AMASHINと戦慄

~STARLESS & AMASHIN BLOG~
日々ブログレッシヴに生きる

ラストナイト・イン・キョートー

2021年12月31日 | しねしねシネマ
今年もあと数時間、この一年もあっという間に終わっちまった。

今年最後のしめくくり記事は、なんや映画の感想にあいなったわけだが、まぁ一昨日駆け込み鑑賞してきたばっかで、その作品がことのほか面白くて、こんな感情を揺さぶられたのは『カメラを止めるな!』以来かと思われる。
もう観終わった瞬間「ザッツ・エンターテイメント!!」と叫びたくなったくらい。

それは、エドガー・ライト監督の『ラストナイト・イン・ソーホー』というイギリス映画。

この作品、とくに話題になってたというワケでもなく、監督の名前も主演女優の名前も全然知らなかった。
まぁ洋画自体が昨年の夏に観た『エレファント・マン』4K復刻版以来で、すでに映画鑑賞に興味をなくしまくってる私がこの作品を観に行く気になったのは、長期休暇でヒマだったという他に、なんかフォローもしてない著名人のツイートが舞い込んできて、この作品を大絶賛していてなんとなしに面白そうだなと思ったからに過ぎなかった。

一番近いところで、MOVIX京都で上映されていたので、電車に乗って河原町は三条くんだりまで赴いた。
劇場に着いて、目的の映画のポスターを探したがどこにもなく、人気俳優多数出演の邦画ポスターが殆どのポスター枠を占めていた。
若者の洋画離れはいよいよ深刻化しているということなんだろうな。




レイトショーだったので客は4、5人くらいだと想定してたら、20人くらいだったかな、意外と入ってた。
男女半々くらい。みなだいたい一人身。

物語は、いきなり主人公の女の子が「サウンド・オブ・ミュージックかいな」みたいなノリでミュージカル風に登場するところから始まる。
そこでまず男性諸君は、この主演女優の無邪気なダンスとチャーミングな容姿に惹き込まれてしまうであろう。
バックで流れていた音楽は、どうやら60年代のイギリスで流行ってたと思しき懐メロナンバーで、この主人公エロイーズは、田舎でくすぶっているファッションデザイナー志望の女の子。
ロンドン・ソーホー地区にあるファッションカレッジに入学が決まり、オールディーズのレコードとポータブルアナログプレイヤーをカバンに詰め込んで下宿先に持ちこむほどの60年代カルチャーオタク。そこにまた好感を持ってしまうという。

ただ、彼女にはもうひとつやっかいな素質があって、それは見ちゃいけないものが見えてしまうという、第6感的な能力。

エロイーズは下宿先で、その部屋に住んでいたのであろうロンドンで歌手を目指していたサンディの夢を毎晩見続けることになるのだが、その夢の中で時には自分自身がサンディとなったりしてシンクロを繰り返し(ここでの鏡を使った万華鏡的映像トリックは見事というほかない)、60年代ロンドンの煌びやかなエンターテイメントの世界へとタイムスリップしていく。

この60年代イギリスのオールディーズをフィーチャーした目眩くスピード感溢れる一種ミュージカル仕込みの展開は、もう観ていて本当に心踊らされるものがあり、鑑賞者自身が60年代のスウィンギンロンドンを疑似体験させられてるかのような感覚を覚えるという、ある意味トリップムービーの様相を呈している。
もちろん私はイギリスのオールディーズには全く詳しくないが、ジョージ・ハリソンが80年代ソロで歌ってたこの曲ってカヴァーやったんやということは気づいた。




そのサンディの夢は、エロイーズの現実の世界でも影響を帯び始め、地味な存在だった彼女は、サンディと同じブロンドの60年代ファッション風のヘアスタイルにするなど、カレッジでもそれが逆に注目され、徐々に頭角を現し始める。
が、それと同時に奇妙なことも起き始め、どうやら昔のサンディを知ってるくさい謎の老人に付きまとわれるようになり、ここからクライムサスペンス要素も加わり始める。

やがて、憧れだった60年代ロンドンの華やかなエンタメ世界の夢には、顔を背けたくなるような裏の黒い部分も徐々に見えてくるようになり、それはいわゆる枕営業とか(男の論理が支配する世界とでもいおうか)そういった類のものだが、エロイーズがサンディを通して垣間見たものは、それよりもっと過酷な実状であった。
まぁこの部分がこの映画がR-15である由縁であろう。

そして、下宿先の部屋でサンディが巻き込まれた陰惨極まりない惨劇が、エロイーズの心を徐々に徐々に蝕んでいく。
まぁこっからはゾンビ映画ばりのホラー展開になるわけだが、ちょっとやり過ぎやろというくらいひつこくて正直ゲンナリさせられるんだが、結末は『ショーシャンクの空』ばりに見事。


最初から最後まで息をつかせない、もう本当にいろんな映画要素、そして現代にも通ずる業界への問題提起なども込められた感もある、且つ整合感をも伴った完成度の高いよくできた娯楽映画だと思う。

一番近い映画でいうと『パーフェクトブルー』ということになるのかもしれんが、個人的には『ムトゥ踊るマハラジャ』に通ずるテンコ盛りのエンターテイメント性を感じてしまった。




いや~、年の瀬の最後にいいもん観たなぁ~って感じ。



映画鑑賞前、四条通りで再びROBITくんを見かけて、そのパフォーマンスを観て幸せな気分になれたのもよかった。
(思わず投げ銭してしまった)




前回彼を見たのは確か今年の春、和田ラヂヲ先生のサイン会に行ったときだった。
なんかヴィジュアルが私の大好きなBUCKETHEADに似ているのもあって、親近感を感じるんだよなぁ。

握手を求めてきた女の子に消毒を施すROBITくん。



それではよいお年を。
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クリムゾンロス

2021年12月19日 | プログレッシヴ草稿
先週12月8日、東京・Bunkamuraオーチャードホールのライブで、キング・クリムゾンの日本での全公演が終了。


そう、終わってしまったのだ!


トニー・レヴィンは自身のツアーダイアリーの中で、「今回のツアーは、バンドの最後の日本公演として発表されていますが、キング・クリムゾンの最後のツアーである可能性が高い」と記している。


また、クリムゾン研究の第一人者であるシド・スミスはSNSに、

「1972年のこの日、キング・クリムゾンのコンサートを見て、私の人生は変わりました。
2021年のこの日、キング・クリムゾンはステージ上で最後の音を奏でました。
信じられないような旅をしてきました。
この冒険に参加し、特別なものにしてくれたすべての人に深く感謝しています」

と投稿し、クリムゾンのSNSはこれを共有しているとか。


まぁ、だからといって別に感傷に耽っているわけではない。
もうこの6年間で十分楽しませてくれたからね。
この編成で、もうこれ以上のものは望めそうもないなってのは、今回のライブでなんとなく感じたし。


つか一生観れないと諦めてたのに、3回も来てくれるとは思わなかったよなぁ。
おかげでパンフレット3冊も買わされたよ。

中身の内容はほぼ一緒。



問題:どれがどの年のフリップでしょーか?



人前でなかなか着られないクリムゾンTシャツやアパレルも随分と増えたもんだ。
ちなみにREDTシャツを着て近場の温泉施設に赴いたら、そこの受付の兄ちゃんに「REDじゃないですか!そんなTシャツどこで買ったんですか?」と指摘されたのはおもしろかった。




なお、今ツアーで購入したクリムゾンTは以下の通り。今回は3着。

まず、ロゴだけのシンプルなやつ。
これは通学とか近所のスーパーに買い物に出掛けるなど、普段人前でも着れる感じの手頃なカジュアルTといったところ。
クリムゾンの深遠なる世界を知らない若い女の子にも「そのTシャツ超かわいいーっ」なんて言われてモテモテになるかもしれない。



これは終演後に迷いに迷って購入した今回のツアーアートになったやつ。
『貴婦人と動物たち』といったところか。今流行りのケモナーに通ずる要素も。
クリムゾン最後のツアー記念品として購入を決断したところがあるので、部屋の片隅に絵画よろしく飾っておくのがベストかと。



クリムゾンファンはこの『太陽と戦慄』柄に滅法弱い。私も今回で3着目(Pt.3)だ。
これはいわゆる勝負服ってところかな。
DJイベントとか、心に決めた女の子に告白する日とかに着ていくのには持ってこいかと。
『太陽と戦慄』は溶解とインプロヴィゼーションを繰り返しながら、連綿と続いて行くのである。




クリムゾンの今世最後となるであろうライブが終わり、心にポッカリと穴が空いたようなやるせない寂しさに打ちひしがれているファンも少なくないかもしれない。

クリムゾンファンってのは、その音楽嗜好からいって心に歪みを持ってる孤立した人が多いって印象なので周りに共感者も少ない気がする。
私もどっちかっつっとそういう種類の人間なので。


そんな人は、大阪心斎橋のロックバー“STARLESS”の扉を叩くのもいいかもしれない。



まぁ実は今回も終演後、前回の大阪公演以来久々に私も訪れたのであるが。

扉を開けると、すでにできあがってたクリムゾン帰りのプログレマニア集団で席がいっぱいになってて、私は隅の方でその輪に入ることもできず、飲めない酒をチビリチビリやりながら「やっぱ来るんじゃなかった」という後悔の念に打ちひしがれていた。
店内では、私が今なお馴染めないでいるマクドナルド・アンド・ジャイルズの曲が流れていた。
1時間くらいでその集団も一人残らず帰ってしまい、さらにミジメな気持ちを抱いていたら、しばらく疎遠になってた(彼も確か前回の公演以来)恐ろしく音楽趣味の合う(しかもクトゥルー神話好き!)知り合いが来店してくれて、ほんと心から救われた気持ちになった。

そして始発までの長い夜、オールで音楽談義に花が咲いたのでした。


名古屋のロックバーの件もあったし、ひょっとしたらメンバーが店を訪れるんじゃないかというクソ甘い期待を胸に一応持参してたキャットフードのEPと、ライブ前寄ったキタのユニオンで安くで購入したMr.ミスターのLP。



バブル期でチャラチャラしていた頃のマステロット。
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再び赤い悪夢 ~ そして終焉

2021年12月11日 | コンサート
変異株が次から次へと更新され、終息のめどのたたないコロナ禍で、海外のアーティストの来日がなかなか実現しないこのご時世に、早い段階で日本に行くことを表明し、今季ほんとうに日本にやって来てくれたキングクリムゾン御一行。

私自身、まさかこの6年間で3回もクリムゾンのライブを拝めるなんて思いもしてなかった。
まぁ2018年のライブでもう十分堪能したって感じだったんだが、こんな状況下なのにまた日本に来てくれたんだから、そらもう観にいくしかないだろう。

しかし、今回の来日も間一髪って感じで危なかった。
日本が全世界からの外国人の新規入国を原則停止した際、クリムゾンのマネージャーであるデヴィッド・シングルトンが言うには、「10日後にツアーを開始していたら来日は不可能だったろう」とのこと。
おーこわ。

実はクリムゾン来日情報を見逃していて、クリマンの先行はとっくに締め切ってたのでぴあ経由でのオフィシャル先行にとりあえずエントリーしたら、第一希望だった大阪公演2日目に見事当選した。

チケットは「なかなか郵送されてこぉへんなぁ~」とヤキモキしてたら、公演日の2週間前に届けられた。
2015年は5列目、2018年は10列目、そして今回は15列目と、なんか3年おきに5列づつ下げられるという謎のペナルティを課せられているようであったが、真ん中の真ん中らへんで悪くないんじゃないかと。



前回誘っても乗ってこなかった学生時代からの数少なきクリムゾン理解者サムソンが、今回は躊躇なく参加を表明してくれて大変心強かった。うむ、賢明なる判断だ。
彼と会うのも1年半ぶりくらいか。
ちなみにサムソンはフェスティバルホールから歩いて10分のところで店を営んでいる。

よぉ6年ぶり!



ディスクユニオンで20分くらい盤漁りしてから(過去最短!店内では「Starless」が流れていた)徒歩でフェスティバルホールに赴き、先行物販の列に並ぶ。
意外と人は少なめ。皆もう3回目だから商品が滅多に売り切れになることはないということがわかっているのだろう。ていうか平日だからか。




来場者登録。面倒くさいがまぁこのご時世だからShoganai。



15列目のほぼ真ん中の席でかなりいいポジションではあったが、贅沢な話今まで5列目10列目を体験してきてるので、ステージから意外と遠いなという印象を受けた。
周りはなぜかけっこう連番で空席があった。どういった事情なのか?


もう今回で3回目で、同伴者サムソンと談笑に耽っていたこともあり、それほどのワクワク感も緊張感もないまま、今回で最後になるであろうクリムゾンのライブに臨んだ。

オープニングはいきなりトリプルドラムソロから。そっから「Neurotica」へと。
前回演ったときは意外性を感じたが、これは1回見たしいいかなという感じ。
「Red」~「Epitaph」~「冷たい街の情景」と、70年代の名曲が続くがこれも上記のような冷めた心情だった。
私のライブでの不感症は年々酷いものになってきているというしかない。

前回心底興奮させられた「Indiscipline」でのトリプルドラムは今回もかなりハッスルでけた。
もうあのリズムが展開し出した瞬間「キターーー!」ってなったもんな。
この楽曲はクリムゾンの中でもほんとうに独特の緊張感と遊び心を持ってる曲で、各時代の編成によってそれぞれのライブアレンジのおもしろさがある。

演奏してる本人らも本当に楽しそう。



その後ライブで初に聴けた「One More Red Nightmare」にしてもたいして感激を覚えず(なんやこの曲でみんな手拍子せえへんのや)、「Moonchild」でウトウト気を失いかけてたころに、あのフォ~~~~というなんとも形容しがたい聞き馴染みのある不穏なSEが・・・・・!!

バチン!と一気に目が覚め、思わず隣のサムソンの方を見て、「キタっ!!」とアイコンタクトを交わした。

敢えて言おう、「21世紀の精神異常者」と!!

この時ばかりは控えめながら客席も沸いたし、私自身6年ぶり(前回外された)の「21世紀」だったので、定番曲には冷めていたとはいえ7者による怒涛のアンサンブルが展開するやもう興奮せずにはいられなかった。

この楽曲のハイライトともいうべきユニゾンとブレイクを繰り返すあの場面で、あ~あ、ダメだっていってるのに前の方の人歓声上げてしまってたなぁ。
でも気持ちはよくわかるし、なんか微笑ましかった。いや、これって演者というか、曲がほとんど煽ってるようなもんでっせ。
それにしても、やはりこの楽曲のスリリングさと高揚感は凄まじいものがあるな。
ようやく来たぜ鳥肌&サムイボちゃんたちが!俺の全身を駆け巡ったぜ!


そしてこの曲で、ようやくギャヴィン・ハリスンのバケモノ級の超絶ドラムソロを真正面から拝むことができた。
やっぱ凄いわ・・・今回はなんか6年前よりもより気迫が感じられる渾身のプレイだったように思われる。
鬼のようなツーバスに豪快かつパワフルなタムまわし、そしてキメ細かなシンバルさばきと、もう極上すぎる!

私が高校生のとき衝撃を受け、世界で一番好きな曲といっても過言ではない「21世紀の精神異常者」で、今世紀最大のプログレドラマー、ギャヴィン・ハリスンの生プレイが堪能できるなんて、こんな贅沢はそうない。

ほんとうにクリムゾンを好きでよかった。




ただ、その後の第2部で、「太陽と戦慄 Pt.2」のときブレイクするタイミングを間違って、ギャヴィンさんかなり凹んでおられたご様子で、しばらくプレイが大人しかったな。
でもそんなカワいいギャヴィンの姿が拝めたのもまた貴重であったかと。
超人ギャヴィンをもミスらせるという怪物ライブバンドクリムゾンで演奏することの難しさや緊張感がわかろうというものだ。


中途半端な曲で第2部の本編が終わったので、アンコールはもう「Starless」だとわかってしまう予定調和なフィナーレ。
まぁこれは前回と一緒で、正直この面子での「Starless」はカチっとしすぎててあまり迫力がないんだけど、これがもう最後かと思うとやはりメル・コリンズ奏でるあの哀愁のメロディが心にグッと響いてくるものがあった。


まぁ意外性は0のセトリで、前回と前々回とのセトリを掛け合わせた、まさに“集大成”なライブだったなぁと。

「船乗りの話」、「Elephant Talk」「偉大なる詐欺師」、「Fructure」・・・
この辺の曲が1曲でも演奏されてたら、もっと違う印象のライブになってただろうな。

大阪2日目。12/3(金)セトリ from Tony Levin



そして、終演後恒例の激写タイム。


見届けた。確かに見届けた。



やっぱこの席からはなかなかいい写真が撮れない。
かろうじてマステロットのドラム。




本当に、本当にこれで最後になっちゃうの?

ああ、だめだ・・・・ズームしても涙でフリップの顔がよく見えないや・・・・

って!よー見たらジャッコやんけ!
いや、彼もいい仕事してた。よかったよ!




ロバート・フリップ・・・・

他のメンバーがハケてからも、余韻を楽しむかのように、しばらくひとりでステージに残っていてくれていた。



ああ、ロバートがいってしまう・・・・・


Mattekudasai・・・・・



いやしかし、引退をほのめかしながらも、その後凄まじい面子を引き連れ、3回も日本に来てくれてほんとうにありがとう!


どうせまた来るんでしょ?
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