AMASHINと戦慄

~STARLESS & AMASHIN BLOG~
日々ブログレッシヴに生きる

イタコマンガ

2018年12月20日 | 二酸化マンガ
先日のキング・クリムゾン大阪公演に向かう前に、船場センタービルで催されていたある作家さんの原画展へ立ち寄った。
まぁ先月手塚治虫先生のトリビュートフェス『キチムシ』に赴いたばかりだが、今回もそれとよく似た感じ。




数年前、素人作家さんの描く手塚治虫のパロディマンガがツイッター界隈を騒がせていた。
その手塚クオリティがハンパなくて、インディーズで商品化されるまでにいたった。

構図がマニアック。あえて黄変紙になってるところにこだわりを感じる。
私の所有している手塚マンガもだいたい黄変してるから。



つのがいという作家さんで、噂によると女性らしい。



作家になる前は凄まじいどん底生活を送っていたらしく、ある日ふとマンガを描いてみたくなって、誰でも知っている手塚治虫のマンガを手始めに、その画風を模写し出したのがキッカケらしい。
それまでは手塚マンガには触れたことがなかったとか。
そしてそれを非公式でツイッターにアップしていると、かなりの反響があったらしく、ついには手塚プロダクションの取締役である手塚るみ子さんからコンタクトがきたという。
で、訴えられるどころか手塚プロダクションの公式おかかえイラストレーターに抜擢されるという、まぁ言うなれば、現ジャーニーのフィリピン人ヴォーカリスト、アーネル・ピネダと同じようなシンデレラ経緯を辿っている。


今回のは公式採用されてから刊行した作品『#こんなブラック・ジャックはイヤだ』の第二巻の発売企画。
私も最初の第一巻は購入した。




私が赴いたのは原画展最終日。なので混雑はしてなかった。
それにしても、ギャラリーに訪れているのは女性ばっか。男は私ひとり。
子連れ、女子高生、フランス人と、老若女。




マンガ『#こんなブラック・ジャックはイヤだ』のレギュラー陣は、間黒男、ピノコの他、ドクターキリコ、その妹ユリ、ロック・ホーム。
この連中がドタバタコメディを繰り広げるというもの。

この展示マンガ読んでその場で爆笑している主婦もいた。



SNSマンガだけに意欲的にSNSアップを奨励(ただ、私はスマフォじゃない)。



クオリティも凄まじいが、手塚キャラを使って手塚プロダクションなどではありえないアレンジを施せるセンスがつのがいさんの魅力。



グッズもいろいろあったけど、BJもの中心で(まぁそれの原画展だから仕方がない)あまり欲しいものはなかった。



ガチャガチャ一回だけ。ハワイアンピノコが当たった。まぁまぁ。



マグネットも何の絵柄が当たるかわからん銀袋に包まれたやつだったが、一番欲しかった七色いんこを一発で引き当てた!



ほぼBJ作品だったが、イラストには奇子とかマニアックなキャラもチラホラ。



つのがいさんは元々手塚ファンじゃなかった人だから、まだそんなに手塚作品は手広く読みこんではいらっしゃらないのだろう。
でもこの人の手塚キャラ描写はほんと完コピというか、驚異的にクオリティが高い。
思うに手塚治虫が転生して、つのがいさんの右手の部分に憑依したんでねべがと。


なので、ブラック・ジャックもいいけど、我王、ハム・エッグ、アセチレン・ランプ、丸首ブーン、スカンク草井、たづ、占部、デーパ、ロビタ、平助、フースケ、シュマリ、イウレガ星人、ブグツギキュ・・・etc、いろいろな手塚キャラを描いていってもらいたい。





今日の1曲:『Don't Stop Believin'』/ JOURNEY
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会議場と戦慄

2018年12月15日 | コンサート
3年前の来日公演で、これで見納めとなるだろうと思っていたキング・クリムゾンだが、その後も意外と精力的にライブ活動を続けていて、案外早くに再来日が実現したのは、なんか拍子抜けといいましょうか、素直によろこんでよいのかと。


前回同様、私の大学の同期生の、そのまた後輩であるクリマン会員の方にチケットをとっていただいた。
感謝感激、ほんとうにありがたい人脈を持った。

今回はチケットの絵柄が4種類あったんだが、、、若干のハズレ感・・・・



残念すぎることに、今回大阪公演の会場は音響が最悪だとすこぶる評判の悪いグランキューブ(大阪国際会議場)に格下げ。
こいつが今回来日が決まってもなんか素直によころべなかった要因であったかと。

この会場には10年以上足を運んでないので、どんな建物だったかも場所も忘れてしまった。
アクセス調べてみたら、ウチからは交通の便がすこぶる悪すぎる辺鄙な場所だ。

殺風景な建物やなぁ。クリムゾン来日の垂れ幕くらい掲げとけよ・・・・



はぁ??「21世紀の精神異常者」でモッシュさせない気かよ!!



前回同様、開場1時間前に来てクリムゾングッズを漁りまくる。



キューブ内にコジャレたカフェがあったので、開演までの待ち時間そこで購入したクリムゾングッズをひろげてパスタとコーヒーを召す。



3年のうちに欲が出たのか、今回はSS席という前回より5000円高い席が設けられて、前列はVIPエリアとなった。
前回はS席料金で5列目という鼻血が出そうなほどの良席だったが、ケチなので今回はS席を選択。

まぁでも前から11列目と全然悪くない席で、むしろこっからの方がステージ全体を見渡せて良いんではないかと。
ただ、前回同様またしてもマステロット(左)側・・・なんでそうなる?


席に着く前に最前列まで赴き、ステージ上に絢爛豪華に並べられてある楽器機材類を見物。
今回は3機のドラムそれぞれバスドラの絵柄が3種類違うやつだ(意外と小っこい)。
カメラに収めたいが、デカい番犬みたいな係員がこちらを睨みつけてやがる。

席に着くと、フリップ翁自身による英国紳士調の「注意事項」がアナウンスされる。
拍手喝采。
そして前回よりひとり増えた8人のメンバーが続々登場して、ライブがスタート!


カタカタカタカタカタ・・・・というドラムのイントロで「なんだ前回同様、太陽と戦慄Part1か」と拍子抜け。
3年前は「生きてるうちにこの曲の生演奏が聴けるとは!!」と感涙ものだったが。
どうせ、間奏部分でメル・コリンズが「君が代」吹くんでしょ?ほら、やっぱり。

贅沢な話だが、我々クリムゾンファンはもう前回と似たようなライブは望んじゃいないのだ。
もう『宮殿』からは何もしてくれなくっていいよってなもんですわ。

しかし、やっぱ一筋縄ではいかぬのが我らがクリムゾン。
2曲目だったかな、『Beat』から「Neurotica」が演奏された!
ただ、地味に意外な曲過ぎて感激できない。演奏はカッコよかったが。
う~ん、今回のクリムゾンはなかなかやっかいだぞ。

ただ、次にまさか、あの曲がくるとはだれが予想できたであろうか?!

まず、今回の新顔ジェレミー・ステイシーであるが、彼は2016年のツアーで、ドラム兼キーボードのビル・リーフリンがのっぴきならぬ用事でツアーから離脱して、その代役としてツアーに加わったメンバーだ。
フリップ翁はあくまでトリプルドラムにこだわってるようであり、しかもリーフリンが戻ってきてもジェレミーを切らず、あろうことか彼をそのままトリプルドラマーの一員として起用するという。
なのでリーフリンは今回鍵盤のみの役割。



で、このジェレミー・ステイシーなんだが、ドラムはなかなかの腕前ではっきりいってリーフリンよりも巧い。
そして、「Neurotica」の演奏が終わったあと、我々はさらに彼に度肝を抜かれることとなる。

次の瞬間、彼はドラムの横に据えてある鍵盤(エレピ)を流麗に弾き始めたのだ!
その腕前は、ちょっと古くさい表現になってしまうがピカイチ!
翁どっからこんなヤツを見つけてきたんだ!?

しかもだ。この悲しげな旋律、鼓笛隊のようなドラム・・・なんか聴き覚えがある・・・・

まさか、まさか・・・・・・・まさかの「LIZARD」!?

こいつは今回一番の驚きだった。
しかも前日にたまたま棚から久々に引っ張りだして聴いてたもんだから感激もひとしお。
これはまさにジェレミーが加わったことで実現したものと思われる。まさかキース・ティペットの代わりができるドラマーなんざいるとは思わんかった。
「Islands」の再現も彼のピアノがあってこその選曲だったかと(リーフリンも巧いかもしれんけど)。

そして、これのTシャツ化も。急ごしらえ感ハンパないけど。



どのパートが演奏されたのかは不確かだが、ジョン・アンダーソンが歌ってた「ルーパート王子のめざめ」の歌はジャッコ歌ってなかった。
でもけっこう長かった。20分近くあったように思う。
「ピーコック物語のボレロ」~「ルーパート王子の嘆き」あたりが演奏されたのかな。
だから前列の人とか横に座ってる人とかがソワソワし出して、何人か辛抱堪らず途中退席。

つかこの注意書きはクリムゾンライブでは酷やで。
いつ終わるかわからんからタイミング難しいって!(膀胱炎なるわ!)


意外な曲はなおも続いた。
フリップ翁「Discipline」とか演りだしたし。
レアだが地味に小難しいだけの曲だ。もっとないのか、もっと!


で、こいつが今回のハイライトにして私の興奮が最高潮に達した時であった。
まぁ昨年あたりから海外ツアーでのウワサは小耳にはさんでいたし、動画もアップされていた。
しかしそういった音源映像はこの日の楽しみのためにいっさいシャットアウトしていたので、この曲が今回これほどまでに凄まじいことになっていようなどとは予想だにしていなかった。

スティック弾きトニー・レヴィンによるあの独特の緊張感のある怪しいリズムが奏でられた時は「きた!」と思った。

そう、「Indiscipline」である。

まずはパステロットが重厚でダイナミックなドラミングをかます。そしてそれに応えるかのようにきめ細かで技ありのフィルインをかますギャヴィン。新顔のジェレミーも負けじと応戦する。
この3者による掛け合いドラムバトルは徐々に激しさを増していき、3人の遊び心が混じったようなシンバル技での息ぴったりの掛け合いは実に見もので、見てて顔がニヤけるやらアドレナリンが噴出するやらで、こちらの情緒が不安定なことになっていた。
ここにきて、私はようやくクリムゾンのトリプルドラムの意義というものを見出すことができた。

前任者エイドリアン・ブリューがトリッキーに歌うのがこの曲の特色でもあったが、ジャッコはそれをメロウに歌いあげるというアレンジにもグッとくるものがあった。

最後の「I Like it!!」のところ、日本では「イイネ!!」になってた。
いや、そこは「やっぱ好っきゃねん!!」でお願いしたかった・・・


いや~、この今世紀最強のアンサブルには実に興奮させられた・・・・
私はこの時こう思いましたね。

「事件は現場で起きてんじゃない!会議室(場)で起きてんだ!!」と。


前半でこれだけスゴいものを見せられたもんだから、後半はもう下がっていくのみですよ。
「21世紀精神異常者」演らんかったし。
「Talking Drum」からの~「太陽と戦慄Part2」もなしーの、3とばしてまさかの「Part4」が演奏された。
まぁレアっちゃーレアだ。

今回「Moonchild」が演奏されて「オオっ!」と思ったが、後半のインプロ部分がなんかわけわからんくてそのまま「クリムゾン・キングの宮殿」に流れこむという展開。
「宮殿」の演奏が終わったぁ~っと思って拍手すると、インターバルおいてギャヴィンがシンバルをコチキンと鳴らしだして、今回は「帰ってきた魔女 あやつり人形のおどり」?まで完全再現。

「Easy Money」、そしてラストに「Starless」も演奏されてよかったんだけど、いや、もっとほかに聴きたい曲はあった。
「Fracture」とか「Great Deceiver」とか「船乗りの話」とか。




うん、でもまた来そうなので次回に期待すっか!


カメラをかまえるフリップ翁。
今回はギター弾いてる姿バッチリ見れたよ!



そして、平成30年の精神異常者(インクルーディング 散財また散財)



今日の1曲:『Indiscipline』/ King Crimson
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こぼれたミルクに泣かぬよう

2018年12月08日 | プログレッシヴ草稿
明日いよいよキング・クリムゾン大阪公演初日。
まぁ私は3年前に人生で初めて彼らのライブを体感したワケですが。
その時同行した学生時代からのプログレ友のサムソンの終演後の第一声が思い出される。

「いやー某プログレバンドなんかとは比べものにならない。ホンモノを見た!って感じ」

まったく同感である。
ただ、残念なことに、今回彼は都合で(ウチのカミさんがコレでっていう事情)一緒に観にいくことが叶わず、寂しく単身でのクリムゾン観戦。
まぁ前回のライブの豪華セトリで十分満足だったけど、また日本来てくれたのだから行くしかない。
思いや好みは人それぞれだが、ハッキリいってプログレ4大バンドの地位に君臨するクリムゾンのライブを観にいけるというせっかくのチャンスを逃すという行為は、愚鈍以外のなにものでもないと思う。
まだみたことない人ならなおさらだ。
まぁ私はそれを23年前にやらかしていて、悔やんでも悔やみきれない思いに一生苛まれることになったのだが。

キング・クリムゾンは、間違いないくライブバンドである。
それを思い知ったのは、私自身けっこう遅くて、あるときYOU TUBEで、あのしょーもない『Tree of A Perfect Pair』をリリースした時の来日公演のライブ映像を目撃した時であった。



「この曲確かあんま聴いてない『Beat』に収録されてた曲やったと思うけど、ライブでめっちゃ化けとるやんけ!!カッコいい!」と。
まさに目から鱗であった。
まぁトニー・レヴィンとビル・ブラッフォードという鉄壁のリズム隊だからなぁ。
そこにアヴァンギャルドなフリップのウネウネするような知的でありながらインプロめいたギターワークがはいずるまわるというカッコよさ!
私は即オンラインでその時のライブDVD『Neil and Jack and Me』を取り寄せた。
そしてこの時代にクリムゾンを生体験した上の世代の人たちを羨ましく思った。

そう、だからその時でたアルバムがしょーもないとか、曲あんま知らんとかの理由でクリムゾンの来日公演を見逃しちゃダメなんだと。
私は『THRAK』の時にその過ちを犯してしまったのだ。


そして、入れ替わりの激しいクリムゾンメンバーであるが、常に確実にカッコいい。
クリムゾンのメンバーに抜擢されるってことだけでも十分にカッコいいのだ。
(なお、オーディションに落ちたやつは、エルトン・ジョンであれ、ダサい扱いを受ける)



技術的な面からみても、ロバート・フリップ、トニー・レヴィン、そしてギャヴィン・ハリソンと、もうこの三者だけ抜き取っても十分バンドとして成立するゴージャスな面子だ。
16000円払う価値は十二分にあるだろう。

70年代からの盟友メル・コリンズなどもクリムゾンファンにとっては頼もしい存在だが、クリムゾンの面子が凄いのは、旧いメンバーであっても劣化を感じさせるメンバーがひとりもいないことである。
だから往年の名曲のテンポが遅くなったり、ソロパートがひどくなったりするようなことは、まずない。
まぁ曲あんま知らないバンドに16000円払うのを渋る気持ちもわからんではないが、もどきVoや劣化した同窓会的なメンバーの寄せ集めによる予定調和な懐メロライブを観にいくより、よっぽど観応えあると思うんだがな。

現ヴォーカルのジャッコ・ジャクスジクは、確かにクリムゾンのトリビュートバンドで歌ってた人で、私も3年前はかなり懐疑的な構えで観ていたんだが、まぁクリムゾンのヴォーカルってのは昔から流動的で楽器ついでってところもあり、時代時代タイプもかなり違う。まぁそこがクリムゾンのおもしろいところでもあるのだが。
なのでクリムゾンファンにとってヴォーカルってのはさほど重要ではない。
で、このジャクスジクは他のバンドのように、いわゆる“もどき”というワケではなくて、ちゃんと自分の味というものを持っていて、さすがフリップに抜擢されるだけあってとてもいいヴォーカリストなのだ。




まぁ私のようなムシケラ同然の人間がいくら「クリムゾンライブはすごい!!」と吠えたてたところでだれも耳をかさないってのが現実です。

なので、やっぱ有名人のこの方の語りをご覧いただければよいかと。

マリファナ自家栽培してるジャンキーにしか見えんのやけど。



予め最近のセトリを調べるような愚かなことはしない(まぁ海外ツアーでのウワサはたまに入ってきてしまうが)。
公演ごとにセトリを変えてくるらしいので、ヘタしたらくやしい思いもするかもしれない。

でも今回どんな曲が飛び出すのか?!


今からワクワクが止まらない。


今日の1曲:『Circus(inc.カメレオンの参上)』/ King Crimson
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ガリレオフィガロ

2018年12月02日 | しねしねシネマ
音楽にほぼ興味のない母(79)が、珍しく今秋みながこぞって感動した!と絶賛の『ボヘミアン・ラプソディ』に興味を示してたので、近所のシネコンに観に連れていってあげることに。
前日の報道番組でこの映画の話題にふれてて、どうもフレディの歌う「Bohemian Rhapsody」の歌メロに感銘を受けたみたいだ。
やっぱフレディの歌声は万人を惹きつける普遍的な魅力を持っているのだろう。

私とてかつてクイーンにはただならぬ感銘を受けた者のひとりであり、ほとぼりが冷めて映画館が空いてきたら観にいこうとは思っていた。
クイーンを聴くキッカケとなった曲は、まさに本映画のタイトルとなっている「Bohemian Rhapsody」で、中学の頃この映像で初めてクイーンの楽曲に触れて、かつてないほどの衝撃を受けたのであった。

BAD NEWS - Bohemian Rhapsody (official music video)



ただ、よくいる「なにがなんでもクイーンが最高!!」みたいな人種ではなく、ちょっと苦手な部分もあるし、一応70年代の作品はほぼ持っているけど、80年代のクイーンの作品になると全くといっていいほど手をつけていない。
紙ジャケリマスタシリーズも一枚も買ってないことからも、やっぱ自分にはそれほどじゃないんだろうな。

フレディ・マーキュリーの訃報はリアルタイムで耳に入ってきた。
姉(長女の方)が突然部屋に入って来て「フレディ死んだって!!エイズやってんて!」と知らされ、「ええーーっ!!(やっぱり)」となったのは覚えている。
まぁでも、それほどショッキングだったワケではなくて、「ボヘミアン~」かけながら喪に服すということもしなかった。
受験勉強で忙しかったし(全部スベったけど)、その頃はキング・クリムゾンなどのプログレに夢中だったので。


そんな薄っぺらい私のこの映画に対する感想ですので、ハッキリいってなんの参考にもならんと最初に言っておきます。
ただ、この映画を大絶賛しているクイーン好きのオッサンたちがこぞって言ってるように、クイーンファンはもちろん、クイーンを全然聴いたことない人でも、「I Was Born To Love You」がクイーンの代表曲だと思っている窮極のにわかさんでも、誰もが感動できる内容の映画!っていう意見は、それはちょっと言い過ぎでねべがと。

まぁメチャクチャ非難浴びる覚悟で言ってしまうと、ロックスターを扱ったよくある伝記映画かなと。
実はフレディがインド系英国人であることは、この映画を観て初めて知ったことであるが、その見た目の人種的コンプレックスをはねのけ、歌や詞、楽曲作りの才能を武器にのしあがり(元々裕福な家庭に生まれ育ち、教養もハンパなかった人みたい)、人気ロックスターの地位にまで昇りつめ、取り巻きの思惑などによるメンバー間の対立、そして繊細が故の孤独感、バイセクシャルというどうしようもない性的趣味の葛藤・・・・と、ある程度フレディという男の素性を知っていれば、この映画の内容は想定の範囲内であったかと。


この作品で話題になってたのが、主役フレディ・マーキュリーを演じるラミ・マレックの成り切りぶり。
誰もがこの役者の演技を大絶賛してて、確かに若い頃のフレディ(口ひげ生やす前)の姿なんかは特徴をよくとらえているなぁ~と感心してしまった。
フレディにとどまらず、他のメンバーもなかなかのクリソツぶりで、特にブライアン・メイ役がそん中でもハンパなかったかと。
あと、晩年のフレディのゲイ友達(と思われる)までソックリさんを起用しているという徹底ぶり。




クイーン大好きのオッサンたちが口をそろえて称賛してるのが「フレディの繊細な内面がよく表現されていてすごい!」っていうところ。
まぁ私はあんまりフレディ個人の性格も知らんかったし、映像も全然チェックしてなかったので、そういう所は未知の部分ではあったけど、あれだけの楽曲とエモーショルな歌声を聴けば、彼がいかに繊細であったかなんてことはなんとなくわかるし、まぁ繊細じゃないとあんな曲は書けんだろう。


映画の日ということもあって封切から3週間目にして劇場はほぼ席が埋まってて、まぁその大半がいかにもロック好きそうなオッサンたち。
私の隣の席の人も私より10くらい年上のオッサンだった。鑑賞している最中、クイーンの名曲が流れるたびにリズムをとったりしてて、まぁその鼻息の荒さからも興奮しているのがヒシヒシと伝わってくる。
ズンズンチャ!ズンズンチャ!の例の曲の場面になると、腰掛けてるシートが軽く揺れ出すのであるが、それはギミックでも最近流行りの4DXでもなく、後ろに座ってるロックオヤジによるものだ。
うん、気持ちはよくわかる。私とて映画館のあの大音響で「Somebody To Love」のコーラスや「地獄へ道連れ」のベース音を聴くと、口ずさんだりエア楽器したくなったりしたもん。
フレディが恋人メアリーに捧げた「Love of My Life」が流れたときも、学生の頃の女々しく淡い時代がよみがえったりなんかしてウルっときたし。

そして、クライマックス。あの1985年のウェンブリー・スタジアムで行われたライブ・エイドでの伝説のパフォーマンスが展開される。
己のやがてくる冷酷な運命を受け入れ、覚悟を決めたフレディの渾身のパフォーマンス。
彼のピアノ伴奏から始まる「Bohemian Rhapsody」が力強く歌われる。

「みんなさようなら 僕は行かなくちゃ

あなたたちを残して真実に向き合わなければならない

ママ(どちらにせよ風は吹くけど)

僕は死にたくないよ

時々思うんだ、僕なんて生まれてこなければと」


もちろんこれは彼がエイズに犯される前に書かれた曲だが、あたかも自分の運命を悟っていたかのようなストレートで痛烈な歌詞である。
この時フレディの運命を知っていた者(メンバーたちなど)は、どんな気持ちでこの歌を現場で聴いていたのであろうかと、今思うとウルっとくるものがある。

クイーン好きの批評家オジさんたちはこぞってこの場面で泣いたらしいけど、なぜか不思議と泣けなかったんですよね。
まぁこの曲は学生時代に散々聴いてきたし、カラオケでもよく熱唱してたし(カラオケ大嫌いで邦楽を全然聴いてなくてレパートリーがなかったもんで)もう飽きてたんかなぁ。
この映画がストレートでよくデキすぎてるってーのもあったと思う。ここでそうきたか!!という意表つく場面もなかったし。
いや、ま、そういう映画じゃないけど。

伝説のライブ・エイドの映像を散々観てきてるような筋金入りのクイーン好きとは、まぁ明らかに温度差はあると思う。
あの最後のライブシーンで感動しない方がどうかしてるぜ!!と言われても仕方がない。
なんか、あんま好きな曲演ってくれてなかったし、全部で4曲くらいだったかなぁ、それをガッツリフルで見せられてなんかビデオコンサートみたいになってた。
あれはクイーンの曲そんな知らん人には長すぎたんとちゃうか?私も長すぎると思った。
聞き違いかもしれんけど、あのライブの20分間を完全再現!って言ってる人がいて、後でYOUTUBEで確認したけど私の好きな「愛という名の欲望」の演奏シーンあったっけ?




あと、映画と関係ないけど、ロックバーなどによく置いてあるこの「クイーン・ボヘミアン・ラガー」なんであるが、これのラベルの絵柄ってようみたら『華麗なるレース』ですやん。
ラベルにはガッツリ「Bohemian Phapsody」ってクレジットされてあるけど、これでええの?




まぁどちらにせよ風は吹くけど。


今日の1曲:『'39』/ QUEEN
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