徒然草

つれづれなるままに、日々の見聞など、あれこれと書き綴って・・・。

映画「三銃士 / 王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船」―痛快!空中バトルアクションの面白さ―

2011-11-04 21:45:00 | 映画


     アレクサンドル・デュマの名作が、今世紀の壮大なアクション・ドラマとなって生まれ変わった。
     奇才といわれる、ポール・W・S・アンダーソン監督の、ドイツ映画だ。
     3Dカメラを8台も使って、新しい視点からの「三銃士」として、空中アクション・バトルの面白さを満喫させてくれる。

     友情と笑いとロマンスをたっぷり詰め込んで、物語はダイナミックな展開を見せる。
     息をのむアクションは、何もかもが常識破りだ。
     撮影は主にドイツで行われ、世界遺産での撮影も見ものだ。
     このヨーロッパ製の大型娯楽映画、ハリウッド製でないのはよかったが・・・。






 
主人公は、無鉄砲で気が強い田舎者の青年ダルタニアン(ローガン・ラーマン)だ。
17世紀フランス、若くてまだ無知な、ルイ13世が王位を継承した時代である。
みすぼらしい馬に乗って、パリにやって来たダルタニアンは、偶然にも、フランス最強の'三銃士’である、アトス(マシュー・マクファティン)ポルトス(レイ・スティーヴンソンアラミス(ルーク・エヴァンス)に出合った。
成り行きから、40人の相手を打ち負かしたダルタニアンと三銃士の4人は、若きフランスの王、ルイ13世の宮殿に呼ばれることになった。

ちょうどその時、宮殿では、ヨーロッパの覇権を争う、大きな野望と陰謀が渦巻いていた。
リシュリュー枢機卿(クリストフ・ヴァルツ)の企みによって、アンヌ王妃(ジュノー・テンプル)が所有するダイヤのネックレスが盗まれたとき、王妃の侍女コンスタンス(ガブリエラ・ワイルド)は、ダルタニアンに助けを求めた。
ネックレスが5日以内に戻ってこないと、アンヌ王妃は、とんでもない罠にはめられてしまうのだ。
コンスタンスに恋心を寄せるダルタニアンは、ネックレスを取り戻すために、イギリスに渡ろうと即座に決意する。

その陰謀は、やがては、全ヨーロッパをも巻き込む戦争へ発展すると読んだ三銃士も、彼に同行することになった。
一行を待ち受けるのは、イギリスのバッキンガム侯爵(オーランド・ブルーム)と、欲望のままに動く、二重スパイの悪女ミレディ(ミラ・ジョヴォヴィッチ)であった。
この強力な敵に、ダルタニアンと三銃士は力を合わせ、知恵と剣、勇気と友情を持って、立ち向かっていく。
そして・・・、すさまじい最終決戦は、何と空へと移っていくのだった。

王妃のネックレス盗難事件が、大きな戦争を引き起こすなど突拍子もない展開だが、三階建ての巨大な飛行船の激突と砲撃合戦が、これまた凄い。
三銃士たちの華麗な剣さばきはもちろんだが、前代未聞のこの空中戦は、ドラマのクライマックスのために用意されたようなものだ。
観ていて、「パイレーツ・オブ・カリビアン」に似ていると思った。
オーランド・ブルームが初の悪役で、ジャック・スパロウに通じるキャラクターで、新しい味を発揮している。
新星ローガン・ラーマンは、瑞々しいダルタニアンを演じる18歳が、若さにあふれている。
欲望のおもむくままに、次々と寝返るミレディを演じるミラ・ジョヴォヴィッチは、この作品ではミステリアスな存在だ。
アンダーソン監督の、私生活のパートナーでもある彼女は、コルセットをつけて、派手なドレスで暴れまわるシーンがるが、面白いアイディアだ。
すべて、彼女自身の発想だそうだ。

王妃の浮気を疑っているはずの、嫉妬深いルイ13世が王妃に夢中になっていたり、飛行船戦争など、ドラマの展開には無理筋もあるけれど、おおむね原作には忠実なほうだ。
エンディングでも、次回作も作るようなことを示唆している。
三銃士というよりは、四銃士といったほうがいいかも知れない。
ポール・W・S・アンダーソン監督によるこのドイツ映画「三銃士」は、おそらくこれまで誰も観たことのない「三銃士」だろう。
フランス発祥のパルクールをはじめ、ロッククライミング、パンジージャンプやアクロバティックなアクションをふんだんに取り入れ、歴史的に欠かせないスピード感あふれる剣劇が、スクリーンいっぱいに繰り広げられる。

「三銃士」は、19世紀を代表するフランスの作家デュマの古典をいじくって、ファンタジックな冒険劇に仕上げた。
これまでも、幾度となく映像化されてきた古典だ。
今回の映画版は、悪女を英仏を股にかける二重スパイに設定したり、17世紀にはまだ存在しなかった三階建ての飛行船を登場させたりと、かなり自由な発想で、遊び放題の演出だ。
「三銃士」と映画の相性は、誰もが知るところだ。
これまで、折々の時代の人気キャストで映画化され続けてきたことは、日本で言えば「忠臣蔵」みたいだ。
ま、ちょっと無茶苦茶な(!?)、ヨーロッパ発のアドベンチャー映画だが、壮快感と洒落っ気たっぷりの娯楽大作である。


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こういう作品は (茶柱)
2011-11-04 23:44:51
理屈抜きに楽しんで,二時間目一杯日頃の憂さを晴らせば良いんですよね!
楽しそう!
これまで幾度も・・・ (Julien)
2011-11-06 10:07:23
映画化はされていますが、11月9日(水)夜10:00NHKBSプレミアムで、1993年アメリカ製作のスティーブン・ヘレク監督の「三銃士」の放映があるようです。
多分、今回のドイツ製作の「三銃士」(脚本は英語)公開に合わせたのでしょう。(笑)
まあ、映画も小説も誰もが楽しめる作品ですね。

コメントを投稿