2日目になり、この温泉のホテルや旅館をもっと知って欲しいと女将が熱心に頼むので、二人は黙って従うしかなかった。
盛んに建物や従業員等について久美子の意見を聞きたがり、夜戻ってくると、弥生だけ先に帰してあなたはもっとゆっくりしていきなさい、私の部屋に泊まれば好きなだけ居られるから、との誘いをようやく断り、次の日、特急あずさに乗って新宿に向かうとさすがにほっとした。
「叔母さん、大歓迎だったわね、きっと女将さん仕事を一緒に手伝って貰いたかったのよ」
「息子夫婦が新しい商売を考えているので、寂しいのじゃない」
「その内小さな旅館を造って、若女将として呼び寄せるかも知れないわよ」
「経験もないし、何とも言えないわね」
「そうよ、叔母さんはやはり都会の方が会っているわ」
お盆までの猛暑がややおさまった夕方の空に、新宿の高層ビル群が見えてきた時、ああやはり私の故郷はここなんだ、と改めて自身に言い聞かせた。
松本に行ったお蔭で気持ちの整理もつき、やり直す為の新しい住まい探しを始めようとしていた矢先、弥生から至急連絡乞う、のメールが携帯に届いた。
「どうしたの?」
「叔母さん、慎一君から連絡きていないわよね」
「ないわ、あるとしたらあなたの所が最初でしょう」
「さっき、慎一君のお母さんから電話があって、2日前から家に帰っていないんですって」
「2日も、携帯でも連絡つかないの」
「留守電のままなのよ」
「お母さんと喧嘩でもして、拗ねて連絡よこさないのかしら」
「私も何かあったのですかって聞いたんだけど、特に気になる事はなかったって」
「あなたが何回もメールを送り、留守電も入れなさい、心配しているから私にだけでも連絡をくれ、だれにも喋らない、という内容でね、分かった?」
「分かった、そうする」
1時間後、慎一から返事がきた。
盛んに建物や従業員等について久美子の意見を聞きたがり、夜戻ってくると、弥生だけ先に帰してあなたはもっとゆっくりしていきなさい、私の部屋に泊まれば好きなだけ居られるから、との誘いをようやく断り、次の日、特急あずさに乗って新宿に向かうとさすがにほっとした。
「叔母さん、大歓迎だったわね、きっと女将さん仕事を一緒に手伝って貰いたかったのよ」
「息子夫婦が新しい商売を考えているので、寂しいのじゃない」
「その内小さな旅館を造って、若女将として呼び寄せるかも知れないわよ」
「経験もないし、何とも言えないわね」
「そうよ、叔母さんはやはり都会の方が会っているわ」
お盆までの猛暑がややおさまった夕方の空に、新宿の高層ビル群が見えてきた時、ああやはり私の故郷はここなんだ、と改めて自身に言い聞かせた。
松本に行ったお蔭で気持ちの整理もつき、やり直す為の新しい住まい探しを始めようとしていた矢先、弥生から至急連絡乞う、のメールが携帯に届いた。
「どうしたの?」
「叔母さん、慎一君から連絡きていないわよね」
「ないわ、あるとしたらあなたの所が最初でしょう」
「さっき、慎一君のお母さんから電話があって、2日前から家に帰っていないんですって」
「2日も、携帯でも連絡つかないの」
「留守電のままなのよ」
「お母さんと喧嘩でもして、拗ねて連絡よこさないのかしら」
「私も何かあったのですかって聞いたんだけど、特に気になる事はなかったって」
「あなたが何回もメールを送り、留守電も入れなさい、心配しているから私にだけでも連絡をくれ、だれにも喋らない、という内容でね、分かった?」
「分かった、そうする」
1時間後、慎一から返事がきた。