AMASHINと戦慄

~STARLESS & AMASHIN BLOG~
日々ブログレッシヴに生きる

はじめてのキチムシ

2018年11月11日 | 名所ガイド、巡礼記
私がアホかっちゅーくらい手塚マンガが大好きなことは、本ブログを閲覧して下さってる少数の方にはご周知のことかと思われるが、そう、今年は手塚治虫生誕90周年という節目の年で、色んなところで手塚マンガの二次創作的な企画が雑誌やギャラリーなどで展開されている。
ただ、手塚マンガ原理主義者の私としては、二次創作モノにはどうしても興味が湧いてこず、もう最近のマンガ家の画力のないタッチでアトムやブラックジャックやピノコなんかを描かれるとヘドが出そうになってしまうほどである。

そんな私が、先週の土曜に突如思い立って(夕方5時頃)高速バスをネット予約し、東京は吉祥寺へと赴いたのは、我ながら衝動的にもほどがあると呆れ果てる限りである。
この吉祥寺で毎年文化の日の11月3日あたりから期間限定で催されているあるイベントが実は4年前から気になってしかたなかったのであるが、行こうか行くまいか迷ってる内にイベントが終わってしまい、結局今まで一度も行けてなかった。

そう、『手塚治虫文化祭 ~キチムシ~』である。
『キチムシ』は、2015年あたりから手塚治虫先生のご息女手塚るみ子さんが企画し始められたイベントで、手塚先生の誕生日である11月3日に標準を合わせて吉祥寺の「リベストギャラリー 創」にて毎年開催されるようになった。

様々なクリエイターさんによる手塚治虫作品しばりのマーケットフェスで、数人からなるマンガ家、イラストレイター、造形作家、デザイナーさんがこぞって自由な発想で手塚マンガの二次創作に挑み、それをTシャツやポストカードやシールなどに商品化して販売するというもの。
まぁ要するに、手塚ファン専門のコミケみたいなものだ。
作家さんの名前はあんま知らないが、なんかどっかで見たことある画風の作家さんが毎年多数参加されていて、有名どころでは過去に江口寿史、諸星大二郎、そして今年はエッチなマンガで有名な弓月光先生がこの手塚二次創作フェスに参加されている。

過去の名作群。妄想だけで商品化されなかったものもアリ。
    

まぁ手塚マンガ原理主義者としては、写実すぎたりオリジナリティが出過ぎている作家さんの「どこが手塚キャラやねん!」みたいなものには正直あまり魅かれるところがなく、ツイッターに挙げられる作品を見ては「魅力的なのも数点あるんやけど、交通費ばかにならんしこれだけじゃな」って、毎年吉祥寺遠征を見送っていた。
でもいつかは行こうと思っていた。なんかイベントの雰囲気も楽しそうだし、中にはほんとシャレの効いたセンス抜群の作品もあるので。
それと周りに手塚マンガ好き皆無なもんだから、そういう人たちにも会ってみたいし。

ただ、今回もなんかこれといって魅かれる商品がなく、今年もやっぱやめとこうと土曜日はボーっと過ごしていたのだが、るみ子さんのつぶやきで「キチムシは今年で最後」っていう悲しいアナウンスを聞かされ、夕方頃に風呂つかってたらなんだか悶々とした気持ちになって、気づけばネットで高速バスの今夜の便を調べ始めていたのであった。


そして日曜の朝、生まれて初めて吉祥寺の地に降り立った。
けっこう栄えていて、なかなかいい雰囲気の街だ。



サンロード商店街を抜けて五日市街道沿いを歩いていくと、イベント会場である「リベストギャラリー 創」がすぐに見つかった。
ツイッターで毎年かなり混雑して人数規制がかかると聞いていたので、開場は12時であったが10時半くらいに赴いたら、さすがに誰も並んでなかった。



なので、近所のハードオフで時間をつぶすことに。
もうそろそろかな?今日は普段めったにつけない腕時計をしていることをつい忘れちまう。



11時半くらいにギャラリーに行くと一気に人だかりができていたので焦った。
でも混雑というほどではなく、余裕をもって会場入りできた。


客はやっぱ私よりも年寄り目の方が多かったが、わりと老若男女。
このイベントに赴く人は、やっぱ手塚マンガの本質的なおもしろさや凄さをわかっている方が殆どであろう。
私の後ろに二人の女の子を連れた私と同じくらいの歳の女性が並んでいた。
女の子たちは画廊をのぞきこんで、「あ、ユニコだ!」「あ、写楽だ!」と目を輝かせておおはしゃぎしていた。母親の教育がよいのだろう。
でもいずれ彼女たちも、もう何年かしたら手塚マンガなんか忘れて、その時流行っているイマドキのアニメとかに傾倒していくんだろうな。私も私の甥っ子もそうだった。
彼女らが黒手塚作品に出会うのはいつの日のことだろうか・・・・・


入ってすぐの壁に、イタコマンガ家田中圭一先生の作品が飾られてるのが目に入った。
スリッパの裏に手塚キャラを描くというこの冒瀆感とユルさ加減。さすがである。



とにかく目をつけていたものをかたっぱしからカゴに放り込んでいった。
ちょっと迷ったやつもあったけど、売り切れたらかなわんし躊躇してはいられなかった。



毎年ユニコグッズは多い。まぁかわいいし女子には大人気だろうね。
この浅田弘之氏のユニコ作品はカッコいい。この刺繍の入ったジャケットとかも売ってた。



まぁでもやっぱプロの腕利きの作家さんが手がけているものばかりだから、そりゃ高価ですよ。
お歳を召したすでに財を成したような方は8000円くらいするものでもバンバン買ってらっしゃったが、私みたいな赤貧者はなかなか手が出ないです。

こんな小っさなものでも千円以上するもんな。
「やろおかぁ~、やろおかぁ~」くれくれくれくれくれ!



我王のサイケデリックTシャツも欲しいが、高くて買えない・・・・



ただ、このマーケットフェスはギャラリー内の先生方の展示作品を自由に撮影していいってところが太っ腹やね。
スタッフの方が「どんどんSNSに挙げて宣伝してください」ってスタンスだったから。

高価で手が出なかった上條淳士先生のこの対画。
手塚先生が性教育の一環として描いた「メルモちゃん」と、性教育上不健全きわまりないタブーを描いた「奇子」とのありえない奇跡のコラボ。
素晴らしすぎる!



イラストやキャラクター描いたり、編み物したり、ウクレレ弾いたりとマルチな才能を持つキチムシレギュラーメンバーのきはらようすけ作のあみぐるみブラックジャック。



そして、本イベントはキチムシに出品された作家さんが常時何人か在廊されていて、頼めば購入したものにサインをして下さるという太っ腹な企画。
前日は弓月光先生も来てたらしい。やっぱ土曜日に行きたかった・・・・
どの作家さんも快くひとりひとり丁寧にサインに応じていらっしゃった。



私もきはらようすけ先生画の一番安価なBLACK JACKSONのポストカードを購入し、宛名側にイラスト付のサインをしてもらった。


前回のキチムシで、きはら先生はソニック・ユース×ワンダー3というありえないコラボデザインを考案されてたので、そのTシャツを思わずオンラインで購入してしまった。
先生に「今年はロック色がちょっと薄れて残念でした」と言うと、「去年はちょっと自分の趣味が出過ぎちゃいましたので。ロックなのは『キチレコ』でばんばん出して行きます」とおっしゃられた。
「いや、私は手塚とロックのコラボというのに興味あるだけなんですよ」なんてことはその場ではよう言わなんだ。
まぁ『キチレコ』は私の好きなプログレバンドやハードロックバンドはあまり題材に取り上げられないからなぁ・・・


そして、主催者であられるかの手塚るみ子さんも開催期間中はほとんど一日中在廊されているみたいで、他の会計スタッフさんに混じり接客をされていらっしゃった。
時にはギャラリーの外に立ち、来客を出迎えるという。いやーこれってけっこうしんどいで。

いつもオシャレないでたちのるみ子さんではあるが、今回は明らかにるみ子さんがモデルになったであろうとされる『ブッキラによろしく』のトロ子を意識した服装だったと思われる。いや、手塚ファンにとってこんな姿を拝める以上のサービスもないだろう。
    

もちろんこんな機会はないと思って話しかけましたよ。
まず、私の着てたフジロック2017火の鳥ヴァージョンTシャツに気づかれて「行かれたんですか?」と。
はい、実は第一回目の地獄のフジロック1997年以来行ってません。
ロックのことや手塚マンガのことや、話したいこといっぱいあったけど、まぁ神の子を前にするともうしどろもどろになって、話したいことがうまく出てこない。
でも向こうはけっこう普通にしゃべってくるんだが、失礼なこと言えないし(二次創作モノはほとんど興味ねぇとか、アトム別に好きじゃないとか)、どう返せばいいかほんと辟易した。

で、最後に気が動転してたのか、「富士見ヶ丘ってこっから歩いていけるんですか?」みたいなトンチンカンな質問をしてしまって、「いえいえ、こっからじゃとてもとても。ちょっと待ってて」と、わざわざムシケラのような私に富士見ヶ丘までの行き方をキチムシのフライヤーの裏に書いて下さって、ホンマ恐縮の限界を超えてしまっていた。

とかいって、ドサクサにサインまでねだってんじゃねーよ!!このムシケラが!!



いやー、実に有意義な時を過ごせて、衝動的に吉祥寺まで来てほんとうによかった。
富士見ヶ丘まで行く電車の中で、ボーっとサインながめてニヤニヤしてたらいつの間にか時を忘れてて、乗り過ごした!!と思って慌てて飛び降りた駅が井の頭公園だった。


今日の1曲:『昆虫ロック』/ ゆらゆら帝国

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« やっぱりヴォイヴォド。 | トップ | キチムシ前後 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

名所ガイド、巡礼記」カテゴリの最新記事