Activated Sludge ブログ ~日々読学~

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●東電柏崎刈羽原発再稼働!?: 《第一原発事故を検証しない限り…》とする泉田裕彦新潟県知事の正論

2016年08月25日 00時00分20秒 | Weblog


東京新聞の記事【規制委、柏崎刈羽を優先審査 福島第一と同型、年度内に適合も】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201608/CK2016082402000116.html)。

 《原子力規制委員会が…東電柏崎刈羽6、7号機(新潟県)を優先して進める方針…今も廃炉作業や住民避難が続く第一原発事故は収束しておらず事故の当事者である東電の原発が優先されることは議論を呼びそうだ》。

 優先的に審査するかなんてことよりも、東電は「サイカドウ」の「サ」の字も口に出すことは許されない、と私は思います。審査申請を原子力「ムラ寄生」委員会=原子力「規制緩和」委員会が認めることも無茶苦茶で、いったい何のための「規制」委員会なのか!、と言いたい。そして、アベ様ら自民党議員たちの無責任…、(責任の取りようがないことは脇に置くとしても)誰か一人でも責任をとったのか?
 《第一原発事故を検証しない限り、再稼働については議論しない》とする泉田裕彦知事の肩にかかっている。ニッポンに核発電所を再稼働する資格はない。ましてや、東京電力に再稼働させるなど、絶対にあってはならない。東電は、人災前の姿へと「原状回復」を、まずは、して見せろ!、話はそれから。

   『●言葉が見つかりません・・・
   『●哀しい遺書: 「原子力さえなければ」
   『●ドキュメンタリー映画『わすれない ふくしま』:
      「震災さえ」ではなく 「原発さえなければ・・・」
   『●柏崎刈羽原発再稼働を画策するような東電は 
                 十分に責任を果たしたのか?
   『●「「3.11」から2年② 原発という犯罪」
        『週刊金曜日』(2013年3月8日、934号)
   『●原状回復できない現実: 「12万円で、あとはもう黙ってろ、
                 自然に放射能さがんの待ってろっつうこと」
   『●「あれだけの事故を起こして被害を出して、
     だれか1人でも責任とってやめたか。申し訳ないと謝罪したか」
   『●「それは風評でなくて現実だ」: 東電核発電人災の
        「大地を受け継い」だ人々の葛藤、引き裂かれた心
    「「原発さえなければ」「福島の百姓は終わりだ」…せめて、そんなことが
     二度と起きない「未来図」を描かないといけないでしょ!
     「核兵器と原発による核の被害」なき「未来図」、
     「人々が核兵器や原発に苦しまない」「未来図」が必要」

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201608/CK2016082402000116.html

規制委、柏崎刈羽を優先審査 福島第一と同型、年度内に適合も
2016年8月24日 朝刊

 原子力規制委員会が、事故を起こした東京電力福島第一原発と同じ沸騰水型原発の再稼働に向けた審査で、東電柏崎刈羽6、7号機(新潟県)を優先して進める方針を固め、二基と並行審査中の原発を持つ電力会社に伝えていたことが分かった。審査が順調に進めば本年度内にも適合する可能性が出てきた

 第一原発事故後にできた新規制基準に基づく審査に適合し、これまでに再稼働した原発は全て加圧水型で、二基が適合すれば、東電の原発では初めて、全国的にも沸騰水型では第一号となる。

 規制委は優先審査の終了後、適合証の原案となる審査書案の取りまとめに入り、この作業にも人員を集中させるとみられる。ただ、今も廃炉作業や住民避難が続く第一原発事故は収束しておらず事故の当事者である東電の原発が優先されることは議論を呼びそうだ。

 新潟県の泉田裕彦知事は「第一原発事故を検証しない限り、再稼働については議論しない」との姿勢を崩しておらず、適合しても再稼働の時期は見通せない

 柏崎刈羽6、7号機は二〇一三年九月に審査を申請。規制委は昨年八月、沸騰水型の審査を効率的に進めるためにモデルケースを作るとして6、7号機の優先審査を決定した。しかし今年三月、施設の耐震性の評価手法について、東電が準備不足で十分に説明できなかったことから優先を取り消し、東北電力女川2号機(宮城県)など四原発四基と並行して審査するやり方に戻していた。

 関係者によると、問題となった評価手法を東電がまとめたため、規制委は少なくとも九月中旬まで柏崎刈羽の審査を再度、優先することにし、八月、並行審査中の電力会社に方針を伝えた。昨年から今年にかけての優先審査が順調に進んだため、残りの課題は少ないという。

 沸騰水型原発は、フィルター付きベントなど事故対策設備の設置が新規制基準で義務付けられたため、既に再稼働した九州電力川内原発(鹿児島県)などの加圧水型に比べ、審査に時間がかかっている。
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●高浜原発「差し止め」、国民を守る司法判断: 寄生委の新規制基準は「緩やかにすぎ、合理性がない」

2015年04月16日 00時00分43秒 | Weblog


東京新聞の記事【高浜再稼働 認めず 「緩い規制基準 合理性欠く」】(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2015041590070351.html)と、
社説【国民を守る司法判断だ 高浜原発「差し止め」】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2015041502000122.html)。

   ●関西電力大飯原発再稼働差し止め、画期的勝訴:
                 もし敗訴していたら大変なことに・・・・・・

   『●画期的! 福井地裁樋口英明裁判長、  
      高浜3、4号機再稼働差止仮処分決定・・・「直ちに効果が発生」!!

 「原子力規制委員会新規制基準は「緩やかにすぎ、合理性がない」と指摘、基準に適合していても再稼働を認めないとの決定」。
 原子力「ムラ寄生」委員会の「世界一厳しい」らしい基準に合格したからと言って、「安全」・・・・・・なわけがない。それはアベ様らが自称しているにすぎず、世界が「世界一」を認めている訳ではない。

   ●原発再稼働という恥ずべき選択
      ~「新基準は世界一」「世界最高レベル」ではなく、「世界一の無責任」~


 「福井地裁は、原子力規制委員会の新規制基準を否定した。それでは国民が守られないと」。
 3.11東京電力原発人災の惨状を見よ!・・・・・・「原発さえなければ」。

   ●ドキュメンタリー映画『わすれない ふくしま』:
          「震災さえ」ではなく 「原発さえなければ・・・」


 東京新聞の記事【最高の決定」万感 高浜再稼働認めず リスク恐れず申し立て】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015041502000120.html)によると、「申立人は今後の本訴訟で関電側が勝った場合、多額の損害賠償を請求される可能性がある。だがリスクを背負いつつも「福島事故の悲劇を繰り返さない」との決意を胸に、闘ってきた・・・・・・「原発を止めるチャンスがあるのなら、家や土地など惜しくない」」。この仮処分決定を、悲劇を繰り返さない第一歩にしたいところ。

 一方、予想通りの反応。「国は当事者ではない」!! 原発の「地元」の皆さんは何を思う?? ブログ主も、十分に「地元」民だと思いますが、呆れます。ニッポン国の無責任。
 東京新聞の記事【再稼働 政府「粛々と」 高浜仮処分 規制委「審査に影響ない」】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015041502000114.html)によると、「政府や電力業界の姿勢に“冷や水”を浴びせた格好だ。両者は「再稼働の方針に変更はな」とするものの、今回の司法判断で住民理解や地元同意などの手続きが難しくなったとの声も出ている・・・・・・菅義偉(すがよしひで)官房長官は十四日の記者会見で「国は当事者ではない」とした上で、異議を申し立てる予定の関西電力の対応を注視する考えを示した。「世界で最も厳しいと言われる規制の結果、大丈夫だと判断された。(再稼働は)粛々と進めていきたい」。話しぶりはいつもと変わりなかったが、「上から目線」と不評を買い封印したはずの「粛々と」のフレーズを口にした」。
 仮処分を無視して、スガ官房長は「ズカズカ」進めるそうだ。凄いねっ。

   ●屁理屈にもなっていない
       ・・・菅義偉官房長官「汚染水の『影響』は完全にブロック」

   『●深刻な原発事故の教訓として
       「汚染水の『影響』は完全にブロック」・・・なんて言えるわけがない

   『●この現実を見ても、アベ様と菅官房長官は
        「汚染水の『影響』は完全にブロック」と言うのか?


   ●菅義偉官房長官曰く「この問題は過去のものだ。
        争点にはならない」・・・・・・なんという言い草!!

   『●沖縄で連敗続きのアベ様、「この問題は過去のものだ。
                争点にはならない」で済まされるのか?

   『●さあ、ここから: 高江・辺野古破壊問題等々・・・
             「過去のもの」や「終わり」にしてはいけない

   『●沖縄県民の民意は明白: 辺野古破壊者、沖縄で4度目の完敗
   『●沖縄県民の民意にお構いなし、
        辺野古破壊者は沖縄で4度目の完敗だというのに


 もう一度、ここで立ち止まって、「地元」も、3.11東京電力原発人災の惨状を省みるべきではないか。「原発さえなければ」、を見つめ直すべき。asahi.comの記事【高浜再稼働差し止め、原告「最高の内容」 自治体反発も】(http://www.asahi.com/articles/ASH4F62M0H4FPTIL024.html?iref=comtop_list_nat_n04)には、「一方、再稼働に期待する地元自治体からは反発の声が上がり、戸惑いが広がった」とある。

 さらに、経済界も同様。東京新聞の記事【裁判所 判断にふさわしいか 同友会代表幹事 決定に疑問示す】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2015041502000115.html)によると、「経済同友会の長谷川閑史代表幹事は・・・・・・福井地裁が関西電力高浜原子力発電所3、4号機(福井県)の再稼働を認めない決定をしたことについて、「裁判所の判断にこうしたテーマがふさわしいかどうか疑問国民と向かい合って話し合うことが必要だ」との考え」だそうです。誰と誰が国民と「話し合う」の? 「当事者ではない」らしいアベ様やスガ殿は聞く耳持たず、命令のみ。
 「極めて多数の人々の生存そのものにかかわる権利と、電気代が高い低いの問題とを並べて論じること自体、許されない」・・・・・・関西電力大飯原発についての福井地裁の名判決・・・・・・:

   『●関西電力の「原発再稼働」への言い訳にさせてはいけない

    「原発から半径250キロ圏内の住民の人格権を認めた画期的判決」
    「「原発停止は貿易赤字を増やし、国富流出につながる」という考え方に
     ついても、「豊かな国土に、国民が根を下ろして生活していることが国富だ
     と一蹴
    「原発の稼働が発電コストの低減になるという関電側の主張も退ける
     極めて多数の人々の生存そのものにかかわる権利と、電気代が
     高い低いの問題とを並べて論じること自体、許されないと、怒りさえ
     にじませているようだ。経済神話の否定である」
    「そして、原発の稼働が地球温暖化の原因になる温室効果ガスの削減に
     寄与するという被告側の主張に対しては、福島原発事故はわが国
     始まって以来の環境汚染、甚だしい筋違いとまで言い切って、
     環境神話も否定した」
    「大飯再稼働、差し止め命じる 生存と電気代、同列許さず」 
    「また、生存権と電気代のコストを並べて論じること自体が法的には
     許されない」ことで、原発事故で豊かな国土と国民生活が取り戻せなく
     なることが「国富の喪失」だと指摘。福島事故は「わが国が始まって
     以来、最大の環境汚染」であり、環境問題を原発推進の根拠とする
     主張を「甚だしい筋違い」と断じた」
    「大飯原発運転差し止め判決 人格権より優先される原発はない!」
    「福井地裁の大飯原発運転差し止め判決 原発は人格権より劣位にある」
    「「極めて多数の人の生存そのものに関わる権利と電気代の高い低いの
     問題とを並べた議論の当否を判断すること自体、法的には許されない
     として、経済活動よりも生存に関わる人格権を優先した」


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http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2015041590070351.html

高浜再稼働 認めず 「緩い規制基準 合理性欠く」
2015年4月15日 07時03分

 関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)の安全対策は不十分として、周辺の住民らが再稼働差し止めを申し立てた仮処分で、福井地裁は十四日、原子力規制委員会の新規制基準は「緩やかにすぎ、合理性がない」と指摘、基準に適合していても再稼働を認めないとの決定をした。原発運転禁止の仮処分は全国初。訴訟の判決と異なり、決定は直ちに効力を持つ。

 二基は今年二月、九州電力川内(せんだい)原発(鹿児島県)に次ぎ、規制委が審査に適合すると判断、関電は十一月の再稼働を想定し、地元同意の手続きに入っている。樋口英明裁判長は決定で、新規制基準に適合しても安全性は確保されていないと批判し、基準に厳格さを求め、東京電力福島第一原発事故後に施行された基準を事実上否定した。

 二十二日には川内原発の再稼働差し止めの仮処分決定が鹿児島地裁で予定されており、結果が注目される。

 関電は決定を不服として、福井地裁に異議と執行停止を申し立てる方針。関電は主張が認められるまで再稼働はできないが、地元同意の手続きは進められる見通し。菅義偉(すがよしひで)官房長官は十四日、安全が確認された原発の再稼働を進める方針に変更はないとの考えを示した。

 今回の決定は樋口裁判長と原島麻由裁判官、三宅由子裁判官の三人の合議。樋口裁判長は、規制基準に「万が一にも深刻な災害が起きないといえる厳格さ」を求めた。再稼働すると、二百五十キロ圏内の住民の生命や利益に関わる人格権が侵害される具体的な危険があるとも述べた。

 二〇〇五年以降、全国の四原発で五回にわたり、基準地震動(耐震設計の目安となる揺れ)を超す地震が起きたことに触れ「想定を超える地震が来ないとの根拠は乏しい」と指摘。さらに地震動を下回る場合でも、主給水ポンプなどの破損で冷却機能が喪失、重大事故が生じると認定した。

 使用済み核燃料では「国の存続に関わる被害が出る可能性があるが、堅固な施設で閉じ込めていない」と関電の対策を批判した。関電は答弁書で「安全対策は十分だ」と主張していた。


決定覆るまで動かせず

 関西電力高浜原発3、4号機の再稼働を禁じた福井地裁の仮処分決定は、判決確定まで効力がない本訴訟と異なり、即時有効となる。同地裁か、次に審理する高裁で関電側の異議が認められない限り、二基は再稼働できない状態が続く。

 仮処分は通常の訴訟で争うと時間がかかるため、当事者の権利を守る目的で暫定的に行う法的手続き。関電は地元同意など高浜3、4号機の再稼働に向けた手続きは進められるが、運転はできない。決定を無視して再稼働した場合、巨額の制裁金を科される可能性がある。早期の再稼働を目指す関電は、福井地裁に異議を申し立てる方針。


規制委審査 根底から問う

 福井地裁の仮処分決定の内容は、新規制基準を満たしたと判断した原子力規制委員会の対応を根底から問い直すものとなった。規制委は「本件の当事者ではない」と平静を装い、高浜3、4号機の安全性のチェック作業も進める考えだが、大きな危険性を内包する原発の安全が、規制委が「世界で最も厳しい」と自負する新基準をもってしても十分なのか、あらためて見直しが求められる。

 新基準は想定すべき地震動や津波を見直し、多重化した外部電源が断たれても、原発内の非常用電源やバックアップ用の海水ポンプなどで、原子炉の冷却を継続できることなどを要求。従来の基準より強化されたのは確かだ。

 ただし、原子炉が破裂しないよう圧力を抜くフィルター付きベント(排気)設備や、独立して冷却ができる第二制御室などは二〇一八年七月までに整備すればよいとされた。作業員を地震や放射能から守る事故時の対策拠点も、完成するまでの間は代替施設で済ますことを認めた。

 今回の地裁決定は、重大事故が起きれば取り返しのつかない被害を広域に及ぼす原発の本質を指摘した。地震動の想定は信頼性に乏しく、原子炉の冷却がきちんと続けられるのか、大量の使用済み核燃料が堅固な施設で守られていなくていいのかなど多くの疑問を投げかけた。

 規制委による実際の審査でも、問題点が浮かんでいる。その一つが、新基準を満たせば東京電力福島第一原発のような大きな事故にならず、外部からの支援なしで数十人の作業員だけで事故収束できることになっている点だ。周辺住民を安全に避難させる計画も不十分で、規制委はその実効性を検証しない。 (山川剛史


◆福井地裁決定骨子

▼高浜原発3、4号機を運転してはならない

▼想定を超える地震が来ないとの根拠は乏しく、想定に満たない場合でも冷却機能喪失による重大事故が生じうる

▼使用済み核燃料を堅固な施設で囲い込むなどの対策がとられていない

原子力規制委員会の新規制基準は合理性を欠き、適合しても安全性は確保されていない

▼原発運転により、住民の人格権が侵害される具体的な危険がある


人格権> 人間として平穏な生活を送る権利。憲法に明確な規定はないが13条(生命、自由および幸福追求の権利)、25条(健康で文化的な最低限度の生活を営む権利)で保障され、さまざまな権利の中で最も優位とされる。

(東京新聞)
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2015041502000122.html

【社説】
国民を守る司法判断だ 高浜原発「差し止め」
2015年4月15日

 関西電力高浜原発(福井県高浜町)の再稼働は認めない-。福井地裁は、原子力規制委員会の新規制基準を否定した。それでは国民が守られないと。

 仮処分は、差し迫った危険を回避するための措置である。通常の訴訟とは違い、即座に効力を発揮する。

 高浜原発3、4号機は、動かしてはならない危ないもの、再稼働を直ちにやめさせなければならないもの-。司法はそう判断したのである。

 なぜ差し迫った危険があるか。第一の理由は地震である。

 電力会社は、過去の統計から起こり得る最大の揺れの強さ、つまり基準地震動を想定し、それに耐え得る備えをすればいいと考えてきた。


◆当てにならない地震動

 原子力規制委員会は、新規制基準による審査に際し、基準値を引き上げるよう求めてはいる。

 関電は、3・11後、高浜原発の基準地震動を三七〇ガルから七〇〇ガルに引き上げた。

 しかし、それでも想定を超える地震は起きる。七年前の岩手・宮城内陸地震では、ひとけた違う四〇二二ガルを観測した。

 「平均からずれた地震はいくらでもあり、観測そのものが間違っていることもある」と地震学者の意見も引いている。

 日本は世界で発生する地震の一割が集中する世界有数の地震国である。国内に地震の空白地帯は存在せず、いつ、どこで、どんな大地震が発生するか分からない。

 だから基準地震動の考え方には疑問が混じると判じている。

 司法は次に、多重防護の考え方を覆す。

 原発は放射線が漏れないように五重の壁で守られているという。

 ところが、原子炉そのものの耐震性に疑念があれば、守りは「いきなり背水の陣」になってしまうというのである。

 また、使用済み核燃料プールが格納容器のような堅固な施設に閉じ込められていないという点に、「国の存続に関わるほどの被害を及ぼす可能性がある」と、最大級の不安を感じている。

 福島第一原発事故で、最も危険だったのは、爆発で屋根が破壊され、むき出しになった4号機の燃料プールだったと、内外の専門家が指摘する。

 つまり、安全への重大な疑問はいくつも残されたままである。ところが、「世界一厳しい」という新規制基準は、これらを視野に入れていない


疑問だらけの再稼働

 それでも規制委は新基準に適合したと判断し、高浜原発は秋にも再稼働の運びになった。

 関電も規制委も、普通の人が原発に対して普通に抱く不安や疑問に、しっかりとこたえていないのだ。従って、「万が一の危険という領域をはるかに超える現実的で切迫した危険」があると、福井地裁は判断した。新規制基準の効力や規制委の在り方そのものを否定したと言ってもいいだろう。

 新規制基準では、国民の命を守ることができないと、司法は判断したのである。

 昨年五月、大飯原発(福井県おおい町)3、4号機の差し止めを認めた裁判で、福井地裁は、憲法上の人格権、幸福を追求する権利を根拠として示し、多くの国民の理解を得た。生命を守り、生活を維持する権利である。国民の命を守る判決だった。

 今回の決定でも、“命の物差し”は踏襲された。

 命を何より大事にしたい。平穏に日々を送りたい。考えるまでもなく、普通の人が普通に抱く、最も平凡な願いではないか。

 福島原発事故の現実を見て、多くの国民が、原発に不安を感じている。

 なのに政府は、それにこたえずに、経済という物差しを振りかざし、温暖化対策なども口実に、原発再稼働の環境づくりに腐心する。一体誰のためなのか。

 原発立地地域の人々も、何も進んで原発がほしいわけではないだろう。仕事や補助金を失って地域が疲弊するのが怖いのだ。

 福井地裁の決定は、普通の人が普通に感じる不安と願望をくみ取った、ごく普通の判断だ。だからこそ、意味がある。


◆不安のない未来図

 関電は異議申し立てをするという。しかし司法はあくまで、国民の安全の側に立ってほしい。

 三権分立の国である。政府は司法の声によく耳を傾けて、国民の幸福をより深く掘り下げるべきである。

 省エネと再生可能エネルギーの普及を加速させ、新たな暮らしと市場を拓(ひら)いてほしい。

 原発のある不安となくなる不安が一度に解消された未来図を、私たちに示すべきである。
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●「今後の運転期間はせいぜい三十年間。その間の噴火はないだろう」との推測下、川内原発規準OK

2014年09月13日 00時00分23秒 | Weblog


東京電力の二つの記事【川内原発 新基準適合と判断 未完成の対策で承認】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014091002000250.html)、
【公募意見反映、形だけ 川内原発、疑問残し「適合」】(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014091190070516.html)。

 「原子力規制委員会は・・・・・・審査結果を正式に決めた・・・・・・火山の危険性をめぐる審査で、専門家から多数の批判が出たのに十分検討せず住民を守るための避難計画も議論しなかった」・・・・・・「九電は、影響は少なく、衛星利用測位システム(GPS)で火山周辺の地殻変動を監視すれば巨大噴火は予知できると主張。危険と分かれば原発の運転を止め、核燃料を緊急搬出すると説明した。規制委は「今後の運転期間はせいぜい三十年間。その間の噴火はないだろう」と推測し問題なしと判断」・・・・・・「審査結果案には一万八千件近くの意見が寄せられ、六百二十一カ所が修正されたが、字句の手直し程度にとどまった。専門家から疑義が出ていた火山のリスクや、住民の避難計画などに関する意見は反映されなかった」。

   『●原子力「寄生」委員会の審査に通ったからといって何だというのでしょう?
   『●原子力「ムラ寄生」委員会の机上の空論:
          「大幅に下回」るように計算すれば下回る
   『●東京電力原発人災での「想定不適当事故」を
         想定しなかった教訓が全く活かされていない
   『●原子力「ムラ寄生」員会ではなく、
     「風船爆弾」が語ることにこそ真実はある ~川内原発再稼働問題~
   『●火山の巨大噴火時の緊急核燃料輸送に
          何時間、何日間? 答えは「2年以上」!
   『●九州電力川内原発を再稼働させてはイケナイ: 
         何のための専門家会合? 市民の意見提出??

 まさに原子力「ムラ寄生」委員会原子力「推進」委員会である。そして、これに関わる全ての人々のなんといい加減なことか!! 川内原発について、「三十年間。その間の噴火はないだろう」、という言い草に心底呆れる。3.11東京電力原発人災とは、一体何だったのか? 「想定外」や「想定不適当事故」とは何だったのか?
 アベ様、そして、原子力「ムラ寄生」委員会委員殿、一体何のための市民の意見提出(パブリックコメント)だったのですか? 火山噴火についての、何のための専門家からの「専門的意見」だったのですか?

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014091002000250.html

川内原発 新基準適合と判断 未完成の対策で承認
2014年9月10日 夕刊

 原子力規制委員会は十日の定例会合で、九州電力川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県)が、原発の新しい規制基準を満たしているとの審査結果を正式に決めた。新基準に適合したと認められる初の原発となるが、火山の危険性をめぐる審査で、専門家から多数の批判が出たのに十分検討せず、住民を守るための避難計画も議論しなかった

 九電は新基準が施行された昨年七月八日、川内原発の再稼働審査を申請した。耐震設計の基準になる地震の揺れの規模を当初より一割程度大きく設定し、想定する津波の高さも約四メートルから六メートルに引き上げた。規制委の意に沿う変更で、他の原発より優先的に審査されてきた。

 川内原発は敷地内に活断層はないとされ、海抜約十三メートルと津波に対しては有利な立地。原発内の熱を逃がす海水ポンプ周りに防護壁、放水砲なども整備した。

 川内原発の周辺には、約五十キロ南東にある桜島を含む姶良(あいら)カルデラなど巨大な火山がある。過去に火砕流が敷地内に届いた可能性もある。しかし九電は、影響は少なく、衛星利用測位システム(GPS)で火山周辺の地殻変動を監視すれば巨大噴火は予知できると主張。危険と分かれば原発の運転を止め、核燃料を緊急搬出すると説明した。規制委は「今後の運転期間はせいぜい三十年間。その間の噴火はないだろうと推測し問題なしと判断した。

 この日の会合では、寄せられた一万七千八百十九件の意見についても議論したが、大きく修正する必要はないと判断した。

 ただし、事故時の対策拠点は当面、水道がないなどの問題がある代替施設を使う。放射性物質の放出を抑えつつ、格納容器の圧力を下げるフィルター付きベント(排気)設備は完成が二年後になる予定。

 火山の問題では、専門家から「巨大噴火を予知することは、現在の技術では非常に困難。事業者にできるのか」「十分な監視ができないのに、できることを前提にした審査はおかしい」など厳しい批判が相次いでいる。こうした科学的な意見があるのに、規制委は審査し直さなかった

 住民の避難計画をめぐっては、規制委は指針を示しただけで、計画策定は自治体に任せたまま。国は無責任との批判を受け、経済産業省は一日付で、立地自治体の薩摩川内市に二人、鹿児島県に三人の計五人の応援職員を派遣したが、実効性のある計画にできるかが課題だ。

 今後、再稼働するまでには、原発の詳しい管理方針などを定めた保安規定の規制委の審査や現地での検査にパスする必要がある。地元同意も必要だが、いちき串木野市など周辺自治体からは、立地自治体並みの発言権を持たせるよう要求も出ている。


科学的な審査したのか

 「必要な対応をとることを確認した」「事業者が実施する方針を示した」「計画している」。九州電力川内原発の新規制基準に基づき、原子力規制委員会が示した審査結果の文書には、こんな言葉が何十回も出てくる

 田中俊一委員長は「ほぼ世界最高レベルと思っている」と川内原発の対策が進んでいると強調するが、実際には未完成の対策、具体的にはまだ何も検討していない重要な対策が少なからず含まれている

 原子炉建屋の防水性を高めたり、非常用の発電機を増やしたり、お金さえ出せばできる対策がそれなりに進められたのは事実だ。

 しかし、いま再稼働して重大事故が起きれば、事故収束要員は水道のない代替施設で、放射能で汚れた体を洗うこともできない。コントロールを失った原子炉が高圧になっても、格納容器の丈夫さに望みをつなぐしかない。

 もしも九電や規制委の予想が外れ大噴火が起きた場合、まだ核分裂反応が続く高温の核燃料をどうするのか。既にプールにたまっている使用済み核燃料の行き場も検討されていない

 これでは「やります」と約束しただけで、約束を果たしたと認めてしまうようなものだ。

 科学的に徹底的に審査したといえるのか規制委が頼りにする専門家からも疑問の声が高まっている。 (荒井六貴)


<新規制基準> 東京電力福島第一原発事故の反省を踏まえ2013年7月に施行された。地震や津波、竜巻、火山など自然災害への備えや、想定する地震動や津波を見直し、対策の強化を求めた。従来とは異なり、対策をしても事故は起きる可能性があることを前提にし、フィルター付きベント(排気)設備など周辺への影響緩和策も求めている。ただ、米国などとは異なり、周辺住民の避難対策は審査の対象にしていない。現在、川内原発を除き計12原発18基について適合性を審査している。
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http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014091190070516.html

公募意見反映、形だけ 川内原発、疑問残し「適合」
2014年9月11日 07時06分
 

写真

(↑ブログ主注: すいません、勝手にコピペさせて頂いております
 [http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/images/2014091199070516.jpg])

 原子力規制委員会は十日、九州電力川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県)が原発の新しい規制基準を満たしているとの審査結果を正式に決めた。新基準で「適合」が認められたのは初めて。審査結果案には一万八千件近くの意見が寄せられ、六百二十一カ所が修正されたが、字句の手直し程度にとどまった。専門家から疑義が出ていた火山のリスクや、住民の避難計画などに関する意見は反映されなかった。 (小倉貞俊)

 審査結果案に国民の意見を反映させるとして、八月十五日まで約一カ月実施されたパブリックコメント(意見公募)には、原発の設備面への疑義だけでなく、住民の合意形成が不十分との声など幅広い意見が寄せられた。

 規制委事務局は正式決定した審査書のほか、パブリックコメントに寄せられた主な意見と、それに対する規制委の見解を公表した。

 審査結果案からの変更点を確認すると、言い回しや「てにをは」の修正ばかり内容の変更はなかった

 大きな論点となってきた火山の巨大噴火リスクの問題で審査結果案は、九電が周辺地盤の動きを監視し、噴火の兆候があれば原発を止め、核燃料を運び出させるとしていた。

 これに対し、「どこにどう運び出すのか詳細を確認して」との意見が寄せられたが、規制委は「事業者において具体的な検討がなされる必要がある」とだけ回答。住民の避難計画も審査対象にすべきだとの指摘には「原子力災害対策特別措置法に基づいて対策が講じられる」とだけ答えた。

 審査結果案は、安全対策面などの課題について「九電の方針を確認した」と約束だけで対策済みと見なしている部分が少なからずある。

 この点を指摘する意見もあったが、規制委の回答は「審査は事業者の対策や設計の方針を確認するものです」と、かみ合わない内容だった。

 規制委の田中俊一委員長はこの日の定例会見で「いろいろな貴重な意見はあり、それなりに審査書に反映させた。規制基準に対し、誤解もあるような意見もあった」と話した。

(東京新聞)
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●原発再稼働という恥ずべき選択 ~「新基準は世界一」「世界最高レベル」ではなく、「世界一の無責任」~

2014年08月04日 00時00分01秒 | Weblog


福井新聞の社説【原発再稼働へ 国策の責任、覚悟が見えず】(http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/editorial/52692.html)と、
記事【原発再稼働の審査迅速化を提言 自民党議員連盟が政府に】(http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/npp_restart/52814.html)。

 「■新基準は世界一か■・・・・・・■弱者は置き去りか■・・・・・・■当事者意識あるか■・・・・・・浮き彫りになるのは責任の所在の不明確さ、国民不安への無理解と意識の乖離」・・・・・・。
 「新基準は世界一」「世界最高レベル」ではなく、アベ様をはじめとした自公議員や田中俊一委員長をはじめとした原子力「ムラ寄生」委員会委員等々の「世界一の無責任」さである。たとえ再稼働しなくても、「100,0000年問題」「核燃サイクル破綻問題」「五輪詐欺事件」「汚染水ダダ漏れ問題」「無主物まき散らし事件」などなど問題山積なのに、ましてや「再稼働」や「原発輸出」といった恥ずかしい行いをやって、第2の東京電力原発人災が発生してしまえば、取り返しのつかないことになりかねないことをどうして分からないのでしょう??

 また、自民党議員連盟の「提言では、原発停止による火力発電の燃料コスト増が年間約3・6兆円に達し経済に悪影響を与えているとして、原発の早期再稼働は「国家的急務」と指摘。規制委の安全審査を「効率的かつ迅速に行う必要がある」と審査のスピードアップを求めた」・・・・・・そうです。
 「自民党の電力安定供給推進議員連盟(細田博之会長)」て正気? アホ? 福島の現実が見えているのか? 福井地裁判決を熟読しなさい!!

   『●火山の巨大噴火時の緊急核燃料輸送に
          何時間、何日間? 答えは「2年以上」!
   『●原発推進国同士が手を携えて原発輸出、さらに「死の商人」へ:
                         どうやら「恥」という概念は無いらしい
   『●関西電力大飯原発再稼働差し止め、画期的勝訴:
               もし敗訴していたら大変なことに・・・・・・
   『●「上級審では国側が勝つこの国の裁判」・・・・・・
             今度こそ、福井地裁の名判決を活かしたい
   『●原子力ムラ復権阻止を! 今なら引き返せる!!


 過去の行いに全く罪の意識のない自民党議員たち。

   『●原発人災、犯罪者を追求すべし:
       なぜ自民党議員は口を閉ざし、マスコミは黙り込むのか?


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http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/editorial/52692.html

福井のニュース  論説
原発再稼働へ 国策の責任、覚悟が見えず
(2014年7月27日午前7時30分)

 原子力規制委員会は、九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)の新規制基準適合を認める審査書案を示した。地震、津波リスクが小さく、国内12原発19基の先陣を切る形で事実上の審査合格である。10-11月にも再稼働の可能性がある。

 東京電力福島第1原発事故を教訓にした新基準の設定によりハード面は強化された。再稼働に弾みがつくとの期待もある。しかし、住民不安は解消されず国の責任も曖昧。再稼働の条件が満たされたとは言い難い。


 ■新基準は世界一か■

 安倍政権は「世界で一番厳しい基準」と強調するが、そうだろうか。目安となるのが国際原子力機関(IAEA)の安全対策「5層の防護」だ。「人と環境の防護」を基本安全目的に、1~3層が事故(拡大)防止、4層が過酷事故の悪化防止、5層が防災対策、住民を放射線被ばくから守る備えである。

 4、5層は1986年のチェルノブイリ原発事故で付加された。福島事故の教訓はこの「深層防護」思想をより強化するものでなければならないはずだ。

 だが4層目の放射性物質の拡散を防ぐフィルター付きベント(排気)や緊急時制御室などを備える特定安全施設は設置義務があるが、猶予され未整備状態。さらに5層目の緊急時対策でも、避難の詳細計画や安定ヨウ素剤配備など住民の安全対策に遅れが目立つ。放射性物質が大量拡散した福島事故は、避難段階で災害弱者の高齢者が多数犠牲になり、福島では今も13万人超が避難を強いられている。


 ■弱者は置き去りか■

 そもそも防災・避難計画の策定と実行は災害対策基本法で自治体に委ねられ、規制委の審査対象にも入らず再稼働の条件でもない。米国では避難計画を含めた緊急時計画が規制の対象。実効性に不備があれば米原子力規制委員会(NRC)が運転を許可しない仕組みである。

 政府は福島事故後、重点区域を8~10キロ圏から30キロ圏に拡大した。川内原発では周辺9市町が防災計画を策定したが、伊藤祐一郎鹿児島県知事は、要援護者対策は避難手段や受け入れ先の確保が困難で、10キロ圏内の計画策定で十分との認識。行政のご都合主義がまかり通る。

 また、周辺火山の巨大噴火による火砕流などの影響に関し、田中俊一委員長は「(稼働期間は)せいぜい30年とかそんなものでしょう。そういう間には噴火は起こらないだろう」と述べた。噴火の前兆監視で十分という考え方だが、予知を困難視する専門家もいる。こうした規制委の楽観は「13万~12万年前ルール」を重視する活断層の厳格審査と整合性が取れない。


 ■当事者意識あるか■

 安倍首相―「(規制委が)安全という結論が出れば立地自治体の理解をいただきながら再稼働を進めていきたい」

 田中委員長―「基準適合性を審査した。安全だとは申しません」「(再稼働は)私たちは関与しない。事業者と地域住民、政府の合意で行われる」

 茂木経産相―「原子炉等規制法に従ってやる」(安全、再稼働の責任は一義的に事業者に)

 全国知事会、薩摩川内市長-「国が責任を持つべき」

 成長戦略に不可欠のエネルギー確保へ再稼働を加速させたい政権。浮き彫りになるのは責任の所在の不明確さ、国民不安への無理解と意識の乖離(かいり)である。

 川内原発に続き関西電力高浜3、4号が視野に入ってくる。川内原発は意見公募、審査書決定、工事認可審査、設備検査、住民説明会、地元同意を経て再稼働の見通し。避難拡大に伴い「地元」の定義が揺らぐが、立地自治体が基本だろう。国は周辺自治体に理解を求め説明を尽くすことだ。課題は尽きない。拙速を避け、堅固な安全文化を再構築しなければ国民の合意形成など程遠い。(北島三男)
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http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/npp_restart/52814.html

原発再稼働の審査迅速化を提言 自民党議員連盟が政府に
(2014年7月31日午後5時19分)

    (茂木経産相(右)に原発再稼働審査の迅速化などを求める
     自民党電力安定供給推進議連のメンバー=31日、同省)

 自民党の電力安定供給推進議員連盟(細田博之会長)は31日、原子力規制委員会で原発の安全審査を迅速に進めることや、エネルギーのベストミックスを早期に策定することなどを求める提言書をまとめ、茂木敏充経済産業相に申し入れた。

 提言では、原発停止による火力発電の燃料コスト増が年間約3・6兆円に達し経済に悪影響を与えているとして、原発の早期再稼働は「国家的急務」と指摘。規制委の安全審査を「効率的かつ迅速に行う必要がある」と審査のスピードアップを求めた。エネルギーのベストミックスを早期に策定し、原発の新増設・リプレース(置き換え)の必要性を明確にすることや、高レベル放射性廃棄物の処分場を国が責任をもって具体化することも盛り込んだ。

 細田会長と高木毅事務局長らが経産省を訪れ、茂木大臣に提言書を手渡した。茂木大臣は「電力の安定供給、コスト低減などさまざまな要素をバランスよく組み合わせたエネルギーのベストミックスを、早急に策定する必要がある」との考えを示した。再稼働の迅速化については「安全性をきちんと早期に確認することがきわめて重要。審査の適正な進ちょくを図るよう、規制委や事業者に要請している」と述べた。

 同議連による政府への提言は3度目で、4月に国のエネルギー基本計画が策定されてからは初めて。高木事務局長は「原発は重要なベースロード電源と基本計画で位置付けられており、安全性が確認された原発は速やかに再稼働させることが重要だ。茂木大臣にも理解していただけたと思う」と述べた。

 この日は菅義偉官房長官にも提言書を提出した。近く原子力規制委員会にも申し入れる。
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●原子力ムラ寄生虫: 川内原発の安全性は「ほぼ世界最高レベルに近い」と自信を見せた田中俊一委員長

2014年07月18日 00時00分13秒 | Weblog


東京新聞の二つの記事【川内原発、一層の安全努力を要請 原子力規制委員長】(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014071601001601.html)と、
【疑問抱え再稼働「適合」 川内原発 規制委が審査結果案】(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014071690141219.html)。

   『●原子力「ムラ寄生」委員会ではなく、「風船爆弾」が 
        語ることにこそ真実はある ~川内原発再稼働問題~
   『●東京電力原発人災等でまき散らされた放射性物質:
                    「無主物」という言い訳は許されない

 「田中俊一委員長は・・・・・・「一定程度安全性は高まったことは評価するが、これはゴールではない。九電はますます努力する必要がある」・・・・・・「日本は世界に比べ自然災害が飛び抜けて厳しい。その備えを相当厳しく求めている」・・・・・・安全性は「ほぼ世界最高レベルに近いと思う」と自信を見せた」・・・・・・はっきり言って、滅茶苦茶な講評だ。100.00000000000%安全を保障せずに、「規制」もしない原子力「ムラ寄生」委員会の委員長。「世界最高レベルに近い」だってさ!

 民主党政権にも相当の責任、こんな寄生委員虫を選んだのだから。

   『●原子力ムラ村長を原子力規制委員会委員長に推す環境相のセンス
   『●東京電力原発人災、今頃公開されたわずかな
               捏造・改竄映像からでも分かったこと
   『●原子力「促進」委員会の危険なメンツの危険な判断
   『●海渡雄一さんの原子力「規制」委員会人選批判


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http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014071601001601.html

川内原発、一層の安全努力を要請 原子力規制委員長
2014年7月16日 18時12分

 原子力規制委員会の田中俊一委員長は16日の記者会見で、九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)が再稼働の前提となる審査に事実上合格したことについて「一定程度安全性は高まったことは評価するが、これはゴールではない。九電はますます努力する必要がある」と述べた。

 田中委員長は「日本は世界に比べ自然災害が飛び抜けて厳しい。その備えを相当厳しく求めている」と説明。川内原発の安全性は「ほぼ世界最高レベルに近いと思う」と自信を見せた。

(共同)
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http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014071690141219.html

疑問抱え再稼働「適合」 川内原発 規制委が審査結果案
2014年7月16日 14時12分

 原子力規制委員会は十六日の定例会合で、九州電力川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県)が、原発の新しい規制基準に適合しているとの審査結果の案を了承した。新基準を満たすとの初の判断。今後、意見募集を経て正式決定するが、作業員や住民を被ばくから守る策は徹底されておらず、周辺にある火山の大噴火への対応が十分なのかなど疑問が残る。 

 規制委は昨年七月、新基準の施行と同時に、九電からの申請を受けて審査を始めた。地震や津波、竜巻などの自然災害への備えや、放射性物質を放出する重大事故が起きても影響を少なくする対策を要求。地震・津波の大きさを想定する手法の見直しから求めた。

 九電は、耐震設計の基準となる地震の規模を当初より一割ほど大きく設定し、それでも原発の安全を保つ対策を施したと説明。津波への対策では、もともと川内原発の敷地が海面から十三メートルある上に、海に面した海水ポンプに防護壁を設けたことで、六メートルに想定し直した津波の高さにも対応できるとした。竜巻や森林火災などの対策としては電源車の配備や水源確保などを進め、いずれも規制委は妥当と判断した。

 しかし、航空機を衝突させるテロへの対策については、審査は非公開で進められ、どんな審査がなされたのかは不明だ。

 重大事故時に、放射性物質の放出を千分の一程度にとどめつつ、格納容器内の水蒸気を抜いて圧力を下げるフィルター付きベント(排気)設備の完成は二年後。事故時の作業拠点は当面代用の施設が使われるため、作業から戻った収束要員を除染する設備も不十分なままだ。

 五十キロ離れた桜島を含む姶良(あいら)カルデラなど周辺の火山についても九電は、当面、川内原発に影響するような大噴火はないと楽観的に想定する。

 こうした問題が残されているが、規制委は新基準を満たしていると判断した。

 地元住民の避難計画も、策定するのは国ではなく自治体で、安全に避難できるかどうかの実効性は審査の対象となっていない

 示された審査結果の案は今後、国民からの意見を一カ月間公募(パブリックコメント)した後、正式に決定される。規制委による現地の検査にパスし、地元自治体の同意が得られれば、早ければ今秋にも再稼働に進む可能性がある。

(東京新聞)
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●原発再稼働・新規建設・原発輸出、無責任な暴走・・・・・・我国に真の文明は?

2014年03月19日 00時00分54秒 | Weblog


東京新聞の記事【川内原発を優先審査 規制委 再稼働新基準で方針】(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014031390135609.html)と、
asahi.comの記事【真の文明は― 足尾そして福島】(http://www.asahi.com/articles/CMTW1403140700002.html)。

 「新規制基準に基づく再稼働第一号は川内原発となる可能性が高まった。しかし、同原発周辺は原発外の防災対策が遅れているなど安全面の課題も多く、大きく疑問が残る決定」・・・・・・暴走する原子力「推進」「寄生」委員会、そして九州電力と自公政権の愚かさ。 

 原発再稼働や原発の新規建設、さらには原発輸出・・・・・・、脱原発派と一体どちらが無責任なのか? 原発推進派こそ、無責任な暴走である。こんな我国に真の文明は在ると言えるのか?・・・・・・「福島の原発事故は過去の公害事件と似ている。そう指摘する識者は多い。日本初の公害とされる足尾鉱毒事件ゆかりの地を訪ね、民衆とともに闘いつづけた田中正造の足跡をたどってみた。地方を犠牲にして成り立つ文明とは何か――。そんな問いをめぐらせ「福島」を考えた」

   『●「真の文明は、山を荒らさず、川を荒らさず、村を破らず、人を殺さざるべし」
                                      ・・・我国に真の文明は?


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http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014031390135609.html

川内原発を優先審査 規制委 再稼働新基準で方針
2014年3月13日 13時56分

 原子力規制委員会は十三日、原発再稼働の条件となる新規制基準への適合審査の進め方について、九州電力川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県)ではおおむね適切に地震と津波が想定され、事故対策の設備面でも大きな問題はないとして優先的に審査を進めることを決めた。新規制基準に基づく再稼働第一号は川内原発となる可能性が高まった。しかし、同原発周辺は原発外の防災対策が遅れているなど安全面の課題も多く、大きく疑問が残る決定となった。
 新基準では、最大級の地震と津波を想定して「基準地震動」と「基準津波」を設定。原発がこれらに襲われても十分に耐えられるよう建屋や配管などに強度を持たせ、防潮堤なども整備する。事故が起きても、被害を拡大させない対策をとるよう求めている。
 これまで八つの電力会社が十原発十七基の再稼働を規制委に申請したが、想定が足りないなどの問題点が指摘されてきた。十二日の審査会合で、川内原発と四国電力伊方原発(愛媛県)について目立った異論は出なかった。
 十三日の規制委会合では、島崎邦彦委員長代理が川内原発のみで基準地震動などが確定したと説明し、更田(ふけた)豊志委員は「川内原発の設備面の対応は十分満足できる」と述べた。このため審査のモデルとして、川内原発が選ばれた。
 規制委は、川内原発に周辺の火山から火砕流が到達する可能性がないかを確かめた後、対策が十分かを総合的に審査し、審査書案を作成。意見募集や公聴会を経て、審査は終わる。


◆住民避難態勢も不十分

 原子力規制委員会が九州電力川内原発1、2号機を優先的に審査することを決めた。九電は電力需要が高まる夏前の再稼働を目指し、地元の鹿児島県知事も前向きな姿勢を示している。しかし、規制委が認める通り、新基準を満たすことは安全を確保するための最低条件にすぎない。

 川内原発は、東京電力福島第一原発とは異なる「加圧水型」と呼ばれる型。原子炉格納容器の容積が大きく、炉が暴走し始めても対処する時間の余裕が比較的あるとされる。

 しかし、炉内の圧力を逃すフィルター付きベント(排気)設備の設置はまだ計画段階で、緊急時の対策拠点もまだ代替施設があるだけだ。

 原発外では、昨年十月に事故を想定した避難訓練が実施されたが、実際の福島事故より、事故の進展スピードが遅く、避難に使うバスがあらかじめ集合場所に用意されているなど甘い内容だった。

 事故時に避難住民を受け入れてくれる先を事前に確保しておくことも重要だが、鹿児島県は県内避難にこだわり、隣接の熊本県との協議が遅れた。計画は定まったものの、福島で起きたように大渋滞で車が動けなくなる事態など、起こり得る問題を十分に想定しているとは言い難い。 (山川剛史)


<川内原発> 鹿児島県薩摩川内市にある九州電力の加圧水型軽水炉(PWR)。2基あり出力は各89万キロワット。1984年と85年に運転を開始した。東京電力福島第一原発事故時には2基とも運転中だったが、2011年9月までに定期検査に入り、停止中。原発の新規制基準が施行された13年7月、九電は2基の審査を原子力規制委員会に申請した。原発事故前、国内最大規模となる3号機(改良型PWR、159万キロワット)増設が計画されたが、手続きは凍結している。

(東京新聞)==========================================================================

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http://www.asahi.com/articles/CMTW1403140700002.html

真の文明は― 足尾そして福島
2014年3月14日10時27分

   (渡良瀬川の河川敷に立つ鳥羽義昭さん。上流の足尾銅山から
    流れ出た鉱毒によって、川沿いの地域は甚大な被害を受けた
    =群馬県館林市下早川田町)
   (かつて人びとの暮らし、生活があった谷中湖。いまは野鳥の楽園となり、
    野鳥観察やサイクリングなどを楽しめる。)


 ●鉱毒事件の地を訪ねて

 福島の原発事故は過去の公害事件と似ている。そう指摘する識者は多い。日本初の公害とされる足尾鉱毒事件ゆかりの地を訪ね、民衆とともに闘いつづけた田中正造の足跡をたどってみた。地方を犠牲にして成り立つ文明とは何か――。そんな問いをめぐらせ「福島」を考えた。

 1月中旬、渡良瀬遊水地は、野鳥観察を楽しむ人らでにぎわっていた。栃木、群馬、埼玉、茨城4県にまたがる33平方キロメートルの遊水地。その南端にある谷中(やなか)湖(450ヘクタール)は栃木市と群馬県館林市、埼玉県加須市の県境に位置する。「谷中」とは、かつてここにあった村の名前だ。

 湖に隣接する旧谷中村跡には村民の墓石などが残っている。安政、天明など江戸時代の年号が刻まれたものもある。「想像もつかないですよね。450軒が住んでいたなんて……」。館林市の行政書士、鳥羽義昭さん(69)が周囲を見渡し、言った。

 民家が立っていた場所には木が植わり、田んぼだった所にはヨシが茂る。鳥羽さんと村の中心部にある雷電神社跡に立った。ここで農村民は、雨を乞い、雷よけを願ったそうだ。

 1877(明治10)年ごろから、この地は渡良瀬川上流にある足尾銅山から流れ出た銅や鉛、カドミウムなどの有毒な重金属に汚された。この鉱毒によって農作物は枯れ、魚は死んだ。

 被害拡大の一因はこの地域を度々襲う洪水にあるとして、政府が遊水地を造る計画を立てると、栃木県は強引に土地の買い占めに走った。買い取り価格は田畑が10アール20~30円(現在の価値で約8~11万円)、宅地は1坪8円(同約3万円)ほどだったという。村民の多くは北海道オホーツク海沿岸などへ移住し、開拓民として苦労を重ねた。1906年、人口2700人の谷中村は強制廃村となった。

 「殖産興業」や「富国強兵」政策を掲げる明治政府にとって、足尾の銅は外貨を獲得できる重要な輸出品で不可欠だった。谷中村はその「犠牲」とも言えた。

 熊本大の小松裕教授(日本近代思想史)は著書でこう指摘する。「『貧乏村』なのに、堤防修築費など地方税からの支出がたくさん必要な『厄介村』というのが行政側の谷中村観であった。……洪水や不正・汚職事件等が発生したとき以外には新聞にも取り上げられることのない、いわば“忘れられた村”であった」(2013年、岩波書店)

 しかし、そんな村に廃村後も住みつづけた人びとがいた。「残留民」と呼ばれる16戸だ。木や板を集めて「仮小屋」を造って居座った。1907年6月末~7月、県に小屋を強制破壊されるまで遊水地化に抵抗した。そんな人びとの精神的支柱となったのが、田中正造だった。

 正造は1841年、現在の栃木県佐野市小中町で生まれた。政治家を志し、90年、衆議院議員となる。議員として鉱毒事件を追及、天皇への直訴も決行した。

 正造が谷中村に見たのは「お金で買えない共同体」の存在だ。谷中の村民たちが長い年月を経て築いてきた「結合の力」や「団結力」は、たとえ大金をはたいても買うことができない。人権と同じ価値がある。そう考えた。

 そして問題の本質を、近代化による「生命の軽視」だととらえた。足尾の事件を「鉱毒殺人問題」と呼んで「人災」と位置づけ、1913年、病に倒れるまで住民とともに闘い続けた。

 1972年の谷中湖造成時、住民から墓石の撤去を阻止する反対運動がおきた。丸く造る予定だったものが設計変更され、墓や村の跡を残して谷中湖はハート形になった。いま、輝く湖の水面は「自然は人の手でコントロールできる」という近代自然観を映す鏡のように見える。

 鉱毒の被害地である群馬県の大島村正儀内(しょう・ぎ・うち)出身の父を持つ鳥羽さんは現在、NPO法人「足尾鉱毒事件田中正造記念館」で理事を務める。「私たちには(足尾銅山を経営していた)古河鉱業は加害者。でも、足尾に行けば『古河様』です。産業を興してくれた人なんです」。そんな微妙な違いも肌で感じてきた。

 100年以上経ったが、鉱毒問題の解決にはほど遠い。東日本大震災で足尾銅山で使われた栃木県日光市の堆積(たいせき)場から渡良瀬川に土砂が流出、河川水から環境基準の約2倍の鉛が検出された。渡良瀬川沿いの農家はいまも、鉱毒の中和剤をまいてコメを作っているという。

 正造の教えとは何だったのか。鳥羽さんは「文明のあり方」と答えた。「真の文明は山を荒らさず、川を荒らさず、村を破らず、人を殺さざるべし」。正造の言葉はその象徴だ。

 正造は晩年、知人に宛てた手紙の中でこう書いている。「谷中問題結了すとおもふなかれ。……谷中亡びても問題は生きて働かん」

 「福島」であらわになったのは、まさにこの「谷中」ではなかったか。そんな思いにかられた。鳥羽さんが言う。「足尾の毒はまだ残っています。後戻りはできないんです。原発もプルトニウムも。後処理ができないものがどんどん加えられていく気がします」


 ●宮本憲一・大阪市立大名誉教授(環境経済学)の話

 足尾も福島も被害が広範囲に及び、長期に続くという点で共通する。さらに、足尾では政府が古河鉱業を援助し、福島でも政府が東電と一体となって原発政策を進めた。この政官財が一体になった構図もよく似ている

 足尾事件では国は谷中村を廃棄した。福島では今、将来の展望が開けず、コミュニティーが無くなる可能性も出てきている。改めて足尾事件に学び、住民被害を繰り返さないことを考えなければならないだろう。

 日本の環境政策の最大の欠点は、批判的な意見に耳を傾けて、安全を重視した対策をとる「予防政策ができないこと。アスベスト問題でも、被害が出てから対策を講じている。さらに、地方を犠牲にすることで、全体の問題を解決しようとする。そのため、足尾事件の問題が繰り返し起こる。公害から得た教訓に学ぶ必要がある。
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●「状態はコントロール」「完璧にブロック」されているので、東電は柏崎刈羽原発を再稼働するつもりらしい

2013年10月01日 00時00分30秒 | Weblog


東京新聞の記事【柏崎刈羽 きょう再稼働申請 東電、事故収束できぬまま】(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013092790073649.html)、
CMLの記事【[CML 026788] 【東電に抗議の声を!】柏崎刈羽原発の再稼働申請をやめろ!】(http://list.jca.apc.org/public/cml/2013-September/026724.html)、
asahi.comの記事【東電社長「影響はコントロールできている」 汚染水問題】(http://www.asahi.com/politics/update/0927/TKY201309270202.html?ref=com_top6)、
東京新聞の記事
【再稼働申請 電力会社に申し上げる】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013092702000155.html)、
asahi.comの記事【柏崎稼働申請―やるべきことが違う】(http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit2、9月28日)。

 東京電力は、安倍首相の言う通り、「状態はコントロール」され、「完璧にブロック」されていると思いたいらしい。以下の状況が見えないのか、見えていても何も感じないのか?

   『●「もはや犯罪というしかない」 ~東京電力汚染水流出大事故と再稼働・輸出という犯罪~
   『●放射能汚染で「太平洋は終わり」との声が出るほどの重大事故だというのに、この国は・・・・・・
   『●「汚染水ダダ漏れは東電のケチが原因」とはどういうことなのか?
   『●再稼働・輸出問題に続いて、東京電力原発人災下の五輪招致騒動: 「あろうことか」、の連続
   『●五輪誘致に浮かれ、原発再稼働・輸出を目指して廃炉に向かえない恥ずかしい我国
   『●世界に向けて「汚染水漏えい問題はない」と言い切ってしまったょ・・・・・・
   『●東京電力原発人災対策へのお金を「ケチ」ったあげくに、致命的欠陥対策にドブ金か?
   『●泥縄の果て ~一旦拡散してしまった放射性汚染物質を環境から移染することは可能か?~
   『●ウソとカネで五輪誘致: 「福島漁業者ら批判 「あきれた」「違和感」」

 金融機関や原子力「推進」委員会もグル。柏崎刈羽原発の再稼働を原子力「推進」委員会に申請し、とたんに金融機関が融資借換し、東京電力は黒字経営になるので、電気料金は値上げしないってさ! 東電の柏崎刈羽原発再稼働に感謝しなさい、と言わんばかり。東電が「再稼働による収益改善」したから、なんだというのだろう。福島を元に戻して見せてから、言ったら? 戻せるものなら。

   『●東電には柏崎刈羽原発再稼働など口にする資格はない
   『●東京電力に再稼働なんてさせてはならんでしょ
   『●柏崎刈羽原発再稼働を画策するような東電は十分に責任を果たしたのか?

  どいつもこいつもグル、パフォーマンスばかり。
   『●「原発推進」という結論ありきのパフォーマンス

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http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013092790073649.html

柏崎刈羽 きょう再稼働申請 東電、事故収束できぬまま
2013年9月27日 07時36分

 東京電力は二十六日、柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)の再稼働に向けた審査を原子力規制委員会へ二十七日午前に申請すると発表した。新潟県の泉田裕彦(ひろひこ)知事が二十六日、東電の申請を条件付きで承認したことで、申請に向けた環境が整ったと判断した。泉田知事は現状を放置するのは望ましくないと理由を説明した。

 原発の新規制基準が施行された七月八日以降、東電の申請は初めてとなる。規制委が審査する原発は東電を含めて五社の十四基となる。

 東電は柏崎刈羽原発を早期に再稼働させて火力発電の燃料費を減らし、財務状況を改善したい考えだ。広瀬直己(なおみ)社長は「申請は新潟県のみなさまの安全・安心につながる大変重要な手続きと考えている」とのコメントを発表した。

 泉田知事は承認を文書で東電側に伝えた。条件として安全審査の申請書には、県との協議後に修正申請すること、フィルター付きベント(排気)設備は地元の了解が得られなければ使用できないことを明記するよう求めた。安全協定に基づく事前了解の協議ができないと判断した場合には、申請の承認を無効とする考えも明示した。

 知事は承認の理由を「事業者が安全確保のために第三者の目を入れたいという状況を放置するのは、地元にとっても望ましくない」と説明した。ベント設備に関しては「地元の避難計画との整合性を県の技術委員会で検討する必要がある」と指摘した。

 泉田知事は七月に続き今月二十五日に東電の広瀬社長と再会談した。この場で広瀬社長が、ベント設備を追加設置するなど事故対策を強化する考えを表明したことに一定の評価をしたとみられる。


新潟知事一転 条件付き承認

 東京電力が柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)の再稼働審査を、二十七日に原子力規制委員会に申請すると表明した。表面的には、審査は安全性のチェックのためで、再稼働とは別だと強調するが、一日も早い再稼働で経営の改善につなげようとの意図がにじむ。

 だが、福島第一原発では深刻な状況が続いている。汚染水が地下水と混じって大量に海に流出。原子炉を冷やした後の処理水もタンクから漏れ、外洋に流れた。国が前面に立って対策を進めるというが、廃炉への道は見えない。東電が原発を動かしていいのか、大きな疑問がある。

 一方の規制委は、再稼働申請があれば、粛々と審査を進める方針だ。東電と対峙(たいじ)してきた泉田裕彦新潟県知事は一転、フィルター付きベント設備を使用する際は地元の事前了解を取ることを条件に申請を容認したが、条件付きの申請は例がなく、規制委の担当者は「審査がどう進むのか、分からない」と話した。

 新しい規制基準では、フィルター付きベント設備の設置が不可欠で、事故時に排気するかどうかを決めるのは電力会社となっている。そこに地元の事前了解というプロセスが入ることで、規制委が有効な事故対策と判断しない可能性がある。東電の思惑通りに進むとは限らない。(大野孝志)

(東京新聞)
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http://list.jca.apc.org/public/cml/2013-September/026724.html

[CML 026788] 【東電に抗議の声を!】柏崎刈羽原発の再稼働申請をやめろ!
杉原浩司(Koji Sugihara) ・・・・・・・・・
2013
年 9月 26日 (木) 23:58:58 JST

【「恥知らずな再稼働申請をやめろ!」 東京電力に抗議を集中しよう!】

東京の杉原浩司(福島原発事故緊急会議/緑の党・脱原発担当)です。


[転送・転載歓迎/重複失礼]

泉田新潟県知事による「条件付き容認」表明を受けて、東京電力は27日午前にも、原子力規制委員会に柏崎刈羽原発6、7号機の再稼働に向けた適合性審査を申請しようとしています。

高濃度汚染水問題に見られるように、拡大するばかりの福島第一原発事故。
泉田知事が再三にわたり強調しているように、事故の検証と総括は未だになされていません。一方で、被害者への賠償や支援は極めて不十分なままであり、東電経営陣の誰一人としてその責任を問われていません。

自らの経営を最優先して、まったく必要のない危険な再稼働を強行しようとする東電の姿勢は到底許すことは出来ません。一刻も早く破たん処理すべきです。

東電に対して、恥知らずな再稼働申請をやめるよう、抗議の声をぶつけましょう。

★ 東京電力:050-3066-3033 (受付時間:9時~18時)

柏崎刈羽原発の安全審査、条件つき容認…新潟県(9/26、読売)
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20130926-OYT1T00756.htm?from=navr

条件付き承認に伴う泉田新潟県知事コメント
http://www.pref.niigata.lg.jp/genshiryoku/1356769369667.html

東電社長の談話 柏崎刈羽の再稼働申請めぐり(9/26、朝日)
http://t.asahi.com/clpo

27日(金)13時~16時には衆議院経済産業委員会の汚染水対策に関する閉会中審査が行われます。東電福島第一原発視察報告を5分。広瀬東電社長の発言を15分。その後、広瀬社長への参考人質疑が2時間40分の予定です。

私は傍聴する予定ですが、衆院インターネット中継もあります。アーカイブ視聴も可能です。閉会中審査は30日(月)にも行われます。監視を強めていきましょう。

<衆議院TV インターネット中継>
http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php
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http://www.asahi.com/politics/update/0927/TKY201309270202.html?ref=com_top6

東電社長「影響はコントロールできている」 汚染水問題

 東京電力福島第一原発の放射能汚染水漏れ問題で、安倍晋三首相が五輪招致演説で「状況はコントロールされている」と発言したことについて、東電の広瀬直己社長は27日、「首相の発言は、湾の外に影響が及ぶことは全然ないというご主張だ。私どもも全く同じ考えを持っている。首相の言った外への影響、海への影響という意味については、しっかりコントロールできている。しっかり湾の中にとどめている」と述べた。衆院経済産業委員会の閉会中審査で、今井雅人議員(維新)の質問に答えた。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013092702000155.html

【社説】
再稼働申請 電力会社に申し上げる
2013年9月27日

 原発再稼働に前のめりな政権を追い風に、東京電力柏崎刈羽原発や中部電力浜岡原発が早期再開を急ぐ。住民や消費者の声をよく聞かずして再稼働などできないと、電力会社に申し上げたい。

 必要な対策はひと通り整った。だから、再稼働を申請すると、中部電力幹部は言った。ひと通りで済ませていい問題か

 とりわけ浜岡は、特別な場所にある特別な原発だ

 東海地震の想定震源域の真ん中にあり、それらが連動して起こる南海トラフ巨大地震の規模は計り知れない。住民の地震に対する恐れは強い。いくら地盤を強化しても、風速九〇メートルの竜巻に耐えるという冷却ポンプカバーを取り付けても、その不安は除けない。

 再稼働を論ずる前に必要なのは、住民との対話、住民の声をよく聞くことだ。

 中電は、静岡県や御前崎など四市と安全協定を結んでおり、再稼働を申請する場合、自治体側へ「事前通報」の義務がある。しかし、それは同意を求めるわけではなく、すでに決まったことの確認にすぎないというのが、中電側の解釈らしい。傲慢(ごうまん)ではないか。

 中電だけのことではない。すでに原発の再稼働申請をした北海道、関西、四国、九州の四電力が、原発三十キロ圏の周辺市町村が求めた、立地自治体並みの安全協定締結を拒否している。

 福島第一原発事故の被害が思わぬ遠くにまで及び、多くの人々がふるさとを奪われたままであるにも、かかわらず。

 柏崎刈羽原発の再稼働に理解を求める東電の広瀬直己社長に、新潟県の泉田裕彦知事は「急ぎますか」と問いかけた。なぜ急ぐのか。銀行からの借り換えや新たな借り入れに、再稼働による収益改善が不可欠だからという。

 福島の汚染水問題一つとっても、東電に原発を任せられないというのは明らかなのに、である。

 再稼働に巨額の対策費を投じた中電などにも、同様の事情がある。中電の場合、今年の猛暑の電力需要を余裕をもって乗り切った。関電に融通したほどだ。再稼働を急ぐのは、これ以上赤字を出したくないからだ。

 企業が利益を追うのは当然だ。しかし、安全と収益をてんびんにかけられては、かなわない。

 何よりも、住民の立場に立って安全を優先させる。この大前提を欠く限り、拙速な再稼働は許されない。
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http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit2、9月28日】

2013年9月28日(土)付
柏崎稼働申請―やるべきことが違う

 いったい、自分が置かれている立場をわかっているのか。それが、多くの国民の受け止め方だろう。

 東京電力が、柏崎刈羽原発の6、7号機(新潟県)について原子力規制委員会に新規制基準への適合審査を申請した。広瀬直己社長は6、7号機以外の原発も順次、再稼働への準備を進める考えを示した。

 論外だ

 東電は原発事故の当事者である。福島第一原発では、事故の収束どころか汚染水漏れなど新たな難題がのしかかるいまは福島にすべてを集中すべきときだ。他の原発に人手を回す余裕などあるはずもない

 にもかかわらず、東電が再稼働にこだわるのは、このままだと再建計画が破綻(はたん)するからだ。

 原発が動かず、火力発電の燃料費負担がかさんで3期連続の赤字になれば、「銀行からの融資が受けられなくなる恐れがある」という。

 仮に時間がかかっても、再建計画に盛られた柏崎刈羽の再稼働に向けた手続きを踏んでいれば、資金手当ては何とかなる。そんな思惑ではないか。

 しかし、事故に伴う損害賠償や除染、廃炉などすべての費用を東電に負担させることを前提とした再建計画がもたないことは、すでに明らかだ。

 であれば、見直すべきは再建計画である。再稼働を急ぐことではない。

 問題は、安倍政権の姿勢だ。

 国は東電の大株主でもある。汚染水問題では、政府が前面に出る態勢へと改めたものの、東電の経営問題をめぐる議論はほとんど進んでいない。

 再建計画の見直しは、東電では背負いきれない費用を、国費の投入や料金値上げでまかなうことにつながる。不満の声もあがるだろう。

 目先には、消費税の増税も待ち構える。アベノミクスにみそをつけることにもなりかねない不人気な政策に手をつけるのは、後回しにしたい。そんな思惑が首相周辺にあることは想像に難くない。

 だが、それでは汚染水問題でのリーダーシップ宣言も瞬く間に色あせるというものだ。

 短期的な経済合理性や過去のしがらみから、必要な情報の共有や対策を怠り、原発を推進すること自体が目的化したことが福島事故を招いた。

 今また、実体のともなわない再建計画にこだわっていれば、事態は悪化するだけだ。

 原発をとりまく、そんな体質を改める。それこそ、事故の重い教訓であるはずだ。
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●死者を鞭打つ ~東京電力原発人災原因解明のキーパーソン、そして、事故を防げたかもしれない人~

2013年07月19日 00時00分49秒 | Weblog


東京新聞の社説(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013070902000144.html。asahi.comの二つの記事(http://www.asahi.com/and_w/life/TKY201307090095.html?ref=comtop_fbox_d2http://www.asahi.com/and_w/life/TKY201307090095_01.html)。保坂展人さんの論考。最後に、gendai.netの記事(http://gendai.net/articles/view/syakai/143372)。

 「【社説】 原発の新規制基準 廃炉時代の始まりに」・・・・・・。原子力「規制」委員会にはその気配が感じられない。保坂展人さんは、その中立性を疑っている。ましてや、自公政権は原発再稼働に向けて着々と手を打っているし、「恥ずべきこと」に原発輸出までするという。本当に救い難い国。その自公政権を、参院選で支持するというのだから、自公議員への投票者の「品格」「自覚」はいったいどこに? 「「原発再稼働」の倫理」はいったいどこに?? 参院選で、「私たちが2度と同じ過ちを起こさないために福島第1原発事故から学ぶべき「倫理と覚悟」」が問われています。
 一方、吉田昌郎・元東京電力福島第1原発所長が急逝した。死者を鞭打つことになるが、マスコミの報道の仕方には大きな問題を感じる。吉田氏は、「東京電力原発人災原因解明のキーパーソン、そして、事故を防げたかもしれない人」であることを報じるテレビや記事が少なすぎる。

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013070902000144.html

【社説】
原発の新規制基準 廃炉時代の始まりに
2013年7月9日

 原発の新規制基準は、こう言い換えもできる。正しく運用すれば、物理的にも経済的にも、原発維持は難しくなる、と。日本に廃炉の時代が訪れる。
 新しい規制基準は、福島第一原発の重い教訓の上に立つ。
 柱は二本。電力会社に過酷事故への対策を義務付けたこと、地震や津波に対する多重の備えを求めたことである。
 3・11以前、原発の過酷事故対策は、法律上の義務ではなく、電力会社の自主的な努力に任されてきた。

免震棟がなかったら
 なぜか。この国では過酷事故など起きず、従って、義務など必要ない-。全国五十基の原発は、まさに“原子力ムラ”という神話の世界で増え続けていた。
 新基準は、フィルター付きベントの設置を義務付けた。放射能を取り除くフィルターが付いた排気設備だ。福島の事故では、排気装置はあってもフィルターがなかったために実行がためらわれ、結局は大量の放射能を大気中に拡散させてしまった。
 有事の司令塔になる緊急時対策所の設置も初めて盛り込んだ。
 二〇〇七年の新潟県中越沖地震の際、東京電力柏崎刈羽原発では、原発建屋内にあった緊急時対策所の扉が地震の衝撃で開かなくなり、肝心なときに使えなかった。
 その経験から福島にも免震重要棟を整備した。東日本大震災のわずか八カ月前のことだった。
 このほか、停電に備える電源車や移動式ポンプ車の配備、燃えにくい電気ケーブルを採用することなどが必要になった。
 運用面では、活断層の影響を重視する。重要施設の真下に活断層がある場合、運転を認めないという方針を明確にした。
 安倍晋三首相は「日本の原発は世界一安全です」と胸を張り、原発を世界に売り歩く。

安全最優先という魂を
 ところが、例えばフィンランドの場合、一九九〇年代の初めにはもう、フィルター付きベントが整備されていた。チェルノブイリ事故から三年ほど後のことだった。
 規制機関の放射線・原子力安全センター(STUK)は半世紀以上の歴史があり、国民から警察以上に信頼されているという。
 世界一安全というよりは、これでようやく世界水準に並ぶことができたと考えるべきだろう。
 だが、厳正な規制ほど不合格は出るものだ。正しく適用すれば、増設の坂を上り詰めた原発が、減少へ向かうということもできる。
 しかも、原子力規制委員会の田中俊一委員長が言うように、まだメニューがそろっただけだ。
 基準が直ちに安全を保証するわけではない。大切なのは、その基準にどのような魂を入れるかだ。
 電力会社が審査の効率化、迅速化を強く要求するのは、ある意味当然だ。しかし、そこで安全文化、安全最優先を貫く意思があってこそ、新基準の魂となるはずだ。
 新基準がもたらすものを挙げれば、以下のようになる。

 ・過酷事故対策にしろ、津波や地震への備えにしろ、膨大な費用がかかる。
 ・費用は電気料金にはね返る。
 ・事故の補償は事業者だけで負いきれるものではない。
 ・安全最優先に徹すれば、政府の支援がない限り、経済的にも自然に
  淘汰(とうた)されていく。
 ・不経済な原発から持続可能な再生可能エネルギーへと、
  日本は切り替えるべき岐路に立つ。

 安倍内閣は「規制基準に適合すると認められた原発の再稼働」を成長戦略に明記した。しかし、共同通信が五月半ばに実施した世論調査では、安全が確認された原発を再稼働することに「反対」と答えた人が54%を占めている。
 規制委の判断は、もちろん科学に基づくべきだ。だが、再稼働の是非は、国民や地元の意見に十分耳を傾けながら進めるべきである。各地域にはそれぞれの事情がある。原発に代わる経済対策がないままに再稼働へ進むとすれば、住民の不安は募るばかりだろう。
 放射能の被害は広く拡散するが、自治体には十分な退避計画もできていない。できるかどうかも分からない。
 日本のエネルギー政策に最も必要なのは、未来の安全と安心だ。

次は再生可能エネルギー
 安全と安心の砦(とりで)としての信頼を勝ち取るには、関西電力大飯原発3、4号機のように、電力需要に配慮して、新基準に適合しない恐れがある原発の再稼働を認めるような例外を重ねるべきではない。
 新しい基準の施行を、神話時代から廃炉時代への転換点にすべきである。
 その先には再生可能エネルギーの普及、そして進化という新しいゴールが待っている。
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http://www.asahi.com/and_w/life/TKY201307090095.html?ref=comtop_fbox_d2
  http://www.asahi.com/and_w/life/TKY201307090095_01.html

「原発再稼働」の倫理を問う新潟県知事の覚悟
保坂展人
2013年7月9日

 7月5日、東京電力の広瀬直己社長が新潟県の泉田裕彦知事を訪ねて、「柏崎刈羽原発の原子力規制委員会への再稼働審査申請」への理解を求めたところ、物別れに終わったというニュースが大きく伝えられています。
 3日後、柏崎刈羽原発の再稼働申請は見送られたものの、北海道電力(泊1、2、3号機)、関西電力(大飯3、4号機、高浜3、4号機)、四国電力(伊方3号機)、九州電力(川内1、2号機)の10基について、原子力規制委員会に再稼働申請が出されました
 参議院選挙が公示された後、梅雨明けの猛暑とともに伝えられてくるのは、福島第1原発事故の記憶が消えたかのような動きです。「経済成長のために原発再稼働やむなし」という原発回帰の流れが強まっているように見えます
 新潟県の泉田知事は、原発再稼働を容認する他の原発立地県とは一線を画し、「再稼働の倫理」を問うています。237万人の県民の生命と健康をあずかる首長として、覚悟を決めた勇気ある指摘だと感じます。
 ところが、厳しい基準をつくり、公平に「原発の安全性」を判断するはずの原子力規制委員会の田中俊一委員長の発言には耳を疑いました。田中委員長は3日、泉田知事について、こう述べたというのです。

   「他の自治体が納得しているなか、かなり個性的な発言をしている」

 規制委員会のトップが、原発再稼働の流れに同調しない泉田知事を記者会見の場で「個性的」と評したことは、中立であるべき規制委員会の公平性が揺らぎかねない発言だと思います。
 田中委員長は、泉田知事のどの発言を「個性的」と評しているのでしょうか。その4日前に、毎日新聞が泉田知事のインタビューを掲載していました。少し長くなりますが、重要なので引用します。

〈知事は新規制基準について「福島第1原発事故の検証・総括なしに、(設備面などに特化した)ハードの基準を作っても安全は確保できない。新規制基準は、残念ながら国民の信頼を得られない」と批判。
 規制委についても「地方自治行政のことを分かっている人間が1人も入っていない」と指摘、緊急時の住民の避難計画などに関し規制委が県の意見を聞かなかったことを問題視し、「こんなデタラメなやり方は初めて」と厳しく批判した。
 7月8日に施行される新規制基準についても「(原発立地自治体の)県の意見に耳を傾けずに作られた。外部に説明するつもりのない基準など評価に値しない」と切り捨てた。
 また、万が一過酷事故が起きた際、現行法では、事態の悪化を防ごうにも放射線量の高い事故現場へ作業員を出せないことを課題として指摘。「現行制度では法律違反で誰も行かせられないが、放置すればメルトダウン(炉心溶融)が起きる。そういう問題への対応も用意しないと、事故を総括したことにならない」
 と述べ、政府にも法的な整備を求めた〉(毎日新聞)

 これが、規制委員会の田中委員長が「個性的」と切り捨てた泉田知事の発言だとしたら、「地方自治行政のことがわからない」ことを自ら裏付けたようなものではないでしょうか。とりわけ緊急時の「住民避難計画」は自治体の責任と判断に帰すもので、原発で重大事故が起きたら、首長は瞬時に決断を迫られるのです。
 目をこすってみたくなります。
 2007年、中越沖地震により、柏崎刈羽原発の変電施設が黒煙をあげて炎上しました。そればかりでなく、点検中の原子炉の蓋がずれたり、建屋内のクレーンがへし折れたり、使用済み核燃料プールから大量の水が漏れ出したりしましたこの事故は、次なる重大事故を事前に防ぐ措置をとるための大きな教訓を示していました。
 しかし、4年後の2011年、福島第1原発事故が起きてしまいました。国際原子力事故評価尺度(INES)では、チェルノブイリと並び、最も深刻な「レベル7」。2年たった今も、事故の影響はさまざまな形で尾を引いています
 この事故はなぜ起き、なぜ防げなかったのかそれが十分に検証されたとはいえません。そうしたなかで、ふたたびメルトダウンの危険のある重大事故が起きたら、どう対処するのか。

 「被爆の危険の大きな現場に作業員を派遣すること」は法令で禁止されていますが、一方で、だれかが現場に行かなければより大きな被害をもたらすという事態が想定されます。そのための法整備も行なわれていない、という泉田知事の指摘は、県民の命をあずかる首長としてきわめてまっとうなものだと思います。

 私が泉田知事の名前を聞いたのは、震災直後に「陸の孤島」となっていた福島県南相馬市の桜井勝延市長からでした。泉田知事から直接電話があり、避難を希望する南相馬市民のためのバスを差し向け、県内に受けいれる、と申し出てくれた、というのです。今回の発言も、そうして福島第1原発事故に正面から向き合う姿勢を持っているからこそ出てきたものだと感じます。
 参院選での関心は「経済」、そして「衆参のねじれ解消」との報道が続いています。仮に経済という視点で見たとき、福島第1原発事故がどれほどの打撃を与えてきたでしょうか。また、15万人もの人々が住み慣れた故郷を離れて、見通しのない避難生活を続けているのです。
 猛暑とともに、ボロボロになったはずの原発神話」を修繕し、再稼働ありきでひた走ることを仕方がないと追認するわけにはいきません。新潟県の泉田知事の毅然とした発言は、私たちが2度と同じ過ちを起こさないために福島第1原発事故から学ぶべき「倫理と覚悟」を伝えています。
 このままでは、「3・11」前の電力業界の既得権は温存され、原子力ムラが復活し、報道管制の縛りが強まるばかりです。福島第1原発事故から何も学ばない社会を、子どもたちに見せたくはありません
 猛暑の中で続く参院選。「再稼働の可否」をめぐる議論ができる大きなチャンスととらえたいものです。
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http://gendai.net/articles/view/syakai/143372

吉田元所長を英雄扱いするテレビの見識
2013年7月11日

事故を防げた可能性

 どうも釈然としない。テレビ各局は食道がんで急逝した吉田昌郎・元東京電力福島第1原発所長(58)を英雄のように報じている。10日も朝から大々的に取り上げていたが、どの局も「彼がいなかったら大惨事だった」などと持ち上げたこのスタンスに違和感があるのだ。

 「本店の命令を無視して原子炉への海水注入を続けたことが日本の危機を救った」「各界から悼む声が上がっている」――。ワイドショーで繰り返し流された吉田氏の姿は、国民を放射能汚染から守ったヒーローのようだった。もちろん、原発事故直後、吉田氏が「死の恐怖」と対峙(たいじ)しながら不眠不休で現場の陣頭指揮に尽力したことは事実だろう。とはいえ、公務中に殉職して「2階級特進」した警察官のように扱うのは明らかに変だ。

   「吉田氏の事故当時の肩書は『執行役員』。経営幹部なら、
    事故を起こした責任は免れない。しかも、東電が08年に想定外の
    津波の可能性を把握した際、彼は対策を先送りした原子力設備管理部の
    部長だった。原子炉への海水注入をめぐって本店幹部とケンカするほどの
    反骨心を持っていたのなら、事故前に安全対策に万全を期すよう
    大ゲンカしてほしかった。強く主張していれば、事故は防げた可能性が
    あるのです。だから、事故後の対応は、自らの失態を必死に挽回しよう
    としただけとも言える。それなのにテレビは『被害を最小限に食い止めた』
    などとヨイショしている。事故から2年半近くなっても、約15万人が故郷に
    帰れない現実をどう考えているのでしょうか」(経済誌記者)

 ジャーナリストの横田一氏がこう言う。

   「原発の事故原因が津波なのか地震なのか、いまだに分からない中で、
    吉田氏には国会などのオープンな場で事故当時の様子を語って欲しかった。
    原発の安全性を語る上で、彼が知り得たことは重大な意味を持つ
    なし崩しに進められようとしている原発の再稼働を左右する
    重要なキーマンだったと言ってもいい。メディアは吉田氏の一面を
    取り上げて大騒ぎするのではなく、あらためて、原発が抱える問題や
    東電の隠蔽体質も含めて報じるべきでしょう」

 原発事故当時、国や東電の言い分をタレ流し続けていたテレビの体質は今もまったく変わっていない
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●「原発推進」という結論ありきのパフォーマンス

2013年07月11日 00時00分32秒 | Weblog


ちょっと古い記事。asahi.comの記事(http://www.asahi.com/business/update/0607/TKY201306060703.html)とgendai.netの記事(http://gendai.net/articles/view/syakai/143033)。

 自公政権を支持するから、こんなことに。

   『●「品格」と「資質」: それを許す支持者や自公投票者の問題
   『●「原子力推進」という一点で自公政権は否定されるべき
   『●それでも自公政権が支持されるのはいったいなぜ? 信じ難い現実・・・

 で、こんな社会を望むの?

   『●アベ(ホ)ノミクスに騙されてはいけない ~年金マネーをアベノミクスのサイフに~
   『●自民党の目指す社会とは?

 自民党べったりの、「労働者の敵」経団連米倉弘昌会長の視察パフォーマンス。視察しても、鼻の上の視覚器官は働いていず、頭の中は「原発再稼働」「原発輸出」という結論だけが渦巻いている。財界総理も安倍首相もオツムの中は同じようだ。原子力「推進」委員会田中俊一委員長のオツムも、「東京電力原発人災」以前に何をやってしまったのか、以後に何が起こったのか、被災者や被爆者、避難者がどんな苦しみを味わい、いまも苦しみ続けているのか、だからこそ廃炉に向けて如何に作業を進めていくのか・・・、なんていうことはこれっぽちも考えていないだろう。「規制」することなんて、毛頭考えているように思えない。

     『●哀しい遺書: 「原子力さえなければ」
     『●福島県双葉町「原子力明るい未来のエネルギー」・・・・・・いま、その〝少年〟は?
     『●「原発さえなければ」「福島の百姓は終わりだ」:
                  東京電力原発人災と自殺には因果関係あり

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http://www.asahi.com/business/update/0607/TKY201306060703.html

2013年6月7日2時35分
経団連会長、福島第一原発を視察 事故後初

 【永田稔】経団連の米倉弘昌会長(住友化学会長)は6日、東京電力の福島第一原発を事故後はじめて視察した。視察後、記者団に「大震災の被害と事故の深刻さを改めて認識した」と述べ、原子力政策や廃炉の技術開発のあり方に対する提言活動に生かす考えを示した。

 米倉氏のほか、三菱重工業の大宮英明会長、東芝の佐々木則夫社長らが視察した。原子炉建屋には入らず、バスで見て回った。東電の広瀬直己社長は、米倉氏の隣に座って説明にあたった。原発内の免震重要棟にある緊急時対策本部では、米倉氏が東電の社員ら約150人を激励した。

 視察後、東電が復興本社を置くJヴィレッジ(福島県楢葉町)で、地元の町長らと面会した。大熊町の渡辺利綱町長は「長くて大変な道のりだが、しっかり自立へ向けて努力するので、雇用の確保を含め尽力してほしい」と要望した。
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http://gendai.net/articles/view/syakai/143033

再稼働ありき、原発「新・規制基準」のデタラメ
2013年6月20日

 一体どこが厳しくなったというのか。原子力規制委員会が19日、正式決定した原発の「新規制基準」のことだ。

 新基準は、シビアアクシデント(過酷事故)対策として、想定される最も大きな津波を「基準津波」とし、原発敷地内に浸水させないよう義務付けたほか、浸水が想定される場合には「防潮堤」の建設を要求。活断層の真上には原子炉建屋など重要施設を認めないことも明確化し、放射性物質を外部に逃すための「フィルター付きベント」の設置を求めた。

 田中俊一委員長は「世界最高水準の規制」と自画自賛していたのだが、「安全よりも再稼働を優先させている」と怒りの声を上げるのが、「原子力規制を監視する市民の会」の阪上武氏だ。

   「ベント設置を義務付けましたが、それ以前に、格納容器の構造的な
    欠陥はないのか、といった問題は手付かずのままです。
    福島原発でも故障が明らかになった原子炉水位計も基準に盛り込まれて
    いない。津波対策に重点を置いてばかりで、地震対策には目をつぶっている
    あまりに拙速です」

福島事故の原因は不明のまま

 そもそも、国会事故調が指摘した通り、福島原発の事故は「地震」なのか、「津波」なのか原因がいまだに分かっていない。それなのに新たな「安全基準」を作るコト自体がデタラメ過ぎる

 新基準には、事故の際に敷地境界での住民の被曝(ひばく)線量などを制限した「立地審査指針」も盛り込まれなかった。

 基準に加えれば、国内の原発のほとんどが再稼働できなくなる可能性があるからだが、これでは事故による住民の大量被曝を容認したようなものだ。

   「“抜け穴”はほかにもあります。格納容器が大きいタイプの原発の
    ベント設置や、原発を操作する中央制御室が使えなくなった場合に
    備えた『第2制御室』などの整備について、5年間の猶予期間
    設けたことです。地震や災害は明日起きてもおかしくない。それなのに、
    なぜ猶予期間が必要なのか。原発を再稼働したい電力会社に
    配慮したのはミエミエです」(科学ジャーナリスト)

 再稼働ありきのザル基準は明らかである
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