AMASHINと戦慄

~STARLESS & AMASHIN BLOG~
日々ブログレッシヴに生きる

谷弘兒さんについて

2019年02月27日 | ルルイエ異本
実は以前からなんとなく惹かれていた作家さんの画があって、私がよく購入する類の書物でときどき見かけてはいたんだが、それが同じ作家さんが描いたものであることが結びつかず、名前すらぜんぜんチェックしてなかった。

それが谷弘兒というイラストレーター、というかマンガ家。

先週突如この作家さんの作品が無性にほしくなってネットでいろいろ検索したんだが、情報があまりにも少なく彼のウィキペディアさえ存在しない。
一体どのくらい作品を発表されてらっしゃるのか?
そして現在も活動されているのか?

いてもたってもいられず、土曜日心斎橋にある某古書店まで足を運び、一目散に諸星大二郎や楳図かずおなどのカルト系作家の作品が並べられてあるコーナーへ赴き、目に見えぬ諸力につき動かされるがごとく、タ行の棚をスススーーっと探したら・・・・・あ、あった!!たった一冊だけ。
なんと入店してわずか2分で谷弘兒氏の作品を発見できてしまった。
その本は、あたかも私に発見されるのをそこでじっと待ち構えていたかのようだった。

作品名は『薔薇と拳銃』。
まさに私が求めてたやつだ。



いうまでもないと思うが、私がよく購入する類の書物といえば、やはりクトゥルー神話もの。
下の三冊に谷弘兒氏の画、あるいは作品の紹介文が掲載されている。




最初に谷弘兒氏の画に出会ったのは、おそらく創元推理文庫から刊行された朝松健編の日本人作家による書き下ろしクトゥルー神話アンソロジー『秘神界』だったと思う。
「歴史編」と「現代編」でそれぞれ2話で扉ページの画を担当されている。
はっきりいって物語よりも谷氏の画の方が大いに心騒がされた。

ファンタスティック!!



フングルイ・・・


本書の巻末に、谷弘兒氏のちょっとしたプロフィールも載っている。
1970年雑誌『ガロ』に「流星」でデビュー。作品に『薔薇と拳銃』『怪傑蜃気楼』などがある。
初めてクトゥルー神話に触れた作品は、コリン・ウィルソンの『賢者の石』だとか。
一番好きな神話作品は『時間からの影』で、「ラヴクラフトの独創性が最もよく表れた作品」と述べてらっしゃる。


そして心斎橋の某サブカルクソ古書店で掘り出した『幻想文学』の1984年刊行の春号「特集 ラヴクラフト症候群」。
その中に掲載されているラヴクラフトの全11ページに渡る平井呈一訳の『アウトサイダー』の各頁のユーモラスで悪夢めいた挿絵を担当したのが谷弘兒氏である。




谷画の特色といえばマス目模様の立体感。それが中世の宗教書の挿絵を彷彿とさせており、とても異界的な雰囲気が出てる。



かおかおかおかおかおかお・・・・・・



んで、あっち系のあるアニメが人気を博し、クトゥルー神話がプチブームとなった頃に刊行された500円の名状しがたき廉価コンビニ本『本当に恐ろしいクトゥルフ神話』。
クトゥルー関連作品紹介のコーナーで、今回私が幸運にも入手できた谷弘兒氏の『薔薇と拳銃』が紹介されている。
つかこの作品がマンガであったことに気づいてなかった。作者名もチェックしてなかったし。
たぶん表紙を見て、異界的な雰囲気をもつ幻想小説かなにかだと勘違いしてたんだと思う。

まぁこの初心者向けガイドブック、安っぽくて表紙もあれなんだが、いやいやどうして中身はかなり資料性に富んでいて、クトゥルー神話が絡むあらゆる媒体の作品群を網羅しており、谷弘兒作品もそうだが、殊能将之の『黒い仏』、C・A・スミスの『イルーニュの巨人』など、いくつかの希少で秀逸な作品にめぐり会うことができた。
なんといっても人間椅子の名曲「狂気山脈」が収録されている3rdアルバム『黄金の夜明け』まで紹介されているのはあっぱれというほかない。




とまぁ、今回は谷弘兒氏の私の知りうる限りでの参考文献を紹介するにとどまったが、ほとんどが絶版状態でいかんともしがたい。
先日『薔薇と拳銃』を掘りあてた(しかも状態もよく定価より数百円高かっただけ)のは、ほんとラッキーだったと言わざるをえない。
次回はその『薔薇と拳銃』について、たっぷり紹介していこうかと思うので、乞うご期待。




今日の1曲:『異端の息子』/ Witchcraft
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ダブ映画

2019年02月10日 | しねしねシネマ
フォローしているTicaの武田カオリさんが珍しく何回も宣伝リツイートしてたのが気になって、『SAVE THE DAY』というフィルムライブ的映像作品を、大阪一週間限定上映の最終日に心斎橋のシネマートまで仕事終わってから一目散でかけつけすべりこみ鑑賞。




昨年6月渋谷WWWにて、ダブプロジェクトSILENT POETSの25周年を記念し、“SILENT POETS SPECIAL DUB BAND”として初めてのフルバンドセットで豪華客人を迎えての一夜限りのスペシャルライブの模様を収録したもの(チケットは即ソールドアウトになったらしい)。




恥ずかしながら昨年本ライブが渋谷で行われていたことも、SILENT POETSの存在すらも知らなかったが、サポートを務める面子が私が20代後半~30代にかけてちょっとカジってよく聴いてたダブ系バンドの名手たちが名を連ねており、ざっと紹介すると・・・・

Guitar : 小島大介 (Port of Notes) | Bass : Seiji Bigbird (LITTLE TEMPO) | Keyboards : YOSSY (YOSSY LITTLE NOISE WEAVER) | Drums&Per : 小谷和也 (PALMECHO) | Trumpet : 坂口修一郎 (Double Famous) | Trombone : icchie (YOSSY LITTLE NOISE WEAVER) | Sax : 春野高広 (LITTLE TEMPO / ex SILENT POETS) ・・・・etc.

YOSSY&icchie夫妻に関してはDETERMINATIONS、BUSH OF GHOSTS時代によく関西の場末のライブハウスまで足を運んだもんだが、聞くところによるとicchieは今じゃミスチルのツアーメンバーに抜擢されるほどビッグな存在になってるとかいないとか。

そしてゲスト陣にはこだま和文, 武田カオリ(Tica), asuka ando・・・・etc.

あと5lackはよく知らないんだが、このライブで披露された曲は確かCMでよくかかってた曲で聴きおぼえがあった。



映画冒頭にジャマイカ人ぽい外人のDJさんが出てきて、Silent Poetsの魅力についてペラペラと捲し立てるのだが、最初てっきりこの人がこの映画を撮った監督でドキュメンタリータッチ構成なのかなと思ったが、その人はそれっきりで、あとはガッツリ(フル?)ライブシーンが映し出され、ダブサウンドの音響に沿った神秘的なグラフィック映像や、NHKの『プラネットアース』ばりにクオリティの高いネイチャーな映像をシンクロさせるという趣向。

正直Silent Poetsの楽曲は、まぁ生演奏だからそれなりに肉感的でいいんだけど、全体的にシリアスすぎてちょっと気分が重くなってくる。
ストリングスが入るところなど、オシャレな映画のBGM的な音楽で洗練されすぎてるというか、ビョークの『Vespatine』ツアーの映像を見ている感覚に近いあの寒冷地然とした冷たさを感じた。
まぁこの時期に見るにはちょうどいいかもしれんけど。

で、asuka andoさんの歌うアップテンポなレゲエナンバーや、5lackの捲し立てるアッパーなヒップホップナンバーでようやく気分が上がれるという。
こんなこというとファンの方に「オマエはSilent Poetsを何もわかっちゃいねぇ!」と誹られるかと思われるが、まぁその通りです。


そしてTicaの武田カオリさんが他のゲストよりもちょっと多めにフィーチャーされていて、映画タイトルにもなっている”SAVE THE DAY”も彼女が歌っている。

劇中で、カオリさんが神々しく歌う「Asylum For The Feeling」にめっさ感銘を受けたのだが(プロモ映像とのシンクロがまたよかった)、レコーディング音源はどうやらカオリさんの声質に似たタイプの外人さんが歌っているようだ。

区別つかないくらい似てるけど、個人的には武田カオリさんの歌声の方が深みがあっていいと思う。




このライブはやっぱ生で見たかった。
まぁ鑑賞後久々に音源購買意欲は湧いた。


今日の1曲:『Asylum For The Feeling』/ SILENT POETS
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