プルサーマル計画を憂慮する有志の会

愛媛県伊方発電所3号機におけるプルサーマル発電の問題を考える有志の会です。

対応、全てがバラバラ

2011年05月31日 | 日記
 地震と津波による被害、原発事故、常に後手後手の対応ですが、それに輪を掛けて、バラバラの指揮系統が目に付きます。午前中の衆議院復興特別委員会でも、自民党の西村議員が、SPEEDIの活用について、「(地震当日の)11日からシュミレーションされているのに、活用されていない」、こうした観測も、「安全保安院、文部科学省、気象庁と、各省庁バラバラで行い、官邸にそれが上がらない、上がっても無視される」状況を問い糾していましたが、枝野官房長官の答弁は、「結果的に活用されなかったことは残念」という無責任な発言でした。

 今朝の『朝日新聞』にも、文部科学省と県の放射線のモニタリングに関して、「測定方法の統一が難しく、結果的にばらつきが出かねない」との安全員会の調査報告が出ていましたが、調査方法もばらばらなら、測定機器もばらばら(放射線量に応じて適した器具を区別する必要がある)、設置場所や設置の高さもばらばらだそうです。これではまともな測定結果は出てきませんし、そのデータをまともに(住民の避難や解除、健康被害把握の為)活用することなどできません。

事故後3ヶ月が経とうとしている現在でも、指揮系統がこのように全くばらばらで、機能していないことは、事故処理、危機管理という点では、致命的なことです。また政府のみならず、事故処理に当っている東電も、本店と現場との意思疎通が不十分であり、指揮系統が不統一で対応が不適切な状況が続いています。先日の、5号機で、冷却機能が停止した事故でも、「工事を優先した」との言い訳で公表が半日も遅れましたが、「工事を優先」しても公表は直ちにできるはずで、意図的かどうかを問わず、全く事故への対応の体制が取れていない、危機管理できる指揮系統がないという不幸を感じるのです・・・

P.S. 福島第1原発の男性作業員2人が、「数百mSvの放射線を浴びた恐れがある」そうです。(信じられませんが)当初マスクを着用していなかったそうで、内部被曝量が多い可能性があるとのことです。昨夜の「TVタックル」でも、医師でもある民主党の桜井議員が、内部被曝に「閾値はない。癌や白血病、心臓病に(被曝量と)直線的に影響が出る」と言われていましたが、これまでの暫定値は単に外部被曝しか考慮せず、内部被曝を無視してきました。(また影響はないとプロパガンダしてきました)桜井議員はさらに、校庭の土だけでなく、他の場所の除染の必要性を強調され、除染しても生活に影響があると考えられる場合は、避難も考えるべきだと発言しておられましたが、その通りだと思います。政府内部の議員ですから、発言だけでなく、実行に議員生命を掛けて頂きたいと思います・・・

P.S.2 お金のことばかり言っていると顰蹙されるかもしれませんが、やはり東電は、保険の1200億しか払わないのではないかと思わざるを得ません。そんな逃げ得を赦すわけにはいきません。「タックル」でも、東電の企業年金は25万もあるとか。通常の7万(国民年金)+16万(厚生年金)+25万(企業年金)で48万も年金が支給されるそうです。はっきり言ってこれが年金の額でしょうか?少なくともこの25万の企業年金の部分は、OB、現役職員含めて吐き出して頂かなければ、税金投入なんてあり得ませんし、世界一高い電気料金の値上げなんて受け入れることはできません・・・

P.S.3 ばらばらと言えば、茶葉も収穫した葉は農水省(野菜、米、魚)、飲むお茶(牛乳、加工食品)は厚生労働省の管轄だそうです。また消費者の立場で物を言うべき消費者庁には、こうした各省庁からの官僚を寄せ集めており、やがて戻る元の省庁の利益しか考えてはいないようです。ちなみに、魚を放射能検査しているのは農水省の天下り法人の「何とかセンター」だそうです。しかもこの検査、内臓や骨を取り除いた、身だけを調べているとか。私が関わった処分場周辺の海でも、臭くて食べられない魚の内臓や頭、骨を取り除いて売りに出していると聞きました。検査するなら、丸ごと調べなければ、汚染状況を正確に把握することなどできはしません・・・


東電の刑事責任、立件?

2011年05月30日 | 日記
 東電の刑事責任について、「東電の刑事責任を問う声も浮上している」、「仮に捜査当局が立件を目指したとしても高いハードルがある」ようです。(以下、引用は『産経ニュース』)

これに関して、元最高検検事の土本武司氏は、「刑事事件として考えると、一般論として業務上過失致死傷罪が視野に入る」、「土本名誉教授は『災害が発生した際、放射能漏れにつながることを東電側が予見していたかが重要。分かった上で対策を取っていなかったとなれば、業務上過失傷害罪の成立もあり得なくはない』とのこと。少なくとも、地震後の状況から見て、電源喪失がメルトダウンに繋がり、放射性物質の大量漏出を来たすことは、東電の関係者、政府の殆ど全ての人間が知っていたはずですし、それはこれまで国会でも取り上げられ、十分に「予見」できたものと思います。

「ネックとなるのは、事故の主因は押し寄せた津波による電源喪失とされている点」(東海大学の池田良彦教授)、「人為的な過失が放射能漏れを引き起こしたのか。立証するのは大変難しいだろう」とのことですが、事故の主因は実は津波ではなく、地震による冷却システム等における配管の損傷や破断による冷却水の喪失による可能性が高く(1号機、3号機)、地震対策の甘さ、想定の甘さが今回の事故を招来させたのではないでしょうか。東電は津波による天災として自己の責任を逃れようとしていますが、同様に津波の想定の甘さが、電源喪失をもたらした「人災」であると思います。

また、「元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士は『今回は個人に刑事的な責任を負わせるのは難しい』と話す一方、1号機のメルトダウンが震災発生15時間後に起きていたことなど、新事実が次々と明らかになっていることを重視」し、「放射性物質が飛散して被害を与える可能性を認識しながらメルトダウンを隠蔽していたことが判明すれば、住民の生命を危険にさらすという意味で、極端に言えば殺人未遂罪もあり得る」としています。勿論そうなれば、テロ特措法にも抵触するのではないかと思いますが、如何せん、そこまで問うのは極めて困難なことです・・・

 捜査関係者や当局の中には、「刑事責任追及のアプローチがなければ真相解明はうやむやになる」(警察OB)、「刑事事件として立件するような事故でないのではないか」(検察幹部)との見立てが根強」いが、「『工程表の改訂が行われるなど事態収束の先行きが不明。あまりに分からないことが多すぎる』と、“復旧作業待ち”の姿勢を示している」とのことのようです。実際、刑事責任が曖昧なままでは、損害賠償にも非常に大きな影響を与えるものと思います。津波は天災であり、予見もできなかった、というのがこれまでの東電の(損害賠償)訴訟での立場であり、限定的な一時金で補償は終わり、となる可能性は高いように思います・・・

P.S. これまで、東電の刑事責任について何度か書かせて頂きましたが、警視庁や東京地検が実際に立件するのは難しいと思います。ただ、東電及び政府の刑事責任を、このまま誰も問わないとなると、これだけ甚大な被害をもたらし、さらに今後、何十年、或いは何百年と続くであろう放射能汚染とその被害を考えると、この原発人災事故が、無為、無駄になってしまうのではないかという強い危惧を抱きます。しかし、誰かが告発、或いは告訴をしてはくれないか、というような卑怯で臆病な考えの私のような人間には、事故が収束しない内はそれも難しい、というのが体の良い逃げ口上となってしまっているのです・・・

P.S.2 冷温停止中の福島第1原発5号機の冷却系ポンプが停止し、原子炉や使用済み燃料プールの温度が上昇するトラブルは、ポンプを交換して落ち着いてきているようです。ただ原子炉が停止しても、このようにいつトラブルが起きて冷温状態から不安定な状態になるか分からないのです。使用済燃料に関しても、ウラン燃料で廃棄できるようになるまでに50年、MOX燃料は冷やすだけで500年掛かると言われていますが、こうした管理を、本当に今後きちんとやっていくことができるのでしょうか?少なくとも、気が遠くなるほどの負担であることだけは間違いありません・・・(プルサーマルは即刻止めるべきです)

P.S.3 我が国首相が、またしても法螺を吹きました。なんとG8で、「設置可能な1、000万戸全てに、太陽光パネルを設置する」とか・・・いつ決まったのですか?最早、寝耳に水だらけです。管轄の海江田経済産業大臣も知らなかったとか。いい加減にして下さい!自らの保身のために、これ以上日本を、日本国民を振り回すのだけは止めて頂きたい。世界は笑って見ていますよ、菅さん。ピエロを演じられるのは勝ってですが、もう十分です・・・

未加盟の原発賠償条約

2011年05月29日 | 日記
 日本は、国際的な原発賠償条約に加盟しておらず、フクシマでの原発事故による放射能汚染による「海外からの巨額の損害を負わされる恐れがある」(以下、引用は『朝日新聞』)とのことです。

原発賠償条約とは、「原発事故の被害が国外に広がった場合、損害賠償訴訟の裁判管轄権を事故発生国に限定し、賠償の限度額を定めて電力会社に負わせる国際的な枠組み」です。つまり、今の未加盟の状態だと、裁判を起こした国で、その法律に基づいて裁かれ、賠償額も高額になるというわけです。実際に「日本には他国の判決を国内で認める民事訴訟法の規定があり、米国の損害賠償訴訟で日本企業が高額を要求される事例が増えている」そうです。

「日本が原発事故の損害倍所訴訟を発生国で行う国際条約に加盟してこなかったのは、『日本では事故はありえない』という安全神話を前提にしてきた」事情が大きいようです。それにしても余りにも脇の甘い、日本固有の「原子力村」的考えです。今回の事故では、大気への放射能汚染は、チェルノブイリより小さいと思いますが、海洋への汚染は、時間を経るごとに顕在化していくものと思われます。

セシウム等の放射性物質は確実に広がり、魚介類を汚染するでしょうから、漁業補償(損害賠償)を求める動きは必ず出てくるでしょう。フクシマの事故では、原発事故からの不慮の放射性物質の放出だけでなく、故意に汚染水を廃棄しており、汚染による損害に故意と不慮、低レベルと高レベル汚染水の区別などできるはずもありませんから、国際法に明らかに反しますし、こうした損害賠償訴訟では負けることになるでしょう。そうなれば、その賠償を実質的に負うのは、(税か電力料金かは分かりませんが)結局日本国民ということになります。

日本政府は、後出しでも早急にこの条約に加盟しようと検討し始めたそうですが、他国がそれを赦すかどうか。ただ条約に加盟しても、賠償の仕組み自体は原子力事業者が責任を負う(ひいては、国民の負担となる)ことは変わらず、加盟していれば「責任限度額を設定できる」ので賠償額を抑えられる、ということの問題のように思います。実質的に「原子力損害賠償法」の国際版のようなものです。

日本の国内での賠償も、最終的には「限度額」が設けられ、国民が負担する(させられる)わけで、これを、被害にあった他国の住民の賠償額にも「限度額」を設けて、負担を少なくしようというわけです。国としては当然の動き(後手であり、遅過ぎ)ですが、被害者から見ると(或いは、仮に他国の原発事故による日本国内の被害者の視点から見れば)、余りにも理不尽な、補償(賠償)の切り捨て(クリアランス)ではないかと思えます。

今後国際条約に加盟できなければ、その付けが国民に覆い被さってくるわけですから、条約に加盟するなとは言いませんが、何やら心持の悪い、罪悪感すら掻き立てられる日本政府の動きです。日本国民も、日本国内の被害者は助けるが、国外の被害者の賠償はしない、その負担は負わない、というのも道理を失するわけで(そんな差別できるわけがありません)、東電と政府のお陰で、またまた悩ましい問題を抱えこまなければならないというわけです・・・

P.S. 福島県内の校庭の表土の問題で、国がほぼ全額処理負担をするそうですが、当たり前のことです。(ここで税金を使わなければいつ使うのですか)しかしその対象は年間5mSvの被曝量にあたるもので(子供にとっては1mSvでも高過ぎます)、しかも年間20mSvの基準は変えないとのことですから、政府(文科省)の姿勢は何ら変わっていないということです・・・

P.S.2 福島県では、「原発事故による放射線の影響を調べるため・・・全県民約203万人を対象に健康調査をすることを決めた」そうです。本来これは国(厚労省)がするべきですが、政府は何もしないので、県として決定したということでしょう。しかし「調査は、問診票の郵送や面談による聞き取りを想定」、「事故直後からの滞在場所などを回答してもらい、受けた放射線量を推定して、個人向けに通知する」とか、取り敢えずはこれで仕方がないかとは思いますが、やはり政府が、国としてきちんとした被曝管理と補償をしていくべきものと思うのです・・・

P.S.3 東電の未発表のデータが問題になっていますが、都合の悪い(高放射線量の)データが隠されているようです。そしてこうして、後から後から小出しに小出しにして出してくるのでしょう。東電の体質は、姿勢は一貫して変わらない、ということです。このような私企業のために、何故国民が、精神的、経済的、健康上の負担を強いられなければならないのでしょうか・・・

薄氷の上の伊方原発

2011年05月28日 | 日記
 昨夜、NHK(ローカル)の「四国羅針盤」で伊方原発をフィーチャーしていました。伊方原発は加圧水型の軽水炉で、福島第1原発の(GE製の)沸騰水型よりは圧力容器も厚く、発生した蒸気を使った(電気を使わない)冷却システムで、より安全だと言われていますが、結局、蒸気発生器(その中の(約3千本ある)電熱菅(直径2センチ、厚さ1.3ミリしかありません)が損傷してしまうと、フクシマを同じ事態が生じてしまいます。

 四電は、国の要請に応え、ポンプ等を高台へ移したり、電源車を配備したりして、津波対策、電源喪失対策を講じましたが、この地震による配管破損(或いは断裂)に対する対策は手付かずです。実際これまでも、蒸気発生器(つまりこれが実質的な冷却装置です)にヒビが入ったり継ぎ目の溶接の不備が見つかっています。

この地震による電熱菅(細菅)の断裂の可能性について、四国電力原子力本部の柿木副本部長は、「地震による破損はない」、「基準値振動の1,5倍では壊れない」が、でも「どこまでもつかは分からない」と矛盾した答えをしています。しかしその基準値振動自体が、断層のずれを最大で54キロ動いたと想定した570ガルであって、日本国内の他の原発と比べても低い評価なのです。

 高知大学の岡村教授は、200キロを超える断層のずれを予測し、最低でも1000ガルの揺れを想定すべきだとしています。(ずっとそう言い続けてこられています)伊方には、30年以内に60%の確率で起こると言われている、M8.6の想定の南海地震や、M8.0の中央構造線による地震が、いつ襲うかも分からず、最悪の事態を想定して安全対策を行う必要がありますが、現在伊方原発がそれに耐えうるとは思えません。

電源喪失もそうですが(某友人Nさんの話では、福島では電源車からの接続がショートして繋げなかったとか)、電源車やポンプを高台に用意するだけでは、安全対策は万全ではありません。やはり、地震による配管の断裂、継ぎ目からの冷却水の漏出が、メルトダウンを将来させる可能性は、決してゼロになることはありません。

 伊方原発から私の住む町、隣接する松山市は伊方から直線距離で50キロ余りです。風向きを考えると、飯舘村や浪江町と同じく、一旦シビア・アクシデントとなれば高濃度の放射能汚染の被害地となることは必至です。フクシマは決して他所事でも他人事でもありません。シビア・アクシデントは私事(わたしごと)なのです・・・(真面目に考えると怖くなります。家も土地も、仕事も、そして健康(人命)までも含めて、全てを失うことになるのですから・・・)

P.S. 現在点検中の伊方3号機には、プルサーマルによるMOX燃料が装荷されています。MOX燃料に含まれるプルトニウムの恐ろしさと危険性は、言うまでもありません。中村知事は、3号機の運転再開について、「現在白紙」とコメントしていますが、これは決して、原発政策を見直そうとか、県民の安全を考えてのことのようには思えません。年間降りる電源交付金(約7億6千万、県にも1億数千万分担されます)の大幅増額が、その意図のようです・・・

P.S.2 中村知事は、運転再開の条件に、地元の意向をその条件の一つにしていますが、地元とは、交付金を貰っている伊方町(と八幡浜町)だけなのでしょうか?これまで伊方原発に関わる裁判で、原告適格が50キロ圏内との判決もあり、一旦シビア・アクシデントが起これれば被害を受ける危険性の高い50キロ圏内は、まさしく「地元」なのだと思います。その地元の意向を、つまり住民の意思にきちんと耳を傾ける、その為には、「住民投票」をはじめとする住民意思を問う方策を、是非実行して頂きたいと思います・・・

関電 津波文献ないの嘘

2011年05月27日 | 日記
 東電に負けず劣らず、関電も嘘をつくのが上手いようです。(以下、引用は『朝日新聞』)

「これまで関電は地元への広報誌などで、『文献などからも周辺で津波による大きな被害記録はありません』と説明してきた」、しかし、「京都の神社に伝わる『兼見卿記』とポルトガル人宣教師ルイス・フロイスの『日本史』に二つの文献に、若狭地方が地震にともなう津波に襲われ、多数の人が死亡したとする記録があった」、関電は、「日本被害地震総覧が天正大地震は岐阜県付近を震源とする内陸地震だったとしていることから・・・『津波は起こらなかったと判断』した」そうです。

 内陸地震だからといって津波が起こっていないかどうかは確定できないですし、実際に文献が2つも津波の大きな被害を記録しているのです。少なくとも、きちんとした科学的な調査もなしに(東電の津波調査のようなヤラセ調査では意味がありませんが)、「判断」すべき事柄ではないようにおもいますし、「二つの文献の内容は81年に把握していた」そうですから、「記録はありません」というのは、明らかな嘘、ということになります。嘘をつく人間を、信じろと言うのも何とも難しいものです・・・

 話題は変わりますが、グリーンピースが宮城県から茨城県の海域で、海産物の放射能汚染の調査を行い、タラやカキ、昆布やナマコなど11種類、計14サンプルの海洋生物から基準値を超えた放射性物質が検出されています。ナマコは、「海底付近に住んでおり、・・・汚染が海の底にも広がっている可能性を示すデータ」ということです。

 さらに心配なのは、「福島県南部で採取された昆布からは、放射性ヨウ素131が基準の約50倍の1キロ当たり10万7千ベクレル検出された。半減期が8日と短いヨウ素131が高い濃度で見つかったことについて、・・・原発から海への放射性物質の放出が続いている」ということです・・・

P.S.  『集中廃棄物処理施設』の建屋で水位の低下について、「外には漏れ出ていない」とか。そういう問題ではなく、漏れてはいけないのです。漏れているのなら、いずれ溢れて建屋の外か、地下へと漏出してしまいます。いずれにしても、海域で「ヨウ素131が高い濃度で見つかった」ことは、原子炉へ注水している水が、汚染水として、地下からか、或いはどこかのひび割れから、漏れ出続けているということです・・・

P.S.2 TV報道で何度も聞きますが、大気の放射線濃度は、地上から18メートルの高さで計測しています。元々は核実験等による他国からの放射性物質の飛来を監視する為のものです。これでは、内部被曝も含めた被曝状況を知ることは不可能です。地表と、そして子どもは50センチ、大人は1メートルの高さでの計測が不可欠です。これは、各自治体が少なくとも1000地点ぐらいは測らないと正確なデータは出てこないと思います。政府は動かないでしょうから、自治体にそれぞれの住民の方々が要請するしかないと思います・・・(兎に角、モニタリング・ポイントが少な過ぎるのです)

形骸化していたAM(過酷事故対策)

2011年05月27日 | 日記
 スリーマイルアイランド島原発やチェルノブイリ原発の事故を受け、日本でもやっと「AM((アクシデント・マネジメント)を嫌々ながら導入しましたが、しかしそのAM(過酷事故対策)が、本来の意味では全く生きてはいなかったと思うのです。(以下、『畑のたより 虹屋's blog』より、転載させて頂きます)

「東電の非常時マニュアルは、アクシデントマネジト・AMというもので、2002年に作られたもの」、「1979年の米国のスリーマイルアイランド事故や、1986年の旧ソ連のチェルノブイリ事故のように、原子力発電所の設計で事故想定している事態を大幅に超えて、核燃料が重大な損傷を受けるような大事故・・・『シビアアクシデント』・・・それへの対策をアクシデントマネジメント・AMといい」、「1992年7月に国が各電力会社にアクシデントマネジメントの自主的整備を要請」、「それは原子力安全委員会の勧告、『日本の原子力発電所が現在の安全対策によって十分に(安全が)確保されており、これらの諸対策によってシビアアクシデントは工学的には現実に起こるとは考えられないほど発生の可能性は十分小さいものとなっており、さらなる安全規制は必要ないことを認めたうえで、さらに事故に対するリスクを低減させる・・・自主的な努力を強く奨励』を受けてだされたもの」で、「これを受けて、東電は大きく二つの設備を追加」、「一つは、核燃料に冷却水を送り込むために、火災消火用の系統から炉心に注水できるようにした配管の増設、一つは事故時に格納容器にたまる高温高圧の水蒸気を大量のベント(排気)ができる耐圧ベント設備」を追加したわけです。

事故はないとした「安全神話」に安住してきた業界と政府は、「工学的には現実に起こるとは考えられないほど発生の可能性は十分小さい」事故に、さらにAMで対処し、「業界は『約1千万年に一度の炉心損傷確立がさらに減った』と胸を張った」(『朝日新聞』)そうですが、実際に過酷事故は起き、せっかくAM(アクシデント・マネジメント)で導入したベントと注水機能は、その対応の遅れから有効にその機能を果たせなかったのです。(辛うじて冷却ができ、首の皮一枚繋がっているのも、この注水機能があるお陰ではありますが)

 しかし、世界で一番遅く、AMを「自主的」導入した過程から見ても、政府も業界も、まともにシビア・アクシデント(過酷事故)に向き合ってこなかったことははっきりしています。虎の子のAMも張りぼてで、初めから形骸化していたということでしょう。結局、最悪の最悪であるレベル7に至ってしまったのは、明らかに事故は起こらないのだという「神話」の過信であり、この油断が原発人災事故を招来させてしまったのです。

P.S. AMの「自主的」導入勧告を行った元原子力安全委員の佐藤一男氏は、「AMが本当に求めるものは、不測の事故に対応できる能力をどう高めるかだった」と言われますが、当時は「産官学全体が『一般の人たちの不安をかきたてるようなことを言うな』という雰囲気だった」そうですが、それは事故が起こった現在も同じように、政府も東電もか弱く愚かな私たちを慮って、本当のことを何一つ、まともな時期には教えてはくれません。「2ヶ月半前にメルトダウンしていて、圧力容器も格納容器も穴が開いてたんですよ、ほんとは」なんて言われても、意味がないのです。本当に酷いことです・・・

P.S.2 「3号機の汚染水の移送先である『集中廃棄物処理施設』の建屋で水位の低下がみられ」た(水位が約5センチ下がった)そうです。満杯になったごろに言われても、最早どうしようもありません。最初から漏れていたのでしょうか、それとも施設のどこか途中に亀裂でもあるのでしょうか。いずれにしても、極めて深刻な汚染がさらに広がってしまうということですが・・・あれだけ念入りに調べてから移送し始めましたから、これについては大丈夫だと思っていたのですが・・・それとも、東電のすることに、何一つ信じられることはないということなのでしょうか・・・

P.S.3 注水中断のファックスが、保安院と官邸、そして地元自治体に同時に送信されていたそうです。と、思いきや、吉田所長が自分の判断で、止めなかったとか・・・これはどうも、「泥バトル」が「泥バトルロワイヤル」化して、皆はじき飛んでしまったようです。いずれにしても、全ての関係者の中で、唯一、上を見ずに、(所長としての権限で注水を初め、官邸に慮ることなく)目の前の事故だけを見て自主判断できていたのは吉田さんだけのように思います・・・

データ解析の元データの公開を

2011年05月26日 | 日記
 事故から2ヵ月半も経ってやっと、東電がデータ解析の結果を小出しにしています。正直、非常に強い憤りと怒りを抑えることができません。この人災事故が未だに続いている、東電と政府、そしてご用専門家、そしてメディア(最近余りに酷い大本営発表の「手先報道」は「自粛」しているようですが)の手によって、我々国民に押し付けられ続けている、そう感じるのです。

 まず東電及び政府が為すべきことは、全ての情報を開示・公開することです。解析に使った元データを出すべきではありませんか!データさえあれば、日本のみならず、世界中の専門家がデータの解析と検証ができるのです。より客観的な状況把握が可能になります。その上でこそ、長期にどのような対処を行っていけば良いのかが見えてくると思うのです。今も原発4基と使用済燃料プールは危機的状態にあるのです。危機は去ってはいないのですから・・・

 今朝の某TVでは、校庭の安全基準20mSvでは不安なお母さんたち(約150人)が、雨の中文部科学大臣に会いに行っても、門前払いされた(大臣は勿論、審議官すら会わなかった)「20mSv問題」について特集していました。子供を福島から避難させる親御さんが後と絶たないとか。「こんな所に居させたくない」というお母さんの声もありました。不安と心配で涙を流されているお母さんも。教育現場でも混乱が生じているようです。多くの教師が、中文部科学省の基準を守っていれば安全だという認識を持ち(内心は違うのでしょうが)、放射能の不安を表立って言えない職場の雰囲気があると。

 インタビューに答えた高木大臣は、「教育現場と放射線管理区域とを一つに考えてはいない」とのたまわっていましたが、放射線管理区域(例えば歯医者のレントゲン室、5.2mSv/年で18歳以下は働けない)よりも高い20mSvは世界的に見ても異常な数値です。コメンテーターも言っていましたが、政府は「(線量を)計ってはいるけれど何もしていない」のです。「内部被曝も含めてトータルに」は考えてはいないのです。子ども達の10年後、20年後を考えてはいないのです。アンケート調査では、福島県内の55校中、51校が「20mSv」の見直しを望んでいるそうです。この声に、耳を傾ける誠実さが、文部科学省に政府「菅低」にあるでしょうか・・・

P.S. 東電のデータ解析によると、「3号機で、炉心を冷やす緊急冷却システムの配管が破損した疑いがある」(以下『朝日新聞』)、「東電は。『想定を大幅に超える大きさの津波』が事故原因だとしてきたが、解析が正しければ、津波の到着前に重要機器が地震の揺れで壊れていた可能性がある」とのことで、(小林先生の言われる)1号機同様、3号機でも、配管破断(破損)による冷却水の漏出が、メルトダウンに繋がった可能性が高いようです・・・

P.S.2 昨日の某報道では、格納容器(圧力容器もそうですが)にも穴が開いている解析結果が出ています。1号機には直径7センチ、2号機には10センチの穴が。「水棺」なんぞやって汚染水を増やす前に、解析すべきところでしょう。処理タンクが一杯で汚染水の移送も止まってしまいました。全てが行き当たりばったり、無計画、無工程です。自分で考えられないなら、せめてデータだけでも公開して、多くの知見を求めるべきではないかと思うのですが・・・

燃料プールは剥き出しの炉心

2011年05月25日 | 日記
 室生端人さんのブログを見ていると、私の懸案だった正式な使用済燃料プールが福島第1原発にあったことを知りました。いわゆる「共有プ-ル」というのがあるそうです。

「東京電力福島第一原発には、6基ある原子炉建屋の使用済み燃料プールとは別に、約6400本もの使用済み燃料を貯蔵した共用プールがあり、津波で冷却装置が故障したまま、水温や水位の変化を把握できなくなっていることが、17日わかった」(地震1週間後の記事です)「すでに数年以上かけて冷却されているため、ただちに爆発する危険は少ないとみられる」、「共用プールは、4号機の西約50メートルの建物内にあり、縦29メートル、横12メートル、深さ11メートル。使用済み燃料を6840本収容できる。現在、1~6号機の原子炉建屋のプールに保管されている燃料集合体の1・4倍にあたる6375本が貯蔵されている」、「11日の地震後、水温や水位も測定できなくなった。プールへの給水は自動的に行われているとみられるが、その水から熱をとるための冷却システムは故障しており、十分な冷却はできていないとみられる。爆発事故を起こした3号機、4号機に近いため周囲の放射線量が多く、状況を把握できていないという」(3月18日読売新聞)

この後どうなったかは分かりませんが、報道では見聞きしませんので、冷却ができているのかも知れません。ただ、共用プールにも危機的な状況が迫っていたということで、(津波をかぶる位置にある)構造上の欠陥の上に、電源喪失から冷却不能の危険性は、こうしたところにもあったということです。

さらに衝撃的なのは、「福島第一原子力発電所3号機の使用済燃料プールにおいて現在保管しているMOX新燃料は、発電所搬入後、10年以上の長期に亘り」、「核燃料プールで保管されていた。MOX燃料は、臨界に達しやすい(制御しにくい)」、しかも「核燃料プールは、建屋にそのまま露出して置かれているだけだ。より危険な保管方法と言わざるを得ない」、「使用済みではない『未使用』の核燃料が、核燃料プールにあったのなら、より容易に臨界に達することは明らかであろう」(ソースが分からなくなりました、済みません)とあります。

MOX燃料のみならず、燃料プールには、使用済燃料、使用中(定期点検中)の燃料、そして使用してない未使用の新燃料があるということです。味噌も・・も一緒くた(失礼)、とはいいますが、これほど酷い管理状況とは全く知りませんでした。使用中や未使用の燃料があれば、臨界の可能性は高くなりますし、使用中の燃料は発熱量が高く、使用済燃料は死の灰を沢山含んでいます。このような性質の違う燃料を、同じプールで管理するなど信じられません。まさに味噌と・・と吐瀉物を一緒に混ぜ合わせているような酷い状況です。一旦何かあった場合に、対処に非常に困るのは目に見えています。

このような状況に鑑みれば、まさに燃料プールは「剥き出しの炉心」と言えます。水素が発生しても自動的にベントしてしまう、放射性物質がそのまま蒸発してしまう、制御の利かない炉心となる危険性が高いのです。(今回の事故でもそうなっています)3号機には使われていない(濃縮されたプルトニウムを含んだ)MOX燃料もプールにあるのです。これでは原子力爆弾を何十発と野ざらしにしているのと同じではないでしょうか。恐ろしいほどの危機「不」管理状態です。正直あり得ないと思いたいのですが・・・

P.S. 東電はデータ解析をもとに、やっとメルトダウンを認めましたが、エネルギー総合工学研究所の内藤氏は、「今回のような解析は、一日あれば結果が出るほど非常に簡単なものだ。原子炉の状態を解析することは、長期的な冷却方法など、対応策を検討するうで需要な参考になったはずで、遅すぎたという印象」(『NHKニュース』)とのことです。NHKの解説者ですら、データがないと認めないという東電の姿勢を批判するコメントでした。事故の当事者である東電が、現実を把握する(想定する)ことなく、闇雲に動き、結果は「天災」だと言わんばかり、データが出れば認めるが(そのデータを出すのも東電で)、その解析もなおざりでは、まともな対処に繋がらないのは当たり前です。これでは住民は、被災者は(国民も)たまったものではありません。東電のこうした姿勢は、厳しく糾弾されてしかるべきだと思うのですが・・・

東電の津波調査は「やらせ」調査?

2011年05月24日 | 日記
 東電は、「869年の『貞観の大津波』について、・・・福島県内の津波は4メートル未満と推定する調査結果をまとめていた」(以下、引用は『朝日新聞』)、「(今月)22日から始まった日本地球惑星科学連合大会に(事故の前に)発表を申し込んでいた」とのことです。

この調査は、 「2009年から2010年にかけて福島県内の5地点で貞観の大津波で運ばれた砂を調べ」、「津波が駆け上がった高さは『最大で4メートル未満』と結論づけ」、「標高4~5メートルを超える津波はなかった可能性が高い」としていました。「過去の研究で推定された貞観の大津波による宮城県や福島県の浸水範囲は東日本大震災での被害と似ている」とのことですから、この推定の甘さが、津波想定の甘さにつながり、今夏の全電源喪失へと至った大きな原因のように思います。しかし、この調査は、一体何の為の調査だったのでしょうか?自説を証拠付けるためだけの、「やらせ調査」だったのでしょうか・・・

P.S. それにしても、15メートルを超える「貞観の大津波」を、わざわざ調査までして4メートル未満としか結論付けることのできない東電に対して、こらが「やらせ」でないのなら、少なくとも津波に関しては、よっぽど幼稚な科学的な知識や分析力しかなかったと言わざるを得ません。そうなれば、地震や電源喪失等の「想定」に関しても、同様の不信が生じてきます。いわんや、「やらせ」調査となれば、東電得意のデータ捏造、嘘八百ということになりますが・・・

P.S.2 2号機と3号機のメルトダウンに関して、データ分析の結果、3号機では42時間後に損傷し始め、60時間後には大部分が溶けて原子炉の底に落下、2号機でも77時間後に損傷し始め、101時間後には大部分の燃料が落下していたとのことです。落下による大爆発が起こらなかったことが、不幸中の幸いでした。ヨーロッパでの新型炉では、このメルトダウンした溶融燃料の落下を受け止める「キャッチャー」が備え付けられているそうです(だから安心というわけではありませんが)。2号機、3号機については(配管等の破断による冷却水喪失ではないようなので)、地震直後の海水注入がなされていれば、メルトダウンは防げたと思うのですが(返す返すも残念で仕方がありません)・・・

P.S.3 事故検証委員会設置が正式に決定され、事故原因の究明と被害の拡大防止、再発防止等の提言を年内中に行うそうです。委員長には、東大教授の畑村氏(「失敗学」で有名らしいです)が選任されるとか。10人の委員も、極力原子力行政に携った経験のない人を選出するそうですが、正直、委員長からして政府の息が掛かっている感が否めません。米国のスリーマイル島原発事故では、原子力とは畑違いの数学者に検証を委ねたとか。せめて米英仏露の専門家を一人づつでも入れて欲しいものです。(これでは「第2次極東裁判」ですか・・・)

可能性はゼロではない

2011年05月24日 | 日記
 海江田経産大臣や亀井国民新党党首まで乱入した「泥バトル」は、全員場外による失格負けとなったようです。この「泥バトル」ではっきりしたのは、政府官邸と東電、そして安全委員会や保安院との意思疎通がバラバラで、緊急時の危機的状況に対応できる状態ではなかったということです。

 問題点の一つの「臨界」については、M9の地震や、15メートルを越える津波、そして全電源喪失、更にはベントや海水注入の必要性と同様に、臨界の可能性はあったのであり、その為にホウ素を海水に混ぜて注入したわけです。但し、斑目氏が言うように、海水の方が「不純物が増え、臨界に不要な中性子をより多く吸収するため、臨界は起きにくくなる」(引用は『朝日新聞』)ということのようです。

 最大の問題は、斑目氏の「可能性はゼロではない」という科学者としての逃げ口上でも、官邸を慮(おもんばか)っての東電の海水注入中断ではなく、水素爆発前の「(水素)爆発はない」との安全委員会や保安院の認識とベントの遅れであり、もっと言うならメルトダウンの認識と、それを防ぐ為の海水注入の致命的遅れです。

 今回の爆発後の海水注入の判断も、水素爆発してから海水注入の「命令」が出るまでに約5時間も掛かっているのです。実際のところ、この海水注入の「命令」は1日遅いわけですが、安全委員会や保安院は、地震直後にメルトダウンの可能性(危険性)を首相に提言し(首相は国会でその危険性の認識はあったと言われていましたが)、(今更言っても仕方がないのですが)11日の時点でベントや海水注入の「命令」を出すべきだったのですが、その対応能力がなかったことが、この「泥バトル」で奇しくも「検証」されてしまった形です・・・

 中国解放軍と米軍は、災害救援と海賊対策で合同訓練を実施するとの合意に至り、「中米覇権連合」の様相を強めている中、このような危機管理のない政権では、ますます「利」(国益)を失い、付け入る隙を与えてしまいます。余りの脇の甘さに、米国も中国も呆れてしまっているかもしれませんが、このような(原発)自爆テロのようなことをやっていれば、中米によって共同管理されるような事態も「可能性はゼロではない」ということになりかねません・・・

P.S. 昨日の「TVタックル」に出演した日本原子力技術協会顧問の石川迪夫氏は、メルトダウンした燃料について、経て3m、横4mぐらいの卵状の溶けた塊(約2千度)に、冷却水を掛けて蒸発した水蒸気にコバルトやプルトニウムのような放射性物質がくっ付いて、5キロ圏内ぐらいに放出されている。その量は少ない(その少量で十分重大です)が、掛けた水とともに大量に流出している放射性物質が今は問題であるとの認識を示していました。

氏は未だに原子力の安全性そのものには疑念を抱いていない「確信(A級戦)犯」でおられますが、津波だけでなく、この地震大国日本においては、配管等も含めた(しかも老朽化した)原子炉自体の耐震性に、最早致命的な欠陥があることは自明の理であると思うのですが・・・(但し氏も、浜岡が危険ならば、全ての原発が危険だと、逆説的に言われてはいましたが・・・)