勇気を持って明るく「生きる」! -B型肝炎ウィルスキャリアの肝臓がん闘病記

  「あと半年、生きているかどうかわかりませんよ!」と医師に宣告され、がん(癌)を克服し「生きる」ことを考える。

東京地裁で「すべての肝炎患者への謝罪と償いを!」訴えました!

2010年05月08日 10時17分42秒 | 明るく生きる
2010年5月7日

 東京地方裁判所にて、B型肝炎訴訟の裁判が開かれました。

 その中で、意見陳述をさせていただきましたので、全文を掲載します。


意 見 陳 述 書

2010年(平成22年)5月7日
全国B型肝炎訴訟東京原告 田中 義信


原告の 田中 義信と申します。
私は、B型肝炎から肝臓がんを発症し、昨年2月にがん切除、そして抗がん剤治療を今年1月まで行い、合わせて6回、3カ月近くも入院をしておりました。この肉体的にも精神的にも、そして経済的にも苦しい闘病生活の原因は、集団予防接種による注射器の連続使用が原因だとしか考えられません。そして、現在もがん再発の不安と、いつまで生きられるかという恐怖と闘いながら治療を続けています。

以下、私の被害の実態と国への要求、裁判長へのお願いを申しあげます。


1、 B型慢性肝炎、肝臓がん発症の判明

私は、1991年(平成3年)に献血をした際に、B型肝炎の疑いがあることを知りました。2003年(平成15年)の健康診断の際でも、B型肝炎ウイルスの保有が考えられるものの、まだ心配はないとの結果でした。当時はまだ治療法が無いとも言われており、まさか自分が肝臓がんを発症するとは思いもよりませんでした。
ところが、2009年1月26日に医師が健康診断の結果から、「慢性肝炎でがんの疑いがきわめて高い。入院し手術しなければならない。」と言われました。私は、仕事の都合上、入院するなら8月にしてほしいと伝えましたが、医師から「8月だと生きているかどうかわかりません」と言われ、まさに「命の危機」に言葉を失いました。


2、 被害の実態と治療の状況について

2009年2月6日、私は、医師から肝細胞がんであることを宣告されました。そして、肝臓の約2割を切除すること、手術後の肝臓がんによる平均生存率は5年で50%、10年で10%、長くは生きられないことを言われました。当時の日記には「まず、手術の成功。そして、最初の5年間をクリア。そして、次の5年を目指すこと。人生限りがあるが、あと5年、10年の命と思い、いつ死んでも悔いが残らないように生きよう!」と書いています。
そして、2009年2月23日に慢性肝炎により野球ボールに近い6センチもの大きさの肝臓がんを切除しました。ところが、手術後もまだがんが複数残っているとのことで、抗がん剤治療(化学療法)により、再入院することになりました。2009年は1年間のうち5回、68日もの間、入院をしました。


3、 がん再発との闘い

2009年は治療に明け暮れ、これでやっとのことでつらい入院生活からも開放されると喜びましたが、残念ながら昨年11月に肝臓がんが再発しました。そのために、今年2010年1月にも16日間の入院をし、合わせて6回、述べ84日と3カ月近くも入院することになりました。

今年4回目の抗がん剤治療の闘病中は、37度以上の高熱が長く続いたり、頭痛や吐き気、食欲が無くなり身体がだるくなり、治療後も倦怠感が続きました。

がん切除による手術後の腹部切開による痛みが長く続き、今でもときどき痛みます。そして、体力低下と、疲れやすさで、満員電車や通勤で長く立っているのはつらく、また週後半には疲れがたまるために仕事にも支障をきたしました。幸いにも私は職場の理解により職場を変えてもらうことになりました。しかし、多くの患者は、B型肝炎のために仕事を失い、差別や偏見にも苦しんでおります。

また、治療費だけでも今までに健康保険制度や高額療養費制度を使っても110万円以上、もし健康保険に入っていなければ500万円以上もかかる経済的な負担も大きなものです。今後も治療にどのくらいの出費になるか分からず、日々の生活費を切り詰めています。
これからも、死ぬまで飲み続けなければならない薬や検査、手術がまだまだ続きます。

さらに、精神的なショック、これは大きなものです。がんの再発を聞いて生きる気力を失いそうになりました。医師からの「平均生存率は5年で50%、10年で10%」(2009年2月6日、主治医からの説明)という言葉を実感せざるをえなかったからです。

また、別の医師からは、多発性がんの可能性が高く「余命」は1年とか3年もたないだろうと言われています。(2010年3月8日、肝臓専門医の説明)

核酸アナログ製剤(抗ウイルス剤)を一生飲み続けなければならない精神的な苦痛、いつまで働けるか、あるいは生きられるかという将来への不安は、大きなものです。また、がんがいつ再発するかも知れないという恐怖感で、生きる気力も失いそうです。

国の責任で肝臓がんにまでなり、現在だけでなく死ぬまでの一生、苦しまなければなりません。そして、その命まで削られようとしています。

この苦しみは家族も同じです。愛する家族を残して死ななければならない悲しみ、そして愛する人を亡くすつらさは、みなさんおわかり頂けるかと思います。
そして、この苦しみは集団予防接種を受けた方なら、誰でもB型肝炎の被害者になり苦しんだかもしれないことなのです。

4、 国に対する要求について

要求の第一に、鳩山首相が「命を守りたい」と言い、国民の命を大事にする政府であるならば、一刻も早く和解により、被害者への謝罪と救済、償いを早急に進めてください。解決が遅くなればなるほど、被害者の肉体的、精神的、経済的な苦しみや負担が拡大し、また亡くなる方がさらに増えてきます。

また第二は、肝炎対策基本法を被害者救済の実効あるものしてください。肝炎検査費用や治療費用の自己負担の軽減、新薬の開発や完治できるような研究・医療の充実、すなわち肝炎患者すべての方が安心して治療ができ生活ができるようにしてください。

すでにB型肝炎原告410名のうち、10名の方が亡くなっております。早く失政をただし対策を講じていれば、ウイルス性肝炎患者・感染者が現在やこれからの将来においても苦しまないで済むかもしれないとの思いでいっぱいです。


5、 裁判長に対して

B型肝炎患者は自己の責任ではなく国の失政によりB型肝炎ウイルスに感染し、治療による肉体的苦痛、差別や偏見、いつまで生きられるかという精神的苦痛、高額な医療費という経済的苦痛を余儀なくされています。

すべての肝炎患者への謝罪と償いが一刻も早く行われるようにお願い申し上げます。


以上