AMASHINと戦慄

~STARLESS & AMASHIN BLOG~
日々ブログレッシヴに生きる

太郎と信楽

2021年11月23日 | 名所ガイド、巡礼記
今秋、滋賀県立“陶芸の森”で『岡本太郎と信楽展』という催しが執り行われているという情報は、このイベントの主催者さんにSNSでいつのまにかフォローされていて、「おや?」と思ってページを見に行って知ることとあいなったわけですが、まぁ主催者さんの思惑通りということですわな。


主催者側の説明によると・・・

「岡本太郎が、1964年の東京オリンピックでの「競う」などの陶板レリーフ群や1970年の大阪万博での太陽の塔「黒い太陽」をはじめとした陶作品の多くを甲賀市信楽町で制作したことは広く知られています。
1971年には当時の信楽町名誉町民になっており、信楽との関わりは非常に深いものとなっています。」

とまぁ、私が生まれる以前の話とはいえ、敬愛する岡本太郎先生がわりと近いところの町で深い関わりがあったなんてことは今まで全然知らなかった。


今回、信楽産業展示館で展示されている作品は、あくまで「岡本太郎と信楽に関わる作品」であって、だいたい信楽で作られたものではあるんだけど、岡本先生のオリジナルでない作品やら、滋賀の作家さんが作った二次創作的なもの、中には最近発見されたもので信楽町の個人が所蔵していたおそらく太郎氏の作品であろうという曖昧なものまで展示してあるとのこと。





旧都庁の壁を飾っていたやつ。これは型やろな。型でもカッコいいね。



「顔」どうみても太郎作品以外のなにものでもないようだが、詳しいことはわかってないらしい。
開運!なんでも鑑定団に出してみてはどうかと。



岡本太郎先生が東京オリンピックから大阪万博の頃にかけてアシスタントを務められていた小島太郎さんに送った皿らしい。



「坐ることを拒否する椅子」これは信楽で作られたものらしいが、復元ものだとか。



「坐ることを拒否する椅子」 の配色パターンのメモ図なんかも展示されてあった。
カワイイね。



私の大好きな「犬の植木鉢」。これはオリジナルだとか。
諸星大二郎のマンガに出てきそうな異次元っぽい感じがたまんないね。



大塚製薬の社内で使われてたものらしい。行けばゲットできるのかな?
で、この紙コップの底にも顔はあるのかな?
紙コップの底に顔があってもいいじゃないか!!



「むすめ」というタイトルの陶器。娘さんがモデル?
中に蝋燭などを入れると目が邪悪に光る灯籠になる仕組み。



滋賀の作家さんの太郎オマージュ作品。
もの凄く邪悪な配色と宇宙的なフォルムが無貌の神ナイアルラトホテップを彷彿とさせている。



足元に太陽の塔の顔がいっぱい転がってるのがいいね。
なんかラムネみたいでおいしそう。一個ちょうだい。



ショップブースではタヌキはもちろん、岡本太郎グッズも盛りだくさんに売られていたが、来月はキングクリムゾンのライブで散財する予定なので、TAROグッズは控え目にしといた。

その代わりと言っちゃあなんやけど、まぁせっかく信楽まで来たので、ちょっと奮発して信楽焼湯呑みを2点購入。




本イベントは12月5日までやっているそうなので、興味ある方はぜひ。
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トーキング・タヌキ

2021年11月22日 | 名所ガイド、巡礼記
秋も深まり、紅葉もやうやう色づいてきたけど、別に行きたいところもない。
でも、その日はいい陽気だったのでどっか行きたいなと。

そこでふと思ったのが・・・・


そうだ!信楽へ行こう!


以前住んでたとこからもけっこう近場で、昨年身罷った父も仕事でよく訪れてたらしい地ではあったんだけど、多分私自身信楽へは今まで行ったことなかったと思う。


滋賀県東南部の山間に位置する陶磁器“信楽焼”の産地で有名な信楽町へは、今住んでる処からは車で約1時間くらいで行けたかな。

まぁ信楽町に入るやいなや、こんな感じの陶器屋がいたるところに点在している。



タヌキが1匹、タヌキが2匹、一にタヌキ、二にタヌキ、三四もタヌキと・・・
噂には聞いていたが、ちょっと食傷気味になるくらい陶器タヌキ三昧。
多分この地で生息している野生のタヌキより多いんじゃないかと。




おそらくこいつが信楽でいちばんでっかいかと思われる涅槃型タヌキ。
なるほど、タヌキ寝入りとはこのことかと(違うだろ)。



信楽町の中心街に着いて、まずはテキトーな店で腹ごしらえ。
なにが名物なのかよく知らなかったけど、近江鶏の親子丼というのをオーダー。

したらやっぱりタヌキが出てきた。
しまった注文する前に「タヌキ抜きで」というのを忘れてた。
うん、親子丼は美味であった。




ところで、私はなにもただいたずらに信楽町にタヌキを観に来たわけではなかった。

一応目的地があって、滋賀県立“陶芸の森”というけっこう大規模な公苑や展示館などが設けられている立派な施設。




ここでもやっぱりタヌキが出迎えてくれた。



タヌキ以外に、こんな名状しがたいクリーチャーの陶器像もあって、この信楽の地は私の所蔵する禁断の闇黒神話に出てくるなんらかの類の邪神と深く関わりがあるのではないかと。



この邪悪な陶器像を目撃した瞬間、私の中のイケナイ探究心がモラホラと疼き出したが、歳古りた母親も連れてきていたし、ちょっと施設内での催し事にも行きたくて時間も押してたので、それはまたの機会にと信楽産業展示館へと急いだ。




館内に入り、まず目に飛び込んできたのが、この催しの展示作品のひとつである魑魅魍魎な柄のピアノ。




実はこの日、このサイケなピアノで京都出身在住の松尾優さんというプロのピアニストの方の演奏が聴けるということで、興味をそそられてその開演時間に合わせて来館したという訳なんです。




演奏前、簡単な挨拶と自己紹介があって、ティックトック(これが未だなんなのかわからない)やYOUTUBEなどのSNSで「街中で突然何々を弾いてみた」みたいなフラッシュモブ的なヤンチャ動画もアップされたりと、やっぱ今どきのミュージシャンって感じ。

演奏中もアシスタント(?)の方が至近距離でずっとスマホで動画を撮っているっていう。
今は自己プロデュースの時代なんだな。



こういったミュージアムでは、バッハの「G線上のアリア」や、ドビュッシーの「月の光」、EL&Pの「庶民のファンファーレ」などの演奏が聴きたかったが、休日の行楽日和ということもあり、親子観覧者も多かったせいか、今全国のガキどもが集団ヒステリーぎみに熱狂している人気アニメおにめつのはのテーマ曲とか、中島みゆきのヒット曲など、無難な庶民的ナンバーのカヴァー曲中心のセトリだった。

そんな迎合セトリの中でも、本編ラストに演奏された松尾さん作曲のオリジナルナンバー(タイトル「愛」だったかな?)が一番感銘を受けた。


つづく・・・・
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炎の伝説

2021年11月16日 | やっぱりメタル!!
人前でQEENSRYCHEの事を話すとき、思わず「クイーンズライチ」と発音したら歳がバレますよとはよく言うが、私が彼らの音楽に出会ったのは、メタルを聴き始めてまだ1年も経ってない中学1年生の頃だったと記憶している。

その頃初めて購入したのが2nd『RAGE FOR ORDER ~炎の伝説~』だった。
確かB!誌での評価が高く、彼らのシンボルマークがデーーン!とあしらわれたいかにもメタル!って感じのジャケットのカッコよさにも魅かれ、「きっと素晴らしいメタルアルバムに違いない」と、もうワクワクして最寄りのワルツ堂で買った記憶がある。




ただ、1曲目の「Walk In The Shadows」こそオーソドックスなメタルナンバーではあったが、メタル歴1年足らずだった中坊の私にはこの作品の楽曲は難解というか、クセの強い展開の曲が多くてなんだかピンとくるものがなかった。ジェフ・テイトの凄まじいハイトーンも、まだウブだった頃の私にはちょっとアクが強すぎた。

メタル吸収意欲旺盛な頃だったのでそれなりに聴き込んだが、3曲目の「The Whisper」はいいなと思ったくらいで(今聴くとこれもリズムのとり方がかなり変)ジェフが湿っぽく歌うバラード曲もなんだか苦手で、同じ時期にメタル姉が買ってきたデヴィッド・リー・ロスの底抜けに能天気な『SONRISA SALVAJE』を聴いて一発でハマりもうそっちに夢中で、姉と交渉してこのクイーンズライチのアルバムとトレードまでしてしまった。

その2年後にリリースされた彼らの最高傑作と謳われた完成度の高い見事なコンセプトアルバム『OPERATION:MINDCRIME』は展開も分かりやすくスマートな内容で私もハマった。
ま、正直クイーンズライチのアルバムはこの3rdくらいしか聴いてこなかったと言っても過言ではない。


で、最近久しぶりに梅田のユニオンに寄って盤漁りしてたら、2nd『炎の伝説』のリマスター盤が安くで売ってたので思わず購入してしまった。
この作品はもう数10年くらい聴いてなかったと思われるが、久々に聴いてみて思ったのが、あの時代に彼らはすでにモノ凄く実験的でプログレッシヴな高水準のメタルをやっていたんだなって。
私の当時の反応は、ファーストガンダムの初回放送を見さされた小学生低学年のガキの反応みたいなものだったのだ。


まず、ジェフ・テイトの含みを持ったハイトーンには他の追随を許さない格調の高さと、並々ならぬ美意識を感じないではいられない。
それは、ブルース・ディッキンソン、ロブ・ハルフォードの比ではなく、わりと系統の近いマイケル・キスクやジェームズ・ラブリエなんかよりもレベルが高い。
3rdでもハイレベルなハイトーンを駆使し、見事な歌唱力でアルバム全体を表現しきっていたが、そこには若干の落ち着きも備わっていた。

が、この2ndではもうジェフのハイトーンが常軌を逸する程に爆発しているのだ。
ただただ(頭の悪そうな80年代初期みたいな)ハイトーンっていうのではなく、そこには確かな技術と知性とが備わっている。

もうジェフのこの佇まいからして、ハイトーン王たるただならぬ威厳さに満ち溢れているではないか!



私の苦手とするメタルバラード曲も、この頃のジェフの抒情性に富んだロマンティシズム溢れる歌唱で歌われると、もう陶酔するほかない。
特にラストの口笛なんかも挿入される「I Will Remember」は、中間のメランコリックなアコギソロも含め完成度が非常に高く、珠玉の名メタルバラードナンバーと言っていいだろう。


ところで、このアルバムが当時私を当惑させ、あまりにも特殊だったのは、随所に大胆なデジタルサンプリングを施している点にその要因があったと思われる。
それが特に顕著なのが、ほぼサンプリングで構成された「Gonna Get Close To You」。

なんかニューウェイヴっぽい。これは中坊の頃の私が困惑したのも無理はない。



本作を改めて聴き直して、デジタルの絶妙な効果が発揮された曲で、雰囲気といい、特に感銘を受けたのが、「Neue Regel」であろうか。
イントロからして次作収録の「Suite Sister Mary」の元ネタ的な雰囲気があり、ジェフのハイトーンにさらにエフェクトをかけて高次元のヴォイス感を醸し、機械的なリズム音が曲全体を支配するという。アウトロのピクハモの異様なループがたまらない。
クライマックス曲ともいうべきSF映画のような雰囲気の、その名も「Screaming In Digital」のベースラインをデジタルビートで並走させるというスリリング効果も絶大。


「Gonna Get Close To You」に関しては当時7インチEPも出ており、これがなんと2枚組!
各面に1曲ずつの計4曲。



上記の3曲はデジタルアレンジが比較的顕著な例で、他「Surgical Strike」、「Chemical Youth」等、全体的にはイギリス由来の伝統的な様式美を引き継ぐ割と普通にカッコいいメタルナンバーが殆ど。
そこへ随所に効果的なデジタルサウンドを切り込むこの絶妙なバランス感が素晴らしい。




この『炎の伝説』におけるメタルとデジタルの実験的融合は、曲の表現力を拡げ、作品をよりプログレッシヴで上質なものに高めることに成功した特異な試みだと思う。
それでいて、決してメタルアルバムとしての本分を失っていないのがこの作品の凄いところだ。
この作品の特殊性やインパクトは、当時ドリーム・シアターの連中にも大いに影響を与えたであろうことも十分想像できる。


う~む、このアルバムはひょっとしたら『OPERATION:MINDCRIME』よりも重要で、メタル史に語り継がれるべき問題作かもしれない。


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