ひときわに冷え込んだ晴れた朝、時おり、自然は芸術家になる。その一つに
和室のペアガラスに不思議な文様を描いていた。
こんなウキウキする日は家にはいられない。近くの湿原へテレマーク初散歩
に出かけた。例年ならば小川は雪に埋もれているが今年は顔を出してスイスイ
とはいかない。それでも飯縄山を望みながら気持ち良く歩き、怠けている体に
心地よい刺激を与えることが出来た。
刺激を受けた体が久し振りのワインを欲しがっている。昨年、釜石の親戚から
いただいたホタテとホヤ、解凍したホヤでリンゴ酢の和え物を作り、初採りの
天然クレソンなどを肴にして渇いた喉を潤してあげた。
寝室のカーテンを開ける、東稜線の遠くに浅間山が望める、今日太陽が昇って
くる、雲一つなき清々しい朝だ!体調は良い!そうだ!今シーズンの初滑りに
行こう!
昼時で空いている時間を狙い妙高のスキー場へ足慣らしに向かった。このスキ
ー場はリフト一つで幅広く長いコースを滑れる。贅沢にも2本だけ滑っただけ
だが、体内の隅々まで清浄な空気を取り入れると別人のごとくリセットされた。
長野県では二つの酒店しか置いていない、前々から気になっていた日本酒の
「伯楽星」、その一つが古間駅近くの小さなM酒店にある。なかなかのこだ
わりを感じる店構えだ、スキーの帰りに立ち寄り購入した。
テレマーク仲間で高校の2年後輩であるS君から手打ち蕎麦をいただいた。
彼は長野市内と群馬県の前橋で「山故郷(やまざと)」という蕎麦店を経営
している。山きのこ蕎麦と日本酒、妻の眼を気にしながらも飲み過ぎないよ
うにしよう。
六回目の年男と年女となる卯年生まれの我々夫婦、穏やかな新年を迎えることができた。
爺婆二人だけに慣れている食卓は多くの料理を載せられ、多くの人に囲まれ、何だか嬉し
そうにみえる。人だけなく物も賑やかなことが好きなようである。
我が体調を案じ、いつも以上に長く居てくれた次男、今日の午後に帰るので長野駅まで送っ
ていった。空いた冷蔵庫の中を補充すべく今年最初の買い物を終え帰宅、少し冷えていた
部屋を暖めるべく薪ストーブのダンパを開け、九日ぶりに爺婆だけの静かな生活に戻った。
三日の戸隠奥社の初詣、鳥居をくぐり100mほどすると少し息苦しさを覚えた。このまま
往復の一時間を考え参拝は止めることにした。車に戻り妻と次男が戻るまでシートを倒し
青空に浮かぶ雲を眺め休んだ。昼食は例年通り「極楽坊」で極細の蕎麦で小腹を満たした。