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●壊憲…「緊急事態という口実で、憲法が破壊される恐れが…ヒトラーは非常事態を乱用して独裁を築いた」

2016年09月11日 00時00分55秒 | Weblog


東京新聞の桐山桂一豊田洋一熊倉逸男の三氏による壊憲批判の10本の社説シリーズ。そのうちの後半5つ。
【今、憲法を考える(6) ドイツ「派兵」の痛み】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016090502000140.html)、
【今、憲法を考える(7) 変えられぬ原則がある】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016090602000128.html)、
【今、憲法を考える(8) 立憲・非立憲の戦いだ】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016090702000131.html)、
【今、憲法を考える(9) ルソーの定義に学べば】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016090802000138.html)、
【今、憲法を考える(10) 戦後の「公共」守らねば】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016090902000145.html)。

 《退役後も心的外傷後ストレス障害(PTSD)に苦しむ若者の手記はベストセラーになった。独週刊誌シュピーゲルは、いやおうなく激戦に巻き込まれていった検証記事を掲載し、派兵を批判した。戦場では見境もなくエスカレートし、命を奪い合う。政治の論理や机上の作戦では、修羅場は見えない派兵への歯止めを外したドイツは今も苦しむ》。
 《戦勝国の米英仏は、基本法に盛り込むべき人権、自由の保障などの基本原則を示した。しかし、議会評議会議長アデナウアー(のちの首相)が主導権を握り、「押し付けられた」との意識はない。…改正が許されない基本原則もある。基本法七九条は、人間の尊厳の不可侵、民主的な法治国家、国民主権、州による連邦主義などに触れることは許されていないと規定している。いずれもヒトラー政権下で踏みにじられてきたものだ》。
 《もし「人権を奪う法案」が国会で可決されたらどうなるか…。たとえ多数決でも人権は奪えないと考えるのが立憲主義である。憲法に明記すれば、人権は守られる。どんな政治権力も暴走する危険があるから憲法の力で制御しているのだ》。
 《自民党は憲法を全面改定する草案を掲げ、安倍晋三首相が「それをベースに」と改憲を呼び掛けている。本丸は国防軍の創設だといわれる。だが、日本国憲法は軍事力を持つようにできていないので、九条を変えれば、書き換えねばならない箇所がいくつも出てくる。例えば首相の職務には軍事の規定が入るであろう。そもそも現行憲法とは思想が相いれない》。
 《だから、戦後のスタートは天皇が人間宣言で神格化を捨てた。政教分離で国家神道を切り捨てた。そして、軍事価値を最高位に置く社会を変えた。憲法学者の樋口陽一東大名誉教授は「第九条の存在は、そういう社会の価値体系を逆転させたということに、大きな意味があった」と書いている。軍国主義につながる要素を徹底的に排除した。そうして平和な社会の実現に向かったのは必然である。自由な「公共」をつくった》。

 壊憲批判シリーズの前半はこちら。

   『●「ト」な自民党改憲草案の押し付け…
     押し付けられた「押し付け憲法論は、賢明なる先人に対する冒涜」
    「東京新聞の壊憲批判の社説シリーズ5つ」

 壊憲し、9条を捨て去ればその先に待っているのは…? 《緊急事態という口実で、憲法が破壊される恐れがあると指摘したのだ。戦前の旧憲法には戒厳令などがあったヒトラーは非常事態を乱用して独裁を築いた》…トンデモの「ト」な自民党改憲草案がやろうとしていること。
 「ト」な自民党改憲草案は「国民主権の縮小、戦争放棄の放棄、基本的人権の制限」をやるそうです。凄いな~。2016年7月参院選では、そんな自公や「癒(着)」党の議員に鹿や馬のごとくバカバカと投票したわけです。オメデタイ。投票してしまって後悔していないのでしょうね。確信的? もし、投票してしまって後悔しているのであれば…「あとの祭り」。

   『●争点は「壊憲」: 「ト」な自民党改憲草案は
       「国民主権の縮小、戦争放棄の放棄、基本的人権の制限」
   『●「憲法九条…戦争放棄はGHQの指示ではなく、
       当時の幣原喜重郎首相の発意だったとの説が有力」
    《憲法九条です。戦争放棄はGHQの指示ではなく、
     当時の幣原喜重郎首相の発意だったとの説が有力》。
    《日本国憲法は、連合国軍総司令部(GHQ)に強いられたものであり、
     自らの手で作り替えたい》。
    「…押し付け? これまた、古い呪文、昔の名前をひたすら唱える
     アベ様の自公政権。「積極的平和主義」を愛する公明党も壊憲を
     あと押し。自公お維大地こそが壊憲を市民に強いているし、押し付けている

   『●花森安治さんの「「武器を捨てよう」は
      憲法押し付け論を批判し、9条の意義を説く一編」
   『●壊憲派の沈黙、押しつけ憲法論という思考停止: 
       「二項も含めて幣原提案とみるのが正しいのではないか」

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016090502000140.html

【社説】
今、憲法を考える(6) ドイツ「派兵」の痛み
2016年9月5日

 日本と同じく敗戦国でありながらドイツは一九五〇年代、基本法(憲法)を改正し、再軍備を明記した。基本法を起草した西ドイツの議会評議会は、軍国ドイツ復活を警戒する米英仏を刺激することを避け、自国防衛の規定を入れなかった。
 ところが、冷戦の激化で情勢は一転。米国など西側陣営は、朝鮮戦争に危機感を強め、ソ連に対抗する北大西洋条約機構(NATO)を設立、再軍備を認める。
 基本法改正で軍を創設徴兵制(最長時兵役十八カ月、今は凍結)を導入した。
 ただし、派兵はNATO域内に限った。
 さらなる転機は一九九一年一月の湾岸戦争だった。ドイツは日本と同様、派兵を見送り、巨額の支援をしながらも国際的批判にさらされた。
 保守中道のコール政権は基本法は変えないまま、NATO域外のソマリア内戦国連平和維持活動(PKO)に参加し、旧ユーゴスラビア紛争では艦隊を派遣する。国内で激化する違憲・合憲論争を決着させたのが、連邦憲法裁判所だった。
 九四年、議会の同意を条件に域外派兵は可能、と判断した。指針が示され、軍事力行使拡大への道が開かれた。
 よりリベラルなはずの社会民主党・緑の党連立のシュレーダー政権は、ユーゴからの独立を宣言したコソボ問題でNATO軍のユーゴ空爆に加わった。「アウシュビッツを繰り返さない」-少数民族の虐殺を許さないという人道上の名目だった。
 同盟国と軍事行動に参加し、国際協調を貫く-そんなきれいごとだけでは終わらなかった。さらに戦争の真実を知らしめたのは、アフガニスタンへの派兵だった。
 ドイツが任されたのは安全とされた地域だったが、十三年間にわたる派兵で、五十五人の兵士が亡くなった市民百人以上を犠牲にした誤爆もあった
 退役後も心的外傷後ストレス障害(PTSD)に苦しむ若者の手記はベストセラーになった。独週刊誌シュピーゲルは、いやおうなく激戦に巻き込まれていった検証記事を掲載し、派兵を批判した。
 戦場では見境もなくエスカレートし、命を奪い合う政治の論理や机上の作戦では、修羅場は見えない派兵への歯止めを外したドイツは今も苦しむ。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016090602000128.html

【社説】
今、憲法を考える(7) 変えられぬ原則がある
2016年9月6日

 基本法(憲法)を六十回改正したドイツを例に挙げ、日本国憲法改正を促す声もある。国の分断時に制定された基本法の暫定的性格が改正を容易にした面もある。
 ドイツは、人間の尊厳不可侵など、基本法の基本原則は曲げてはいない。
 芸術を愛したバイエルン国王ルートウィヒ二世が築いた城があるヘレンキームゼー島。敗戦後、湖水にうかぶ景勝地に州首相らが集まって、草案をまとめた。
 草案をもとに、各州代表六十五人による議会評議会は、西ドイツの首都ボンで、八カ月かけて基本法を制定した。日本国憲法施行二年後の一九四九年だった。
 戦勝国の米英仏は、基本法に盛り込むべき人権、自由の保障などの基本原則を示した。
 しかし、議会評議会議長アデナウアー(のちの首相)が主導権を握り、「押し付けられた」との意識はない
 占領下だった。将来の東西統一後、選挙で選ばれた代表によって「国民が自由な意思で」憲法を制定するとし、基本法と名付けた。分断を固定させまいとの思いを込めた。
 しかし九〇年、新たな憲法制定より統一を急ぐことを優先し、基本法を旧東ドイツ地域にも適用する手法を採った。
 基本法の呼称のまま、国民に定着している。
 改正には上下両院の三分の二以上の賛成が必要だが、日本と違って国民投票の必要はない。
 国の根幹に関わったのは、軍創設と徴兵制導入に伴う五〇年代の改正、防衛や秩序維持など「非常事態」に対処するための六八年の改正だった。
 冷戦の最前線にあった分断国家が必要に迫られてのものだった。
 改正が許されない基本原則もある。基本法七九条は、人間の尊厳の不可侵、民主的な法治国家、国民主権、州による連邦主義などに触れることは許されていない、と規定している。
 いずれも、ヒトラー政権下で踏みにじられてきたものだ。ナチスのような暴政を繰り返すまいとの決意表明である。国是と言ってもいいだろう。
 日本にもむろん、守るべき憲法の精神がある。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016090702000131.html

【社説】
今、憲法を考える(8) 立憲・非立憲の戦いだ
2016年9月7日

 もし「人権を奪う法案」が国会で可決されたらどうなるか…。
 たとえ多数決でも人権は奪えないと考えるのが立憲主義である。憲法に明記すれば、人権は守られる。どんな政治権力も暴走する危険があるから、憲法の力で制御しているのだ。
 ちょうど百年前、一九一六年に京都帝大の憲法学者佐々木惣一が「立憲非立憲」という論文を発表した。「違憲ではないけれども、非立憲だとすべき場合がある」という問題提起をしたのだ。
 人権を奪う法案のたとえは、非立憲そのものだ。国民主権も多数決で奪えない平和主義もまたそのような価値である
 民意を背景にした政治権力でも間違うことがあるから憲法で縛りをかける。過半数の賛成も間違うことがある。だから多数決は万能ではないと考えるわけだ。
 対極が専制主義である。佐々木は「第十八世紀から第十九世紀にかけての世界の政治舞台には、専制軍に打勝(うちかっ)た立憲軍の一大行列を観(み)た」と記した。専制軍とはフランス王制、立憲軍とは人権宣言などを示すのだろう。佐々木が心配した「非立憲」の勢力が、何と現代日本に蘇(よみがえ)
 集団的自衛権行使を認める閣議決定はクーデターとも批判され、安全保障法制は憲法学者の大半から違憲とされた。憲法を無視し、敵視する。そして改憲へと進む民意で選ばれた政治権力であっても専制的になりうることを示しているのではないだろうか。
 緊急事態条項を憲法に新設する案が聞こえてくる。戦争や自然災害など非常事態のとき、国家の存立を維持するために憲法秩序を停止する条項だ。奪われないはずの人権も自由も制限される
 他国にはしばしば見られるのに、なぜ日本国憲法にこの規定がないか。七十年前に議論された。一九四六年七月の帝国議会で「事変の際には(権利を)停止する」必要性をいう意見が出た。新憲法制定の担当大臣である金森徳次郎はこう答弁した。

   <精緻なる憲法を定めましても口実を其処(そこ)に入れて
     又(また)破壊せられる虞(おそれ)絶無とは断言し難い

 緊急事態という口実で、憲法が破壊される恐れがあると指摘したのだ。戦前の旧憲法には戒厳令などがあったヒトラーは非常事態を乱用して独裁を築いた「立憲」を堅持しないと、権力はいろんな口実でかけがえのない人権を踏みにじりかねない
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016090802000138.html

【社説】
今、憲法を考える(9) ルソーの定義に学べば
2016年9月8日

 国家とは法人である。国民との間で、社会契約が結ばれている。そして戦争は国家と国家の間で生じる。つまり、戦争とは他国の社会契約を攻撃することだ-。
 ルソーは戦争をそう定義した。十八世紀に活躍した思想家で、「社会契約論」などで有名だ。フランス革命時の人権宣言に影響を与えた。「戦争状態は社会状態から生まれるということ」(ルソー全集四巻)にこう記す。

   <ある主権者に戦争を挑むとはどういうことだろうか。それは国家の協約と
     その結果生じるあらゆる現象とを攻撃することだ。(中略)社会契約が
     ただの一撃で断ち切られるようなことがあれば、たちまち戦争は
     もう起きなくなるに違いない>

 社会契約を暴力で断ち切るのだから、憲法原理が変われば戦争は終わる。憲法学者の長谷部恭男早大教授は「ルソーの想定は、単なる空理空論ではない」と著書「憲法とは何か」に書いている。そして、東欧諸国が共産主義の憲法を捨て、議会制民主主義を採用した事例を挙げる。確かに「冷戦」という戦争は終結した。
 自民党は憲法を全面改定する草案を掲げ、安倍晋三首相が「それをベースに」と改憲を呼び掛けている。本丸は国防軍の創設だといわれる。だが、日本国憲法は軍事力を持つようにできていないので、九条を変えれば、書き換えねばならない箇所がいくつも出てくる。例えば首相の職務には軍事の規定が入るであろう。
 そもそも現行憲法とは思想が相いれない立憲主義では憲法は「名宛て人」を国家にして権力に憲法を順守させる草案は国民に順守させる書きぶりだ。しかも、「公益」や「公の秩序」の方を人権より上に位置付ける権力ではなく国民を縛ろうとするのは立憲主義の放棄であろう。
 憲法改正の限界説も無視している。日本国憲法のアイデンティティーを損なう改正は限界を超えて、不可能と考える学説である。人権や国民主権、平和主義は三大原則と呼ばれるから本来、手を付けられないはずだ草案は世界でも先進的な平和的生存権もばっさり削る国民に国防義務を負わせることと関連していよう。
 自民党草案が仮にそのまま成立するなら憲法破壊となる。憲法典の転覆だから、法学的意味で革命と指摘する声もある。ルソーに学べば社会契約に対する戦争と同じ事態だともいえる。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016090902000145.html

【社説】
今、憲法を考える(10) 戦後の「公共」守らねば
2016年9月9日

 歴史の読み方として、一九三五年を分岐点と考えてみる。天皇機関説事件があった年である。天皇を統治機関の一つで、最高機関とする憲法学者美濃部達吉の学説が突如として猛攻撃された。
 なぜか。合理的すぎる、無機質すぎる-。現人神である天皇こそが統治の主としないと、お国のために命を捧(ささ)げられない。「天皇陛下万歳」と死んでいけない。機関説の排除とは、戦争を乗り切るためだったのだろう。
 それまで「公」の場では神道と天皇の崇拝を求められたものの、「私」の世界では何を考えても自由なはずだった。だが、事件を契機に「公」が「私」の領域にまでなだれ込んでいった。それから終戦までわずか十年である。
 だから、戦後のスタートは天皇が人間宣言で神格化を捨てた。政教分離で国家神道を切り捨てた。そして、軍事価値を最高位に置く社会を変えた。憲法学者の樋口陽一東大名誉教授は「第九条の存在は、そういう社会の価値体系を逆転させたということに、大きな意味があった」と書いている。
 軍国主義につながる要素を徹底的に排除した。そうして平和な社会の実現に向かったのは必然である。自由な「公共」をつくった。とりわけ「表現の自由」の力で多彩な文化や芸術、言論などを牽引(けんいん)し、豊かで生き生きとした社会を築いた。平和主義が自由を下支えしたのだ。九条の存在が軍拡路線を阻んだのも事実である。
 ところが、戦後の「公共」を否定する動きが出てきた。戦後体制に心情的反発を持ち、昔の日本に戻りたいと考える勢力である。強い国にするには、「公」のために「私」が尽くさねばならない。だから愛国心を絶対的なものとして注入しようとする。国旗や国歌で演出する-。そんな「公共」の再改造が進んでいまいか。
 憲法改正の真の目的も、そこに潜んでいないか。憲法は国の背骨だから、よほどの動機がない限り改変したりはしないものだ。動機もはっきりしないまま論議を進めるのはおかしい。戦後の自由社会を暗転させる危険はないか、改憲論の行方には皆で注意を払わねばならない。 =おわり


(この企画は桐山桂一豊田洋一熊倉逸男が担当しました)

    ◇

 ご意見、ご感想をお寄せください。〒100 8505(住所不要)東京新聞・中日新聞論説室 ファクス03(3595)6905へ
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●非常時に「三思」: アベ様の「わが軍」の下、「子」を「人殺し」に行かせたいという「親」心を理解不能

2016年05月04日 00時00分19秒 | Weblog


東京新聞の社説【憲法記念日に考える 汝、平和を欲すれば…】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016050302000121.html)。

 《「在任中に成し遂げたい」と首相が憲法改正に意欲的です。国防軍創設など九条改憲案を自民党は掲げています。平和主義の未来が心配でなりません

 「ト」な論理、違憲な手法で壊憲…そんな自公お維大地を支持する投票者って、一体全体、何を考えているの?

   『●「憲法九条…戦争放棄はGHQの指示ではなく、
      当時の幣原喜重郎首相の発意だったとの説が有力」
    「《日本国憲法は、連合国軍総司令部(GHQ)に
     強いられたものであり、自らの手で作り替えたい》…押し付け? 
     これまた、古い呪文、昔の名前をひたすら唱えるアベ様の自公政権。
     「積極的平和主義」を愛する公明党も壊憲をあと押し。
     自公お維大地こそが壊憲を市民に強いているし、押し付けている
      『LITERA 本と雑誌の知を再発見』(http://lite-ra.com/)にも、
     【改憲派の「日本国憲法は米国から押し付けられた」はデマだった! 
     9条が幣原総理の発案だったとの証拠が明らかに】
     (http://lite-ra.com/2016/02/post-2017.html)という記事が…」

 asahi.comの記事【改憲不要55%、必要37% 朝日新聞世論調査】(http://www.asahi.com/articles/ASJ4L3W9ZJ4LUZPS001.html?iref=comtop_pickup_01)によると…、

    《憲法を「変える必要はない」が昨年の調査の48%から55%に増え、
     「変える必要がある」は昨年の43%から37%に減った。
     大災害などの際に政府の権限を強める「緊急事態条項」を憲法に
     加えることに「賛成」は33%で、「反対」の52%が上回った…
     憲法9条も「変えない方がよい」が昨年の63%から68%に増え、
     「変える方がよい」の27%(昨年は29%)を大きく上回った。
     安全保障関連法に「賛成」は34%、「反対」は53%

…とのこと。
 壊憲の機運など全く高まらず。それでも、壊憲賛成が《37%》にも及ぶことは、ブログ主には想像を絶すること。壊憲賛成ということは、平気で余所ンチの「人殺し」に「子」を送り出すということ。アベ様の「わが軍」の下、「子」を「人殺し」に行かせたいという、自公お維大地支持者=「親」の心理が全く理解できない。

 《今もまた“非常時”です》…平和憲法憲法9条を破壊し、アベ様らのあのトンデモ「壊憲」草案が現実のものにしようとしています。《非常時》の今、《三思》すべきではないですか。

   『●あのトンデモ「壊憲」草案が現実のものに…
     悲劇か喜劇か? アベ様信者の皆さんに「届く言葉はあるか?」
   『●20XX年、再び戦争が始まった…: 
      立憲主義を否定し、クーデターで壊憲しといて、そりゃぁないでしょ
   『●アベ様ら「貧しい人」=「ぜいたくな暮らしを際限なく求め、
                欲の奴隷となって」政を行い、人殺しへと誘う

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016050302000121.html

【社説】
憲法記念日に考える 汝、平和を欲すれば…
2016年5月3日

 「在任中に成し遂げたい」と首相が憲法改正に意欲的です。国防軍創設など九条改憲案を自民党は掲げています。平和主義の未来が心配でなりません

 ラテン語で表題が書かれた文章があります。訳せば「『汝(なんじ)、平和を欲すれば、戦争を準備せよ』と『汝、平和を欲すれば、平和を準備せよ』」です。一九三三年に書かれた論文で、筆者は東大法学部教授の横田喜三郎でした。

 「平和を欲すれば、戦争を準備せよ」という標語は昔、オーストリア・ハンガリー帝国の陸軍省の扉に書いてありました。

 強大な軍備を用意しておけば、他国は戦争を仕掛けてこないだろうから、平和を得られる。そんな論法です。横田は記します。

   <標語に従つて、各国はひたすら戦争の準備を行い
     互(たがい)に強大な軍備を用意することに努力した。
     そこに猛烈な軍備競争が起(おこ)つた。
     その結果は世界大戦であつた>

 第一次世界大戦のことです。一四年にオーストリア・ハンガリー帝国の皇太子が暗殺されたのをきっかけに、戦争が始まり一八年まで続きました。「戦争を準備せよとした同帝国は崩壊しました。皮肉です。

 この後に「不戦条約」が二八年にパリで結ばれます。戦争を放棄し、紛争は平和的手段により解決しようという約束です。横田はこう記します。

   <『汝、平和を欲すれば、平和を準備せよ』 
     世界戦争後に、不戦条約がパリで記名されようとしたとき、
     こう金ペンに書いて、フランスのアーヴルの市民はケロツグに贈つた。
     ケロツグはこの金ペンで不戦条約に記名した>


◆満州事変は自衛権か

 「ケロツグ」とは米国の国務長官だったケロッグで、フランス外相とともに条約を提唱しました。

   <アーヴル市民の金言が世界の指導原理となつた。
     平和を準備するために、各国は協力して、軍備を縮少(小)し、
     戦争を禁止し、紛争の平和的解決に努力した

 横田の論文は東大法学部の学生向けの雑誌に寄せたものでしたが、中には「横田先生万才(歳)! 横田教授頑張れ!!」と書き込みをした人もいました=写真。感激したのでしょう。三一年の満州事変を批判した学者としても横田は有名な存在でした。

 一八九六年に現在の愛知県江南市に生まれ、旧制八高から東大に進み、国際法学者となりました。名古屋新聞(中日新聞)の配達をした経験もあった人です。

 満州事変とは中国・奉天(現在の瀋陽)で鉄道爆破をきっかけに、関東軍が中国の東北部を占領した出来事です。横田は帝国大学新聞に「はたして軍部のいっさいの行動が自衛権として説明されるであろうか」と書きました。

 鉄道破壊が事実であったとしても、それから六時間のうちに北方四百キロ、南方二百キロもの都市を占領したことまで、自衛のためにやむをえない行為であったと言い得るか。鋭い疑問を呈したのです。

 さっそく右翼の新聞が「売国奴の帝大教授」として攻撃しました。ある会議で上海に行きましたが、「コウベハキケン」と電報を受け取り、帰りは長崎に寄りました。それから福岡、別府(大分)…。なかなか東京に戻れなかったそうです。

 その横田が東大法学部の大教室に再び立つと、満員の学生から割れるような拍手を浴びました。再び三三年の論文に戻ります。

   <歴史は繰り返すと言う。人は忘れ易(やす)い
     (中略)満州事件を契機として、まず太平洋の舞台に
     戦争の準備が開始され、軍備の拡張と競争が展開しようとしている>

 戦争の歴史は繰り返す-。横田は懸念しています。満州国が生まれたのが三二年。犬養毅首相が暗殺された五・一五事件もありました。ドイツでヒトラーの独裁政治が始まるのは三三年です。この論文はきな臭い空気を吸って書かれていることがわかります。


非常時には金言を胸に

 横田は非常時の国民に向かって最後を締めくくります。平和を欲するならば、戦争を準備するのか、平和を準備するのか、いずれを選ぶべきかを三思せよ」と…。三思とは深く考えるという意味です。歴史の教訓に立てば答えは明らかでしょう

 横田の論文については、樋口陽一東大名誉教授が著書で紹介しています。昨年には東大でのシンポジウムでも取り上げました。改憲が現実味を帯びているからでしょう。今もまた“非常時”です軍備の拡張と競争になれば…。猜疑(さいぎ)と不安の世界になれば…。ケロッグのペンに書かれた金言を忘れてはなりません
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●アベ様や「憲法尊重擁護義務を課せられた政治家」高村副総裁と、是非、公開討論を!

2015年06月26日 00時00分25秒 | Weblog


東京新聞の記事【「安保法案反対」立憲デモクラシー 「賛成派と公開討論を」】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015062502000139.html)。

 「集団的自衛権の行使を容認することや、外国軍隊の武力行使と自衛隊の活動が一体化するおそれが極めて高いことが「日本国憲法に明確に違反している」と強調し、審議が続く限り問題点の指摘を続けていく考え」。

 「我々憲法尊重擁護義務を課せられた政治家」・高村正彦副総裁、「憲法違反ではないと思っている」とナンとかの一つ覚えのように繰り返す菅官房長官・・・是非、彼らと公開討論を! 
 「菅義偉(官房長官は二十四日の記者会見で、憲法学者らでつくる「立憲デモクラシーの会」が安全保障関連法案の撤回を政府に求めたことについて「そういう人たちの一つのご意見と受け止める」と述べた」そうだが、自民党のお抱え学者・竹中平蔵氏に向かって言ってはどうか? 利権に群がる学者には言わないのかな?

   『●戦争法案・違憲立法・壊憲法案:
      中学生の国語力すら無い、ご都合主義な自公議員たち

   『●高村正彦・自民党副総裁
     「我々憲法尊重擁護義務を課せられた政治家」発言』 


 「愚民意識」「ネギを背負ったカモ」「言葉のまやかし」「たぶらかしの本質」・・・・・・「中学生の国語力すらない、ご都合主義な」アベ様らは憲法学者の言葉を理解できるか?

   『●戦争法案・違憲立法・壊憲法案:
      中学生の国語力すら無い、ご都合主義な自公議員たち


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http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015062502000139.html

「安保法案反対」立憲デモクラシー 「賛成派と公開討論を」
2015年6月25日 朝刊

     (「立憲デモクラシーの会」緊急会見で発言する、
      東大の樋口陽一名誉教授(左から5人目)ら
      =24日、東京・永田町の衆院第2議員会館で

 安全保障関連法案の撤回を政府に強く求める声明を発表した「立憲デモクラシーの会」の二十四日の会見には、共同代表の樋口陽一東京大名誉教授(憲法学)と山口二郎法政大教授(政治学)ら九人が出席した。集団的自衛権の行使を容認することや、外国軍隊の武力行使と自衛隊の活動が一体化するおそれが極めて高いことが「日本国憲法に明確に違反している」と強調し、審議が続く限り問題点の指摘を続けていく考えを明らかにした。

 四日の衆院憲法審査会で法案が「違憲」との見解を示した長谷部恭男早稲田大教授と小林節慶応大名誉教授(いずれも憲法学)も出席。小林名誉教授は、西修駒沢大名誉教授ら「合憲」とする憲法学者に「論争としてわれわれが勝っている。学術的に決着させよう」と公開討論を呼び掛けた。

 政権側から「憲法学者の言うとおりにしていたら、自衛隊も日米安保条約もなかった」などの批判が繰り返されているのに対し、山口教授は「再軍備を進める政治権力に学者がおかしいと言い、意見のぶつかり合いの中で専守防衛などの平和国家の路線が生まれた」と反論した。

 さらに、今年が一九三五年の天皇機関説事件から八十年に当たることに言及。「学問の観点から批判するのは職業上の義務。権力により学問が弾圧されて(四五年の敗戦で)国が滅びるまでわずか十年だった史実を、重く受け止めている」と述べた。

 ほかの出席者も法案審議における政権側の対応を口々に非難。長谷部教授は「集団的自衛権行使の違憲性や武力行使の一体化に関し、誠実な回答、対応がされているとはいえない」と政権側の対応を問題視。千葉真・国際基督教大教授(政治学)は「曖昧模糊(もこ)とした答弁を繰り返しており、議論を深める姿勢が見えない。背後には愚民意識があるのではないか」と指摘した。

 千葉教授はさらに「アメリカ、イギリス、フランスですら国内に厭戦(えんせん)気分がまん延している現在、安倍政権の『積極的戦争容認主義』はネギを背負ったカモのようなものだ」と話した。

 政権が使う「言葉のまやかし」に対する注意喚起も。国文学者の小森陽一東大教授は、他国軍の戦闘に対する自衛隊の支援を「国際平和共同対処事態」と名付けたことを例に「たぶらかしの本質日本語を使うすべての人が日々国会で冒涜(ぼうとく)されている」と述べた。 (荘加卓嗣)


◆「一つの意見」「違反しない」憲法学者に菅氏反論

 菅義偉(すがよしひで)官房長官は二十四日の記者会見で、憲法学者らでつくる「立憲デモクラシーの会」が安全保障関連法案の撤回を政府に求めたことについて「そういう人たちの一つのご意見と受け止める」と述べた。

 法案が憲法違反との指摘に、政府が誠実に対応していないと憲法学者らが批判していることには「憲法違反ではないと思っている」と反論した。
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●騙されることの責任、再び: 特定秘密保護法案を仲良く協議する翼賛与党・翼賛野党議員に投票した人々

2013年11月28日 00時00分27秒 | Weblog


毎日新聞の社説【秘密保護法案を問う 修正協議】(http://mainichi.jp/opinion/news/20131119k0000m070129000c.html)。
東京新聞の記事【秘密指定の検証 形だけ 首相が「第三者」的関与】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013111902000243.html)。
gendai.netの記事【「秘密保護法」で与党に屈服…国民を裏切った野党の末路】(http://gendai.net/articles/view/news/146080)。
asahi.comの【天声人語】(http://www.asahi.com/paper/column.html?ref=com_top_tenjin)。
『田中龍作ジャーナル』の三つの記事【【秘密保護法】 首相独裁に道開く みんなの党、修正案合意】(http://tanakaryusaku.jp/2013/11/0008227)、【【秘密保護法】 「みんな」に続き「維新」も!? 次々転ぶ野党】(http://tanakaryusaku.jp/2013/11/0008232)、【【秘密保護法】 言論人が総決起集会 文太兄ぃ「トドメの悪法になる」】(http://tanakaryusaku.jp/2013/11/0008237)。
asahi.comの社説【秘密保護法案―「翼賛野党」の情けなさ】(http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit1と二つのインタビュー記事【〈秘密保護法案〉私たち一人ひとりの問題 落合恵子さん】(http://www.asahi.com/articles/TKY201311210363.html?ref=com_top_pickup)、【〈秘密保護法案〉国民の「知る義務」阻害 樋口陽一さん】(http://www.asahi.com/articles/TKY201311230294.html)。

 自公という腐敗した与党の腐臭に集(たか)る与党もどきの野党両党。修「正」という名の改「」作業を通して、与党もどきの野党両党議員も「うそをつく人達」だったことが再確認できただけのこと。「自民党の「補完勢力」どころか「翼賛野党」」であり、一体誰がこんな「翼賛与党」や与党もどき「翼賛野党」議員に投票したのか?、彼/彼女ら投票者に尋ねてみたくなる。

 「騙されることの責任」が再び問われようとしている。
  
   『●『だまされることの責任』読了(1/3)
   『●『だまされることの責任』読了(2/3)
   『●騙されることの責任
   『●戦争と原発: 伊丹万作さん
       「だまされるということ自体がすでに一つの悪である」
   『●騙されること・騙されたフリの責任: 何度でも騙される
   『●予算編成から見えてくるもの: 投票者の責任

 騙す方の品格や責任と騙される方の品格や責任。

   『●田中優子さん「誰の名前を書くのか、その人の品格が問われている」
   『●映画『放射線を浴びた『X年後』』: 
         「こんな巨大な事件が、・・・日本人としての資質が問われる」
   『●「もはや犯罪というしかない」
          ~東京電力汚染水流出大事故と再稼働・輸出という犯罪~
   『●放射能汚染で「太平洋は終わり」との声が出るほどの
                      重大事故だというのに、この国は・・・・・・
   『●次に原発事故が起きた時には責任をとってくれるのね?
   『●「原発推進」という結論ありきのパフォーマンス
   『●「ウソつかない。TPP断固反対。ブレない。」、騙す阿呆に、騙される阿呆

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http://mainichi.jp/opinion/news/20131119k0000m070129000c.html

社説:秘密保護法案を問う 修正協議
毎日新聞 2013年11月19日 02時35分

安易な合意は禍根残す
 特定秘密保護法案の審議が重要な局面を迎えている。与党は週内の衆院通過を目指す構えだ。民主党を含む3野党の修正案や対案が19日に出そろう。与党は日本維新の会、みんなの党と修正協議を進めている。

 法案への疑問や懸念は国会審議でむしろ深まるばかりで、付け焼き刃的な修正でカバーできるものではない。与党による強行採決など数頼みの手段は許されない。野党側も将来に禍根を残しかねない中身での妥協は厳に慎むべきである。

 森雅子特定秘密保護法案担当相の揺れる答弁ぶりが問題だらけの法案を象徴するようだ。秘密指定が妥当かを判断する第三者機関の設置や報道機関への強制捜査をめぐる答弁は他の閣僚らと食い違い、「改善を法案成立後にも尽くしたい」と成立後の見直しにまで言及した。これでは政府自ら欠陥を認めたに等しい。

 だが、どんな閣僚が受け持っても答弁は森氏と似た状況になろう。何が秘密であるかが明らかにされないうえ情報公開のルールもなく、国会や司法のチェックも及ばない。質疑を重ねるほど法案の構造的な問題を露呈しているのではないか。

 そんな法案を2週間ほどの審議で通過させるなど論外だ。参院選で国会のねじれが解消して4カ月ばかりで数まかせの手段を行使するようでは選挙結果を有権者からの「白紙委任」とはき違えているに等しい。

 修正協議の行方が週内に衆院を通過するかのカギを握る。民主党は19日に同党案をまとめるが短期での与党との合意など実際には困難だ。性急な採決への反対を徹底すべきだ。

 焦点は日本維新の会とみんなの党の動向だ。維新の会は秘密の指定解除に期限をつけることや第三者機関による検証を求めている。与党は秘密の指定期間を「原則30年」とすることや第三者機関や国会への指定基準の報告などで応じる構えのようだが本質的な修正とは言えまい。

 不可解なのがみんなの党の柔軟姿勢だ。同法案は官僚による情報独占、立法府や司法に対する行政優位を強めかねない大きな問題がある。

 ところが渡辺喜美代表は「総論賛成」と早々に言い切り、安倍晋三首相との会食で修正案まで示したという。官僚支配に反対した党の理念とどう整合するのか。同党の主張に沿い秘密指定への首相の関与が強化されたとしても恣意(しい)的な指定のおそれなどが解消するとは言い難い。

 安易な妥協で与党に採決の口実を与えてしまえば、その責任は重い。政党の真価が試される場面だ。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013111902000243.html

秘密指定の検証 形だけ 首相が「第三者」的関与
2013年11月19日 夕刊

 みんなの党は十九日昼の役員会で、国家機密を漏らした公務員らへの罰則を強化する特定秘密保護法案について、与党が示した修正案を了承した。修正案は、政府の意のままの秘密指定を防ぐ第三者機関の設置は盛らず、「首相の『第三者機関的関与』で恣意(しい)的運用を排除し、指揮監督権を明記」としたが、首相は政府代表そのもので「第三者」ではなく、すでに「指揮監督権」もある。三党で合意した恣意性の検証は形式的なものにすぎない。

 みんなの党は役員会の前に部門会議を開き、修正案について協議。出席者から「議論は拙速で今、決めるべきではない」などの異論が出たが、渡辺喜美代表が「われわれの主張がかなり認められた」と強調。最終的に役員会に一任した。

 一方、自民、公明の与党と日本維新の会の法案実務者が同日昼、国会内で会談。与党は法案の付則に「第三者機関の設置の検討」を盛り込むことを伝え、維新も受け入れた。維新が求める最長三十年での秘密指定の全面解除に関しては、与党側は指定期間を延長できるケースを法案に例示することを検討する考えを伝えた。

 民主党は「次の内閣」会合で、対案の「特別安全保障秘密適正管理法案」を決め、衆院に提出した。与党が修正に応じなければ、政府案には反対する方針だ。

 管理法案では特定秘密の指定対象を「外交と国際テロに関する必要最小限の情報」に限定、公務員らへの罰則も政府案の最高懲役十年以下から五年以下に引き下げる。秘密指定の基準を定めて適正か調査する「情報適正管理委員会」設置法案なども衆院に提出した。

 新党改革も法施行から三年後の制度見直しを付則に盛り込む修正案を与党に提出した。
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http://gendai.net/articles/view/news/146080

「秘密保護法」で与党に屈服国民を裏切った野党の末路
2013年11月20日 掲載

 希代の悪法に野党の一角が屈服した。みんなの党はきのう(19日)、特定秘密保護法案に賛成する方針を決めた。自公両党との協議で、みんなが求めた修正案が受け入れられたためだ。みんなの党の裏切りを追い風に、政府・自民党は維新と民主の切り崩し工作に動いている。野党総崩れは時間の問題なのか。

 みんなは「情報公開」「脱官僚」を掲げて支持を集めてきた政党だが、秘密保護法の成立で情報の官僚独占はますます強化される。なぜ、党是と相反する行動に出たのか。

   「一言で言えば『存在感を示したい』ということ。圧倒的な数の力を持つ
    与党案に反対したところで、仮に『強行採決』されたら終わり。そうなると、
    みんなの修正案は蹴飛ばされて党の存在感は示せない。メディアに
    取り上げてもらう機会もなく、他の野党と同じ扱いで埋没する。
    ならば『与党に修正を迫った』という方が、党のメンツが保てる
    と考えたのでしょう」(政治評論家・有馬晴海氏)

 渡辺代表は、第1次安倍内閣で行革担当相を務め、安倍とは近しい関係だ。

 14日には安倍や菅官房長官、塩崎政調会長代理と赤坂の中華料理店で会食。この時、秘密保護法の修正案について“党首会談”を行っていた。

   「会合後に記者に囲まれた渡辺代表は上機嫌で、『安倍政権が
    政治主導を実現するなら真摯に協力するってずーっと言ってきた』
    『(修正協議も)その延長線』『楽しい会合だった』とペラペラまくしたてた。
    この時、すでに修正合意はまとまっていたのでしょう」(みんなの党事情通)

 19日の会見でも、渡辺は「(首相とは)もともと信頼関係がある。トップ会談を行えば政治のプロセスは非常にスムーズに運ぶと痛感した」とシレッと答えていた。もはや野党か与党か分からないが、他の野党もだらしなさは似たようなものだ。

 日本維新の会も、19日午前中の協議では、与党案を断固拒否する姿勢を見せていたが、午後になると態度は一変。秘密基準の妥当性をチェックする第三者機関の「設置検討」を法案の「付則」に盛り込む修正案に合意した。

 霞が関の官僚用語で検討は「やらない」ということ。しかも「付則」だから意味はない。

 条件闘争の末に野党が取り込まれ、悪法の修正協議は完全に与党ペースで進んでいく。野党第1党の民主党もグラグラだ。

   「秘密の範囲を『外交とテロ』に限るとした対案を衆院に提出しましたが、
    与党側が受け入れる可能性はゼロに近い。このままだと、何の抵抗も出来ず、
    “万年野党”になってしまう。そんな民主党の保守系幹部の心理を見越して、
    与党側は水面下で複数の幹部に秘密保護法の採決の欠席を求めたり、
    ポストをちらつかせながら『引き抜き』を画策しています。最悪の場合、
    採決で造反者が出かねません」(政治ジャーナリスト)

 そろって自民の「補完勢力」「別動隊」に成り下がろうとしているから情けない。野党総崩れの中、希代の悪法が粛々と成立してしまっていいのか
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http://www.asahi.com/paper/column.html?ref=com_top_tenjin

2013年11月21日(木)付
天声人語

 茶番劇である。きのう、特定秘密保護法案を取りあつかう衆院の委員会で速記が一時止まった。与党議員がいないじゃないかと、野党が怒ったからだ。これまでも空席がめだっていた。なんとしても成立させたい重要法案にしては不まじめではないか▼委員会は委員の半数以上がいないと開けない。国会法の定めである。定足数割れが疑われるほど閑古鳥が鳴くのは異常だ。テレビ中継がないから構わないのか。国権の最高機関はわれわれだと、いつも威勢のいい人々の国会軽視に驚く▼表舞台での審議をないがしろにしながら、裏舞台では一部の野党と修正のための話しあいをする。その中身も茶番劇というほかない。秘密の指定などが恣意(しい)的にならないよう、首相が「第三者機関的観点」からかかわるのだという第三者とは当事者でない者をいうふつうの理解では、首相は当事者そのものである。与党とみんなの党との合意内容は黒を白と言いくるめるようなものだろう。こんな乱暴がどうしてまかり通るのか▼それに比べ、民主党の対案の第三者機関は検討に値する。なにを秘密にするかの基準を決め、個々の秘密指定が適当かどうかも調べる。機関のメンバーは内閣ではなく、国会が選ぶ。首相のお気に入りを集めるようなことはできない▼民主党案はこのほか多くの点で政府案の骨格を変えている。いまからでも遅くはない。与党は民主党と議論を尽くすべきだ。まずは委員会にきちんと出席してもらわなければならない。
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http://tanakaryusaku.jp/2013/11/0008227

【秘密保護法】 首相独裁に道開く みんなの党、修正案合意
2013年11月19日 11:27

    みんなの党本部に陳情したが事務所の中には入れてもらえず、
    暗い廊下での立ち話となった。=19日午前9時頃、平河町 写真:筆者=

 特定秘密保護法をめぐる攻防で野党の一角が崩れようとしている。みんなの党が与党との間で修正合意に傾いたのだ。

 合意内容に呆れる。▼特定秘密の指定者を行政の長としていたのを首相(府)へも広げる▼チェックする第3者機関を首相(府)が担うというものだ。

 これではますます恣意的に運用される。首相に独裁の権限を与えることになる。みんなの党は官僚政治の打破を掲げて立党した。ゆえに官僚独裁よりも「首相独裁」の道を選んだのだろうか。

 危機感を抱く人々が今朝8時からみんなの党 本部前で抗議の声をあげた。すぐに制服警察官が駆けつけ遠巻きにしたが、参加者が次々とやって来て、抗議集会が終わる9時頃には約30人にまで膨らんだ。

 集会後、党本部事務所を訪れ「みんなの党が国民のことを思うなら自民党との修正には応じないで下さい」と陳情した。

 午後からはみんなの党、日本維新の会の議員事務所を回り「修正には応じないよう」呼び掛ける。

    秘密保護法は警察の権限を肥大化させる。警察官の多さが同法の
    性質を象徴しているようだった。=午前8時頃 平河町 写真:筆者=
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http://tanakaryusaku.jp/2013/11/0008232

【秘密保護法】 「みんな」に続き「維新」も!? 次々転ぶ野党
2013年11月19日 20:15

    自民党議員事務所を訪れたボランティアたちは「強行採決したりしないよう」
    に訴えた。=19日午後、参院会館 写真:筆者=

 天下の悪法が現実のものとなろうとしている。みんなの党はきょう午後一番、役員会を開き秘密保護法案に賛成することを決めた。

 自らが提案した修正案を自公が飲んだためという。みんなの党の修正案とは秘密指定にあたって首相の権限を広げるものだ。

 特定秘密をチェックする第3者機関を首相(府)の下に置くという。首相に独裁権限をわざわざ与えるようなものだ。民主主義を健全に保つための「チェック・アンド・バランス」も何もあったものではない。

 ある永田町関係者は「渡辺代表と安倍首相が食事をした14日が分岐点だった。(首相から)何か交換条件が提示されたんだろうね」と説明する。みんなの党の議員事務所には抗議の電話やFAXが相次いだようだ。

 秘密保護法案に反対する人々がきょう午後、みんなの党の議員事務所を訪問した。ある事務所の秘書は「党が決めたことですから」とそっけない。別の事務所の秘書は、修正案を与党が飲んだことで満足していた。

 日本維新の会も転ぶのは早かった。同会は夕方から与党と修正協議に入った、とNHK午後7時のニュースは伝えた。

 「第3者機関の設置は譲らない」としていた日本維新の会だが、「政府内に準備室を設けてどのような機関ができるか検討する」という附則を法案に盛り込むことで折り合いがついたようだ。

 野党2党を抱き込んだ自公が民主党の対案を審議せずに採決すれば、それは議会制民主主義の無視となる。

    「みんな」の期待を裏切った「みんなの党」の面々(たすきをかけていない)。
    =12日、原発被害者救済の請願受付で 写真:筆者=
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http://tanakaryusaku.jp/2013/11/0008237

【秘密保護法】 言論人が総決起集会 文太兄ぃ「トドメの悪法になる」
2013年11月20日 20:33

    「秘密保護法案、廃案」の要請文を手渡すTVキャスターたち。
    手前(後ろ姿)は橋場・内閣情報調査室参事官。
    =20日午後、内閣府門前 写真:筆者=

 マスコミ界の大御所、作家、評論家、夕刊紙社長……言論に携わる著名人たちがきょう、「特定秘密保護法案」の廃案を求めて総決起集会を開いた。

 平成の治安維持法と言われる秘密保護法案は、みんなの党が昨日与党案賛成に回ったため成立が現実味を帯びてきた。言論界を支えてきた重鎮たちが危機感を表明した―

 「安倍晋三は日本を北朝鮮並みにしようとしている。進めている人の個人の責任を厳しく問いただす。谷垣法相はスパイ防止法に反対していた。反対なら辞めるべきじゃないか」。こう厳しく指摘するのは評論家の佐高信氏だ。

 川崎泰資・元NHK政治部記者(1934年生まれ)は、安倍晋三首相の危険性を強調した―

   「何とかに刃物」じゃないが、この男(安倍首相)にこの法案を与えたら
    とんでもないことになる。右翼軍国主義者と自称する人物が首相に
    なるということは国際的に通らない」。

 社会部記者だった原寿雄・元共同通信編集局長(1925年生まれ)は、警察の性格をよく知っている―

   「この(会場の)中にも警察の尾行がついている人がいる。今は警察の
    尾行を批判できるが、法律(秘密保護法)ができたら“内偵している、
    合法だ”ということになる」。

    小中陽太郎さん。自らが描いて特高警察ににらまれた高射砲の絵を
    持参した。小中さんの後ろは作家の澤地久枝さん。=平河町 写真:筆者=

 作家の小中陽太郎氏(1934年生まれ)は昭和15年(1940年)、ゾルゲ処刑の年に神戸から上海に向かう船の中で特高に尋問された。高射砲を描いた絵を持っていたからだった―

   「“坊やこれは何で書いたんだ?” “クレヨンだよ”。特高は外国のスパイが
    特殊インクで書いたのかと思い捜査した。70年間倉庫に入れたままだったが、
    探して持ってきた。子供の書いた絵が問題になる。これがスパイ法のバカバカしさだ」。

 きょうの集会には俳優の菅原文太さん(1933年生まれ)も駆けつけた―

   「こういう法律が出てくるなんて考えもしなかった。戦後初めてでしょう。
    私は戦争中の時代をかすっている。その頃は異常な時代だったから
    考えられないことが沢山あった。この法案が通ればトドメになるのか
    と思うくらい悪法。娯楽と騒々しい中に放り込まれて、考える事を
    なくしてしまった中で、こんなものが突きつけられている。
    ここにいる皆さんが考えつかないような時代になる」。

 治安維持法の時代に生まれ育った彼らの言葉には有無を言わさぬ説得力があった。

 言論人と表現者だけではない。政界からも一人だけ参加者がいた。辻元清美議員だ。辻元議員は国会内の事情を解説した―

   「与党は26日の衆院通過を目指している…(中略)私が森まさこ大臣を
    追及していたら、維新の議員からヤジが飛んで来る。これまでのような
    与党対野党の図式とは違う異常な状況。(国会の)外で盛り上がって
    いることが、(国会)内での歯止めになる」。

    「国民が不幸になる」と警告を発する菅原文太さん=写真:筆者=

 集会の後、岸井成格氏、田勢康弘氏らTVキャスターたちが、森まさこ特定秘密保護法案担当相に同法の廃案を求める要請文を手渡すため内閣府を訪れた。

 だが森担当相は国会審議を口実に会おうとしなかったため、内閣情報調査室の橋場健参事官が要請書を受け取った。場所は内閣府庁舎の門前だ。「庁舎内でのカメラ撮影はNG」となったためだ。

 キャスターの鳥越俊太郎氏は「門前払いです。ここでしか渡せないのが日本の現実です」と悔しがった。
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http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit1

2013年11月22日(金)付
秘密保護法案―「翼賛野党」の情けなさ

 巨大与党の前に、あまりにも情けない野党の姿である。

 このままでは自民党の「補完勢力」どころか「翼賛野党」と言われても仕方あるまい。

 日本維新の会が、自民、公明の与党と、特定秘密保護法案の修正に合意した。

 みんなの党に続く妥協だ。

 いずれの修正も実質的な意味は乏しく、問題の根幹はまったく変わっていない。

 与党は、4党で修正案を共同提案し、26日の衆院通過をめざすという。野党はこれを許してしまうのか。

 愕然(がくぜん)とするのは、維新との修正合意で、特定秘密の指定期間が後退したことだ。

 維新は当初、「30年以上延長できない」と主張していた。ところが、合意では「60年たったら原則として解除」と期間が2倍に延びてしまった。

 しかも60年を超えても延長できる7項目の例外まで、できてしまった。

 まるで与党側の焼け太りだ。これでは、維新もみんなの党も利用されるだけではないか。

 維新は秘密指定できる行政機関を絞り込む案も主張したが、与党にはねつけられた。「首相が有識者の意見を聴いて政令で限定できる」との合意では、およそ実効性に乏しい。

 秘密指定のチェックについても、大きな疑問符がつく。

 法案の付則に「第三者機関の設置検討」を盛り込むことで合意したが、付則に書いても実現の保証はない。どんな機関になるかも不明確で、期限も区切っていない。

 与党とみんなの党との合意では、首相が「第三者機関的観点」からかかわることで客観性が担保されるとした。最大の当事者を「第三者」とする意味不明。与党が真剣に問題を受けとめているとは思えない

 維新の内部からも「後退している」などの批判が噴出している。当然だ。今からでも対応を見直すべきだ。

 野党ではほかに、民主党が対案を出している。

 秘密の範囲は外交や国際テロに限る▽国会が委員を指名する第三者機関「情報適正管理委員会」を設置し、個々の秘密指定が適当かどうかも調べる▽罰則は政府案が最長懲役10年だったのを懲役5年以下とする――などの内容である。

 政府案との隔たりは大きい。そこを埋める努力もせず、4党の修正案で突き進むのでは、巨大与党にすり寄っているとしか映らない。

 与党に都合のいい修正をするのが野党の役割ではない
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http://www.asahi.com/articles/TKY201311210363.html?ref=com_top_pickup

〈秘密保護法案〉私たち一人ひとりの問題 落合恵子さん
2013年11月21日22時39分

■作家・落合恵子さん

 3・11後、脱原発運動を続けてきました。1986年にチェルノブイリ原発事故が起きてささやかな勉強会を開きましたが、長続きしなかった。そのことへの反省があります。

 いま、同じ思いで特定秘密保護法案の反対を訴えています。法律ができて言論が弾圧された戦前のような取り返しのつかない状況を迎えた時、どうしてもっと力を尽くさなかったのかと悔いたくはないからです

 この法案について、近所の人から「(処罰される対象になる)公務員じゃないから大丈夫」と言われたことがあります。そうでしょうか。私たちは、東京電力福島第一原発事故で情報の隠蔽(いんぺい)をさんざん経験し、今も味わっています。

 テロ対策を名目に原発に関する情報はますます出なくなると思います。秘密が広がり、大切な情報が市民に届かなくなる。そうなれば、一人ひとりが多様で正確な情報に基づき判断するという民主主義の基礎が壊れてしまう。私たち一人ひとりの問題なのです。

 歴史を振り返れば、いつの時代でも世界のどこでも権力は情報を隠します。政府が情報をどれだけ開示するかが民主主義の成熟度を示すものですが、日本の情報公開は米国などに比べはるかに遅れています。政治が取り組むべきは、秘密保護ではなく情報公開です。

 法案の修正ではなく、廃案しかありません。

     ◇

 秘密が増えて私たちの身の回りが息苦しくならないか。暮らしにはどんな影響が出るのか。国会での審議が大詰めを迎えている特定秘密保護法案に反対する動きが広まっている。各界で活躍する人たちの異議申し立ての声を聞いていく。
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http://www.asahi.com/articles/TKY201311230294.html

〈秘密保護法案〉国民の「知る義務」阻害 樋口陽一さん
2013年11月24日00時14分

 ■東大名誉教授・樋口陽一さん

 敗戦後の焼け野原の中、「私はだまされていた」と告白した高名な作家がいました。国民主権の憲法となり、国民自身が政治を動かす立場にある今こそ、私たちには「だまされない責任」があると言いたい。

 しかし3・11の原発災害で私たちは「原発は安全」という神話にだまされていたことを知った。今後、政府のうそにだまされず、主権者として公のことがらの基本を動かし、未来への責任を果たすため、国民には問題の所在を「知る義務」がある。それを邪魔するのが、今回の特定秘密保護法案だと言えます。

 法案の中身の粗さからも、政府の説明や政党間協議の経緯からもたくさんの疑問がわき出ています。それを押し切り「秘密」の壁を高く厚くする理由について、安倍政権は「米国と情報共有をはかるため」と説明しています。「秘密」の共有を強化してまで政権がやろうとしていることは、日本が歩んだ道からの決定的転換となるでしょう。

 米国は世界中に情報の網を張り巡らせる覇権大国として各国と摩擦を起こしていますが、一方で米国の言論人は「批判の自由」を核心的な価値として守ってきました。安倍政権は日米で「価値観を共有する」と言いますが、日本社会の骨組みをどちらの方向に切り替えるかが、法案をめぐって問われていると思います。
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●憲法学者vs壊憲派議員、理はどちらにあるのか?

2013年05月29日 00時00分04秒 | Weblog


asahi.comの記事(http://www.asahi.com/politics/update/0523/TKY201305230274.html)、東京新聞の二つの記事(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013052301001904.htmlhttp://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013052490070737.html)。

 小泉政権の下、かつては改憲を主張していた小林節氏までが、今回の壊憲に反対だそうです。「立憲主義の破壊」だという学者グループと壊憲派の政治家、さて、どちらに理はあるでしょうか?

 「国会は3分の2の合意形成まで熟慮と討議を重ね、国民が慎重な決断をするための材料を集め、提供するのが職責のはず。過半数で発議し、あとは国民に丸投げというのは、法論理的に無理がある」、「法に縛られるべき権力者たちが国民を利用し、憲法をとりあげようとしている」、「九六条の争点化は前代未聞で、保守政治の劣化だ」、「『憲法を国民に取り戻す』と言いながら、権力者が国民を利用しようとしている」、「憲法は国民でなく権力者を縛るもの、という立憲主義を理解しておらず、議論にならない」。

   『●戦争、環境破壊の最たるもの
   『●壊憲: 国内問題ではなくて、もはや国際問題
   『●壊憲: 自らの鎖を解放ち、その鎖を国民に巻こうとしている
   『●・・・であるのならば、壊憲派を勝たせてはいけない ~「“悪魔”を阻むハードル」を下げてはならない~
   『●「9条が危ない! 自民党の暴走」『週刊金曜日』(2013年4月26日、941号)
   『●改憲などしている場合か? ~壊憲派に勝たせてはならない~

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http://www.asahi.com/politics/update/0523/TKY201305230274.html

2013年5月23日20時21分
学者ら「96条の会」結成 参院選向け改正反対呼びかけ

【石橋英昭】安倍政権が憲法96条を改め、国会の改憲発議要件を3分の2から過半数に緩めようとしているのは、立憲主義の破壊だとして、著名な憲法学者や政治学者らが23日、「96条の会」を結成した。参院選に向け、96条改正反対を呼びかける。

 代表は憲法学界の長老、樋口陽一東大・東北大名誉教授。衆院議員会館での記者会見で「国会は3分の2の合意形成まで熟慮と討議を重ね、国民が慎重な決断をするための材料を集め、提供するのが職責のはず。過半数で発議し、あとは国民に丸投げというのは、法論理的に無理がある」などと訴えた。

 発起人の一人で、これまで改憲論者として知られた小林節慶応大教授は、安倍晋三首相が96条改正で「憲法を国民の手に取り戻す」と述べたことを批判。「憲法に縛られるべき権力者たちが国民を利用し、憲法をとりあげようとしている」と断じた。

・・・・・・・・・。
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http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013052301001904.html

96条改正「憲法への挑戦」 主張超え学者結集
2013年5月23日 19時04分

 改憲の発議要件を緩和する憲法96条改正に反対の学者が「96条の会」を発足し、代表の樋口陽一東大名誉教授らが23日、東京・永田町で記者会見して「96条改正は憲法の存在理由そのものへの挑戦だ」とする声明を発表した。

 発起人は憲法学者や政治学者ら36人。護憲派だけでなく9条改正を唱える改憲論者も含まれており、主張の違いを超えて大同団結した。声明は「96条を守れるかどうかは権力を制限するという立憲主義にかかわる重大な問題。(改正は)政治家の権力を不当に強めるだけだ」と訴えた。

 自民党などは発議要件を衆参両院の3分の2以上の賛成から過半数にすることを主張している。

(共同)
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http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013052490070737.html

改憲・護憲派 声そろえ 「96条守らねば憲法破壊」
2013年5月24日 07時07分

 安倍晋三首相が意欲を示す憲法九六条の先行改憲に反対する憲法学や政治学の研究者でつくる「九六条の会」が発足し、代表の樋口陽一東大名誉教授らが二十三日、東京・永田町で記者会見した。護憲派だけでなく、改憲派の論客として知られる小林節慶応大教授も発起人として参加。この日は超党派の議員連盟「立憲フォーラム」も会合を開き、改憲手続きの緩和を阻止する動きが加速してきた。

 「憲法の破壊だ」「政治家集団の暴走」。会見では、九六条の先行改憲への批判が噴出した。

 九六条は改憲の発議に衆参両院で三分の二以上の賛成が必要と定めている。安倍首相はこれを過半数に緩和する改憲の是非を参院選の争点にする構えだ。

 樋口名誉教授は「憲法改正権(九六条)によって、その条文自体を変えるのは、法論理的に無理な話」と指摘。「国民が決断するための材料として、国会で三分の二の数字を集めるのが国会議員の職責。それを軽視し、過半数で国民に丸投げするのはおかしい」と述べた。世界的にも、改憲手続きを緩和する改憲をした例は「知る限りない」という。

 山口二郎北海道大教授は「九六条の争点化は前代未聞で、保守政治の劣化だ」と話し、強い危機感が会の発足につながったことを強調した。

 立憲フォーラムは一般公開で小林教授の講演会を開き民主、社民、共産の国会議員ら約百人が参加。幹事長の辻元清美衆院議員は「立憲主義という言葉が広がり国会の空気は変わってきた」と話した。


◆保守論客・小林教授も参加

 小林節教授は約三十年間、自民党の勉強会で指南役を務め、自衛軍や新しい人権の規定を唱える改憲論者。だが、九六条先行改憲の問題が浮上して以降は、テレビやインターネットの討論番組に精力的に出演し、真っ向から反対の論陣を張っている。

 九六条の会の発足会見に出席した後も超党派の議員らの前で講演。「生まれて初めて、(護憲派の)樋口名誉教授と同じ側に座った」と笑いを誘い、それほどの危機的状況であることを強調した。

 小林教授は「『憲法を国民に取り戻す』と言いながら、権力者が国民を利用しようとしている」と安倍首相を批判。国民の義務規定を増やした自民党の憲法草案についても「憲法は国民でなく権力者を縛るもの、という立憲主義を理解しておらず、議論にならない」と切り捨てた。

 この数週間の議論で国民の立憲主義への理解が深まったと感じているといい「今後も、(衆参両院の)三分の二の賛成を獲得できるような改憲論を堂々と語りたい」と持論を述べた。

(東京新聞)
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●『自然と人間』(2013年5月号、Vol.203)についてのつぶやき

2013年05月07日 00時00分42秒 | Weblog


自然と人間』(2013年5月号、Vol.203)の最新号について、最近のつぶやきから、AS@ActSludge

 最も注目の記事は、「森達也さん【第86回つぶやくニッポンの街角 誰が誰に何を言ってんの?】、衆院選ポスター「ウソつかない。TPP断固反対。ブレない。」、「高田渡(故人)が歌っていた「値上げ」の歌詞・・・」。

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■『自然と人間』(2013年5月号、Vol.203) / 森達也さん【第86回つぶやくニッポンの街角 誰が誰に何を言ってんの?】、衆院選ポスター「ウソつかない。TPP断固反対。ブレない。」、「高田渡(故人)が歌っていた「値上げ」の歌詞をとりあげる。写真と併せて読んでほしい」 

■『自然と人間』(2013年5月号、Vol.203) / 大田昌秀氏【日本政府の対沖縄構造的差別政策の根源を問う】、「沖縄はヤマトの政治的質草か」、「大多数の都道府県知事にとっては他人事」。【菅原文太×樋口陽一対談】、「20年後の東北はどうなっているのか?」、「過激なナショナリストの政権だ」・・・

■『自然と人間』(2013年5月号、Vol.203) / ・・・「独裁のような図式が出来ている」、「危険なのは政治家の軽挙妄動」。鶴田由紀氏【進行する原子力ルネサンス*】、「原発推進の共同声明」、「CO2温暖化説の背後にあるもの」(*:地球温暖化対策における原子力の役割が強調されたため起きた原子力を再評価する動き)

■『自然と人間』(2013年5月号、Vol.203) / 花烏賊康繁氏【山形のJAは「TPP断固反対」を堅持! 交渉参加表明は主権放棄の「売国」】、「・・・国民への裏切り」、「「TPP賛成」世論調査の不思議」、「農民連は「TPP断固阻止」で不動」、「TPPで得るのは酷益のみ」」

■『自然と人間』(2013年5月号、Vol.203) / 藤末衛氏【日本の医療を狙うアメリカ企業 TPPの背後で進む健康保険制度の形骸化】、「米国企業にとって邪魔な「薬価制度」」、「手術の技術にも特許権を」、「混合医療禁止の原則」、「儲かるところは民間保険で」、「規制緩和路線の復活」、「お金のあるなしで治療が変わっていいのか」、「アメリカンルールの押しつけ」

■『自然と人間』(2013年5月号、Vol.203) / 粟野仁雄さん【「違法な決定」で再び閉じた開かずの扉 福井女子中学生殺しで再審開始取り消し決定】、福井事件http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/c6faa6b8e84cba0ca659950eda725bc8http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/ca83f2704bc78a7bb761bce9ac5e4877

■『自然と人間』(2013年5月号、Vol.203) / ・・・「酷似する毒ぶどう酒事件と福井女子中学生殺害事件」、「判例無視した独自解釈の決定」、「「疑わしきは罰する」の揺り戻し」、「終わらぬ父子の戦い」。【大谷昭宏の言いたい放題 日本維新の会の綱領の裏に隠された本音は、強力な軍事国家】・・・

■『自然と人間』(2013年5月号、Vol.203) / ・・・「自民党の理念と重なる富国強兵的な意味」、「「自立する個人」、透けて見える自己責任論」、「日本国憲法は破棄してしまえ、ということ」、「96条を変えてやりたい放題か」。http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/19631ae7dca6c7c04c6d52ab21e89b9e
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●・・・であるのならば、壊憲派を勝たせてはいけない ~「“悪魔”を阻むハードル」を下げてはならない~

2013年05月04日 00時00分23秒 | Weblog


壊憲〟についての朝日新聞の世論調査を受けての識者のコメント記事(http://www.asahi.com/politics/update/0501/TKY201305010546.htmlhttp://www.asahi.com/politics/update/0502/TKY201305010583.htmlhttp://www.asahi.com/politics/update/0502/TKY201305010587.htmlhttp://www.asahi.com/politics/update/0502/TKY201305010585.html)。東京新聞のコラム『筆洗』(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2013042902000117.html。すぐに消えてなくなるasahi.comの社説(http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup5月3日)。東京新聞の記事(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013050302000127.html)、社説(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013050302000147.html、そしてコラム『筆洗』をもう一つ(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2013050302000146.html)。

 自らを律することができない自民党タカ派や元東京〝ト〟知事元大阪〝ト〟知事を縛るために国民が持っている鎖を、資格のない国会議員が自ら断ち切ろうとしている。(金に群がるハゲタカでもある)タカの爪をを巧妙に隠し、まずは改憲・壊憲のためのハードル「“悪魔”を阻むハードル」を下げようとしている。その先には、多くの国民の望まない「戦争を出来る国」にするために。
 「ワイマール憲法当時のドイツで実際に起きたことです。・・・ヒトラーは国民投票という手段も乱発して、反対勢力を壊滅させ、独裁者になりました。憲法は破壊されたのです」。「政治や外交の機能不全の責任を憲法に押しつける戦後世代のリーダー」に壊憲させてはならない。「政治家が歴史に学ばない国は危うい」、そう我が国はとても危うい状況。

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http://www.asahi.com/politics/update/0501/TKY201305010546.html

2013年5月2日0時14分
改憲手続き緩和 賛成38%、反対54% 世論調査

 憲法記念日を前に朝日新聞社は全国郵送世論調査を行い、憲法に関する有権者の意識を探った。それによると、憲法96条を変え、改憲の提案に必要な衆参各院の議員の賛成を3分の2以上から過半数に緩める自民党の主張について、反対の54%が賛成の38%を上回った。9条についても「変えない方がよい」が52%で、「変える方がよい」の39%より多かった。


http://www.asahi.com/politics/update/0502/TKY201305010583.html
http://www.asahi.com/politics/update/0502/TKY201305010587.html
http://www.asahi.com/politics/update/0502/TKY201305010585.html

 5月3日は憲法記念日。朝日新聞社が憲法をテーマに行った全国郵送世論調査の回答を見て、作家の雨宮処凛(かりん)さんは不思議がった。「もしこれが1人の人間の思考だとしたら、とても心配。ものすごく矛盾していて……」。映画監督・作家の森達也さんは、9条を変えないという人が多かったのは「意外だった」と驚いた。神戸大名誉教授の浦部法穂さんは、今の国会議員は「憲法をいじる資格はない」と手厳しい。好調アベノミクスと同時進行する改憲の動き。3人の識者が語る憲法と日本社会とは――。


雨宮処凛さん「人間1人の思考なら矛盾」 憲法世論調査

■作家の雨宮処凛さん
 「いまの憲法を変える必要がある」という人が半数を超え、その理由で最も多かったのが「国防の規定が不十分だから」だという。それでいて「9条を変えないほうがよい」が半数を超える。もしこれが1人の人間の思考だとしたら、とても心配。ものすごく矛盾していて、どんな人間かわからない。
 しかし、ある意味、いまの日本を象徴しているのかもしれない。
 「戦争」とか「国防軍」とか「軍隊」という言葉には強い嫌悪感を示す。9条は守るべきだという人は多い。けれども、参院選で投票するとき、重視する政策を聞けば「憲法」は最下位。かなりの国民は、本気でどーでもいいと思っている気がする。自民党の憲法改正草案を読んでいる人が一体どれだけいるのでしょうか


浦部法穂さん「今の議員に憲法いじる資格ない」世論調査

■神戸大名誉教授の浦部法穂(のりほ)さん
 憲法9条を変えない方がよいという人も、96条の改憲手続きを緩める自民党案に反対という人も5割を超えた。改憲賛成が5割を超えたといっても理由は非常に散らばっていて、最も多くの人が理由に挙げた「国防の規定が不十分」でも全体の3割にとどまっている。国会の論調だけをみると改憲ムードが非常に強いが、国民は割合冷静に見ているのではないか。
 そもそも憲法改正権は国民にあるのだから、改憲は国民の側から「国会で案を作れ」という声が起きてから初めて国会が議論するものだ。ところが、憲法で行動を制約され、命じられる側の国会、まして統治権の中枢の内閣が今の憲法では都合が悪いからといって改憲を主導するのは本末転倒でおかしい。


森達也さん「9条変えない意見多いのは意外」 世論調査

■映画監督・作家で明治大特任教授の森達也さん
 憲法9条を変えない、という意見が多かったのは、意外だった。
 総選挙では予想通りというか、予想を上回るほどの自民党圧勝だった。小選挙区のマジックを差し引いても、自民党や安倍政権への支持が強いのは間違いない。票を入れた人の多くは、憲法9条改定にも賛成なのだろう、と思い込んでいた。だが、調査結果では、景気浮揚策への期待から政権を支持しても、憲法9条改定までは支持していないことが浮かび上がる。自民党や安倍晋三首相には、軌道修正を期待したい。
 ただし僕は、がちがちの護憲派ではない。半世紀以上たっているのだから、時代に合わない要素があればマイナーチェンジしてもいい。でも9条も含め、基本理念は安易に変えるべきではない
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2013042902000117.html

【コラム】
筆洗
2013年4月29日

 <遺棄死体数百といひ数千といふいのちをふたつもちしものなし>。昭和十五年、日中戦争の報道写真を見て、新聞記者で歌人の土岐善麿がつくった歌である▼命を二つ持つ者はいない、と生命の尊さを詠んだだけなのに右翼から攻撃され、戦時下は隠遁(いんとん)生活を送る。敵国の兵士に同情したと思われると、袋だたきに遭う時代だった▼その時代に戻ることはないと信じているが、「嫌中・嫌韓」が声高に語られる風潮には危うさを感じる。それを政治家があおっているのだから尋常ではない▼閣僚の靖国参拝に対する中韓両国の抗議を安倍晋三首相は「わが閣僚はどんな脅かしにも屈しない」と突っぱね、「侵略の定義は国際的にも定まっていない」と去の侵略戦争や植民地支配を正当化するような発言を重ねた。経済優先の「安全運転」に徹してきた首相の「地金がむき出しになってきた▼その歴史認識に米国側から反発も出てきた。米紙ワシントン・ポストやニューヨーク・タイムズは「歴史を直視していない。これまでの経済政策の成果も台無しにしかねない」「敵対心を無謀にあおっているように見える」と社説で批判した▼<あなたは勝つものとおもつてゐましたかと老いたる妻のさびしげにいふ>。戦時中は好戦的な歌もつくった善麿の昭和二十一年の歌だ。戦争は遠くなり、勇ましい声が再び戻ってきた。
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http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup5月3日】

2013年 5月 3 日(金)付
憲法を考える―変えていいこと、ならぬこと

 憲法には、決して変えてはならないことがある
 近代の歴史が築いた国民主権基本的人権の尊重平和主義などがそうだ。時代の要請に合わせて改めてもいい条項はあるにせよ、こうした普遍の原理は守り続けねばならない
 安倍首相が憲法改正を主張している。まずは96条の改正手続きを改め、個々の条項を変えやすくする。それを、夏の参院選の争点にするという。
 だがその結果、大切にすべきものが削られたり、ゆがめられたりするおそれはないのか。
 いまを生きる私たちだけでなく、子や孫の世代にもかかわる問題だ。

権力を縛る最高法規
 そもそも、憲法とは何か。
 憲法学のイロハで言えば、権力に勝手なことをさせないよう縛りをかける最高法規だ。この「立憲主義こそ、近代憲法の本質である。
 明治の伊藤博文は、天皇主権の大日本帝国憲法の制定にあたってでさえ、「憲法を設くる趣旨は第一、君権を制限し、第二、臣民の権利を保全することにある」と喝破している。
 こうした考え方は、もちろん今日(こんにち)にも引き継がれている。
 憲法99条にはこうある。「天皇又(また)は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」。「国民」とは書かれていないのだ。
 立憲主義は、国王から市民が権利を勝ち取ってきた近代の西欧社会が築いた原理だ。これを守るため、各国はさまざまなやり方で憲法改正に高いハードルを設けている。
 米国では、両院の3分の2以上の賛成と4分の3以上の州議会の承認がいる。デンマークでは国会の過半数の賛成だが、総選挙をはさんで2度の議決と国民投票の承認を求めている。
 日本では、両院の総議員の3分の2以上の賛成と、国民投票での過半数の承認が必要だ。
 自民党などの改正論は、この「3分の2」を「過半数」に引き下げようというものだ。

歴史の教訓を刻む
 だが、これでは一般の法改正とほぼ同じように発議でき、権力の歯止めの用をなさない。戦争放棄をうたった9条改正以上に、憲法の根本的な性格を一変させるおそれがある。
 私たちが、96条改正に反対するのはそのためである。
 日本と同様、敗戦後に新しい憲法(基本法)をつくったドイツは、59回の改正を重ねた。一方で、触れてはならないと憲法に明記されている条文がある。
 「人間の尊厳の不可侵」や「すべての国家権力は国民に由来する」などの原則だ。
 ナチスが合法的に独裁権力を握り、侵略やユダヤ人虐殺につながったことへの反省からだ。
 日本国憲法は、97条で基本的人権を「永久の権利」と記している。これに国民主権と平和主義を加えた「三つの原理」の根幹は、改正手続きによっても変えられないというのが学界の多数説だ。
 かつての天皇制のもとで軍国主義が招いた惨禍の教訓が、その背景にある。
 特に9条は、二度と過ちを繰り返さないという国際社会への約束という性格もある。国民の多くは、それを大切なことだとして重んじてきた。
 自民党が96条改正の先に見すえるのは、9条だけではない。改憲草案では、国民の権利への制約を強めかねない条項もある。立憲主義とは逆方向だ。

■政治の自己改革こそ
 首相は「国民の手に憲法を取り戻す」という。改正のハードルが高すぎて、国民から投票の権利を奪っているというのだ。
 これは論理のすり替えだ。各国が高い壁を乗り越え、何度も憲法を改めていることを見ても、それは明らかだろう。
 改めるべき条項があれば、国民にその必要性を十分説く。国会で議論を尽くし、党派を超えて大多数の合意を得る。
 そうした努力もせぬまま、ルールを易(やす)きに変えるというのは責任の放棄ではないか。
 憲法に指一本触れてはならないというのではない。
 例えば、国会の仕組みである。衆院と参院は同じような権限を持つ。このため多数派が異なる「ねじれ」となると、国政の停滞を招いてきた。
 いずれ憲法の規定を改め、衆参両院の役割分担を明確にするなどの手直しが必要になるかもしれない。
 もっとも、いまの国会の怠慢は度し難い
 ねじれによる政治の停滞を嘆くなら、なぜ衆参両院の議決が異なった時に話し合う両院協議会の運用を見直さないのか。
 最高裁に違憲状態とされた一票の格差問題では、司法が口出しするのはおかしいといわんばかりの議論が横行している。これでは、憲法を語る資格などはない
 まずなすべきは、そんな政治の自己改革にほかならない。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013050302000127.html

知らず改憲 危険 読者からの手紙
2013年5月3日 朝刊

 改憲が、政治の場で声高に語られる中で迎えた憲法記念日。本紙が四月十九日から連載した「『憲法と、』第1部 50年代の攻防」には読者から、憲法への思いなどをつづった手紙やメールが寄せられている。憲法について人々がよく知らないまま、変えられてしまうのではないか。そもそも今の社会で憲法の理念がないがしろにされているのではないか-。文面からは危機感がにじむ。 (上條憲也、樋口薫)

 「改憲が動きだす前に、『憲法は権力を縛るもの』という認識が当たり前のことになっていなければ、危険すぎると思います」。そうメールにつづった千葉県鎌ケ谷市の塾講師村松真理子さん(55)を訪ねた。
 憲法に関心を持ったのは一九八二年、小学館の「日本国憲法」を手に取ったことがきっかけだったという。当時も改憲が取り沙汰され、異例のベストセラーとなっていた。
 戦力不保持をうたった九条を改正し、国を「気概をもって自ら支え守る責務」を盛り込んだ二〇〇五年の自民党の憲法改正草案を知人に見せたときに「知らなかった。怖い」と言われた。
 知らせることの重要性を感じた村松さんは〇七年から勉強会を始め、小冊子「みんなの憲法」の発行を続ける。会の仲間とは、主にメールで意見交換。学ぶことが大事なので立場は改憲でも問わない。
 ただ、輪を広げようとしても憲法に拒否反応を示す人もいる。村松さんは最近、知人に憲法について意見を募るメールを一斉送信した。「憲法の話を送ってこないで」という返信もあったという。
 メンバーの一人で、青森県八戸市で空襲を体験した松倉要正さん(80)は「フランスでは青年たちが昼間からカフェで自国の憲法論争をしているのに…」ともどかしさを感じている。村松さんは「問題意識を持つことは面倒なこと。でも考えることで憲法は自分たちのものになる」。
 個人を尊重し、幸福追求権を定めた一三条を村松さんは「憲法が憲法である性質を表している」と言う。憲法の大前提は権力から国民を守るためのものであり、国家の意図を国民に押し付けるものではない。
 「憲法を分かろうと個々がアンテナを研ぎ澄ますことが大事。それが(憲法一二条が定める)自由と権利を保持するための『国民の不断の努力』になる」と村松さんは考える。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013050302000147.html

【社説】
憲法を考える 歴史がつなぐ知恵の鎖
2013年5月3日

 憲法改正を叫ぶ勢力の最大目的は、九条を変えることでしょう。国防軍創設の必要性がどこにあるのでしょうか平和憲法を守る方が現実的です。
 選挙で第一党になる、これは民主的な手法です。多数決で法律をつくる、これも民主的です。権力が憲法の制約から自由になる法律をつくったら…。
 ワイマール憲法当時のドイツで実際に起きたことです。国民主権を採用し、民主主義的な制度を広範に導入した近代憲法でした。ヒトラーは国民投票という手段も乱発して、反対勢力を壊滅させ、独裁者になりました。憲法は破壊されたのです

熱狂を縛る立憲主義
 日本国憲法の役目は、むろん「権力を縛る鎖」です。立憲主義と呼ばれます。大日本帝国憲法でも、伊藤博文が「君権を制限し、臣民の権利を保障すること」と述べたことは有名です。
 たとえ国民が選んだ国家権力であれ、その力を濫用する恐れがあるので、鎖で縛ってあるのです。また、日本国民の過去の経験が、現在の国民をつなぎ留める“鎖”でもあるでしょう。
 憲法学者の樋口陽一東大名誉教授は「確かに国民が自分で自分の手をあらかじめ縛っているのです。それが今日の立憲主義の知恵なのです」と語ります。
 人間とはある政治勢力の熱狂に浮かれたり、しらけた状態で世の中に流されたりします。そんな移ろいやすさゆえに、過去の人々が憲法で、われわれの内なる愚かさを拘束しているのです。
 民主主義は本来、多数者の意思も少数者の意思もくみ取る装置ですが、多数決を制すれば物事は決まります。今日の人民は明日の人民を拘束できません。今日と明日の民意が異なったりするからです。それに対し、立憲主義の原理は、正反対の働きをします。

9条改正の必要はない

   「国民主権といえども、服さねばならない何かがある、
    それが憲法の中核です。例えば一三条の『個人の尊重』などは
    人類普遍の原理です。近代デモクラシーでは、立憲主義を用い、
    単純多数決では変えられない約束事をいくつも定めているのです」(樋口さん)

 自民党の憲法改正草案は、専門家から「非立憲主義的だ」と批判が上がっています。国民の権利に後ろ向きで、国民の義務が大幅に拡大しているからです。前文では抽象的な表現ながら、国を守ることを国民の義務とし、九条で国防軍の保持を明記しています。
 しかし、元防衛官僚の柳沢協二さんは「九条改正も集団的自衛権を認める必要性も、現在の日本には存在しません」と語ります。旧防衛庁の官房長や防衛研究所所長、内閣官房の副長官補として、安全保障を担当した人です。

   「情勢の変化といえば、北朝鮮のミサイルと中国の海洋進出でしょう。
    いずれも個別的自衛権の問題で、たとえ尖閣諸島で摩擦が起きても、
    外交努力によって解決すべき事柄です。九条の改正は、中国や韓国は
    もちろん、アジア諸国も希望していないのは明らかです。米国も
    波風立てないでほしいと思っているでしょう」

 九条を変えないと国が守れないという現実自体がないのです。米国の最大の経済相手国は、中国です。日中間の戦争など望むはずがありません。

   「米国は武力が主な手段ではなくなっている時代だと認識しています。
    冷戦時代は『脅威と抑止』論でしたが、今は『共存』と『摩擦』が
    テーマの時代です。必要なのは勇ましい議論ではなく、むしろブレーキです

 柳沢さんは「防衛官僚のプライドとは、今の憲法の中で国を守ることだ」とも明言しました。
 国防軍が実現したら、どんなことが起きるのでしょうか。樋口さんは「自衛隊は国外での戦闘行為は許されていませんが、その枠がはずれてしまう」と語ります。

   「反戦的な言論や市民運動が自由に行われるのは、
    九条が歯止めになっているからです。国防軍ができれば、
    その足を引っ張る言論は封殺されかねません。軍事的な価値を
    強調するように、学校教育も変えようとするでしょう」

 安倍晋三首相の祖父・岸信介氏は「日本国憲法こそ戦後の諸悪の根源」のごとく批判しました。でも、憲法施行から六十六年も平和だった歴史は、「悪」でしょうか。改憲論は長く国民の意思によって阻まれてきたのです。

悪魔を阻むハードル
 首相は九六条の改憲規定に手を付けます。発議要件を議員の三分の二から過半数へ緩和する案です。しかし、どの先進国でも単純多数決という“悪魔”を防ぐため、高い改憲ハードルを設けているのです。九六条がまず、いけにえになれば、多数派は憲法の中核精神すら破壊しかねません。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2013050302000146.html

【コラム】
筆洗
2013年5月3日

 集団自決の場で何人もの子どもを手にかけながら、自らは死に切れなかった人がいる。約四百人の孤児を引率して命からがら引き揚げてきた人がいる。百人の子どもが途中で亡くなった。先月二十四日、長野県阿智村に開館した満蒙(まんもう)開拓平和記念館には、国策で満州に渡った人たちが味わった地獄が刻まれている▼二十七万人の満蒙開拓団のうち、全国最多の三万二千九百九十二人を送り出したのは長野県だった。帰国できたのは一万六千九百四十九人。千百三人が残留孤児や残留婦人になった▼阿智村のある下伊那・飯田地方からは県内でも最も多い八千三百八十九人が渡満した。この地に平和記念館を建設することは、地域の引き揚げ者たちの悲願だった▼関東軍に見捨てられた開拓団は、日ソ中立条約を一方的に破棄して侵攻してきたソ連軍に襲われた。集団自決の悲劇もあった。栄養失調や伝染病でさらに多くの犠牲者を出した。移民ではなく、棄民だった▼きょうは憲法記念日。改憲が具体的な政治日程に上がってきたのは、戦争のおびただしい犠牲者の上に立つ憲法から「血の色」があせてきたことと無縁ではない政治や外交の機能不全の責任を憲法に押しつける戦後世代のリーダーがいる。戦争の記憶を伝えようと、戦後七十年近くなって記念館を建てる人たちがいる。政治家が歴史に学ばない国は危うい
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