
帰雁
時期ですね 温かくなる前に 一斉に飛び立ちます
つい先日まで 湖面にたくさんいたのに
いまは わずかに残っているくらい

お軸は 藤田友閑の帰雁
藤田友閑 (1600~1677) 頃
松花堂昭乗の弟子
私の持っているお軸で 一番時代の古いものです
400年近く それほどの時を超えてきたかと思うと
感動ですね
わたくしの手元に来るまでに
どのような人の手を渡ってきたのか
それなりに大切にされてきたからこそ
今 ここにあるのでしょうし
帰雁の歌は
もともと 平安時代の女流歌人 三十六歌仙の一人の伊勢という方が
読まれた歌が 元です
今から1200年も前の方です
はるかすみ たつを見すてて ゆく雁は 花なき里に住みやならへる
春かすみの立つのを見捨てて 帰っていく雁は 花の咲かない里に住みなれているのかしら
帰雁 雁かねは 世を いさはや帰るらむ
あだ 菜の花に 心と無しなと 友閑
雁はもう帰ってしまうのか
菜の花がきれいに咲くのに 心惹かれないのか

表具は何度か直されたので 初心ではありませんが
お手元に置かれた方のそれぞれのお好みで
しゃれた裂が使ってあります
箱も時代の箱で
大切にされていたお道具だとわかります

花は サンシュ・カンザキアヤメ・紅三光椿

紅三光は三弁花の極小輪
大きくならない木です