとして、OUTRAGEの初期作品と並び称賛されるべき一枚。
まぁこの作品以降のバンドのブレまくりぶりは残念というほかないが。


3.『禊』 / GARGOYLE(1989)


見た目は様子のおかしいヴィジュアル系だが、和性色の強いまぁ変わったメタルバンド。
屍忌蛇のメロウで流麗なギターワークは絶品。そしてザ・クロマニョンズのドラマーとして出世した抜けのいい音を叩き出すKatsujiのドラミングといい、演奏面での実力のほどはこのインディーズの頃から顕著。
そこに和太鼓やらストリングスやらサックスやら女性コーラスなどを挿入するといった1stにしてとても創作性に溢れた作品。
変な歌詞を含め、全てにおいてクセが強すぎるが非常におもしろい。


4.『猫のテブクロ』 / 筋肉少女帯(1989)


筋少は鬼才三柴江戸蔵が在籍していた昭和期の作品が断然好きだが、私が最初筋少に衝撃を受けたのは、三柴の入れ替わりで加入した元AROUGEのギタリスト橘高の色が全面に出たメタル体制になってから。
ただ、いくらメタル好きでも、プログレ好きでも、筋少の音楽にハマるハマらないかは、その人の持つ素養に関係しているかと。
筋少の作品は、大槻ケンヂの物語るカルト的で文学的な詩世界、そのコンセプトが大きく音楽に反映しており、その世界観を汲み取り、卓越した演奏者たちが演出、アレンジを加えて見事な物語を紡ぎだしている。
橘高がもし筋少に加入せず、普通のジャパメタバンドをやっていたら(最初誘われた時は「なんで俺が筋少に入らなきゃならないんだ!」と思ったらしい)、おそらく彼はここまでアレンジャーとして大成しなかったと思う。


5. 『人間失格』 / 人間椅子(1990)


元来ジャパメタというものにほとんど惹かれたためしがなくて、メタルを日本語で歌うことのダサさ、オリジナル性や音の弱さ、洋メタルに追いつこうとしてる空しいあがきと劣等感・・・・
それをすべて払拭してくれたのが、まさかのイカ天出身バンドの人間椅子だった。
まぁこれは青森県出身という彼らの生まれそだった環境、サバス、ツェッペリン、クリムゾンなどの70年代HR嗜好、そして和嶋氏の文学への造詣の深さが絶妙な化学反応をきたした特異な産物。
それにしても、平成の時代に1stにおけるこの古々しさとこもりサウンドは、故意とはいえ常軌を逸していた。


6.『What's The Truth?』 / SxOxB(1990)


約4年前に、世の中を震撼させた元兵庫県議会の某議員による笑撃の号泣記者会見を覚えていらっしゃる方も多いかと思います。
あの某議員の盲滅法わめき散らす異常な記者会見は、不快というよりむしろ痛快さを覚えた方がほとんどだったのではないだろうか。
約30年前にすでにそのスタイルを打ち出し、世界中を震撼させたのが、グラインド・コアというジャンルを確立させた日本のSxOxBだった。
このSxOxBの極限まで突き詰めた音楽性とTOTTSUAN(RIP)のVoスタイルは、Napalm Death、Brutal Truth、Carcass、ジョン・ゾーンらに多大なる影響を及ぼした。


7.『VITAMIN』 / 電気グルーヴ(1993)


マトモとオフザケをゴチャマゼにした捉えどころのない極上の倒錯的音遊び。それが電気グルーヴの魅力だと思う。
彼らは間違っていない。音を思いっきり楽しんでいる。聴き手もそれを楽しんでいる。
いろんな意味でオモシロイことをやるのが彼らのスタイルで、そういう意味では彼らはブレているようでブレてない。
で、本作はマトモじゃないようでけっこうマトモだったりする。


8. 『セシルのブルース』/ 小島麻由美(1995)


ある日訪れた大阪のヴィレヴァンの音楽コーナーのBGMで流れてて一瞬で小島さんのガーリーな歌声に魅了されたのを今でも覚えている。
やっているのはレトロでオシャレなガールズロック、でもどこかぶっとんでいて異常、それでいてとってもピュア。
当時の退屈な日本の音楽シーンにおけるフラストレーションが一気に爆発したような小島さんの突き抜けたスキャットが絶品。


9. 『地球寄生人』/ SUPER JUNKY MONKEY(1996)


男優勢の当時の日本ハードコアシーンにおいて、唯一ハマったのがこの女性のみによって編成されたSUPER JUNKY MONKEY。
スラップバキバキのファンキーさや、ディレイがかったサイケ感溢れるギターワークなど、当時のクロスオーヴァーの時流にうまくのっかった一工夫も二工夫もある粒揃いの楽曲と、ガールズバンドならではのウキャウキャしたノリが、ただドス声かましてトンがってるだけの男のハードコアバンドとは一線を画していた。
睦(RIP)のVoスタイルは林檎とかにも影響を与えていたのではないだろうか。


10. 『Viva! La Woman』/ CIBO MATTO(1996)


バイリンガルなミホ&ユカによるガールズオルタナユニットCIBO MATTOによるサイケデリック、ヒップホップ、パンクと、雑食系のふたりの食いしん坊ぶりが炸裂したデビュー作。
非常にゴッタ煮感の強い混沌とした作品だが、それを彼女らのセンスと遊び心でオシャレにまとめている。
とにかくミホちゃんのキュートでぶっとんだラップが最高。


という感じで、とりあえず10枚まで。
なので3回に分けて発表していきますんで、乞うご期待。

ボツ画像



今日の1曲:『ツルっとフランス子守歌』/ ペダル踏弥
コメント (6)
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エヴィバディサンプリング

2019年04月06日 | コンサート
先週の日曜日、新インドア・フェス『Q』なる屋内フェスに、なんとなく行くことにした。
まぁVOIVOD終わってここ最近、休日は全くはかどらない部屋の整理くらいしかやることがなかったので。

決め手はコーネリアス、そしてゴダイゴまで見れちゃうということで。
思いきってS席を購入。

コーネリアスは『Point』くらいしかまともに聴いたことないんだが、昨年のツアーがどえらい評判だったんでまぁ一回くらいは見とかなあかんやろうと常日頃思ってたんで、ちょうどいい機会だと思って。

ゴダイゴも初だったが、タケカワユキヒデ氏に関しては、2年前近所のイオンの吹き抜け広場で拝見している。



ハナレグミに聞いたこともないバンドも数組あったが、いつのまにかクラムボンの出演が決まっていて、まぁ全然音源もってないんやけど、なんかラッキーな感じだった。
つかハナレグミの永積くんとクラムボンの原田さんは夫婦参加ってことか。


会場は神戸・ワールド記念ホール。
なんだかんだでここにはよく来るな。




この時期にこのTシャツを着ていったのは、いささか挑発的すぎたろうか?



会場から少し離れた国際展示場に飲食ブースがあった。
まぁそら大混雑ですわ。



1組目のバンドが始まるころには、この人だかりもサァーーーっとひいてけっこうガランとなった。
ん、このフェス集客大丈夫か?まぁ一回目やしこんなもんか。
ぶっ通しで見るのはきついと思って1組目はパスして、のんびり腹ごしらえを決め込んだ。

京都ぽーく亭の出店でデラックスサンドというのをオーダーしたんだが、なんか頼んだやつと違うみたいだった。



出演アーティストのグッズコーナーもあったが、なぜかゴダイゴだけなかった。



さて、リストバンドを装着し、いざライブへ!



今回はスタンディング席なしの全指定席のフェスティバル。そういうのは初めてかも。
チケット遅めにとった割には32列目となかなかの良席かと思われたが、けっこう遠いな。
まぁでも出演アーティストに気使うことなく、ゆったり座ったりできて私みたいなオッサンにはちょうどよかった。
あと、わりと空席が目立った。




2番目のペトロールズというバンドから見始めたが、座って見物。
立ちあがってのってるファンらしき連中を見ると、なんか若い健全なカップルが多いような気がした。
歌はあんま好みではないが、演奏はけっこう複雑なリズムセクションを展開していて巧かった。
とくにギターがなかなかいい音を奏でていたように思う。
やってる音楽もオシャレ感があって、まぁこういうファン層であるのも納得できた。




お次はクラムボン。
リハの段階で会場全体がかなり沸いた。やっぱ人気だね。
CMソングなどで聴いたら一発で本人とわかる原田郁子さんの個性的な生歌を初に聴けてちょっとテンションがあがった。
今年で20周年を迎えたらしいが、さすが中堅バンドたる安定した演奏力。まぁ1曲も知らんのやけど。
MCで次に控えてるゴダイゴの話題になって、ベースの人が「さっき楽屋で見たけど今日のゴダイゴのセトリはヤバいよ」って、そっから郁子さんが「みんなゴダイゴの曲でどれが一番好き?」とか、時間おしてるのに他のバンドの話で盛り上がってるという。中堅の余裕というものを感じた。


そして、いよいよゴダイゴの登場だ!
大御所バンドが中盤に配されたのは、ファンの年齢層を慮ってなのかな。

セットチェンジでリック・ウェイクマンばりの物々しい鍵盤セットが台車で運ばれてきたときは度肝抜かれた。


当時のゴダイゴメンバー6人に、サポートキーボードとホーン隊という大世帯編成。
それぞれ歳はいったものの、やはりロックミュージシャンたる風格をそれなりに出していたのに対し、タケカワユキヒデ氏の普通のオジサンすぎるスタイルがかなり浮いていたような気がする。
まぁ今更当時のキラキラした衣装を纏うのも恥ずかしいんやろうけど。

ただ、知ってる曲が一番多かったってのもあるだろうが、今回一番エキサイトさせられたのはゴダイゴだった。
セットチェンジが終わって、「モンキーマジック」のあのグルングルンしたイントロのSEが流れ出した瞬間トリハダが立ってしまった!
今思うと、あのイントロはピンク・フロイドの「走り回って」をかなり意識してるんじゃないかと。

当時からのものであろう握りこぶしで左右交互にチョンチョンとするタケカワ氏の地味な振り付けはご愛敬。
にしても、再結成時の評判やイオンでのソロライブで拝見してあまり期待してなかったんやけど、タケカワ氏、けっこういい声出してはったよ。
まぁあまり歌い上げないソフトリーな歌唱が彼の特徴で、ロックだからといって熱く歌い叫ぶだけが能じゃないっていう、上品さとしなやかさで勝負するタケカワ氏の唯一無二の歌声は絶品である。

「ヒット曲以外の曲をやってもいいですか?」といって我々の知らない曲のタイトルが告げられた瞬間、前列を陣取っていたのであろうガチのゴダイゴファンたちが「ギャーーーー!!!」という歓声を上げる。
この知らない曲コーナーで、ミッキー吉野氏の鍵盤をバンバンやる曲があってさすがの貫録を見せつける。浅野氏のギターも渋い。
外人ドラマー、トミー・スナイダー氏がソロで歌う曲も披露されたりと、けっこう盛り沢山。

楽曲のオリエンタルな侘しい曲調のせいか、タケカワ氏の哀愁を纏った歌声のせいか、ベタな名曲「ガンダーラ」で思わず目頭が熱くなってしまった(途中、歌間違えてはったけど)。
「ビューティフル・ネーム」の客席左右に分けて「ウーワウーワララララ~♪」のコーラス合戦させる面倒くさいやつはイオンでもやってはったけど、これはタケカワ氏の必須事項なのかな?
客にこういうことさせて勝ち負けをつけるのは、とても良くないことだと思う。
まぁでもゴダイゴの楽曲を聴いていると、ノスタルジーというか、なんだか古き良き時代のピースフルなあの頃を感じれてよかった。


永積タカシ率いるハナレグミは、間食しながらのんびり座って拝見していて途中で気付いたんだが、サポートメンバーにYOSSY(key)と石井マサユキ氏(g)がいるとは知らなかった。


そして一応本命であったオオトリのコーネリアス。
フロイドの『WALL』ばりにかなり大掛かりなステージセットが組まれていき、期待も高まる。
BGMに波の音が流れてて、サウンドチェックからもう光と映像の演出が始まっており、でっかい白い垂れ幕越しにメンバー4人のシルエットが大映しになり、大歓声が沸く。
いやはやかなりアンビエントな世界だ。年配の方はちょっとついていけないだろう(途中退席者もチラホラ)。私もついていけてるのか自身がなかった。
それにしても、あらきゆうこさん、よくあんなわけのわからないリズムを叩きこなすなぁ。




まぁ私くらいのにわかには「Another View Point」での映像演出が一番楽しめた。
これって電気グルーヴの領分じゃね?ってくらい映像サンプリングがぶっとんでて(全部許可とってんの?)、メンバーの演奏の凄いのになかなか視線がいかなかった。
今回のVJは、どうやら「Q」仕様に編集されたらしく、終盤で永積くん、郁子さん、そして(全盛期の)タケカワユキヒデ氏までもがサンプリングされてて笑ろた。

CORNELIUS - ANOTHER VIEW POINT (2008 LIVE)



コーネリアスのテクノロジーとユーモアを駆使した映像と生演奏の超人技なシンクロ感、神秘的で大掛かりなステージセットは確かに驚異的であったが、今回なんかタケカワ氏のまさかの手から蜘蛛の巣テープに全部もってかれたような気がするなぁ・・・・


まぁおそらく、このフェスが平成最後に見たライブとなってしまうのかな。微妙っちゃー微妙。
ちなみに平成になって最初に見たライブは、アルカイックホールでのオーバーキル初来日公演です。




さよなら平成。


今日の1曲:『ガンダーラ』/ GODIEGO
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