四電からは、現在に至るまで、「質問状」への回答はありません。
平成21年7月24日
「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」殿
伊方町政策推進課長
公開質問状に対する回答
Q1:伊方町は四国電力に対して、四国電力が保管している(保管していないデータは取り寄せた上で)メロックス社製MOX燃料ペレットの外径測定検査(全数検査及び抜取検査等)に関する全ての生データを開示するよう要請するつもりはありますか。ないとすれば、なぜですか?
Q2:伊方町は取得した当データを公開し、町独自あるいは県と協同の上、データの分析及びMOX燃料の品質保証確認を行うつもりはありますか。ないとすれば、どうやって当該MOX燃料が安全であると担保することができるとお考えですか。
Q3:四国電力が上記データを非公開とし、当該燃料の品質に関して合理的な説明を証拠をもって示さない場合、町として同社に対してMOX燃料の装荷を断固として認めない意思はありますか。ないとすれば、MOX燃料の安全性に関して、どのようにして町民に対し説明責任を果たされるおつもりですか。
[回答]
A1:ありません。MOX燃料の健全性の確認については、国が、電気事業法にもとづき輸入燃料体検査により行っており、町としては、国に対し厳正な検査をお願いしております。
A2:データを取得しないため、公開することもありません。
A3:当該データの公開を求めないことから、このことを理由に認めないということは、ありません。
去る平成21年7月15日、原子力安全・保安院は、平成19年九月10日付けで四国電力(株)から申請のあった伊方3号機向けMOX燃料体に係る輸入燃料体検査申請について、燃料体検査を実施した結果、技術基準に適合していると認められるとして、合格証を交付しております。
原子力安全・保安院では、過去において、MOX燃料の品質管理データの改ざんが明らかになったことから、検査制度の改善・強化を行い、当該検査において、MOX燃料の燃料材等に関する試験結果の内容、また、電気事業者による燃料メーカーに対する品質保証活動が充分行われていることを確認するとともに、伊方発電所において、原子力安全・保安院自らが搬入されたMOX燃料の概観確認検査を実施しております。
伊方町では、愛媛県とともに伊方発電所に搬入されたMOX燃料に対する四国電力(株)の社内検査及び原子力安全・保安院の実施した上記概観確認検査に職員を立会させ、検査の状況を確認するとともに、今後、環境監視委員会において、国から直接、検査結果の説明を受ける機会を設ける予定です。
「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」殿
伊方町政策推進課長
公開質問状に対する回答
Q1:伊方町は四国電力に対して、四国電力が保管している(保管していないデータは取り寄せた上で)メロックス社製MOX燃料ペレットの外径測定検査(全数検査及び抜取検査等)に関する全ての生データを開示するよう要請するつもりはありますか。ないとすれば、なぜですか?
Q2:伊方町は取得した当データを公開し、町独自あるいは県と協同の上、データの分析及びMOX燃料の品質保証確認を行うつもりはありますか。ないとすれば、どうやって当該MOX燃料が安全であると担保することができるとお考えですか。
Q3:四国電力が上記データを非公開とし、当該燃料の品質に関して合理的な説明を証拠をもって示さない場合、町として同社に対してMOX燃料の装荷を断固として認めない意思はありますか。ないとすれば、MOX燃料の安全性に関して、どのようにして町民に対し説明責任を果たされるおつもりですか。
[回答]
A1:ありません。MOX燃料の健全性の確認については、国が、電気事業法にもとづき輸入燃料体検査により行っており、町としては、国に対し厳正な検査をお願いしております。
A2:データを取得しないため、公開することもありません。
A3:当該データの公開を求めないことから、このことを理由に認めないということは、ありません。
去る平成21年7月15日、原子力安全・保安院は、平成19年九月10日付けで四国電力(株)から申請のあった伊方3号機向けMOX燃料体に係る輸入燃料体検査申請について、燃料体検査を実施した結果、技術基準に適合していると認められるとして、合格証を交付しております。
原子力安全・保安院では、過去において、MOX燃料の品質管理データの改ざんが明らかになったことから、検査制度の改善・強化を行い、当該検査において、MOX燃料の燃料材等に関する試験結果の内容、また、電気事業者による燃料メーカーに対する品質保証活動が充分行われていることを確認するとともに、伊方発電所において、原子力安全・保安院自らが搬入されたMOX燃料の概観確認検査を実施しております。
伊方町では、愛媛県とともに伊方発電所に搬入されたMOX燃料に対する四国電力(株)の社内検査及び原子力安全・保安院の実施した上記概観確認検査に職員を立会させ、検査の状況を確認するとともに、今後、環境監視委員会において、国から直接、検査結果の説明を受ける機会を設ける予定です。
環第444号
平成21年7月24日
プルサーマル計画を憂慮する有志の会 様
愛媛県県民環境部環境局 原子力安全対策推進監
公開質問状に対する回答について
①県は四国電力に対して、四国電力が保管しているメロックス社製MOX燃料のペレットの外径測定検査に関する全ての生データを開示するよう要請するつもりはありますか。ないとすればなぜですか?
(回答)
メロックス社における伊方3号機用MOX燃料のペレットの製造工程においては、まず、ペレットの外径が要求範囲であるかがメロックス社により確認され、要求範囲外のペレットが除外された後、さらに要求範囲を満たしたペレットについて、メロックス社、三菱重工業(株)及び四国電力(株)により抜き取り外径検査が実施されています。
国では、電気事業法に基づく輸入燃料体検査において、この検査データをすべて確認したうえで合格書を交付しています。
県としては、伊方原子力発電所環境安全管理委員会において、国からこの輸入燃料体検査結果の説明を受け、MOX燃料の健全性を確認することとしており、四国電力(株)に対して、MOX燃料ペレットの外径検査データの開示を要請する考えはありません。
②取得した当データを公開し、県独自のデータの分析及びMOX燃料の品質保証確認を行うつもりはありますか。ないとすれば、どうやって当該MOX燃料が安全であると担保することができるとお考えですか。
(回答)
問1でお答えしたとおり、県としては、MOX燃料ペレットの外径検査の生データを取得する考えはありません。
伊方3号機用MOX燃料については、国によりMOX燃料の健全性が確認され、7月15日、四国電力に対して、輸入燃料体検査の合格証が交付されています。
県としては、伊方原子力発電所環境安全管理委員会において、国からこの輸入燃料体検査結果の説明を受け、MOX燃料の健全性を確認することとしています。
③四国電力が上記データを非公開とし、当該燃料の品質に関して合理的な説明を証拠をもって示さない場合、県として同社に対してMOX燃料の装荷を断固として認めない意思はありますか。ないとすれば、MOX燃料の安全性に関して、どのようにして県民に対し説明責任を果たされるおつもりですか。
(回答)
問1、2でお答えしたとおり、伊方3号機用MOX燃料については、国によりMOX燃料の健全性が確認され、7月15日、四国電力に対して、輸入燃料体検査の合格証が交付されています。
県としては、伊方原子力発電所環境安全管理委員会において、国からこの輸入燃料体検査結果の説明を受け、MOX燃料の健全性を確認することとしています。
また、引き続き、プルサーマル実施の各段階において、適時、技術専門部会の開催や、技術専門部会に直接、国の検査に立会いただくなど、安全性の確認に努めるとともに、これらの安全確認の情報については、技術専門部会の公開や原子力情報ホームページへの掲載等により、広く県民の皆様に提供します。
平成21年7月24日
プルサーマル計画を憂慮する有志の会 様
愛媛県県民環境部環境局 原子力安全対策推進監
公開質問状に対する回答について
①県は四国電力に対して、四国電力が保管しているメロックス社製MOX燃料のペレットの外径測定検査に関する全ての生データを開示するよう要請するつもりはありますか。ないとすればなぜですか?
(回答)
メロックス社における伊方3号機用MOX燃料のペレットの製造工程においては、まず、ペレットの外径が要求範囲であるかがメロックス社により確認され、要求範囲外のペレットが除外された後、さらに要求範囲を満たしたペレットについて、メロックス社、三菱重工業(株)及び四国電力(株)により抜き取り外径検査が実施されています。
国では、電気事業法に基づく輸入燃料体検査において、この検査データをすべて確認したうえで合格書を交付しています。
県としては、伊方原子力発電所環境安全管理委員会において、国からこの輸入燃料体検査結果の説明を受け、MOX燃料の健全性を確認することとしており、四国電力(株)に対して、MOX燃料ペレットの外径検査データの開示を要請する考えはありません。
②取得した当データを公開し、県独自のデータの分析及びMOX燃料の品質保証確認を行うつもりはありますか。ないとすれば、どうやって当該MOX燃料が安全であると担保することができるとお考えですか。
(回答)
問1でお答えしたとおり、県としては、MOX燃料ペレットの外径検査の生データを取得する考えはありません。
伊方3号機用MOX燃料については、国によりMOX燃料の健全性が確認され、7月15日、四国電力に対して、輸入燃料体検査の合格証が交付されています。
県としては、伊方原子力発電所環境安全管理委員会において、国からこの輸入燃料体検査結果の説明を受け、MOX燃料の健全性を確認することとしています。
③四国電力が上記データを非公開とし、当該燃料の品質に関して合理的な説明を証拠をもって示さない場合、県として同社に対してMOX燃料の装荷を断固として認めない意思はありますか。ないとすれば、MOX燃料の安全性に関して、どのようにして県民に対し説明責任を果たされるおつもりですか。
(回答)
問1、2でお答えしたとおり、伊方3号機用MOX燃料については、国によりMOX燃料の健全性が確認され、7月15日、四国電力に対して、輸入燃料体検査の合格証が交付されています。
県としては、伊方原子力発電所環境安全管理委員会において、国からこの輸入燃料体検査結果の説明を受け、MOX燃料の健全性を確認することとしています。
また、引き続き、プルサーマル実施の各段階において、適時、技術専門部会の開催や、技術専門部会に直接、国の検査に立会いただくなど、安全性の確認に努めるとともに、これらの安全確認の情報については、技術専門部会の公開や原子力情報ホームページへの掲載等により、広く県民の皆様に提供します。
平成21年6月25日
四国電力株式会社 殿
申入書
「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」
第1 申し入れの趣旨
1.貴社が保管しておられるメロックス社製MOX燃料ペレットの外径測定検査(全数検査及び抜取検査等)に関する全ての生データを(保管していないデータはメロックス社から取り寄せた上で)、県と伊方町及び県民に対して開示して下さい。
2.貴社が上記データを非開示、非公開とし、MOX燃料の品質保証及び安全性に関して合理的な説明を証拠をもって示すことのできない場合は、MOX燃料の装荷を行わないで下さい。
第2 申し入れの理由
<申し入れ1の理由>
(過去において海外で製造・輸入されたMOX燃料について)
イギリスのBNFL社が製造した、関西電力・高浜原発3号機用のMOX燃料は、同社による品質管理データの捏造が発覚、既に日本に到着していた高浜原発4号機用のMOX燃料についても不正の有無が問題となり、関西電力と通産省(当時)は、高浜原発4号機用MOX燃料には「不正はない」としましたが、当該燃料にもデータの捏造があったことが判明し、関電は装荷を断念、1999年にプルサーマル計画は中断しています。
またベルギーのベルゴニュークリア社は、東京電力の福島第一原発3号機と柏崎刈羽原発3号機用のMOX燃料を製造しましたが、BNFL社によるMOXデータ捏造や東海村JCO臨界事故を受け、福島第一原発3号機用MOX燃料の安全性に疑問をもった市民団体が、福島地裁に「福島原発用MOX燃料の使用差止」訴訟を提起しましたが、同訴訟の中でも、東電は品質管理データの完全公開を拒んでいます。結局、2002年の東電による事故隠蔽により福島県がプルサーマル計画を拒否し、新潟県の刈羽村でも住民投票が行われ同計画は拒否され、MOX燃料は装荷されないままプルサーマル計画は頓挫しています。
(BNFL社製MOX燃料データ問題検討委員会の報告書について)
BNFL社のデータ捏造問題を受けて設置された「BNFL検討委員会」では、「核燃料の品質に対する規制の種類」の項で、「電力会社は、原子力発電所において使用する核燃料の品質が規制上の要求事項に適合したものとなることを確保する責任を有している。」とし、「そもそも電気事業者は、自らが高い品質保証システムを堅持するとともに、これを通じてメーカの品質保証システムの健全性を確認することにより、原子力発電所の安全運転を確保する責務を有している。電気事業者は、一旦品質保証システムに不正が発生した場合に損なわれるのは当該メーカの信頼性にとどまらないことを深く認識し、この責務を的確に果たすため不断に努力することが必要である。」と、品質保証の確認に関する事業者の責務を結論として挙げています。
(MOX燃料の品質保証確認について)
MOX燃料の品質に関しては、燃料ペレットは正円筒形でなければならず、その上・中・下の外径に対しては1000分の1ミリの精度が要求されます。規格外のペレットの使用は、燃料棒破損や炉心溶融に繋がり、重大な事故を引き起こす原因となります。よって、原子炉の安全運転のためには、MOX燃料の品質保証確認が欠くべからざる要件となります。しかしながら、この燃料ペレットの製造には高度の技術が必要な上、その検査も非常に困難です。さらに不良品を多量に出せば採算上も苦しくなるが故に、BNFL社によるデータ捏造の温床となったとの指摘があります。それだけに、燃料ペレットの品質保証確認に関しては、厳しい疑義の目をもって望み、少なくとも当該外径の生データを精査することが何より大切です。実際、日本における品質保証の確認に関しては書類による確認しかそのすべがなく、実際の生データの取得とその分析により、品質保証確認を行うことが必須となります。
(メロックス社製のMOX燃料の製造方法について)
メロックス社の製造方法は、ベルギーのベルゴニュークリア社と同じミマス(MIMAS)方式と言われる方法で、一次混合でプルトニウム約30%を製造、さらに発注者の希望する富化度に二酸化ウランを混ぜる2段階混合方式を採用していますが、二酸化ウランと二酸化プルトニウムを混合する際、プルトニウム濃度の偏りであるプルトニウムスポットが発生します。プルトニウムスポットは、局所的な高温や核反応の増大に繋がり、被覆管や燃料棒の損傷を招く危険性を増すものです。また、この製法自体が、データ捏造のあったBNFL社の製法であるSBR法より劣ると言われています。
(メロックス社製のMOX燃料の品質について)
経済産業省が財団法人原子力発電技術機構に研究委託したもので、「燃料集合体信頼性実証試験に関する報告書(混合酸化物燃料照射試験編)」(平成11年度及び平成12年度版)があります。当報告書には、メロックス社製のMOX燃料に関して、「比較的大きなプルトニウムスポットでは平均プルトニウム濃度は約30%である。この値はMIMAS法で製造したMOX燃料ペレットの一次混合粉末のプルトニウム濃度(約30%)とほぼ等しい。このことから、一次混合粉末と濃度調整用UO2粉末とを混合した際に、一次混合粉末が凝集したまま残存したのがプルトニウムスポットになったと推定される。」(平成12年度25頁)とあり、二次混合の際に、二酸化ウランと二酸化プルトニウムが均一に混ざらない同社の技術的欠陥が浮き彫りとなっています。
さらに、同報告書にあるベルゴニュークリア社製燃料のプルトニウム分布(平成11年度報告書35頁、平成12年度29頁他)をメロックス社製の分布(平成12年度75頁)と比較した場合に、「分布形状が異なり、富化度が同程度のもので比較しても、プルトニウム濃度25~30%程度のプルトニウムの面積率及び存在率はメロックス社の方が明らかに高くなっている。」、「メロックス社では、ベルゴニュークリア社と比べて、すなわち二次混合がうまくいっていない」、との指摘があります。
ちなみにベルゴニュークリア社に関しては、BNFL社よりも旧式の会社であり、使用している粉体や混合技術がBNFL社よりも古く製造技術は低いと言われており、さらに同じMIMAS方式で製造されているベルゴニュークリア社のMOX燃料よりも、メロックス社製のMOX燃料は品質の点で劣るとの上記の指摘であり、装荷さえされることのなかった過去2社のMOX燃料にも増して、メロックス社製MOX燃料の品質及び安全性に著しい疑義が生じています。
(品質管理データの公開について)
原子力基本法の第2条には、その基本方針として、「原子力の研究、開発及び利用は、平和の目的に限り、安全の確保を旨として、民主的な運営の下に、自主的にこれを行うものとし、その成果を公開し、進んで国際協力に資するものとする。」と謳われています。つまり、原則公開が原子力基本法の本旨であり、国民の「安全の確保を旨として」、すべてのデータは原則公開であるべきものなのです。
当然、MOX燃料製造会社としても、製品の品質及び安全性を証明する情報(データ)が企業秘密であるはずがなく、むしろ積極的に開示、公開することで信頼を得ることができるはずです。にもかかわらず「商業機密」として、データを公開できないようなMOX燃料製造メーカーと契約を結んでいるならば、そのこと自体が極めて重大な問題であり、MOX燃料の発注者であり当該電気事業の主体である貴社としては、保管している品質管理データを(或は保管していないデータはメロックス社から取り寄せた上で)公開し、重大な危険性を孕んだ事業における説明責任を県民全体に対して行うのは当然の責務です。原発を平和目的でかつ商業利用する事業者や関連企業が、その原発の安全性を保証するデータ開示に関して、メーカーとしての占有情報などという言い訳は決して許容されることではなく、原子力発電所運転に係る安全性と、県民の生命・財産に関わる公益性に鑑みれば、全てのデータを公開することが大前提となります。万が一データの開示・公開ができないとなれば、それは県民全体に対する著しい背信行為以外のなにものでもありません。
これまでのMOX燃料の品質管理データの公開に関しては、関西電力高浜原発用のBNFL社製MOX燃料のデータが福井県の要請により、全数計測データ及び抜取検査データの殆どが開示され、そのデータを分析した市民団体によりデータの捏造が発覚しています。一方その後提起された「福島原発用MOX燃料の使用差止」訴訟の中で、東京電力はデータの完全公開に応じませんでした。当該訴訟の判決において原告の請求自体は棄却されてしまいましたが、「原子力の安全性の確保は多数の公衆の生命身体の安全性にかかわるものであるから、原子力発電所で使用される原子燃料の品質が問題とされたような場合には、可能な限り具体的なデータを明らかにして各方面における検証を可能とするように務めることが原子力分野で事業を実施する企業の責務というべきである」とし、メーカーであるベルゴニュークリア社に対して、「本件抜取検査データを企業秘密に属するとしてその一般公開を拒絶しているのであるが、ペレット外径寸法の検査データが重大な製造ノウハウにかかわるものとはおよそ考えがたく、現に競争相手企業であるBNFL社がこれらのデータを一般公開していることに鑑みれば、ベルゴニュークリア社の上記のような姿勢は非難されてもやむを得ないものがある。」と断じ、発注者であり事業主体の東京電力に対しては、「発注者の立場で、ベルゴニュークリア社に対し、重ねて特段の要請を行い、同社の頑なな対応に翻意を促し、本件抜取検査データを公開すべく努めた形跡が窺えないことは、原子力発電所という潜在的に危険な施設を設置稼動する立場にあるものとして、必ずしも充分な対応とはいい難い。」として、事業者としての東電の姿勢を指弾しています。
県内にはまだまだプルサーマル計画への疑問や反対の声も多く、決して当該計画への理解が進んでいるとは思えません。本来公開すべきものを非公開とすることによって、当該燃料への疑義と不信が生じます。まずは保管している(或は保管していないデータはメロックス社から取り寄せた上で)データの開示、公開を自ら進んで行うことで、伊方町民は勿論、愛媛県民全体の不安と不信を払拭することが何より大切なことであると思います。
(国の審査の不備について)
これまでのMOX燃料の品質管理に関する国の審査については、多々の不備が指摘されています。関西電力の高浜原発3号機用MOX燃料に関してはBNFL社によるデータ捏造が発覚、それを受けて同原発4号機用燃料に関して関電が調査・確認の上報告書を提出、通産省(当時)は問題なしとして最終的な燃料の安全性を確認したにも拘わらず、後にNII(英国原子力施設検査局)等による調査で不正が判明しました。また、関西電力がBNFL社からデータ捏造に関して情報を得てからも当該情報の隠蔽を行っていたことを、監督官庁である通産省(当時)は全く気づかずにいただけでなく、発覚後も自らデータを取得して品質保証確認を行うことも、BNFL社やNIIに直接確認することさえしておりません。
一方東電は、BNFL社によるデータ捏造事件を受けて調査報告書を提出しましたが、基本的なデータはベルゴニュークリア社の企業秘密であるとの理由で情報を開示しませんでした。しかし、BNFL社製MOX燃料データ問題検討委員会において、通産省の課長(当時)が、「事業者の言ったことを鵜呑みにしたことを反省する」旨の発言を行っているにも拘らず、この時もやはり通産省(当時)は、直接データを取り寄せて自ら分析・評価を行うことはなく、監督官庁としての責任を果たすことは決してありませんでした。こうした過去の経緯を見ると、国の審査自体が著しく形骸化し、品質保証確認を行う能力が欠落しているとの結論に至らざるを得ません。
また東電に関しては、東電自身が認めている国の法的検査におけるデータ改竄が、1977年から2002年までの間に13基の原発で延べ199件あったにも拘わらず、当時の通産省が見抜くことができず、通産省の定期検査に対する杜撰な対応が明らかになっているのです。
さらに、原発の安全審査に携わる審査委員である専門家が、事前に電力会社の指導を行っていたという問題もあり、これは審査機関である国と事業者である電力会社の癒着構造を如実に示しているものであり、国の審査及び安全性審査の信憑性はさらに低下せざるを得ません。
(安全協定に基づいた四国電力の責務について)
貴社が県及び伊方町と締結している「安全協定書」は、「丙(四電)が設置する伊方原子力発電所に関し、丙(四電)が発電所周辺の安全確保及び環境保全について、最大の努力をする責務を有するものを確認する」とし、その第12条第1項によれば、「資料の提出及び立入調査」として、「甲(県)及び乙(伊方町)は、この協定の履行に関し、必要があると認めるときは、丙(四電)に対し、資料の提出を求め、又は発電所に立ち入り、必要な調査をすることができる。」とあります。また、同協定書第17条には、「丙(四電)は、この協定に定めるもののほか、発電所周辺の安全確保及び環境保全に関して、甲及び乙が行う行政指導その他の業務に積極的に協力しなければならない」と規定されております。
よって、県民及び町民の安心と安全、生命と財産を守る責務を負った県や町に対して、貴社が協力を惜しまず、自ら保管する生データを(或は保管していないデータはメロックス社から取り寄せた上で)開示し、愛媛県民及び伊方町民に対する説明責任を果たし、MOX燃料の品質を保証する責務があります。
<申し入れ2の理由>
(MOX燃料の品質保証に関する責任について)
一旦大事故が起きれば、県内全域が放射能の被害を受けることになるのであり、プルサーマル計画は県民全体の問題です。MOX燃料の品質いかんでは、重大な事故が現実のものとなる可能性が危惧されるのであり、県民の生命と財産の担保がなされなければ、MOX燃料の使用が認められることはありません。その際、その安全性の立証責任は、商業上原子力発電所を運転管理する貴社に属するのは当然のことです。
よって貴社が、上記MOX燃料の品質管理データの開示を不当にも拒み、当該燃料の品質に関して合理的な説明を証拠をもって示すことができない場合には、明らかな県民への説明責任不履行であり、当該事業を実行する資格を失うこととなり、MOX燃料の装荷を断念することは当然のことなのです。
以上
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平成21年6月25日
四国電力株式会社 殿
公開質問状
「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」
1.貴社の3号機に装荷する予定のメロックス社製MOX燃料に関して、当該MOX燃料製造後、燃料ペレットの外径の全数検査を行ったことを確認していますか?
① 全数検査を行っている場合、
自動測定器によるものですか、それともマニュアル入力ですか。
そのデータは保存されていますか、いませんか。
保存されている場合、貴社はその生データを持っていますか、持っていませんか。
保存されていない場合、その理由は何故ですか。
貴社がデータを持っている場合、そのデータを開示するもつもりはありますか。
開示しない場合、その理由は何故ですか。
持っていない場合、メロックス社からデータを取得するつもりはありますか。
Ⅷ取り寄せない場合、その理由は何故ですか。
②全数検査を行っていない場合、全数検査は当該燃料ペレットの品質を保証する最も大切な検査であり、何故貴社は常駐している社員を通じて、メロックス社に対して当該検査を行うように要請しなかったのですか。
2.当該MOX燃料の製造後、抜取検査が行われ、そのデータは貴社が保管しているとのことですが、
①検査を行う際に準拠すべき規格はJIS規格ですか。でないならば、何を採用していますか。
②検査は採用した規格にそって行われたことを確認しましたか。どうようにして確認しましたか。
③検査において、1ブレンダー毎に抜き取ったペレットの数は、何個中何個ですか。
④検査を行ったブレンダーの総数はいくらで、いくつのブレンダーが不合格となったのですか。
⑤抜き取ったペレットの総数はいくらで、不合格となった総数はいくらですか
⑥不合格となったペレットは、どのように処理したのですか。
⑦合格したものに関して、それらが正円形であることを、ペレットの上・中・下の外径の一致でもって確認していますか。
⑧抜取検査に関する全ての生データデータを開示し、公開するつもりはありますか。公開しないとすれば、県民への説明責任を果たさないとの責めを負うことになりますが、何故公開しないのですか。
3.貴社は、MOX燃料の製造期間の規定を、
①一時混合からと認識していいますか、それとも二次混合からですか?
②製造期間を二次混合からとしている場合、事業者には、製造を通して「製造状況及び品質保証活動についての確認」が国から求められていますが、その責務を果たせていないのではないですか。
4.当該MOX燃料のプルトニウム・スポットの濃度と分布状況に関して、
①濃度と分布を把握する検査は行われましたか。
②行わなかった場合、何故しなかったのですか。
③行った場合、そのデータは保存していますか。また公開するつもりはありますか。
④公開しない場合、その理由は何ですか。
5.その他、MOX燃料の品質管理に関する全てのデータの開示、及び公開を、
①行うつもりはありますか。
②ないとすれば、何故ですか。
6.貴社は上記の品質管理データ開示に関して、
①メロックス社とデータ非公開に関する契約を結んでいるのですか。
②契約を結んでいない場合、メロックス社としてはデータの開示、公開に支障はないと思います
が、違いますか。
③契約を結んでいる場合、それは何故ですか。
④これまでのMOX燃料に関するBNFL社によるデータ捏造や東電のMOX燃料差止裁判におけるデータの非開示の問題等で、MOX燃料自体の品質や安全性に疑義が生じていますが、その品質保証確認の為にも、生データの開示、その公開は是非とも必要な要件であり、原発を運転・管理する企業としての責務だと思いますが、どう思われますか。
7.貴社は、所管官庁である経済産業省が必要に応じて立入調査ができるとの契約を、
①MOX燃料の元請け企業である三菱重工業と製造元であるメロックス社と結んでますか。
②契約を結んでいない場合、それはなぜですか。
③「BFNL検討委員会」の報告書には、「電気事業者の品質保証に関する取り組みをより確固たるものとするためには、規制当局である通商産業省がその活動状況を定期的に確認するとともに、必要な場合は調達先に対する監査・検査が可能となるよう、事業者間の契約に担保させることも必要と考える。」とあり、また原子力安全保安院の通達(2007年7月14日付け)にも、「電気事業者は、規制当局が必要に応じ、元請け企業及びMOX燃料加工事業者に立入り、調査を行うことができる旨、元請け企業及びMOX燃料加工事業者が定めていることを確認すること」とあります。こうした立入調査の契約が結ばれていないこと自体、国の原子力行政の方針に背くことになりますが、どのようにお考えですか。
8.貴社があくまでも上記データを非公開とし、当該燃料の品質及び安全性に関して合理的な説明を証拠をもって示すことができない場合、貴社にMOX燃料の装荷はおろか、最早原発を運転・管理する資格もないと思いますが、どう思われますか。
)輸入燃料体検査制度
現在の輸入燃料体検査制度の手続きにおいては、完成・輸入された燃料体について検査が行われる仕組みとなっている。現在の手続きは、発電所において検査可能な項目は燃料体の外観や集合体の寸法程度に過ぎず、他の項目は、品質保証体制が確保されていることを前提に、書類確認によって行うこととされている。―――当時の精度と現行制度の違いは何か
上記の質問に対して7月25日までに、下記の宛先まで書面にてご回答下さい。
以上
四国電力株式会社 殿
申入書
「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」
第1 申し入れの趣旨
1.貴社が保管しておられるメロックス社製MOX燃料ペレットの外径測定検査(全数検査及び抜取検査等)に関する全ての生データを(保管していないデータはメロックス社から取り寄せた上で)、県と伊方町及び県民に対して開示して下さい。
2.貴社が上記データを非開示、非公開とし、MOX燃料の品質保証及び安全性に関して合理的な説明を証拠をもって示すことのできない場合は、MOX燃料の装荷を行わないで下さい。
第2 申し入れの理由
<申し入れ1の理由>
(過去において海外で製造・輸入されたMOX燃料について)
イギリスのBNFL社が製造した、関西電力・高浜原発3号機用のMOX燃料は、同社による品質管理データの捏造が発覚、既に日本に到着していた高浜原発4号機用のMOX燃料についても不正の有無が問題となり、関西電力と通産省(当時)は、高浜原発4号機用MOX燃料には「不正はない」としましたが、当該燃料にもデータの捏造があったことが判明し、関電は装荷を断念、1999年にプルサーマル計画は中断しています。
またベルギーのベルゴニュークリア社は、東京電力の福島第一原発3号機と柏崎刈羽原発3号機用のMOX燃料を製造しましたが、BNFL社によるMOXデータ捏造や東海村JCO臨界事故を受け、福島第一原発3号機用MOX燃料の安全性に疑問をもった市民団体が、福島地裁に「福島原発用MOX燃料の使用差止」訴訟を提起しましたが、同訴訟の中でも、東電は品質管理データの完全公開を拒んでいます。結局、2002年の東電による事故隠蔽により福島県がプルサーマル計画を拒否し、新潟県の刈羽村でも住民投票が行われ同計画は拒否され、MOX燃料は装荷されないままプルサーマル計画は頓挫しています。
(BNFL社製MOX燃料データ問題検討委員会の報告書について)
BNFL社のデータ捏造問題を受けて設置された「BNFL検討委員会」では、「核燃料の品質に対する規制の種類」の項で、「電力会社は、原子力発電所において使用する核燃料の品質が規制上の要求事項に適合したものとなることを確保する責任を有している。」とし、「そもそも電気事業者は、自らが高い品質保証システムを堅持するとともに、これを通じてメーカの品質保証システムの健全性を確認することにより、原子力発電所の安全運転を確保する責務を有している。電気事業者は、一旦品質保証システムに不正が発生した場合に損なわれるのは当該メーカの信頼性にとどまらないことを深く認識し、この責務を的確に果たすため不断に努力することが必要である。」と、品質保証の確認に関する事業者の責務を結論として挙げています。
(MOX燃料の品質保証確認について)
MOX燃料の品質に関しては、燃料ペレットは正円筒形でなければならず、その上・中・下の外径に対しては1000分の1ミリの精度が要求されます。規格外のペレットの使用は、燃料棒破損や炉心溶融に繋がり、重大な事故を引き起こす原因となります。よって、原子炉の安全運転のためには、MOX燃料の品質保証確認が欠くべからざる要件となります。しかしながら、この燃料ペレットの製造には高度の技術が必要な上、その検査も非常に困難です。さらに不良品を多量に出せば採算上も苦しくなるが故に、BNFL社によるデータ捏造の温床となったとの指摘があります。それだけに、燃料ペレットの品質保証確認に関しては、厳しい疑義の目をもって望み、少なくとも当該外径の生データを精査することが何より大切です。実際、日本における品質保証の確認に関しては書類による確認しかそのすべがなく、実際の生データの取得とその分析により、品質保証確認を行うことが必須となります。
(メロックス社製のMOX燃料の製造方法について)
メロックス社の製造方法は、ベルギーのベルゴニュークリア社と同じミマス(MIMAS)方式と言われる方法で、一次混合でプルトニウム約30%を製造、さらに発注者の希望する富化度に二酸化ウランを混ぜる2段階混合方式を採用していますが、二酸化ウランと二酸化プルトニウムを混合する際、プルトニウム濃度の偏りであるプルトニウムスポットが発生します。プルトニウムスポットは、局所的な高温や核反応の増大に繋がり、被覆管や燃料棒の損傷を招く危険性を増すものです。また、この製法自体が、データ捏造のあったBNFL社の製法であるSBR法より劣ると言われています。
(メロックス社製のMOX燃料の品質について)
経済産業省が財団法人原子力発電技術機構に研究委託したもので、「燃料集合体信頼性実証試験に関する報告書(混合酸化物燃料照射試験編)」(平成11年度及び平成12年度版)があります。当報告書には、メロックス社製のMOX燃料に関して、「比較的大きなプルトニウムスポットでは平均プルトニウム濃度は約30%である。この値はMIMAS法で製造したMOX燃料ペレットの一次混合粉末のプルトニウム濃度(約30%)とほぼ等しい。このことから、一次混合粉末と濃度調整用UO2粉末とを混合した際に、一次混合粉末が凝集したまま残存したのがプルトニウムスポットになったと推定される。」(平成12年度25頁)とあり、二次混合の際に、二酸化ウランと二酸化プルトニウムが均一に混ざらない同社の技術的欠陥が浮き彫りとなっています。
さらに、同報告書にあるベルゴニュークリア社製燃料のプルトニウム分布(平成11年度報告書35頁、平成12年度29頁他)をメロックス社製の分布(平成12年度75頁)と比較した場合に、「分布形状が異なり、富化度が同程度のもので比較しても、プルトニウム濃度25~30%程度のプルトニウムの面積率及び存在率はメロックス社の方が明らかに高くなっている。」、「メロックス社では、ベルゴニュークリア社と比べて、すなわち二次混合がうまくいっていない」、との指摘があります。
ちなみにベルゴニュークリア社に関しては、BNFL社よりも旧式の会社であり、使用している粉体や混合技術がBNFL社よりも古く製造技術は低いと言われており、さらに同じMIMAS方式で製造されているベルゴニュークリア社のMOX燃料よりも、メロックス社製のMOX燃料は品質の点で劣るとの上記の指摘であり、装荷さえされることのなかった過去2社のMOX燃料にも増して、メロックス社製MOX燃料の品質及び安全性に著しい疑義が生じています。
(品質管理データの公開について)
原子力基本法の第2条には、その基本方針として、「原子力の研究、開発及び利用は、平和の目的に限り、安全の確保を旨として、民主的な運営の下に、自主的にこれを行うものとし、その成果を公開し、進んで国際協力に資するものとする。」と謳われています。つまり、原則公開が原子力基本法の本旨であり、国民の「安全の確保を旨として」、すべてのデータは原則公開であるべきものなのです。
当然、MOX燃料製造会社としても、製品の品質及び安全性を証明する情報(データ)が企業秘密であるはずがなく、むしろ積極的に開示、公開することで信頼を得ることができるはずです。にもかかわらず「商業機密」として、データを公開できないようなMOX燃料製造メーカーと契約を結んでいるならば、そのこと自体が極めて重大な問題であり、MOX燃料の発注者であり当該電気事業の主体である貴社としては、保管している品質管理データを(或は保管していないデータはメロックス社から取り寄せた上で)公開し、重大な危険性を孕んだ事業における説明責任を県民全体に対して行うのは当然の責務です。原発を平和目的でかつ商業利用する事業者や関連企業が、その原発の安全性を保証するデータ開示に関して、メーカーとしての占有情報などという言い訳は決して許容されることではなく、原子力発電所運転に係る安全性と、県民の生命・財産に関わる公益性に鑑みれば、全てのデータを公開することが大前提となります。万が一データの開示・公開ができないとなれば、それは県民全体に対する著しい背信行為以外のなにものでもありません。
これまでのMOX燃料の品質管理データの公開に関しては、関西電力高浜原発用のBNFL社製MOX燃料のデータが福井県の要請により、全数計測データ及び抜取検査データの殆どが開示され、そのデータを分析した市民団体によりデータの捏造が発覚しています。一方その後提起された「福島原発用MOX燃料の使用差止」訴訟の中で、東京電力はデータの完全公開に応じませんでした。当該訴訟の判決において原告の請求自体は棄却されてしまいましたが、「原子力の安全性の確保は多数の公衆の生命身体の安全性にかかわるものであるから、原子力発電所で使用される原子燃料の品質が問題とされたような場合には、可能な限り具体的なデータを明らかにして各方面における検証を可能とするように務めることが原子力分野で事業を実施する企業の責務というべきである」とし、メーカーであるベルゴニュークリア社に対して、「本件抜取検査データを企業秘密に属するとしてその一般公開を拒絶しているのであるが、ペレット外径寸法の検査データが重大な製造ノウハウにかかわるものとはおよそ考えがたく、現に競争相手企業であるBNFL社がこれらのデータを一般公開していることに鑑みれば、ベルゴニュークリア社の上記のような姿勢は非難されてもやむを得ないものがある。」と断じ、発注者であり事業主体の東京電力に対しては、「発注者の立場で、ベルゴニュークリア社に対し、重ねて特段の要請を行い、同社の頑なな対応に翻意を促し、本件抜取検査データを公開すべく努めた形跡が窺えないことは、原子力発電所という潜在的に危険な施設を設置稼動する立場にあるものとして、必ずしも充分な対応とはいい難い。」として、事業者としての東電の姿勢を指弾しています。
県内にはまだまだプルサーマル計画への疑問や反対の声も多く、決して当該計画への理解が進んでいるとは思えません。本来公開すべきものを非公開とすることによって、当該燃料への疑義と不信が生じます。まずは保管している(或は保管していないデータはメロックス社から取り寄せた上で)データの開示、公開を自ら進んで行うことで、伊方町民は勿論、愛媛県民全体の不安と不信を払拭することが何より大切なことであると思います。
(国の審査の不備について)
これまでのMOX燃料の品質管理に関する国の審査については、多々の不備が指摘されています。関西電力の高浜原発3号機用MOX燃料に関してはBNFL社によるデータ捏造が発覚、それを受けて同原発4号機用燃料に関して関電が調査・確認の上報告書を提出、通産省(当時)は問題なしとして最終的な燃料の安全性を確認したにも拘わらず、後にNII(英国原子力施設検査局)等による調査で不正が判明しました。また、関西電力がBNFL社からデータ捏造に関して情報を得てからも当該情報の隠蔽を行っていたことを、監督官庁である通産省(当時)は全く気づかずにいただけでなく、発覚後も自らデータを取得して品質保証確認を行うことも、BNFL社やNIIに直接確認することさえしておりません。
一方東電は、BNFL社によるデータ捏造事件を受けて調査報告書を提出しましたが、基本的なデータはベルゴニュークリア社の企業秘密であるとの理由で情報を開示しませんでした。しかし、BNFL社製MOX燃料データ問題検討委員会において、通産省の課長(当時)が、「事業者の言ったことを鵜呑みにしたことを反省する」旨の発言を行っているにも拘らず、この時もやはり通産省(当時)は、直接データを取り寄せて自ら分析・評価を行うことはなく、監督官庁としての責任を果たすことは決してありませんでした。こうした過去の経緯を見ると、国の審査自体が著しく形骸化し、品質保証確認を行う能力が欠落しているとの結論に至らざるを得ません。
また東電に関しては、東電自身が認めている国の法的検査におけるデータ改竄が、1977年から2002年までの間に13基の原発で延べ199件あったにも拘わらず、当時の通産省が見抜くことができず、通産省の定期検査に対する杜撰な対応が明らかになっているのです。
さらに、原発の安全審査に携わる審査委員である専門家が、事前に電力会社の指導を行っていたという問題もあり、これは審査機関である国と事業者である電力会社の癒着構造を如実に示しているものであり、国の審査及び安全性審査の信憑性はさらに低下せざるを得ません。
(安全協定に基づいた四国電力の責務について)
貴社が県及び伊方町と締結している「安全協定書」は、「丙(四電)が設置する伊方原子力発電所に関し、丙(四電)が発電所周辺の安全確保及び環境保全について、最大の努力をする責務を有するものを確認する」とし、その第12条第1項によれば、「資料の提出及び立入調査」として、「甲(県)及び乙(伊方町)は、この協定の履行に関し、必要があると認めるときは、丙(四電)に対し、資料の提出を求め、又は発電所に立ち入り、必要な調査をすることができる。」とあります。また、同協定書第17条には、「丙(四電)は、この協定に定めるもののほか、発電所周辺の安全確保及び環境保全に関して、甲及び乙が行う行政指導その他の業務に積極的に協力しなければならない」と規定されております。
よって、県民及び町民の安心と安全、生命と財産を守る責務を負った県や町に対して、貴社が協力を惜しまず、自ら保管する生データを(或は保管していないデータはメロックス社から取り寄せた上で)開示し、愛媛県民及び伊方町民に対する説明責任を果たし、MOX燃料の品質を保証する責務があります。
<申し入れ2の理由>
(MOX燃料の品質保証に関する責任について)
一旦大事故が起きれば、県内全域が放射能の被害を受けることになるのであり、プルサーマル計画は県民全体の問題です。MOX燃料の品質いかんでは、重大な事故が現実のものとなる可能性が危惧されるのであり、県民の生命と財産の担保がなされなければ、MOX燃料の使用が認められることはありません。その際、その安全性の立証責任は、商業上原子力発電所を運転管理する貴社に属するのは当然のことです。
よって貴社が、上記MOX燃料の品質管理データの開示を不当にも拒み、当該燃料の品質に関して合理的な説明を証拠をもって示すことができない場合には、明らかな県民への説明責任不履行であり、当該事業を実行する資格を失うこととなり、MOX燃料の装荷を断念することは当然のことなのです。
以上
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平成21年6月25日
四国電力株式会社 殿
公開質問状
「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」
1.貴社の3号機に装荷する予定のメロックス社製MOX燃料に関して、当該MOX燃料製造後、燃料ペレットの外径の全数検査を行ったことを確認していますか?
① 全数検査を行っている場合、
自動測定器によるものですか、それともマニュアル入力ですか。
そのデータは保存されていますか、いませんか。
保存されている場合、貴社はその生データを持っていますか、持っていませんか。
保存されていない場合、その理由は何故ですか。
貴社がデータを持っている場合、そのデータを開示するもつもりはありますか。
開示しない場合、その理由は何故ですか。
持っていない場合、メロックス社からデータを取得するつもりはありますか。
Ⅷ取り寄せない場合、その理由は何故ですか。
②全数検査を行っていない場合、全数検査は当該燃料ペレットの品質を保証する最も大切な検査であり、何故貴社は常駐している社員を通じて、メロックス社に対して当該検査を行うように要請しなかったのですか。
2.当該MOX燃料の製造後、抜取検査が行われ、そのデータは貴社が保管しているとのことですが、
①検査を行う際に準拠すべき規格はJIS規格ですか。でないならば、何を採用していますか。
②検査は採用した規格にそって行われたことを確認しましたか。どうようにして確認しましたか。
③検査において、1ブレンダー毎に抜き取ったペレットの数は、何個中何個ですか。
④検査を行ったブレンダーの総数はいくらで、いくつのブレンダーが不合格となったのですか。
⑤抜き取ったペレットの総数はいくらで、不合格となった総数はいくらですか
⑥不合格となったペレットは、どのように処理したのですか。
⑦合格したものに関して、それらが正円形であることを、ペレットの上・中・下の外径の一致でもって確認していますか。
⑧抜取検査に関する全ての生データデータを開示し、公開するつもりはありますか。公開しないとすれば、県民への説明責任を果たさないとの責めを負うことになりますが、何故公開しないのですか。
3.貴社は、MOX燃料の製造期間の規定を、
①一時混合からと認識していいますか、それとも二次混合からですか?
②製造期間を二次混合からとしている場合、事業者には、製造を通して「製造状況及び品質保証活動についての確認」が国から求められていますが、その責務を果たせていないのではないですか。
4.当該MOX燃料のプルトニウム・スポットの濃度と分布状況に関して、
①濃度と分布を把握する検査は行われましたか。
②行わなかった場合、何故しなかったのですか。
③行った場合、そのデータは保存していますか。また公開するつもりはありますか。
④公開しない場合、その理由は何ですか。
5.その他、MOX燃料の品質管理に関する全てのデータの開示、及び公開を、
①行うつもりはありますか。
②ないとすれば、何故ですか。
6.貴社は上記の品質管理データ開示に関して、
①メロックス社とデータ非公開に関する契約を結んでいるのですか。
②契約を結んでいない場合、メロックス社としてはデータの開示、公開に支障はないと思います
が、違いますか。
③契約を結んでいる場合、それは何故ですか。
④これまでのMOX燃料に関するBNFL社によるデータ捏造や東電のMOX燃料差止裁判におけるデータの非開示の問題等で、MOX燃料自体の品質や安全性に疑義が生じていますが、その品質保証確認の為にも、生データの開示、その公開は是非とも必要な要件であり、原発を運転・管理する企業としての責務だと思いますが、どう思われますか。
7.貴社は、所管官庁である経済産業省が必要に応じて立入調査ができるとの契約を、
①MOX燃料の元請け企業である三菱重工業と製造元であるメロックス社と結んでますか。
②契約を結んでいない場合、それはなぜですか。
③「BFNL検討委員会」の報告書には、「電気事業者の品質保証に関する取り組みをより確固たるものとするためには、規制当局である通商産業省がその活動状況を定期的に確認するとともに、必要な場合は調達先に対する監査・検査が可能となるよう、事業者間の契約に担保させることも必要と考える。」とあり、また原子力安全保安院の通達(2007年7月14日付け)にも、「電気事業者は、規制当局が必要に応じ、元請け企業及びMOX燃料加工事業者に立入り、調査を行うことができる旨、元請け企業及びMOX燃料加工事業者が定めていることを確認すること」とあります。こうした立入調査の契約が結ばれていないこと自体、国の原子力行政の方針に背くことになりますが、どのようにお考えですか。
8.貴社があくまでも上記データを非公開とし、当該燃料の品質及び安全性に関して合理的な説明を証拠をもって示すことができない場合、貴社にMOX燃料の装荷はおろか、最早原発を運転・管理する資格もないと思いますが、どう思われますか。
)輸入燃料体検査制度
現在の輸入燃料体検査制度の手続きにおいては、完成・輸入された燃料体について検査が行われる仕組みとなっている。現在の手続きは、発電所において検査可能な項目は燃料体の外観や集合体の寸法程度に過ぎず、他の項目は、品質保証体制が確保されていることを前提に、書類確認によって行うこととされている。―――当時の精度と現行制度の違いは何か
上記の質問に対して7月25日までに、下記の宛先まで書面にてご回答下さい。
以上
平成21年6月25日
伊方町長 山下和彦殿
申入書
「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」
第1 申し入れの趣旨
1.伊方町は四国電力に対して、四国電力が保管している(保管していないデータは取り寄せた上で)メロックス社製MOX燃料のペレットの外径測定検査(全数検査及び抜取検査等)に関する全ての生データを開示するよう要請して下さい。
2.その上で、取得した当該データの公開と、伊方町独自あるいは県と協同で、データの分析及びMOX燃料の品質保証確認を行って下さい。
3.四国電力が上記データを非開示とし、品質保証及び安全性に関して合理的な説明を証拠をもって示さない場合、伊方町として同社に対してMOX燃料の装荷を認めないで下さい。
第2 申し入れの理由
<申し入れ1の理由>
(過去において海外で製造・輸入されたMOX燃料について)
イギリスのBNFL社が製造した、関西電力・高浜原発3号機用のMOX燃料は、同社による品質管理データの捏造が発覚、既に日本に到着していた高浜原発4号機用のMOX燃料についても不正の有無が問題となり、関西電力と通産省(当時)は、高浜原発4号機用MOX燃料には「不正はない」としましたが、当該燃料にもデータの捏造があったことが判明し、関電は装荷を断念、1999年にプルサーマル計画は中断しています。
またベルギーのベルゴニュークリア社は、東京電力の福島第一原発3号機と柏崎刈羽原発3号機用のMOX燃料を製造しましたが、BNFL社によるMOXデータ捏造や東海村JCO臨界事故を受け、福島第一原発3号機用MOX燃料の安全性に疑問をもった市民団体が、福島地裁に「福島原発用MOX燃料の使用差止」訴訟を提起しましたが、同訴訟の中でも、東電は品質管理データの完全公開を拒んでいます。結局、2002年の東電による事故隠蔽により福島県がプルサーマル計画を拒否し、新潟県の刈羽村でも住民投票が行われ同計画は拒否され、MOX燃料は装荷されないままプルサーマル計画は頓挫しています。
(BNFL社製MOX燃料データ問題検討委員会の報告書について)
BNFL社のデータ捏造問題を受けて設置された「BNFL検討委員会」では、「核燃料の品質に対する規制の種類」の項で、「電力会社は、原子力発電所において使用する核燃料の品質が規制上の要求事項に適合したものとなることを確保する責任を有している。」とし、「そもそも電気事業者は、自らが高い品質保証システムを堅持するとともに、これを通じてメーカの品質保証システムの健全性を確認することにより、原子力発電所の安全運転を確保する責務を有している。電気事業者は、一旦品質保証システムに不正が発生した場合に損なわれるのは当該メーカの信頼性にとどまらないことを深く認識し、この責務を的確に果たすため不断に努力することが必要である。」と、品質保証の確認に関する事業者の責務を結論として挙げています。
(MOX燃料の品質保証確認について)
MOX燃料の品質に関しては、燃料ペレットは正円筒形でなければならず、その上・中・下の外径に対しては1000分の1ミリの精度が要求されます。規格外のペレットの使用は、燃料棒破損や炉心溶融に繋がり、重大な事故を引き起こす原因となります。よって、原子炉の安全運転のためには、MOX燃料の品質保証確認が欠くべからざる要件となります。しかしながら、この燃料ペレットの製造には高度の技術が必要な上、その検査も非常に困難です。さらに不良品を多量に出せば採算上も苦しくなるが故に、BNFL社によるデータ捏造の温床となったとの指摘があります。それだけに、燃料ペレットの品質保証確認に関しては、厳しい疑義の目をもって望み、少なくとも当該外径の生データを精査することが何より大切です。実際、日本における品質保証の確認に関しては書類による確認しかそのすべがなく、実際の生データの取得とその分析により、品質保証確認を行うことが必須となります。
(メロックス社製のMOX燃料の製造方法について)
メロックス社の製造方法は、ベルギーのベルゴニュークリア社と同じミマス(MIMAS)方式と言われる方法で、一次混合でプルトニウム約30%を製造、さらに発注者の希望する富化度に二酸化ウランを混ぜる2段階混合方式を採用していますが、二酸化ウランと二酸化プルトニウムを混合する際、プルトニウム濃度の偏りであるプルトニウムスポットが発生します。プルトニウムスポットは、局所的な高温や核反応の増大に繋がり、被覆管や燃料棒の損傷を招く危険性を増すものです。また、この製法自体が、データ捏造のあったBNFL社の製法であるSBR法より劣ると言われています。
(メロックス社製のMOX燃料の品質について)
経済産業省が財団法人原子力発電技術機構に研究委託したもので、「燃料集合体信頼性実証試験に関する報告書(混合酸化物燃料照射試験編)」(平成11年度及び平成12年度版)があります。当報告書には、メロックス社製のMOX燃料に関して、「比較的大きなプルトニウムスポットでは平均プルトニウム濃度は約30%である。この値はMIMAS法で製造したMOX燃料ペレットの一次混合粉末のプルトニウム濃度(約30%)とほぼ等しい。このことから、一次混合粉末と濃度調整用UO2粉末とを混合した際に、一次混合粉末が凝集したまま残存したのがプルトニウムスポットになったと推定される。」(平成12年度25頁)とあり、二次混合の際に、二酸化ウランと二酸化プルトニウムが均一に混ざらない同社の技術的欠陥が浮き彫りとなっています。
さらに、同報告書にあるベルゴニュークリア社製燃料のプルトニウム分布(平成11年度報告書35頁、平成12年度29頁他)をメロックス社製の分布(平成12年度75頁)と比較した場合に、「分布形状が異なり、富化度が同程度のもので比較しても、プルトニウム濃度25~30%程度のプルトニウムの面積率及び存在率はメロックス社の方が明らかに高くなっている。」、「メロックス社では、ベルゴニュークリア社と比べて、すなわち二次混合がうまくいっていない」、との指摘があります。
ちなみにベルゴニュークリア社に関しては、BNFL社よりも旧式の会社であり、使用している粉体や混合技術がBNFL社よりも古く製造技術は低いと言われており、さらに同じMIMAS方式で製造されているベルゴニュークリア社のMOX燃料よりも、メロックス社製のMOX燃料は品質の点で劣るとの上記の指摘であり、装荷さえされることのなかった過去2社のMOX燃料にも増して、メロックス社製MOX燃料の品質及び安全性に著しい疑義が生じています。
(品質管理データの公開について)
原子力基本法の第2条には、その基本方針として、「原子力の研究、開発及び利用は、平和の目的に限り、安全の確保を旨として、民主的な運営の下に、自主的にこれを行うものとし、その成果を公開し、進んで国際協力に資するものとする。」と謳われています。つまり、原則公開が原子力基本法の本旨であり、国民の「安全の確保を旨として」、すべてのデータは原則公開であるべきものなのです。
当然、MOX燃料製造会社としても、製品の品質及び安全性を証明する情報(データ)が企業秘密であるはずがなく、むしろ積極的に開示、公開することで信頼を得ることができるはずです。にもかかわらず「商業機密」として、データを公開できないようなMOX燃料メーカーと契約を結んでいるならば、そのこと自体が極めて重大な問題であり、MOX燃料の発注者であり当該電気事業の主体である四国電力としては、保管している品質管理データを(或は保管していないデータはメロックス社から取り寄せた上で)公開し、重大な危険性を孕んだ事業における説明責任を県民全体に対して行うのは当然の責務です。原発を平和目的でかつ商業利用する事業者や関連企業が、その原発の安全性を保証するデータ開示に関して、メーカーとしての占有情報などという言い訳は決して許容されることではなく、原子力発電所運転に係る安全性と、県民の生命・財産に関わる公益性に鑑みれば、全てのデータを公開することが大前提となります。万が一データの開示・公開ができないとなれば、それは県民全体に対する著しい背信行為以外のなにものでもありません。
これまでのMOX燃料の品質管理データの公開に関しては、関西電力高浜原発用のBNFL社製MOX燃料のデータが福井県の要請により、全数計測データ及び抜取検査データの殆どが開示され、そのデータを分析した市民団体によりデータの捏造が発覚しています。一方その後提起された「福島原発用MOX燃料の使用差止」訴訟の中で、東京電力はデータの完全公開に応じませんでした。当該訴訟の判決において原告の請求自体は棄却されてしまいましたが、「原子力の安全性の確保は多数の公衆の生命身体の安全性にかかわるものであるから、原子力発電所で使用される原子燃料の品質が問題とされたような場合には、可能な限り具体的なデータを明らかにして各方面における検証を可能とするように務めることが原子力分野で事業を実施する企業の責務というべきである」とし、メーカーであるベルゴニュークリア社に対して、「本件抜取検査データを企業秘密に属するとしてその一般公開を拒絶しているのであるが、ペレット外径寸法の検査データが重大な製造ノウハウにかかわるものとはおよそ考えがたく、現に競争相手企業であるBNFL社がこれらのデータを一般公開していることに鑑みれば、ベルゴニュークリア社の上記のような姿勢は非難されてもやむを得ないものがある。」と断じ、発注者であり事業主体の東京電力に対しては、「発注者の立場で、ベルゴニュークリア社に対し、重ねて特段の要請を行い、同社の頑なな対応に翻意を促し、本件抜取検査データを公開すべく努めた形跡が窺えないことは、原子力発電所という潜在的に危険な施設を設置稼動する立場にあるものとして、必ずしも充分な対応とはいい難い。」として、事業者としての東電の姿勢を指弾しています。
県内にはまだまだプルサーマル計画への疑問や反対の声も多く、決して当該計画への理解が進んでいるとは思えません。本来公開すべきものを非公開とすることによって、当該燃料への疑義と不信が生じます。まずはデータの開示、公開を四電に求めることにより、伊方町民は勿論、県民全体の不安と不信を払拭することが何より大切なことであると思います。
<申し入れ2の理由>
(国の審査の不備について)
これまでのMOX燃料の品質管理に関する国の審査については、多々の不備が指摘されています。関西電力の高浜原発3号機用MOX燃料に関してはBNFL社によるデータ捏造が発覚、それを受けて同原発4号機用燃料に関して関電が調査・確認の上報告書を提出、通産省(当時)は問題なしとして最終的な燃料の安全性を確認したにも拘わらず、後にNII(英国原子力施設検査局)等による調査で不正が判明しました。また、関西電力がBNFL社からデータ捏造に関して情報を得てからも当該情報の隠蔽を行っていたことを、監督官庁である通産省(当時)は全く気づかずにいただけでなく、発覚後も自らデータを取得して品質保証確認を行うことも、BNFL社やNIIに直接確認することさえしておりません。
一方東電は、BNFL社によるデータ捏造事件を受けて調査報告書を提出しましたが、基本的なデータはベルゴニュークリア社の企業秘密であるとの理由で情報を開示しませんでした。しかし、BNFL社製MOX燃料データ問題検討委員会において、通産省の課長(当時)が、「事業者の言ったことを鵜呑みにしたことを反省する」旨の発言を行っているにも拘らず、この時もやはり通産省(当時)は、直接データを取り寄せて自ら分析・評価を行うことはなく、監督官庁としての責任を果たすことは決してありませんでした。こうした過去の経緯を見ると、国の審査自体が著しく形骸化し、品質保証確認を行う能力が欠落しているとの結論に至らざるを得ません。
また東電に関しては、東電自身が認めている国の法的検査におけるデータ改竄が、1977年から2002年までの間に13基の原発で延べ199件あったにも拘わらず、当時の通産省が見抜くことができず、通産省の定期検査に対する杜撰な対応が明らかになっているのです。
さらに、原発の安全審査に携わる審査委員である専門家が、事前に電力会社の指導を行っていたという問題もあり、これは審査機関である国と事業者である電力会社の癒着構造を如実に示しているものであり、国の審査及び安全性審査の信憑性はさらに低下せざるを得ません。
(安全協定に基づいた町の権限と職責について)
伊方町が県とともに四国電力と締結している「安全協定書」は、「丙(四電)が設置する伊方原子力発電所に関し、丙(四電)が発電所周辺の安全確保及び環境保全について、最大の努力をする責務を有するものを確認する」とし、その第12条第1項によれば、「資料の提出及び立入調査」として、「甲(県)及び乙(伊方町)は、この協定の履行に関し、必要があると認めるときは、丙(四電)に対し、資料の提出を求め、又は発電所に立ち入り、必要な調査をすることができる。」とあります。よって、町民の安心と安全、生命と財産を守る責務を負った町としては、四電や国に審査を任せきりにするのではなく、自ら生データの取得と分析を行い、あるいは県と協同の上、MOX燃料の品質を担保し、安全を確認、保証する必要があります。
<申し入れ3の理由>
(措置要求の権限と責務について)
さらに、同「協定書」第13条には、四電に対する措置要求の権限についても規定されており、「甲及び乙は、前条第1項の規定による資料の提出又は立入調査の結果、発電所周辺の安全確保及び環境保全のため必要があると認めるときは、丙に対し、原子炉の停止、出力制限その他の適切な措置を講ずることを求めることができる。」とあり、伊方町には原子炉の停止の権限が与えられています。これは正に、町民の生命と財産を守ることを町民から付託されている地方自治体に付与された権限なのです。一旦大事故が起きれば、県内全域が放射能の被害を受けることになるのであり、プルサーマル計画は県民全体の問題です。MOX燃料の品質いかんでは、重大な事故が現実のものとなる可能性が危惧されるのであり、上記の権限に基づいて町民の生命と財産を担保することは、町の使命であり、責務です。
よって四国電力が、上記MOX燃料の品質管理データ開示を不当にも拒み、当該燃料の品質に関して合理的な説明を証拠をもって示すことができない場合には、町として同社に対してMOX燃料の装荷を認めないことは当然のことなのです。
以上
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伊方町長 山下和彦殿
公開質問状
「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」
1.伊方町は四国電力に対して、四国電力が保管している(保管していないデータは取り寄せた上で)メロックス社製MOX燃料ペレットの外径測定検査(全数検査及び抜取検査等)に関する全ての生データを開示するよう要請するつもりはありますか。ないとすれば、なぜですか?
2.伊方町は取得した当データを公開し、町独自あるいは県と協同の上、データの分析及びMOX燃料の品質保証確認を行うつもりはありますか。ないとすれば、どうやって当該MOX燃料が安全であると担保することができるとお考えですか。
3.四国電力が上記データを非公開とし、当該燃料の品質に関して合理的な説明を証拠をもって示さない場合、町として同社に対してMOX燃料の装荷を断固として認めない意思はありますか。ないとすれば、MOX燃料の安全性に関して、どのようにして町民に対し説明責任を果たされるおつもりですか。
上記の質問に対して7月25日までに、下記の宛先まで書面にてご回答下さい。
以上
「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」
伊方町長 山下和彦殿
申入書
「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」
第1 申し入れの趣旨
1.伊方町は四国電力に対して、四国電力が保管している(保管していないデータは取り寄せた上で)メロックス社製MOX燃料のペレットの外径測定検査(全数検査及び抜取検査等)に関する全ての生データを開示するよう要請して下さい。
2.その上で、取得した当該データの公開と、伊方町独自あるいは県と協同で、データの分析及びMOX燃料の品質保証確認を行って下さい。
3.四国電力が上記データを非開示とし、品質保証及び安全性に関して合理的な説明を証拠をもって示さない場合、伊方町として同社に対してMOX燃料の装荷を認めないで下さい。
第2 申し入れの理由
<申し入れ1の理由>
(過去において海外で製造・輸入されたMOX燃料について)
イギリスのBNFL社が製造した、関西電力・高浜原発3号機用のMOX燃料は、同社による品質管理データの捏造が発覚、既に日本に到着していた高浜原発4号機用のMOX燃料についても不正の有無が問題となり、関西電力と通産省(当時)は、高浜原発4号機用MOX燃料には「不正はない」としましたが、当該燃料にもデータの捏造があったことが判明し、関電は装荷を断念、1999年にプルサーマル計画は中断しています。
またベルギーのベルゴニュークリア社は、東京電力の福島第一原発3号機と柏崎刈羽原発3号機用のMOX燃料を製造しましたが、BNFL社によるMOXデータ捏造や東海村JCO臨界事故を受け、福島第一原発3号機用MOX燃料の安全性に疑問をもった市民団体が、福島地裁に「福島原発用MOX燃料の使用差止」訴訟を提起しましたが、同訴訟の中でも、東電は品質管理データの完全公開を拒んでいます。結局、2002年の東電による事故隠蔽により福島県がプルサーマル計画を拒否し、新潟県の刈羽村でも住民投票が行われ同計画は拒否され、MOX燃料は装荷されないままプルサーマル計画は頓挫しています。
(BNFL社製MOX燃料データ問題検討委員会の報告書について)
BNFL社のデータ捏造問題を受けて設置された「BNFL検討委員会」では、「核燃料の品質に対する規制の種類」の項で、「電力会社は、原子力発電所において使用する核燃料の品質が規制上の要求事項に適合したものとなることを確保する責任を有している。」とし、「そもそも電気事業者は、自らが高い品質保証システムを堅持するとともに、これを通じてメーカの品質保証システムの健全性を確認することにより、原子力発電所の安全運転を確保する責務を有している。電気事業者は、一旦品質保証システムに不正が発生した場合に損なわれるのは当該メーカの信頼性にとどまらないことを深く認識し、この責務を的確に果たすため不断に努力することが必要である。」と、品質保証の確認に関する事業者の責務を結論として挙げています。
(MOX燃料の品質保証確認について)
MOX燃料の品質に関しては、燃料ペレットは正円筒形でなければならず、その上・中・下の外径に対しては1000分の1ミリの精度が要求されます。規格外のペレットの使用は、燃料棒破損や炉心溶融に繋がり、重大な事故を引き起こす原因となります。よって、原子炉の安全運転のためには、MOX燃料の品質保証確認が欠くべからざる要件となります。しかしながら、この燃料ペレットの製造には高度の技術が必要な上、その検査も非常に困難です。さらに不良品を多量に出せば採算上も苦しくなるが故に、BNFL社によるデータ捏造の温床となったとの指摘があります。それだけに、燃料ペレットの品質保証確認に関しては、厳しい疑義の目をもって望み、少なくとも当該外径の生データを精査することが何より大切です。実際、日本における品質保証の確認に関しては書類による確認しかそのすべがなく、実際の生データの取得とその分析により、品質保証確認を行うことが必須となります。
(メロックス社製のMOX燃料の製造方法について)
メロックス社の製造方法は、ベルギーのベルゴニュークリア社と同じミマス(MIMAS)方式と言われる方法で、一次混合でプルトニウム約30%を製造、さらに発注者の希望する富化度に二酸化ウランを混ぜる2段階混合方式を採用していますが、二酸化ウランと二酸化プルトニウムを混合する際、プルトニウム濃度の偏りであるプルトニウムスポットが発生します。プルトニウムスポットは、局所的な高温や核反応の増大に繋がり、被覆管や燃料棒の損傷を招く危険性を増すものです。また、この製法自体が、データ捏造のあったBNFL社の製法であるSBR法より劣ると言われています。
(メロックス社製のMOX燃料の品質について)
経済産業省が財団法人原子力発電技術機構に研究委託したもので、「燃料集合体信頼性実証試験に関する報告書(混合酸化物燃料照射試験編)」(平成11年度及び平成12年度版)があります。当報告書には、メロックス社製のMOX燃料に関して、「比較的大きなプルトニウムスポットでは平均プルトニウム濃度は約30%である。この値はMIMAS法で製造したMOX燃料ペレットの一次混合粉末のプルトニウム濃度(約30%)とほぼ等しい。このことから、一次混合粉末と濃度調整用UO2粉末とを混合した際に、一次混合粉末が凝集したまま残存したのがプルトニウムスポットになったと推定される。」(平成12年度25頁)とあり、二次混合の際に、二酸化ウランと二酸化プルトニウムが均一に混ざらない同社の技術的欠陥が浮き彫りとなっています。
さらに、同報告書にあるベルゴニュークリア社製燃料のプルトニウム分布(平成11年度報告書35頁、平成12年度29頁他)をメロックス社製の分布(平成12年度75頁)と比較した場合に、「分布形状が異なり、富化度が同程度のもので比較しても、プルトニウム濃度25~30%程度のプルトニウムの面積率及び存在率はメロックス社の方が明らかに高くなっている。」、「メロックス社では、ベルゴニュークリア社と比べて、すなわち二次混合がうまくいっていない」、との指摘があります。
ちなみにベルゴニュークリア社に関しては、BNFL社よりも旧式の会社であり、使用している粉体や混合技術がBNFL社よりも古く製造技術は低いと言われており、さらに同じMIMAS方式で製造されているベルゴニュークリア社のMOX燃料よりも、メロックス社製のMOX燃料は品質の点で劣るとの上記の指摘であり、装荷さえされることのなかった過去2社のMOX燃料にも増して、メロックス社製MOX燃料の品質及び安全性に著しい疑義が生じています。
(品質管理データの公開について)
原子力基本法の第2条には、その基本方針として、「原子力の研究、開発及び利用は、平和の目的に限り、安全の確保を旨として、民主的な運営の下に、自主的にこれを行うものとし、その成果を公開し、進んで国際協力に資するものとする。」と謳われています。つまり、原則公開が原子力基本法の本旨であり、国民の「安全の確保を旨として」、すべてのデータは原則公開であるべきものなのです。
当然、MOX燃料製造会社としても、製品の品質及び安全性を証明する情報(データ)が企業秘密であるはずがなく、むしろ積極的に開示、公開することで信頼を得ることができるはずです。にもかかわらず「商業機密」として、データを公開できないようなMOX燃料メーカーと契約を結んでいるならば、そのこと自体が極めて重大な問題であり、MOX燃料の発注者であり当該電気事業の主体である四国電力としては、保管している品質管理データを(或は保管していないデータはメロックス社から取り寄せた上で)公開し、重大な危険性を孕んだ事業における説明責任を県民全体に対して行うのは当然の責務です。原発を平和目的でかつ商業利用する事業者や関連企業が、その原発の安全性を保証するデータ開示に関して、メーカーとしての占有情報などという言い訳は決して許容されることではなく、原子力発電所運転に係る安全性と、県民の生命・財産に関わる公益性に鑑みれば、全てのデータを公開することが大前提となります。万が一データの開示・公開ができないとなれば、それは県民全体に対する著しい背信行為以外のなにものでもありません。
これまでのMOX燃料の品質管理データの公開に関しては、関西電力高浜原発用のBNFL社製MOX燃料のデータが福井県の要請により、全数計測データ及び抜取検査データの殆どが開示され、そのデータを分析した市民団体によりデータの捏造が発覚しています。一方その後提起された「福島原発用MOX燃料の使用差止」訴訟の中で、東京電力はデータの完全公開に応じませんでした。当該訴訟の判決において原告の請求自体は棄却されてしまいましたが、「原子力の安全性の確保は多数の公衆の生命身体の安全性にかかわるものであるから、原子力発電所で使用される原子燃料の品質が問題とされたような場合には、可能な限り具体的なデータを明らかにして各方面における検証を可能とするように務めることが原子力分野で事業を実施する企業の責務というべきである」とし、メーカーであるベルゴニュークリア社に対して、「本件抜取検査データを企業秘密に属するとしてその一般公開を拒絶しているのであるが、ペレット外径寸法の検査データが重大な製造ノウハウにかかわるものとはおよそ考えがたく、現に競争相手企業であるBNFL社がこれらのデータを一般公開していることに鑑みれば、ベルゴニュークリア社の上記のような姿勢は非難されてもやむを得ないものがある。」と断じ、発注者であり事業主体の東京電力に対しては、「発注者の立場で、ベルゴニュークリア社に対し、重ねて特段の要請を行い、同社の頑なな対応に翻意を促し、本件抜取検査データを公開すべく努めた形跡が窺えないことは、原子力発電所という潜在的に危険な施設を設置稼動する立場にあるものとして、必ずしも充分な対応とはいい難い。」として、事業者としての東電の姿勢を指弾しています。
県内にはまだまだプルサーマル計画への疑問や反対の声も多く、決して当該計画への理解が進んでいるとは思えません。本来公開すべきものを非公開とすることによって、当該燃料への疑義と不信が生じます。まずはデータの開示、公開を四電に求めることにより、伊方町民は勿論、県民全体の不安と不信を払拭することが何より大切なことであると思います。
<申し入れ2の理由>
(国の審査の不備について)
これまでのMOX燃料の品質管理に関する国の審査については、多々の不備が指摘されています。関西電力の高浜原発3号機用MOX燃料に関してはBNFL社によるデータ捏造が発覚、それを受けて同原発4号機用燃料に関して関電が調査・確認の上報告書を提出、通産省(当時)は問題なしとして最終的な燃料の安全性を確認したにも拘わらず、後にNII(英国原子力施設検査局)等による調査で不正が判明しました。また、関西電力がBNFL社からデータ捏造に関して情報を得てからも当該情報の隠蔽を行っていたことを、監督官庁である通産省(当時)は全く気づかずにいただけでなく、発覚後も自らデータを取得して品質保証確認を行うことも、BNFL社やNIIに直接確認することさえしておりません。
一方東電は、BNFL社によるデータ捏造事件を受けて調査報告書を提出しましたが、基本的なデータはベルゴニュークリア社の企業秘密であるとの理由で情報を開示しませんでした。しかし、BNFL社製MOX燃料データ問題検討委員会において、通産省の課長(当時)が、「事業者の言ったことを鵜呑みにしたことを反省する」旨の発言を行っているにも拘らず、この時もやはり通産省(当時)は、直接データを取り寄せて自ら分析・評価を行うことはなく、監督官庁としての責任を果たすことは決してありませんでした。こうした過去の経緯を見ると、国の審査自体が著しく形骸化し、品質保証確認を行う能力が欠落しているとの結論に至らざるを得ません。
また東電に関しては、東電自身が認めている国の法的検査におけるデータ改竄が、1977年から2002年までの間に13基の原発で延べ199件あったにも拘わらず、当時の通産省が見抜くことができず、通産省の定期検査に対する杜撰な対応が明らかになっているのです。
さらに、原発の安全審査に携わる審査委員である専門家が、事前に電力会社の指導を行っていたという問題もあり、これは審査機関である国と事業者である電力会社の癒着構造を如実に示しているものであり、国の審査及び安全性審査の信憑性はさらに低下せざるを得ません。
(安全協定に基づいた町の権限と職責について)
伊方町が県とともに四国電力と締結している「安全協定書」は、「丙(四電)が設置する伊方原子力発電所に関し、丙(四電)が発電所周辺の安全確保及び環境保全について、最大の努力をする責務を有するものを確認する」とし、その第12条第1項によれば、「資料の提出及び立入調査」として、「甲(県)及び乙(伊方町)は、この協定の履行に関し、必要があると認めるときは、丙(四電)に対し、資料の提出を求め、又は発電所に立ち入り、必要な調査をすることができる。」とあります。よって、町民の安心と安全、生命と財産を守る責務を負った町としては、四電や国に審査を任せきりにするのではなく、自ら生データの取得と分析を行い、あるいは県と協同の上、MOX燃料の品質を担保し、安全を確認、保証する必要があります。
<申し入れ3の理由>
(措置要求の権限と責務について)
さらに、同「協定書」第13条には、四電に対する措置要求の権限についても規定されており、「甲及び乙は、前条第1項の規定による資料の提出又は立入調査の結果、発電所周辺の安全確保及び環境保全のため必要があると認めるときは、丙に対し、原子炉の停止、出力制限その他の適切な措置を講ずることを求めることができる。」とあり、伊方町には原子炉の停止の権限が与えられています。これは正に、町民の生命と財産を守ることを町民から付託されている地方自治体に付与された権限なのです。一旦大事故が起きれば、県内全域が放射能の被害を受けることになるのであり、プルサーマル計画は県民全体の問題です。MOX燃料の品質いかんでは、重大な事故が現実のものとなる可能性が危惧されるのであり、上記の権限に基づいて町民の生命と財産を担保することは、町の使命であり、責務です。
よって四国電力が、上記MOX燃料の品質管理データ開示を不当にも拒み、当該燃料の品質に関して合理的な説明を証拠をもって示すことができない場合には、町として同社に対してMOX燃料の装荷を認めないことは当然のことなのです。
以上
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伊方町長 山下和彦殿
公開質問状
「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」
1.伊方町は四国電力に対して、四国電力が保管している(保管していないデータは取り寄せた上で)メロックス社製MOX燃料ペレットの外径測定検査(全数検査及び抜取検査等)に関する全ての生データを開示するよう要請するつもりはありますか。ないとすれば、なぜですか?
2.伊方町は取得した当データを公開し、町独自あるいは県と協同の上、データの分析及びMOX燃料の品質保証確認を行うつもりはありますか。ないとすれば、どうやって当該MOX燃料が安全であると担保することができるとお考えですか。
3.四国電力が上記データを非公開とし、当該燃料の品質に関して合理的な説明を証拠をもって示さない場合、町として同社に対してMOX燃料の装荷を断固として認めない意思はありますか。ないとすれば、MOX燃料の安全性に関して、どのようにして町民に対し説明責任を果たされるおつもりですか。
上記の質問に対して7月25日までに、下記の宛先まで書面にてご回答下さい。
以上
「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」
平成21年6月25日
愛媛県知事 加戸守行殿
申入書
「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」
第1 申し入れの趣旨
1.県は四国電力に対して、四国電力が保管している(保管していないデータは取り寄せた上で)メロックス社製MOX燃料ペレットの外径測定検査(全数検査及び抜取検査等)に関する全ての生データを開示するよう要請して下さい。
2.その上で、取得した当該データの公開と、県独自のデータの分析及びMOX燃料の品質保証確認を行って下さい。
3.四国電力が上記データを非開示とし、品質保証及び安全性に関して合理的な説明を証拠をもって示さない場合、県として同社に対してMOX燃料の装荷を認めないで下さい。
第2 申し入れの理由
<申し入れ1の理由>
(過去において海外で製造・輸入されたMOX燃料について)
イギリスのBNFL社が製造した、関西電力・高浜原発3号機用のMOX燃料は、同社による品質管理データの捏造が発覚、既に日本に到着していた高浜原発4号機用のMOX燃料についても不正の有無が問題となり、関西電力と通産省(当時)は、高浜原発4号機用MOX燃料には「不正はない」としましたが、当該燃料にもデータの捏造があったことが判明し、関電は装荷を断念、1999年にプルサーマル計画は中断しています。
またベルギーのベルゴニュークリア社は、東京電力の福島第一原発3号機と柏崎刈羽原発3号機用のMOX燃料を製造しましたが、BNFL社によるMOXデータ捏造や東海村JCO臨界事故を受け、福島第一原発3号機用MOX燃料の安全性に疑問をもった市民団体が、福島地裁に「福島原発用MOX燃料の使用差止」訴訟を提起しましたが、同訴訟の中でも、東電は品質管理データの完全公開を拒んでいます。結局、2002年の東電による事故隠蔽により福島県がプルサーマル計画を拒否し、新潟県の刈羽村でも住民投票が行われ同計画は拒否され、MOX燃料は装荷されないままプルサーマル計画は頓挫しています。
(BNFL社製MOX燃料データ問題検討委員会の報告書について)
BNFL社のデータ捏造問題を受けて設置された「BNFL検討委員会」では、「核燃料の品質に対する規制の種類」の項で、「電力会社は、原子力発電所において使用する核燃料の品質が規制上の要求事項に適合したものとなることを確保する責任を有している。」とし、「そもそも電気事業者は、自らが高い品質保証システムを堅持するとともに、これを通じてメーカの品質保証システムの健全性を確認することにより、原子力発電所の安全運転を確保する責務を有している。電気事業者は、一旦品質保証システムに不正が発生した場合に損なわれるのは当該メーカの信頼性にとどまらないことを深く認識し、この責務を的確に果たすため不断に努力することが必要である。」と、品質保証の確認に関する事業者の責務を結論として挙げています。
(MOX燃料の品質保証確認について)
MOX燃料の品質に関しては、燃料ペレットは正円筒形でなければならず、その上・中・下の外径に対しては1000分の1ミリの精度が要求されます。規格外のペレットの使用は、燃料棒破損や炉心溶融に繋がり、重大な事故を引き起こす原因となります。よって、原子炉の安全運転のためには、MOX燃料の品質保証確認が欠くべからざる要件となります。しかしながら、この燃料ペレットの製造には高度の技術が必要な上、その検査も非常に困難です。さらに不良品を多量に出せば採算上も苦しくなるが故に、BNFL社によるデータ捏造の温床となったとの指摘があります。それだけに、燃料ペレットの品質保証確認に関しては、厳しい疑義の目をもって望み、少なくとも当該外径の生データを精査することが何より大切です。実際、日本における品質保証の確認に関しては書類による確認しかそのすべがなく、実際の生データの取得とその分析により、品質保証確認を行うことが必須となります。
(メロックス社製のMOX燃料の製造方法について)
メロックス社の製造方法は、ベルギーのベルゴニュークリア社と同じミマス(MIMAS)方式と言われる方法で、一次混合でプルトニウム約30%を製造、さらに発注者の希望する富化度に二酸化ウランを混ぜる2段階混合方式を採用していますが、二酸化ウランと二酸化プルトニウムを混合する際、プルトニウム濃度の偏りであるプルトニウムスポットが発生します。プルトニウムスポットは、局所的な高温や核反応の増大に繋がり、被覆管や燃料棒の損傷を招く危険性を増すものです。また、この製法自体が、データ捏造のあったBNFL社の製法であるSBR法より劣ると言われています。
(メロックス社製のMOX燃料の品質について)
経済産業省が財団法人原子力発電技術機構に研究委託したもので、「燃料集合体信頼性実証試験に関する報告書(混合酸化物燃料照射試験編)」(平成11年度及び平成12年度版)があります。当報告書には、メロックス社製のMOX燃料に関して、「比較的大きなプルトニウムスポットでは平均プルトニウム濃度は約30%である。この値はMIMAS法で製造したMOX燃料ペレットの一次混合粉末のプルトニウム濃度(約30%)とほぼ等しい。このことから、一次混合粉末と濃度調整用UO2粉末とを混合した際に、一次混合粉末が凝集したまま残存したのがプルトニウムスポットになったと推定される。」(平成12年度25頁)とあり、二次混合の際に、二酸化ウランと二酸化プルトニウムが均一に混ざらない同社の技術的欠陥が浮き彫りとなっています。
さらに、同報告書にあるベルゴニュークリア社製燃料のプルトニウム分布(平成11年度報告書35頁、平成12年度29頁他)をメロックス社製の分布(平成12年度75頁)と比較した場合に、「分布形状が異なり、富化度が同程度のもので比較しても、プルトニウム濃度25~30%程度のプルトニウムの面積率及び存在率はメロックス社の方が明らかに高くなっている。」、「メロックス社では、ベルゴニュークリア社と比べて、すなわち二次混合がうまくいっていない」、との指摘があります。
ちなみにベルゴニュークリア社に関しては、BNFL社よりも旧式の会社であり、使用している粉体や混合技術がBNFL社よりも古く製造技術は低いと言われており、さらに同じMIMAS方式で製造されているベルゴニュークリア社のMOX燃料よりも、メロックス社製のMOX燃料は品質の点で劣るとの上記の指摘であり、装荷さえされることのなかった過去2社のMOX燃料にも増して、メロックス社製MOX燃料の品質及び安全性に著しい疑義が生じています。
(品質管理データの公開について)
原子力基本法の第2条には、その基本方針として、「原子力の研究、開発及び利用は、平和の目的に限り、安全の確保を旨として、民主的な運営の下に、自主的にこれを行うものとし、その成果を公開し、進んで国際協力に資するものとする。」と謳われています。つまり、原則公開が原子力基本法の本旨であり、国民の「安全の確保を旨として」、すべてのデータは原則公開であるべきものなのです。
当然、MOX燃料製造会社としても、製品の品質及び安全性を証明する情報(データ)が企業秘密であるはずがなく、むしろ積極的に開示、公開することで信頼を得ることができるはずです。にもかかわらず「商業機密」として、データを公開できないようなMOX燃料メーカーと契約を結んでいるならば、そのこと自体が極めて重大な問題であり、MOX燃料の発注者であり当該電気事業の主体である四国電力としては、保管している品質管理データを(或は保管していないデータはメロックス社から取り寄せた上で)公開し、重大な危険性を孕んだ事業における説明責任を県民全体に対して行うのは当然の責務です。原発を平和目的でかつ商業利用する事業者や関連企業が、その原発の安全性を保証するデータ開示に関して、メーカーとしての占有情報などという言い訳は決して許容されることではなく、原子力発電所運転に係る安全性と、県民の生命・財産に関わる公益性に鑑みれば、全てのデータを公開することが大前提となります。万が一データの開示・公開ができないとなれば、それは県民全体に対する著しい背信行為以外のなにものでもありません。
これまでのMOX燃料の品質管理データの公開に関しては、関西電力高浜原発用のBNFL社製MOX燃料のデータが福井県の要請により、全数計測データ及び抜取検査データの殆どが開示され、そのデータを分析した市民団体によりデータの捏造が発覚しています。一方その後提起された「福島原発用MOX燃料の使用差止」訴訟の中で、東京電力はデータの完全公開に応じませんでした。当該訴訟の判決において原告の請求自体は棄却されてしまいましたが、「原子力の安全性の確保は多数の公衆の生命身体の安全性にかかわるものであるから、原子力発電所で使用される原子燃料の品質が問題とされたような場合には、可能な限り具体的なデータを明らかにして各方面における検証を可能とするように務めることが原子力分野で事業を実施する企業の責務というべきである」とし、メーカーであるベルゴニュークリア社に対して、「本件抜取検査データを企業秘密に属するとしてその一般公開を拒絶しているのであるが、ペレット外径寸法の検査データが重大な製造ノウハウにかかわるものとはおよそ考えがたく、現に競争相手企業であるBNFL社がこれらのデータを一般公開していることに鑑みれば、ベルゴニュークリア社の上記のような姿勢は非難されてもやむを得ないものがある。」と断じ、発注者であり事業主体の東京電力に対しては、「発注者の立場で、ベルゴニュークリア社に対し、重ねて特段の要請を行い、同社の頑なな対応に翻意を促し、本件抜取検査データを公開すべく努めた形跡が窺えないことは、原子力発電所という潜在的に危険な施設を設置稼動する立場にあるものとして、必ずしも充分な対応とはいい難い。」として、事業者としての東電の姿勢を指弾しています。
県内にはまだまだプルサーマル計画への疑問や反対の声も多く、決して当該計画への理解が進んでいるとは思えません。本来公開すべきものを非公開とすることによって、当該燃料への疑義と不信が生じます。まずはデータの開示、公開を四電に求めることにより、伊方町民は勿論、県民全体の不安と不信を払拭することが何より大切なことであると思います。
<申し入れ2の理由>
(国の審査の不備について)
これまでのMOX燃料の品質管理に関する国の審査については、多々の不備が指摘されています。関西電力の高浜原発3号機用MOX燃料に関してはBNFL社によるデータ捏造が発覚、それを受けて同原発4号機用燃料に関して関電が調査・確認の上報告書を提出、通産省(当時)は問題なしとして最終的な燃料の安全性を確認したにも拘わらず、後にNII(英国原子力施設検査局)等による調査で不正が判明しました。また、関西電力がBNFL社からデータ捏造に関して情報を得てからも当該情報の隠蔽を行っていたことを、監督官庁である通産省(当時)は全く気づかずにいただけでなく、発覚後も自らデータを取得して品質保証確認を行うことも、BNFL社やNIIに直接確認することさえしておりません。
一方東電は、BNFL社によるデータ捏造事件を受けて調査報告書を提出しましたが、基本的なデータはベルゴニュークリア社の企業秘密であるとの理由で情報を開示しませんでした。しかし、BNFL社製MOX燃料データ問題検討委員会において、通産省の課長(当時)が、「事業者の言ったことを鵜呑みにしたことを反省する」旨の発言を行っているにも拘らず、この時もやはり通産省(当時)は、直接データを取り寄せて自ら分析・評価を行うことはなく、監督官庁としての責任を果たすことは決してありませんでした。こうした過去の経緯を見ると、国の審査自体が著しく形骸化し、品質保証確認を行う能力が欠落しているとの結論に至らざるを得ません。
また東電に関しては、東電自身が認めている国の法的検査におけるデータ改竄が、1977年から2002年までの間に13基の原発で延べ199件あったにも拘わらず、当時の通産省が見抜くことができず、通産省の定期検査に対する杜撰な対応が明らかになっているのです。
さらに、原発の安全審査に携わる審査委員である専門家が、事前に電力会社の指導を行っていたという問題もあり、これは審査機関である国と事業者である電力会社の癒着構造を如実に示しているものであり、国の審査及び安全性審査の信憑性はさらに低下せざるを得ません。
(安全協定に基づいた県の権限と職責について)
県が伊方町とともに四国電力と締結している「安全協定書」は、「丙(四電)が設置する伊方原子力発電所に関し、丙(四電)が発電所周辺の安全確保及び環境保全について、最大の努力をする責務を有するものを確認する」とし、その第12条第1項によれば、「資料の提出及び立入調査」として、「甲(県)及び乙(伊方町)は、この協定の履行に関し、必要があると認めるときは、丙(四電)に対し、資料の提出を求め、又は発電所に立ち入り、必要な調査をすることができる。」とあります。よって、県民の安心と安全、生命と財産を守る責務を負った県としては、四電や国に審査を任せきりにするのではなく、自ら生データの取得と分析を行い、MOX燃料の品質を担保し、安全を確認、保証する必要があります。
<申し入れ3の理由>
(措置要求の権限と責務について)
さらに、同「協定書」第13条には、四電に対する措置要求の権限についても規定されており、「甲及び乙は、前条第1項の規定による資料の提出又は立入調査の結果、発電所周辺の安全確保及び環境保全のため必要があると認めるときは、丙に対し、原子炉の停止、出力制限その他の適切な措置を講ずることを求めることができる。」とあり、県には原子炉の停止の権限が与えられています。これは正に、県民の生命と財産を守ることを県民から付託されている地方自治体に付与された権限なのです。一旦大事故が起きれば、県内全域が放射能の被害を受けることになるのであり、プルサーマル計画は県民全体の問題です。MOX燃料の品質いかんでは、重大な事故が現実のものとなる可能性が危惧されるのであり、上記の権限に基づいて県民の生命と財産を担保することは、県の使命であり、責務です。
よって四国電力が、上記MOX燃料の品質管理データ開示を不当にも拒み、当該燃料の品質に関して合理的な説明を証拠をもって示すことができない場合には、県として同社に対してMOX燃料の装荷を認めないことは当然のことなのです。
以上
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平成21年6月25日
愛媛県知事 加戸守行殿
公開質問状
「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」
1.県は四国電力に対して、四国電力が保管している(保管していないデータは取り寄せた上で)メロックス社製MOX燃料のペレットの外径測定検査(全数検査及び抜取検査等)に関する全ての生データを開示するよう要請するつもりはありますか。ないとすれば、なぜですか?
2.取得した当データを公開し、県独自のデータの分析及びMOX燃料の品質保証確認を行うつもりはありますか。ないとすれば、どうやって当該MOX燃料が安全であると担保することができるとお考えですか。
3.四国電力が上記データを非公開とし、当該燃料の品質に関して合理的な説明を証拠をもって示さない場合、県として同社に対してMOX燃料の装荷を断固として認めない意思はありますか。ないとすれば、MOX燃料の安全性に関して、どのようにして県民に対し説明責任を果たされるおつもりですか。
上記の質問に対して7月25日までに、下記の宛先まで書面にてご回答下さい。
以上
愛媛県知事 加戸守行殿
申入書
「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」
第1 申し入れの趣旨
1.県は四国電力に対して、四国電力が保管している(保管していないデータは取り寄せた上で)メロックス社製MOX燃料ペレットの外径測定検査(全数検査及び抜取検査等)に関する全ての生データを開示するよう要請して下さい。
2.その上で、取得した当該データの公開と、県独自のデータの分析及びMOX燃料の品質保証確認を行って下さい。
3.四国電力が上記データを非開示とし、品質保証及び安全性に関して合理的な説明を証拠をもって示さない場合、県として同社に対してMOX燃料の装荷を認めないで下さい。
第2 申し入れの理由
<申し入れ1の理由>
(過去において海外で製造・輸入されたMOX燃料について)
イギリスのBNFL社が製造した、関西電力・高浜原発3号機用のMOX燃料は、同社による品質管理データの捏造が発覚、既に日本に到着していた高浜原発4号機用のMOX燃料についても不正の有無が問題となり、関西電力と通産省(当時)は、高浜原発4号機用MOX燃料には「不正はない」としましたが、当該燃料にもデータの捏造があったことが判明し、関電は装荷を断念、1999年にプルサーマル計画は中断しています。
またベルギーのベルゴニュークリア社は、東京電力の福島第一原発3号機と柏崎刈羽原発3号機用のMOX燃料を製造しましたが、BNFL社によるMOXデータ捏造や東海村JCO臨界事故を受け、福島第一原発3号機用MOX燃料の安全性に疑問をもった市民団体が、福島地裁に「福島原発用MOX燃料の使用差止」訴訟を提起しましたが、同訴訟の中でも、東電は品質管理データの完全公開を拒んでいます。結局、2002年の東電による事故隠蔽により福島県がプルサーマル計画を拒否し、新潟県の刈羽村でも住民投票が行われ同計画は拒否され、MOX燃料は装荷されないままプルサーマル計画は頓挫しています。
(BNFL社製MOX燃料データ問題検討委員会の報告書について)
BNFL社のデータ捏造問題を受けて設置された「BNFL検討委員会」では、「核燃料の品質に対する規制の種類」の項で、「電力会社は、原子力発電所において使用する核燃料の品質が規制上の要求事項に適合したものとなることを確保する責任を有している。」とし、「そもそも電気事業者は、自らが高い品質保証システムを堅持するとともに、これを通じてメーカの品質保証システムの健全性を確認することにより、原子力発電所の安全運転を確保する責務を有している。電気事業者は、一旦品質保証システムに不正が発生した場合に損なわれるのは当該メーカの信頼性にとどまらないことを深く認識し、この責務を的確に果たすため不断に努力することが必要である。」と、品質保証の確認に関する事業者の責務を結論として挙げています。
(MOX燃料の品質保証確認について)
MOX燃料の品質に関しては、燃料ペレットは正円筒形でなければならず、その上・中・下の外径に対しては1000分の1ミリの精度が要求されます。規格外のペレットの使用は、燃料棒破損や炉心溶融に繋がり、重大な事故を引き起こす原因となります。よって、原子炉の安全運転のためには、MOX燃料の品質保証確認が欠くべからざる要件となります。しかしながら、この燃料ペレットの製造には高度の技術が必要な上、その検査も非常に困難です。さらに不良品を多量に出せば採算上も苦しくなるが故に、BNFL社によるデータ捏造の温床となったとの指摘があります。それだけに、燃料ペレットの品質保証確認に関しては、厳しい疑義の目をもって望み、少なくとも当該外径の生データを精査することが何より大切です。実際、日本における品質保証の確認に関しては書類による確認しかそのすべがなく、実際の生データの取得とその分析により、品質保証確認を行うことが必須となります。
(メロックス社製のMOX燃料の製造方法について)
メロックス社の製造方法は、ベルギーのベルゴニュークリア社と同じミマス(MIMAS)方式と言われる方法で、一次混合でプルトニウム約30%を製造、さらに発注者の希望する富化度に二酸化ウランを混ぜる2段階混合方式を採用していますが、二酸化ウランと二酸化プルトニウムを混合する際、プルトニウム濃度の偏りであるプルトニウムスポットが発生します。プルトニウムスポットは、局所的な高温や核反応の増大に繋がり、被覆管や燃料棒の損傷を招く危険性を増すものです。また、この製法自体が、データ捏造のあったBNFL社の製法であるSBR法より劣ると言われています。
(メロックス社製のMOX燃料の品質について)
経済産業省が財団法人原子力発電技術機構に研究委託したもので、「燃料集合体信頼性実証試験に関する報告書(混合酸化物燃料照射試験編)」(平成11年度及び平成12年度版)があります。当報告書には、メロックス社製のMOX燃料に関して、「比較的大きなプルトニウムスポットでは平均プルトニウム濃度は約30%である。この値はMIMAS法で製造したMOX燃料ペレットの一次混合粉末のプルトニウム濃度(約30%)とほぼ等しい。このことから、一次混合粉末と濃度調整用UO2粉末とを混合した際に、一次混合粉末が凝集したまま残存したのがプルトニウムスポットになったと推定される。」(平成12年度25頁)とあり、二次混合の際に、二酸化ウランと二酸化プルトニウムが均一に混ざらない同社の技術的欠陥が浮き彫りとなっています。
さらに、同報告書にあるベルゴニュークリア社製燃料のプルトニウム分布(平成11年度報告書35頁、平成12年度29頁他)をメロックス社製の分布(平成12年度75頁)と比較した場合に、「分布形状が異なり、富化度が同程度のもので比較しても、プルトニウム濃度25~30%程度のプルトニウムの面積率及び存在率はメロックス社の方が明らかに高くなっている。」、「メロックス社では、ベルゴニュークリア社と比べて、すなわち二次混合がうまくいっていない」、との指摘があります。
ちなみにベルゴニュークリア社に関しては、BNFL社よりも旧式の会社であり、使用している粉体や混合技術がBNFL社よりも古く製造技術は低いと言われており、さらに同じMIMAS方式で製造されているベルゴニュークリア社のMOX燃料よりも、メロックス社製のMOX燃料は品質の点で劣るとの上記の指摘であり、装荷さえされることのなかった過去2社のMOX燃料にも増して、メロックス社製MOX燃料の品質及び安全性に著しい疑義が生じています。
(品質管理データの公開について)
原子力基本法の第2条には、その基本方針として、「原子力の研究、開発及び利用は、平和の目的に限り、安全の確保を旨として、民主的な運営の下に、自主的にこれを行うものとし、その成果を公開し、進んで国際協力に資するものとする。」と謳われています。つまり、原則公開が原子力基本法の本旨であり、国民の「安全の確保を旨として」、すべてのデータは原則公開であるべきものなのです。
当然、MOX燃料製造会社としても、製品の品質及び安全性を証明する情報(データ)が企業秘密であるはずがなく、むしろ積極的に開示、公開することで信頼を得ることができるはずです。にもかかわらず「商業機密」として、データを公開できないようなMOX燃料メーカーと契約を結んでいるならば、そのこと自体が極めて重大な問題であり、MOX燃料の発注者であり当該電気事業の主体である四国電力としては、保管している品質管理データを(或は保管していないデータはメロックス社から取り寄せた上で)公開し、重大な危険性を孕んだ事業における説明責任を県民全体に対して行うのは当然の責務です。原発を平和目的でかつ商業利用する事業者や関連企業が、その原発の安全性を保証するデータ開示に関して、メーカーとしての占有情報などという言い訳は決して許容されることではなく、原子力発電所運転に係る安全性と、県民の生命・財産に関わる公益性に鑑みれば、全てのデータを公開することが大前提となります。万が一データの開示・公開ができないとなれば、それは県民全体に対する著しい背信行為以外のなにものでもありません。
これまでのMOX燃料の品質管理データの公開に関しては、関西電力高浜原発用のBNFL社製MOX燃料のデータが福井県の要請により、全数計測データ及び抜取検査データの殆どが開示され、そのデータを分析した市民団体によりデータの捏造が発覚しています。一方その後提起された「福島原発用MOX燃料の使用差止」訴訟の中で、東京電力はデータの完全公開に応じませんでした。当該訴訟の判決において原告の請求自体は棄却されてしまいましたが、「原子力の安全性の確保は多数の公衆の生命身体の安全性にかかわるものであるから、原子力発電所で使用される原子燃料の品質が問題とされたような場合には、可能な限り具体的なデータを明らかにして各方面における検証を可能とするように務めることが原子力分野で事業を実施する企業の責務というべきである」とし、メーカーであるベルゴニュークリア社に対して、「本件抜取検査データを企業秘密に属するとしてその一般公開を拒絶しているのであるが、ペレット外径寸法の検査データが重大な製造ノウハウにかかわるものとはおよそ考えがたく、現に競争相手企業であるBNFL社がこれらのデータを一般公開していることに鑑みれば、ベルゴニュークリア社の上記のような姿勢は非難されてもやむを得ないものがある。」と断じ、発注者であり事業主体の東京電力に対しては、「発注者の立場で、ベルゴニュークリア社に対し、重ねて特段の要請を行い、同社の頑なな対応に翻意を促し、本件抜取検査データを公開すべく努めた形跡が窺えないことは、原子力発電所という潜在的に危険な施設を設置稼動する立場にあるものとして、必ずしも充分な対応とはいい難い。」として、事業者としての東電の姿勢を指弾しています。
県内にはまだまだプルサーマル計画への疑問や反対の声も多く、決して当該計画への理解が進んでいるとは思えません。本来公開すべきものを非公開とすることによって、当該燃料への疑義と不信が生じます。まずはデータの開示、公開を四電に求めることにより、伊方町民は勿論、県民全体の不安と不信を払拭することが何より大切なことであると思います。
<申し入れ2の理由>
(国の審査の不備について)
これまでのMOX燃料の品質管理に関する国の審査については、多々の不備が指摘されています。関西電力の高浜原発3号機用MOX燃料に関してはBNFL社によるデータ捏造が発覚、それを受けて同原発4号機用燃料に関して関電が調査・確認の上報告書を提出、通産省(当時)は問題なしとして最終的な燃料の安全性を確認したにも拘わらず、後にNII(英国原子力施設検査局)等による調査で不正が判明しました。また、関西電力がBNFL社からデータ捏造に関して情報を得てからも当該情報の隠蔽を行っていたことを、監督官庁である通産省(当時)は全く気づかずにいただけでなく、発覚後も自らデータを取得して品質保証確認を行うことも、BNFL社やNIIに直接確認することさえしておりません。
一方東電は、BNFL社によるデータ捏造事件を受けて調査報告書を提出しましたが、基本的なデータはベルゴニュークリア社の企業秘密であるとの理由で情報を開示しませんでした。しかし、BNFL社製MOX燃料データ問題検討委員会において、通産省の課長(当時)が、「事業者の言ったことを鵜呑みにしたことを反省する」旨の発言を行っているにも拘らず、この時もやはり通産省(当時)は、直接データを取り寄せて自ら分析・評価を行うことはなく、監督官庁としての責任を果たすことは決してありませんでした。こうした過去の経緯を見ると、国の審査自体が著しく形骸化し、品質保証確認を行う能力が欠落しているとの結論に至らざるを得ません。
また東電に関しては、東電自身が認めている国の法的検査におけるデータ改竄が、1977年から2002年までの間に13基の原発で延べ199件あったにも拘わらず、当時の通産省が見抜くことができず、通産省の定期検査に対する杜撰な対応が明らかになっているのです。
さらに、原発の安全審査に携わる審査委員である専門家が、事前に電力会社の指導を行っていたという問題もあり、これは審査機関である国と事業者である電力会社の癒着構造を如実に示しているものであり、国の審査及び安全性審査の信憑性はさらに低下せざるを得ません。
(安全協定に基づいた県の権限と職責について)
県が伊方町とともに四国電力と締結している「安全協定書」は、「丙(四電)が設置する伊方原子力発電所に関し、丙(四電)が発電所周辺の安全確保及び環境保全について、最大の努力をする責務を有するものを確認する」とし、その第12条第1項によれば、「資料の提出及び立入調査」として、「甲(県)及び乙(伊方町)は、この協定の履行に関し、必要があると認めるときは、丙(四電)に対し、資料の提出を求め、又は発電所に立ち入り、必要な調査をすることができる。」とあります。よって、県民の安心と安全、生命と財産を守る責務を負った県としては、四電や国に審査を任せきりにするのではなく、自ら生データの取得と分析を行い、MOX燃料の品質を担保し、安全を確認、保証する必要があります。
<申し入れ3の理由>
(措置要求の権限と責務について)
さらに、同「協定書」第13条には、四電に対する措置要求の権限についても規定されており、「甲及び乙は、前条第1項の規定による資料の提出又は立入調査の結果、発電所周辺の安全確保及び環境保全のため必要があると認めるときは、丙に対し、原子炉の停止、出力制限その他の適切な措置を講ずることを求めることができる。」とあり、県には原子炉の停止の権限が与えられています。これは正に、県民の生命と財産を守ることを県民から付託されている地方自治体に付与された権限なのです。一旦大事故が起きれば、県内全域が放射能の被害を受けることになるのであり、プルサーマル計画は県民全体の問題です。MOX燃料の品質いかんでは、重大な事故が現実のものとなる可能性が危惧されるのであり、上記の権限に基づいて県民の生命と財産を担保することは、県の使命であり、責務です。
よって四国電力が、上記MOX燃料の品質管理データ開示を不当にも拒み、当該燃料の品質に関して合理的な説明を証拠をもって示すことができない場合には、県として同社に対してMOX燃料の装荷を認めないことは当然のことなのです。
以上
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平成21年6月25日
愛媛県知事 加戸守行殿
公開質問状
「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」
1.県は四国電力に対して、四国電力が保管している(保管していないデータは取り寄せた上で)メロックス社製MOX燃料のペレットの外径測定検査(全数検査及び抜取検査等)に関する全ての生データを開示するよう要請するつもりはありますか。ないとすれば、なぜですか?
2.取得した当データを公開し、県独自のデータの分析及びMOX燃料の品質保証確認を行うつもりはありますか。ないとすれば、どうやって当該MOX燃料が安全であると担保することができるとお考えですか。
3.四国電力が上記データを非公開とし、当該燃料の品質に関して合理的な説明を証拠をもって示さない場合、県として同社に対してMOX燃料の装荷を断固として認めない意思はありますか。ないとすれば、MOX燃料の安全性に関して、どのようにして県民に対し説明責任を果たされるおつもりですか。
上記の質問に対して7月25日までに、下記の宛先まで書面にてご回答下さい。
以上