ここまできたら直接前澤に聞いた方が早い。久美子はどう切り出そうか考えていたが、有りのまま話すことにした。
いつものように病院の帰り道、車を高円寺に向けて運転しながら、経済誌に目を通している前澤に男性の人相を伝えてみた。
「ああ彼ね、徳永君だよ、武田工業の常務をしている、うちと海外進出の業務提携をしているんだ」
武田工業、弥生の父健吾が勤めている会社だ、繋がりが分かってきたが、上司と関係のある女性が部下と婚約したのだろうか。
「徳永君はお嬢さん一人の三人家族で、僕がお嬢さんの就職先を斡旋したんだけどね」
「そうなんですか、個人的なお付き合いもなさっているのですか」
「ゴルフに年何回か行く程度だよ、彼が何か関係しているの?」
「勝野さんが、はなの飾りつけで武田工業に出入りをしていて弥生の父ときっかけができたのですが、会社の仕事を貰うのに徳永さんが紹介したのかと思いまして」
久美子は言葉を選びながら、婚約の話だけを簡単に話した。
「彼は面倒見がいい人だから、その方に仕事を回してあげたのでしょう」
健吾と同じ会社の、しかも役員とあっては調査も慎重にならざるを得ない。だが男女の関係だけは早急にはっきりさせなければ、と気持ちを入れ直した。
遅めの梅雨が明け、八王子辺りは36度を簡単に越えて夏本番を迎えているが、弥生も久美子も夏の予定はなにも立ててはいなかった。その気になれなかったというべきなのだろう。
「叔母さん、病院通いはもういいの?」
「ええ、もう退院されたから、体力回復に時間が掛かったけど、きっと精神的なものね」
「私、お父さんがあまり話をしてくれないので、夏休みは何も考えていなかったんだけれど」
「悩んでいるのよきっと、そっとしておきましょう、そうね、私の方も一段落したし、二人で出かける予定を立てましょう」
「ぜひ、お願いします」
いつものように病院の帰り道、車を高円寺に向けて運転しながら、経済誌に目を通している前澤に男性の人相を伝えてみた。
「ああ彼ね、徳永君だよ、武田工業の常務をしている、うちと海外進出の業務提携をしているんだ」
武田工業、弥生の父健吾が勤めている会社だ、繋がりが分かってきたが、上司と関係のある女性が部下と婚約したのだろうか。
「徳永君はお嬢さん一人の三人家族で、僕がお嬢さんの就職先を斡旋したんだけどね」
「そうなんですか、個人的なお付き合いもなさっているのですか」
「ゴルフに年何回か行く程度だよ、彼が何か関係しているの?」
「勝野さんが、はなの飾りつけで武田工業に出入りをしていて弥生の父ときっかけができたのですが、会社の仕事を貰うのに徳永さんが紹介したのかと思いまして」
久美子は言葉を選びながら、婚約の話だけを簡単に話した。
「彼は面倒見がいい人だから、その方に仕事を回してあげたのでしょう」
健吾と同じ会社の、しかも役員とあっては調査も慎重にならざるを得ない。だが男女の関係だけは早急にはっきりさせなければ、と気持ちを入れ直した。
遅めの梅雨が明け、八王子辺りは36度を簡単に越えて夏本番を迎えているが、弥生も久美子も夏の予定はなにも立ててはいなかった。その気になれなかったというべきなのだろう。
「叔母さん、病院通いはもういいの?」
「ええ、もう退院されたから、体力回復に時間が掛かったけど、きっと精神的なものね」
「私、お父さんがあまり話をしてくれないので、夏休みは何も考えていなかったんだけれど」
「悩んでいるのよきっと、そっとしておきましょう、そうね、私の方も一段落したし、二人で出かける予定を立てましょう」
「ぜひ、お願いします」