夢の介音楽夜話

音楽、アート、グリーン、クラフトなどなど徒然なるままに

ザ・グレイト・ミュージック・エクスピアリエンス

2015年05月06日 | ギター・レッスン


当時「そんなニュースが流れていたっけ」と思い出したのは「ザ・グレイト・ミュージック・エクスピアリエンス」、1994年のことだった。
奈良の東大寺大仏殿をバックに行われた野外ステージ「The Great Music Experience - Japan 1994」だ。

ボブ・ディランやライ・クーダー、ジム・ケルトナーなど大物ミュージシャンを集めての壮大な企画は「国連UNESCO」の呼びかけだった。

キリスト教のみならず宗教団体がアートやミュージックなど文化を後押しするのは古今東西あること。
日本では禅宗など積極的に文化活動を行っているし、ご住職自らミュージシャン活動をする例も多い。

1994年のこのイベント、東大寺が企画に賛同して協力したことは「広く世界に何かを発信しよう」という思いがあったに違いない。
そしてその呼びかけに応えるように世界の大物ミュージシャンが集結した。

あたかも世界中から集まった僧侶が一堂に会して読経するかのように、ミュージシャンたちが集まり演奏するのを見るのは心地よい。

一人の、あるいは一つのバンドが日本でのツアーを敢行するだけでも大変なことだろう。
ポールのような巨大ビジネスは、引き連れる数百名のスタッフと受け入れ側の全面的なバックアップがあるからこそ成立する。

「無から有を創り出す」、「ゼロから創出する」ことは何の世界でも大変なことだ。
そこには企画の趣旨についての賛同を得る努力とそのためのきめ細かな配慮、事前準備が必要だ。
そしてなによりクリエイトしようとする発起人の強力な「熱意」がなければ協力は得られない。

ミュージシャンたちは「ただ出たいだけ」ではない。
わずかな聴衆であったとしても最良の環境とコンディションで期待に応えたいと思うのだ。

そして演奏を通じてミュージシャンと聴衆が一体化した時、初めて企画の成功を垣間見る。

この一連のプロセスを知ることとミュージシャンの生き様を研究することがイベント成功の秘訣かもしれない。

それにしても東大寺でのエクスピアリエンスは素晴らしい。
ライ・クーダーが、見事に情景と音を同化している。

美しい日本において洋の東西を問わず歴史的な邂逅が行われる。
いやそれは邂逅ではなくて日本という国に与えられた運命を象徴する必然なのかもしれない。






Shoukichi Kina & Ry Cooder - Subete no Hito no Kokoro ni Hana o


The great music experience - Japan 1994 - Bob Dylan, INXS, Ry Cooder, Jon Bon Jovi, Roger Taylor....