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唐木田通り 13

2006-10-27 22:03:28 | 唐木田通り
翌日の土曜日、二人は唐木田通りのオープンカフェで会う事ができた。
15時を過ぎていたが、梅雨明け宣言はまだ出ていなかったものの、30度を越える真夏の日差しが照りつけていた。
由起子は、シルクの白い長袖のブラウスにライトグレーの短いタイトスカート、ホワイトゴールドのネックレスとイヤリングを身に付け、日傘を差して店に近づいて来たが、沢村は眩しく思い見つめながら待っていた。
「良一さん、今大変なんでしょう?」
由起子には、メールで昨日の置手紙の件を報告しておいた。
「でも、どうすれば良いか、しばらく成り行きをみるしか方法がないですね」
「あちらの実家に出向いた方がよろしいのじゃないかしら」
「電話はしておきましたから、それより少しですが情報が集まりましたよ」
沢村は自分で動き、集めた事にしておいた。流産の件以外は大体正確に伝えた。
「そう・・・その人、水商売をしていたんですね」
まるっきり素人の女性ではなかった事が多少気持ちを軽くさせた。
「由紀子さんの旦那さんは食品、私はアパレル関係ですけれど、共に何軒かのデパートに納品していますので、仕入れ担当を辿っていけば、もっと細かい情報が集まると思いますよ」
「有難うございます、でも私の旦那さんなんてもう言わないで下さい。あの男性位で結構ですから」
「そうですか、分かりました、ともかくやれるだけやってみます」
「良一さんもご自分の事で一杯でしょうに、本当に頼んでいいのかしら」
「もう動き出していますからね、止める事はできませんよ」
「そうね、お任せするわ・・・さっき、子供は実家の母に預けてきたの、よくなついているから、家の方も留守だし」
由起子は一瞬沢村を見つめ、沢村も目で返した。
どこへ行く?これからの二人。


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