原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

元々「連立」には無理があった

2009年12月06日 | 時事論評
 12月3日、社民党の福島党首は米軍普天間飛行場移設問題に関して、鳩山内閣が辺野古への移転を決めるならば社民党として連立政権からの離脱も辞さない考えを示した。
 これを受けて、対米関係を後回しにしてでも「連立」を優先する意向の鳩山内閣が、当問題の年内決着をあきらめる結論を出したことにより、新政権内をはじめ米国や沖縄県民の苛立ちと混乱に拍車をかけている現状である。

 片や、亀井党首率いる国民新党は、政府の補正予算案に対し「拒否権」を振りかざし経済対策の閣議決定が見送りとなった。
 亀井氏率いる国民新党はわずか総勢8人の小政党であるが、亀井氏は民主党が参院で過半数に達していない弱みにつけこんで存在感を発揮し続けている。 日本郵政の新社長に元官僚を起用したり、郵政株式売却凍結法案を成立に導いたり…  はたまた、社民党の背中を押して普天間移設問題の年内決着を鳩山首相に断念させたりと、やりたい放題の様子のようだ。

 これらを受けて怒りが収まらないのが民主党党員である。
 「国民新党は社民党と連立をさっさと離脱しろ」 「郵政株凍結法案で協力したんだから国民新党は妥協しろ」 「予算を増やせと言うがどこに金があるんだ。亀井抜きで閣議決定してしまえ!」等々、亀井氏の強気の振る舞いに不満が一斉に噴出しているとのことである。

 外野からは、小泉元首相が厳しい予言をする。 「鳩山政権は参院選までもたない」…
 そして、自民党に関しては「今は隠忍自重のときだ」と突き放しつつ、「日米関係は完全に不信状態になる」と新政権を批判し、来年度の概算要求に対しても「国と地方の債務残高が1千兆円を越えた段階で民主党政権は終わりだ」と指摘する。 加えて自民党の現状については「今はポストが赤いのも電信柱が高いのも自民党が全部悪いという世論だ。2、3年雌伏の時を過ごしたらいい」と語っているらしい。

 (以上、朝日新聞のここ数日の複数記事より抜粋要約引用)


 私論に入ろう。

 いやはや、この年の瀬に新政権は大揺れに揺れている模様である。
 無理もない話だ。 国民の誰がどう考えても、そういう流れになることは当初から予測できた事態である。 

 そもそも、民主党が8月の総選挙で「圧勝」とばかり伝えられているが、その裏側では参議院で過半数に達していないのが実情なのだ。
 それに焦った民主党が苦し紛れに取った方策が「連立政権」だった。
 これが実に苦しい。  
 どう判断しても多方面において政策が噛み合わない社民党と国民新党を誘い込んででも「連立政権」を立ち上げねばならぬ、との民主党幹部(小沢氏のみ??)の判断だったことは皆さんも周知の事実であろう。 
 それに誘い込まれた立場の社民党も国民新党も、その決断理由がこれまた苦しい。 とにもかくにも、自らが掲げている政策よりも“政権与党”となることで国民に対する知名度を上げ、次期選挙戦に勝利することを優先しようと目論んだに他ならないのが見え見えなのだ。

 ところがどっこい、社民党の福島党首にしてみれば、先だっての社民党党首戦に当選して党首を継続するためには社民党員の顔色を伺わねばならない。 連立与党の一員として入閣したことにより、普天間問題に関する主張が鈍っていることに対する党員からの機能不全の指摘の挽回を党首として図ろうとの意図で、今頃になって普天間問題による離脱検討案を持ち出すはめになったのである。 無投票で福島氏党首4選の暁に、また新政権へ迎合の発言に翻っているのを、社民党員はどう捉えているのであろうか?

 国民新党の亀井党首…、この人は元々自民党出身であるが様々な政局をくぐり抜けてきている人物で、あの高齢にして今尚一体何を目指しているのか得体が知れない。なぜ、このような得体が知れない人物が率いる小新党と何を好き好んで民主党は連立を組みたかったのか??(その答は小沢氏のみが知るのか?)

 ハイハイ、元首相の小泉さん。 こういう場で登場して、今は何の責任もない立場の人間として好き勝手言ってりゃいいのは美味しいですよね~~。
 長期間政権を操ってきた自民党の先輩として、もっと真にリーダーシップのとれる実力のある後進を育成してから引退すればよかったものを…。 今さら「自民党は隠忍自重の時だ」とか「今はポストが赤いのも自民党が全部悪いという世論だ」とかおっしゃっているが、自民党が犯した過去の過ちのすべてを背負わざるを得ない現党員の辛さをこの私も理解できる。 そういう意味でこの発言は、過ぎ去った者からの叱咤激励としては、残された自民党員にとっては無責任で酷ではないのか…。
 でもまあ、今の自民党は第一野党としての存在感が不甲斐なさ過ぎるのが困りものであるのは事実だ。


 元々「連立新政権」には無理があった。
 民主党は8月の総選挙で“圧勝”した以上、あくまでも「単独政権」として正々堂々と潔く闘うべきだった。 参院選を視野に入れるが故に、選挙民である国民や政界各方面に迎合して中途半端な「連立」など組むべきではなかったのだ。
 「連立」を組んだことの“失策”によって国政が滞り、国民や対外の信用を失っている現状の責任は大きい。
 もういい加減に我が身息災な“参院選挙対策”は後回しにして、重要案件を来年に先送りにせず、本気で国政に立ち向かってはいかがか?
       
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