黒猫のつぶやき

法科大学院問題やその他の法律問題,資格,時事問題などについて日々つぶやいています。かなりの辛口ブログです。

神々の国の法曹養成拠点(笑)

2013-05-27 23:28:45 | 法科大学院関係
 そろそろ募集停止を公表するところが出るのではないかと思い,入学者数一ケタの下位ローHPをチェックしていたところ,島根大学法科大学院のHPでこんな記述を見つけました。

13.05.24 日弁連のホームページで山陰法科大学院が紹介されています

 開いてみると,このように書いてありました。

日弁連(日本弁護士連合会)のホームページで、地域の法科大学院を紹介する企画が始まりました。
そのトップバッターとして、山陰法科大学院が紹介されています。(URL参照)

山陰法科大学院を修了し、地元で活躍しているOB弁護士が、山陰法科大学院で学んだ経験を踏まえて、
特色のある授業や教育内容、学習指導や経済支援などを学生の目線で紹介しています。

是非、ご覧下さい。一見の価値ありです!

http://www.nichibenren.or.jp/activity/training/law_schools/sanin.html


 とりあえずリンク先をクリックしてみたら,日弁連のHPで,山陰法科大学院(島根大学大学院法務研究科)の紹介がなされていました。長いので全文引用はしませんが,まず冒頭の「神々の国の法曹養成拠点」という見出しには爆笑しました。
 誤解を防ぐため一応説明しておきますが,島根大学法科大学院の修了者のうち,司法試験に合格して法曹になれた人はせいぜい1割前後しかいません。アメリカでは,就職率が実質5割を切るようなロースクールが「三流便所ロースクール」「四流糞ロースクール」などと揶揄されていますが,島根ローはそれすらもはるかに下回るレベルであり,もはや法科大学院と呼ぶことすら恥ずかしいレベルです。
 国立大学のローとしては初めて補助金の減額措置を受け,今年の入学者数も定員20名のところわずか2名にとどまっており,もはやいつ廃校になってもおかしくありません。司法試験に合格できなかった修了生(いわゆる三振法務博士)の進路についてまともな調査は行われていませんが,世間の三振法務博士に対する一般的な評価に照らし,その多くはワーキングプア,もしくは単なるニートや引きこもりになっていると推測されます。島根ローは,その実績に照らせば「法曹養成拠点」ではなく,むしろ「ニート養成拠点」とでも名乗るべきなのです。
 その島根ローが,厚かましくも地域の「法曹養成拠点」を名乗り,しかも地元にある出雲大社になぞらえて,「神々の国の法曹養成拠点」などと何やら厨二病っぽいネーミングまで付けています。これが笑わずにいられるでしょうか。
 以下,日弁連HPに掲載されている記事を,ところどころ解説(ツッコミ)付きで引用します。黒の太字が引用部分です。

神々の国の法曹養成拠点
 山陰法科大学院は、2004年の法科大学院制度発足と同時に、島根県松江市に創設されました。
 「日本で47番目に有名な県。」(『しまねSuper大使』吉田くん)こと島根県は、出雲空港の愛称を「出雲縁結び空港」と命名するなど、縁結びの地として絶賛売出中。縁結びスポットの代表格である出雲大社では、現在、60年ぶりの大遷宮が進められています。5年間に及ぶ本殿の修造が終わった今年(2013年)5月10日には、「本殿遷座祭」が厳かに行われました。
 県都松江市は,民法の父と称される梅謙次郎博士の出身地で、宍道湖に代表される自然豊かな城下町です。『怪談』で有名な小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)は、この町を「神々の国の首都」と呼び、広く世界に紹介しました。町の中心にそびえる松江城は、その美しさから「千鳥城」とも呼ばれます。お城の周りを堀川が流れ、趣のある古い家並みが残っています。
 山陰法科大学院は、ここ松江市にある山陰唯一の法曹養成機関です。

 なんか自虐ネタが多いけど,最後の一行を除き,とりあえず法科大学院とは何の関係もないぞ!?
(この部分を引用したのは,「神々の国の法曹養成拠点」の出典を明らかにする趣旨であり,島根県や島根県民等を侮辱する趣旨ではありません。日本で47番目に有名な県云々というのは,黒猫ではなく引用元である廣澤弁護士が書いていることです)

「地域に貢献する法曹」の養成
 山陰は、島根・鳥取両県弁護士会に登録する弁護士数が少なく、司法過疎地と呼ばれてきました。山陰法科大学院は、両県の住民、自治体、経済界、弁護士会、司法・行政書士会等、各界の期待を担って設立されました。地域社会に深く根ざした法曹の養成と、地元経済界等が求める国際社会の発展に貢献できる法曹の養成を基本的理念として掲げているのは、このような設立経緯があるためです。
 山陰法科大学院では、地域の期待に応え、一人でも多くの法曹を送り出すべく、島根・鳥取両県弁護士会をはじめとする関係諸機関と手を携えて法曹養成教育を行ってきました。

 ふうん。このような地域の期待に応えるべく,頑張ってきた結果がこれです。
入学者数:平成21年度18名,平成22年度11名,平成23年度10名,平成24年度3名,平成25年度2名
1年から2年への進級率:平成22年度58.8%,平成23年度64.3%,平成24年度20.0%
修了率:平成22年度72.0%,平成23年度71.4%,平成24年度54.5%
(以上,島根ローのHPより。ちなみに2年から3年への進級率は8割を超えている)
司法試験合格率:
平成22年度 10.3%合格者数3名/受験者数29名,なお出願者数53名)
平成23年度 8.7%合格者数4名/受験者数46名,なお出願者数60名)
平成24年度 5.9%合格者数2名/受験者数34名,なお出願者数49名) 
(以上,法務省HPより)
 なお,上記の数少ない合格者も,例えば平成24年度試験では平成21年度修了者(2年浪人)の合格者が1名,平成22年度修了者(1年浪人)の合格者が1名であり,ストレートの合格者はいません。合格した人は,おそらく修了後に予備校などで必死に勉強した人たちであり,島根ローの功績とは言い難いでしょう。
 こんな法科大学院と勝手に関連づけられて,八百万の神々はきっとひどくお怒りでしょうね。

切磋琢磨する院生
 山陰法科大学院は、典型的な地方小規模校です。
 都会に比べてのんびりしているように思われがちですが、院生は寝る間も惜しんで勉強しています。熱心な院生のために、24時間利用できる院生研究室(自習室)と院生図書室が用意されています。
 1学年の定員は20人で、院生どうしの距離が近く、支えあい、刺激しあいながら学んでいます。講義時間や自主ゼミで、白熱した議論を戦わせることもあります。

 入学者数3人とか2人とかいったレベルなら,たしかに院生同士の距離は近いでしょうね。本当に支えあい,刺激しあいながら学んでいるかどうかは分かりませんが。

法学未修者に配慮されたカリキュラム
 山陰法科大学院のカリキュラムは、法学未修者教育を重視したものです。
 設立当初は、春・夏・秋・冬の4学期制(クオーター制)を基本としてカリキュラムが組まれており、それが大きな特色となっていました。その後、法学未修者の負担等を考慮し、前期・後期の2学期制に移行しています。
 どんな学問分野でも、基礎がしっかりしていなければすぐに壁にぶつかります。山陰法科大学院では、1年次の前期に「公法入門」、「民事法入門」、「刑事法入門」、後期に「民事法の基礎」を開講するなど、院生が基礎的な知識と思考力を身に着けられるよう配慮されています。
* なお、山陰法科大学院では、2013年度から2年コース(法学既修者コース)を設け、法学既修者対象の入学者選抜試験が導入されました。

 その割には,入学者の実に9割くらいが中途退学または三振になっていそうな数字なのですが。
 なお,文科省の「法科大学院教育の質の向上に関する改善状況調査ワーキング・グループ」第7回調査では,島根ローの教育について次のような指摘がなされています。
「入学者選抜における競争性の確保のための一定の取組がなされているが、志願者数が大幅に減少する中で入学者の質の確保について改善の取組状況を見守る必要がある。
 クラス規模について余りにも小規模になり過ぎると、法科大学院教育の実効性に不安があるとの意見もあり、配慮が必要である。学生へのきめ細かな指導に取り組んでいるが、学生が自らの学修の到達度や到達すべき目標に関する認識を持ちにくい状況にあることが推測され、法科大学院教育の改善に引き続き取り組む必要があると考えられる。
 指摘した事項(授業内容・方法・評価について、教員と学生との間で十分な共通理解が図られていない,基本的な理解を十分身につけたという自信を持てないまま修了する者が多い)に対する改善の取組が全体的に進んでいるとは言い難く、司法試験の合格状況が厳しいことも踏まえ、早急に抜本的な改善に取り組む必要があることから、当WGとして継続的にフォローアップを実施していく。」

充実した学習指導体制
 山陰法科大学院では、各教科の担当教員による指導と併せ、指導教員による日常の指導という二本立ての学習指導体制が整えられています。
 指導教員は、院生一人ひとりについて、各教科の担当教員と緊密に連携しながら、学習の進捗状況や到達度を踏まえた上で、きめ細やかな学習指導やアドバイスを行っています。

 教育指導と称して,反法科大学院的な言動を行っていないかどうか,きめ細やかな思想統制を行っている可能性がなきにしもあらずですが,少なくとも十分な成果を期待できるような指導が行われていないことは確かです。

法務アカデミック・アドバイザーによる教育支援
 2013年5月現在、島根・鳥取両県の弁護士会から34名もの若手弁護士が法務アカデミック・アドバイザー(AA)に就任し、院生の学習を支援しています。
 AAの主な業務としては、①法律文書作成能力の向上を目指す「リーガル・ライティング共同研究授業」の添削と解説講義、②自主ゼミのチューター、③実務系科目の補助、④学習・進路相談が挙げられます。
 AAのほとんどが法科大学院を修了した弁護士です。院生は、AAの指導を受けることで、自らが到達すべき学習レベルを具体的にイメージすることができます。

 入学者数が3人,2人といった状況でAAが34人では,マンツーマンどころではありませんね。さらに専任教員が16人,兼担教員が2人,兼任教員が13人。みんなで院生をリンチしているのでしょうか。

法務研修生制度―修了後も継続する充実した学習環境・支援体制
 修了後は、希望すれば法務研修生として島根大学に残ることができます。少額の研修料を納めれば、院生と同様に自習室や学内LAN等を利用できます(現在、すべての研修生にキャレルが貸与されています)。
 リーガル・ライティング共同研究授業の受講、AAが指導する自主ゼミへの参加も認められています。
 また、法務研修生には、実務家教員が指導教員として配置されています。修了以前の指導教員であった研究者教員も引き続き指導を担当し、2名体制で綿密な指導を行っています。
 このように、法務研修生となることにより、修了後も在学時と同様の環境で学習を継続することができます。

 収容定員60名(設立当初はたぶん90名)ですから,キャレルも相当余っているのでしょう。修了してもこうやって司法試験に合格するか三振するまでローに拘束され,教育内容に不服があっても物を言えない環境を作っているのでしょうね。

修了後の進路
 山陰法科大学院は、過去7回の司法試験(新司法試験)で18名の合格者を輩出しました。
 島根・鳥取両県弁護士会に所属する修了生(2013年5月現在で7名)は、AAとして自主ゼミを担当するなど、母校での教育支援に携わっています。
 法曹以外の進路としては、国家公務員(法務局)、地方公務員(鳥取県庁、兵庫県庁、広島市役所)、企業の法務部など、法的知識を活かすことのできる職種が選ばれています。

 これまでの修了者が何百人いるか,修了者の司法試験合格率や就職率がどのくらいかといった数字については,公表する気もないんですね。
 ちなみに,島根ローのHPでは,11人の司法試験合格者が全員就職しており(弁護士9人,企業の法務部門1人,検察官1人),就職率は100%であるなどと宣伝されていますが,このような数字を信用してはいけません。即独で年収70万円以下の貧困弁護士も,法律事務所に就職後1ヶ月くらいで追い出された人も,「弁護士」であることに変わりはないのです。もちろん,修了者のうち司法試験に三振した人に悲惨な運命が待ち受けているであろうことは,言うまでもありません。

手厚い経済的支援
 山陰法科大学院では、法科大学院生の経済的支援のため、「成績優秀者の入学料及び授業料特別免除」という独自の制度が設けられています。
 特別免除の対象となるのは入学者のうち5名で、特別免除の期間は入学時から3年間です。入学年度には入学金と授業料全額が免除され、2年次以降は授業料全額が免除されます(継続して授業料の免除を受けるためには、前年度において所定の学業成績を修めていることが条件となります)。
 また、地元の金融機関である山陰合同銀行が、「島根大学大学院法務研究科奨学ローン」を設けて支援しています。筆者もこのローンを活用しました(完済)。

 平成23年度入学者10名のうち,無事2年次に進級できたのはわずか2名ということみたいですから,今どきの入学者が継続して授業料の免除を受けるのはおそらく至難の業でしょう。

おわりに―恵まれた環境で法曹を目指す
 このように、山陰法科大学院では、院生が安心して勉強に集中できるよう、支援体制が充実しています。
 恵まれた学習環境の下で、しばし喧騒を忘れ、法律の学習に専念してみませんか。
法科大学院センター委員 廣澤 努(島根県弁護士会)

 日弁連のホームページで,しかも『地域の法科大学院の紹介』第1回で,こんな救いようがないローの救いようがない記事を載せるということは,要するに将来島根ローの修了生たちがローを訴えるとき,日弁連も被告に加えてほしいということですね。よく分かりました。

(5月28日 記事の内容を一部加筆修正しました)

65 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Unknown)
2013-05-27 23:43:31
他人様のアラを探すよりご自分の犯した名誉毀損の過ちを認めましょう
返信する
Unknown (Unknown)
2013-05-28 00:17:55
名誉毀損と言う人は、一度基本書に戻るなりして、名誉毀損の構成要件を確認して下さい。
仮に、確認した上で仰っているなら、構成要件の解釈が間違っているか、当てはめが間違っているはずですよ。

日弁連も必死ですね!会計士はローのような制度がなかったからすぐに政策撤回できましたけど、ローがあるだけで人々はこんなにも歪んだ判断しかできなくなるのですね。
返信する
Unknown (Unknown)
2013-05-28 00:19:59
浜辺陽一郎の自宅に電凸した伊藤真塾長は男の中の男だわ!
マジでガチでしびれたぜ!
伊藤真ばんざい!!
伊藤塾ばんざい!!!
http://blog.goo.ne.jp/9605-sak/e/0b5046c5dd5073f3c22ae53ae53bac3f?guid=ON
返信する
Unknown (Unknown)
2013-05-28 00:23:43
おやおや黒猫信者も必死ですね~。
何の根拠も示さず「自分で確認して下さい」だってw
返信する
Unknown (Unknown)
2013-05-28 00:31:38
司法改革原理教信者のチンカスどもが難癖付けていますが、雑音は無視して、ひきつづき優れた考察がんばってください!
返信する
Unknown (Unknown)
2013-05-28 00:33:30
「おまえは、おれの息子だ」
親父は顔を上げた。
「就職がないなら、はじめから独立だっていいじゃないか。やってみなけりゃわからんだろ。2年前に県庁をやめたときの退職金が600万円残ってる。それを使え。ただし、次はないからそのつもりでな」
おれは天井を見上げた。
返信する
Unknown (Unknown)
2013-05-28 00:42:59
大体黒猫の弁護士会費はどこから捻出してるんだ?
返信する
Unknown (Unknown)
2013-05-28 01:04:19
>何の根拠も示さず「自分で確認して下さい」だってw
構成要件よりも先に立証責任から学ぶ必要がありそうですね。
返信する
誹謗コメントを書く者 (Unknown)
2013-05-28 01:04:27
黒猫様

上で誹謗コメントを相変わらず書き込んでおられますが、 

会員の方か、最近司法試験合格者で未就者の者だけにコメントを許可したらどうでしょうか。だんだんとエスカレートしていくと、2チャンネル化してしまいますよ。
返信する
Unknown (Unknown)
2013-05-28 01:08:36
あまりにも悪意に満ち満ちた考察ではないでしょうか。出雲が「神々の国」と呼ばれていることは確かなのですから、そこに存在する事物に、「神々の国の~」というキャッチコピーをつけることは、さほどおかしなことではないはずで、「爆笑した」という黒猫さんの感性が、私のような愚鈍な凡人以下の人間には、まずもってよく分かりません。
返信する