プルサーマル計画を憂慮する有志の会

愛媛県伊方発電所3号機におけるプルサーマル発電の問題を考える有志の会です。

網膜剥離の示す意味

2011年08月31日 | 日記
 引き続き私事で申し訳ありませんが、先週新たに網膜の裂孔が見つかり3度目のレーザー照射による網膜の固定手術を受けましたが、今週の診断でも少々網膜が浮きかかっているとのことで、4度目の追加照射(これまでの合計で150発以上は打ちました)を行いました。全体的に弱い部分が広がっているとのこと、また左目も同じような状態であるとのことで、来週にでも大学病院で精密検査を受けることを勧められました。

 3つに分類される網膜剥離のうち、私の場合は「裂孔性網膜剥離」に当たるようで、網膜の一部に裂け目(裂孔、円孔)ができ、そこから液化した硝子体(しょうしたい)が網膜の下に流れ込んで、神経網膜が色素上皮層からはがれている状態です。硝子体はゼリー状で、歳を取るにつれ液化して、誰でも自然と網膜から離れていくのですが、私のように網膜と硝子体が癒着して上手く分離できずに網膜を引っ張ると、破れたり穴が開いたりするわけです。

 これを放置すると、網膜がどんどん破れたり剥離していくと、視力の低下、視野の欠損、さらに最悪の場合には失明の危険性もあります。そうした病状の進行を抑えるために、レーザー光線で裂孔の周りに火傷状にして、最も剥がれ易い色素上皮細胞と神経網膜との間を繋ぎ止めます。なんとかレーザーが打てる状況なので、剥がれずに済んでいるという状態です。当初、液化した硝子体(や血液)が流れ込んで、視界が濁っていましたが、今は大分澄んできていますし、視界全体にあった黒い(煤煙状の)点は殆どなくなりました。ただ、濡れた髪の毛状のものが眼球を動かすと見えます。(飛蚊症)

 原因としては、老化による硝子体の液化と、網膜自体が薄くなってくると裂孔が生じやすくなる(老朽化した原発の配管と同じです)、私のように近視の強いと(両目とも0.01です)、液状化も進みやすく、また網膜を引っ張る力も強いようです。(当然、破れ易くなります)ただ、こうして何ヶ所も破れるケースは少ないようで、「念のため」ということで、精密検査を受けることになりました。(そう言えば、原発の避難当時、枝野さんも「念のために」と言いましたが、非常に危険な状態でした。何か嫌な感じですね・・・)

 命に関わる病気ではありませんが、昨年亡くなった義理父と同じ病気でもあり、やはり色々と考えさせられます。病気というのは、それまでの生活そのもの、食事や考え方、呼吸の仕方、或いは家族や友人関係といった人間関係、そして人生全てのあり方を象徴しているものだそうです。そのあり方を変える契機を与えてくれているものであると。単に老化だとか、誰でも病気には掛かると流さずに、また治癒すればまた元の生活に戻るのではなく、大きな人生の転機にできるのか、そのような問いを投げ掛けられているのだと思います。いずれにしても悪化して失明となれば、必然的に転機とならざるを得ないわけですが、どちらに転んでも、自分のあり方が問われていることだけは間違いのないことのようです・・・

P.S. 東電は10月初旬から、本格的な賠償金の支払いを始めるそうです。「対象は、避難住民15万人分を含め、全体で40~50万件にのぼる」(『朝日新聞』)そうですが、仮払金を受けてから避難所(住所)を変えた人や、初めて請求することになる方は、自ら東電に連絡して請求しなければならないそうです。(被災者の自己申告制ですか・・・)「さらに、移動に掛かった交通費や宿泊費、医療費の請求には、原則として領収書などの証明書類が必要だそうで、これもまた大きな障害となりそうです。役所や自治体そのものが機能していない状況では致し方ないとも言えますが、なんとも被災者に冷たい対応に思えて仕方がありません。

 これまで東電が支払った損害賠償金は1120億円で、これでほぼ下りる保険金は使い切りました。過日、東電は4000億円の欠損金を計上しましたが、これがきちんと被災者に渡るのかどうか注視してきたいと思います・・・

P.S.2 全国地方銀行協会元会長で福島商工会議所会頭の瀬谷氏が、「放射性物質を含む廃棄物の中間貯蔵施設について、『(原子力発電の)受益者は東京だ。東京のお台場にでも造ったらどうか』と述べ」、「細野原発担当相が毎週末に福島を訪れていたことを挙げ、『これまで仮置き場の議論は一切なかった。・・・』と非難したそうです。福島県民の思いとしては当然かと思います。また「一方で、『ごみは出た場所で始末するのが原則』と語り、廃棄物は『福島第1原発の敷地内に移すしかない』とも述べた」そうで、(私と同じく差別的な方のようで)現実的な対応も必要だとの言葉だと思います・・・(ただ、福島には造られても、東京にはできない、造られないというのが、この世の「利」の構造ではあるのですが・・・)

P.S.3 「経済産業省は30日、東京電力、東北電力管内の大口事業所向けに発動している『電力使用制限令』について、東日本震災などの被災地では・・・9月2日までに解除」、「それ以外の地域では、9日を最後に解除する」と発表しました。少なくとも、被災地に発令する必要など全くなかったのではないかと思います。また、復興のためにはしてはいけなかったと思うのです。兎に角、この電力使用制限令や電力不足を防ぐための節電が本当に必要だったのかは、(東電は電力使用の状況などの細かなデータを出すことを拒否していますが)今後明らかになってくるものと思います・・・

JAPAN NOTHING

2011年08月30日 | 日記
 「ジャパン・ナッシング」、昨年のジャパン・ディッシング(日本蔑視)の風潮を受けての某友人Mさんの造語です。その流れは最早、日本全体に充満しているようです。昨日の民主党党首選に海外メディアは殆ど顔を出さず、本日の野田首相誕生にも、昨日のコメント以上の記事を各国のメディアに期待することはできないでしょう。実際、日本下への特派員は激減(10分の1以下)し、その分中国へのその関心は向いているようです。日本を取材してもニュースにならないのです・・・

 ただ記事にならないだけなら良いのですが、完全に日本が無きがごとくに無視されてしまったのは、円高での首脳同士の電話会談です。世界経済への影響を案じての話し合いで、米国、フランス、ドイツにはホットラインは繋がっても、日本には掛かってこなかったとか。決断しないリーダー(菅総理)に相談しても意味がないと思われたのか?・・・そちらに意味はなくとも、経済に不相応な円高を押し付けられたこちら側には大問題なのですが。

 しかし、この構造的な円高圧力は当分の間続きそうです。円高メリットを得られないまま、日本は構造的な輸入大国としての(破滅の)道を歩まされて行かざるを得ないようです。一方日本は、中小企業を守る為として、海外進出を後押しするとか、大企業に続いて中小も日本を脱出させて、こえで日本は抜け殻そのもの、無視するも何も、本当にナッシングになってしまいそうな様相です。

それに反して、同じ自国通貨への切り上げ圧力を上手くコントロールしているのは中国で、元を小幅の切り上げに留めて、日本の轍を踏まないように、米国の要求をかわしています。それもこれも、それだけの力があるからで、経済力だけでなく、軍事、政治的な総合的力関係が、日米と中米では違い過ぎます。老いても尚力を誇示する米国に対して、日本は米軍基地一つNOと言えない、地位協定すら改定できないのです。

同じ米国の国債を大量に買っても(最早中国は米国の世界一に債権者ですが)、日本は米国債を支える為に仕方なく買わざるを得ない立場ですが、一方中国は、老いさらばえた米国に肩を貸しながら、余裕で歓待して持ち上げる、実際米国を支えるだけの力があり、中国はその力を誇示しながら、それに対して米国はお礼を言っている構図です。「利」を共有し、同じ船に乗る運命共同体といっても、随分と差があるものだと、やはり日本人としては忸怩たるものを感じるのです・・・

いずれにしても、最早日本が相手にされていない、信用されていない、そんな状況が、フクシマを契機に加速化しているように思えてなりません。差し出された「トモダチ」の手を振り払い、日本だけで何でもできるかのようにして意地を張った首相のお陰で、或いは嘘ばかり発信し続けた東電や政府の姿勢に各国首脳だけでなく、メディアもそっぽを向いてしまったようです・・・

P.S. 記者会見で保安院が、嘘と隠蔽を繰り返す態度に、海外メディアはついに誰も来なかったとか。その誰もいない会見の最後に、「質問はありませんか?」と聞いたそうです・・・たとえコントであったとしても、笑いの取れないお寒いネタです。これを真剣にやったのならば、この国の官僚は粕ですらない、全くのナッシングということになります。しかし害を及ぼすという意味では、その害は甚大なものがありそうですが・・・

P.S.2 文部科学省が事故後3ヶ月目(遅いです)に調べた、100キロ圏内のセシウムの土壌汚染の汚染マップを29日に公表しました。(これも遅すぎます)これを見ると汚染状況が一目瞭然ですが、もっと早く出せば、汚染稲藁や汚染牛対策にも役立てられたように思うのですが、兎に角対応が遅すぎて、そこうしたデータが生きない、最も効果的に役立てられる時期を逸してしまっています。このマップで除染や避難地域の見直しの資料にするそうですが、どうも80キロ圏内の汚染はかなり酷いように思うのですが・・・(牛肉の出荷制限解除などの姿勢を見ると、政府は逆に、避難地域を縮小するような可能性すらあるのではないかと危惧します・・・)せめて(2200箇所以上の)土壌を採取しているのならば、ストロンチウムの汚染マップも同時に出して欲しかったです(これからでも良いですから)セシウムと同量程度放出されている(つまり、少なくともセシウムの約2倍の放射性物質は放出されている)と考えられていますが、やはりきちんとデータとして出すべきでしょう・・・

放射性廃棄物保管施設の要請

2011年08月28日 | 日記
 菅総理は、福島県の佐藤知事に対して、「放射能に汚染された土壌やがれきを保管する中間貯蔵施設を福島県内に作るよう要請したうえで、福島県外に最終処分場を設置する考えを示した」(『朝日新聞』)とのことです。大量のガレキ、除染した土壌や汚泥、焼却灰など、放射性廃棄物処分場は。福島のみならず多くの都道府県で必要となってきています。ただ何故、福島県だけに要請したのか、しかも最終処分場候補地すらない現時点で、県外に最終処分場を約束するような「ヤラセ」手形を振ったのか・・・

 中間貯蔵施設といっても、実質最終処分場です。これまで各原発などは、使用済燃料(核廃棄物)でいっぱいで、間隔を2分の1に狭めて詰め込んでいますが、それでももうじき持って行き場がなくなります。ですから原発が最終処分場と化しているわけですが、フクシマ人災事故によって日本中に撒き散らされた膨大な量の放射性物質の処分場が喫緊の課題であり、放射能汚染の封じ込め(2次汚染拡大の阻止と国民の健康と生命を守ると言う)という意味でも、一刻も早く厳格な核廃棄物(放射性廃棄物)の保管施設が必要です。

 廃棄物は移動させないのが原則ですから、実際には各都道府県ごとに放射性廃棄物保管施設を造らねばありません。今朝の新聞では環境省が、「放射能で汚染されたがれきなどの焼却灰について、これまで一般の処分場に埋め立て処分できるとした暫定基準地(1キロ当たり8千ベクレル以下)を見直し、地下水への流出などを防ぐ特別な措置を取れば10万ベクレル以下まで埋設できるとする新しい処理の方針」を出しています。

しかしながら、まず第1に放射性廃棄物の付着したガレキや濃縮された汚泥等の廃棄物を焼却してはいけません。そのような国は、世界中見ても何処にもないでしょう。次に一般最終処分場に放射性廃棄物を一緒に埋設する国も聞いたことがありません。そしてさらに、これまで8千ベクレル以下としていた暫定基準を、10万ベクレル以下まで埋め立てることができるように基準を緩和(引き上げ)しています。まったくもって信じられません・・・

 一般の最終処分場も容量が逼迫しており、それほど余裕はありません。しかも、遮水施設といってもごつめのビニールシートを2重に敷いているだけで、10年もしないうちに破けて漏れ出てしまいます。そのような処分場が日本中に何百施設とあって、重金属類の漏出と環境汚染、癌や脳腫瘍等の健康被害が出ています。(余り公にはされませんし、因果関係が認められることはありませんが)同指針程度の「特別な措置」では、数十年もしないうちに放射能汚染された水や物質が漏出してしまうでしょう。

やはり、厳格に管理できる放射性廃棄物保管施設は必要なのです。それを何処に造るかですが、基本的に政府が、各都道府県と話し合いながら、排出された各自治体に造るしかないでしょう。勿論、福島にも必要でしょう。宮城にも、(汚染イネワラを保管する為にも)岩手にも、東京にも茨城にも、静岡にも奈良にも、放射性物質が降り注いだ全ての都道府県に、その汚染土壌等の廃棄物を保管する為に造らねばなりません。それが原発を引き受けるということであり、原発で発電された電力を享受してきた国民の義務なのだと思うのです・・・

P.S. 27日埼玉県で開かれた「放射線事故医療研究会」で原子力安全委員会の助言組織メンバーの鈴木氏は、「外部被曝の検査結果などを振り返ると、安定ヨウ素剤を最低1回は飲むべきだった」と指摘、「3月17日、18日に福島県で実施された住民の外部被曝検査の数値から内部被曝による甲状腺への影響を計算すると、4割が安定ヨウ素剤を飲む基準を超えていた恐れがある」としました。しかし「今回、政府は原発周辺住民にヨウ素剤の服用を指示」しませんでした。ベント前にヨウ素剤を配布、服用を指示する時間は十二分にあったと思うのですが・・・

P.S.2 北海道電力の泊原発3号機でのプルサーマル計画導入の是非をめぐるシンポジウムでも、動員、ヤラセ発言を促すメールを出していたそうです。といいますか、全ての住民説明会やシンポジウムで同じことをやっていた(る)ことでしょう。つまり、それ(ヤラセ)を前提としたこの世界の構造(システム)の認知こそ、現実を理解するために必要なことのようです・・・

P.S.3 菅さん、国民にとって貴方の「評価」などどうでも良いのです。少なくとも、「後世に委ねる」必要など全くありません。もう答えは出ていたのです。分からなかったのですか?!・・・

「構造的暴力」と犯罪行為

2011年08月27日 | 日記
 タレントの紳助さんが自身の暴力団との交際を理由に芸能界を引退されました。経緯を良く知りませんから、その是非ついてはコメントしませんが、暴力団が違法行為を行なう犯罪組織であることは間違いのないことです。ただ、警察の裏金問題を現役警察官として告発し、裁判闘争を行なった仙波さんはその著書の中で、「警察は日本最大の犯罪組織」だと公言されています。紳助さんは、そのことを知っていて、右翼とのトラブルを警察には相談しなかったのでしょうか?それが気に喰わない警察が(腹いせに)、「暴追」条例施行を契機にして、捜査情報を意図的にリークしたのでしょうか?真相は分かりませんが、少なくとも暴力団と警察を差別(しゃべつ)する謂れはなさそうです。どちらも犯罪行為を行なう、犯罪組織であることだけは間違いがないからです。

 では合法なら犯罪行為ではないのかいう問題が生じてきます。現在、合法的に他国の資源を搾取し、その環境を破壊して、自然を汚染、住民の生活環境を奪っても、それは合法的な経済活動としてお咎めはありません。アスベスト(石綿)によって甚大な被害が出ても、(裁判所がお墨付きを与えて)誰も違法だと罰せられることはありません。しかし、これらは犯罪ではないのでしょうか?フクシマによる放射性物質の放出は犯罪ではないのでしょうか?クリアランスと言う名で、日々合法的に放射能汚染を撒き散らすことは、やはり合法であって犯罪とは言わないのでしょうか?どうも合法行為と言われるものの中にも、沢山の犯罪行為が潜んでいるようです。

 多くの民主主義国家は、憲法を掲げ、人権を擁護し、平和を愛する国だと喧伝されます。その民主化の為に、かつては英雄だったカダフィー大佐は、その首に懸賞金を付けられ暗殺されようとしています。そう言えばテロリストのビンラディン氏も夜襲され殺されました。イラクのサダム・フセイン元大統領は裁判の末処刑されました。民主化とは人を殺すことなのでしょうか?しかも劣化ウラン弾やミサイルを何十万発と撃ち込み、一般の民衆を大量に殺戮しながら(クラスター爆弾の)不発弾を撒き散らし、放射能汚染によって大量の子どもたちを白血病によって死に追いやることなのでしょうか?これは犯罪ではないのでしょうか?

 構造的暴力を私はこれまで問い続けてきました。軍事的、政治的のみならず、経済的な暴力も構造的に生じています。資源の輸入や食物の輸入はその典型的なものです。日本はそれらの世界最大の輸入国であり、国として、他国に対して極めて大きな構造的「暴力」を振るってきました。これは犯罪ではないのでしょうか?合法云々の誤魔化しではなく、立場を利用して人を傷つけ痛めつけ、或いは搾取し奪い取れば、それが犯罪なのではないかと思うのです。そうした構造(的暴力)の中に、私たちはいる、否応なく取り込まれ(日常的に暴力を振るい、振るわれ)生きている、それが現実なのではないかと思うのです・・・

P.S.  マザーの持ち物はサリー2枚だったとか。これは実質的に何も持っていないことを意味します。つまり構造的暴力から脱しているのです。では私はどれほどの物を所有しているのでしょうか?・・・結局その分だけ、私は暴力を振るい、犯罪を犯しているのです。私が極悪人であることの証左です・・・

P.S.2 1953年、不平等な(構造的暴力的を受けざるを得ない)日米地位協定が改定されたのですが、その際、「日本政府が在日米軍関係者の公務外の犯罪について『重要な事件以外は裁判する権利を有しない』(*逆に言うと、公務内ならどのような犯罪を犯しても、米軍の兵士を裁判にすら掛けられないということです)との見解を明記した秘密文書を交わしていた」(『朝日新聞』)そうです。正に「改定」そのものがヤラセであって、実質的に何も変わっていない、つまり日本は治外法権下に置かれており、構造的暴力に甘んじなければならなかったということです(現在もそうです)。これを見ても、実は「戦後」など来ていなかったことが、「平和」など欠片も実現していなかったことが分かります。この事実は、当然ながら国民には知らされずにきました。この構造的暴力も、また(日本政府による)隠蔽行為も、犯罪なのではないのでしょうか?・・・

P.S.2 東電は、人災事故後のフクシマ原発の耐震性について、5,6号機、そして1,3,4号機に続いて、2号機も「十分な耐震安全性があるとの報告書」を保安院に提出し、保安院も「報告は妥当と評価」したそうです・・・元から「妥当」でないものを、損傷を受けたあとでもまだ、「妥当」と強弁するのでしょうか?・・・被害者意識の強い私などは、このような「嘘」でも、東電や保安院からガツンと凶器で殴られたような衝撃を受けてしまうのです。(自ら極悪人を任じている私から見ても)これは犯罪行為だと・・・

「フクシマ裁判」を占う泉南石綿訴訟敗訴

2011年08月26日 | 日記
 大阪泉南地区の紡績工場の労働者が石綿による被害を訴え、国の責任を争った訴訟の控訴審で、大阪高裁は「国が工場に局所排気装置の設置を義務づけるなどの規制を怠った」(以下、引用は『朝日新聞』)とした「一審判決が認めた国の規制の不備を否定し、原告逆転敗訴の判決を言い渡し」ました。

 判決は、「工業製品の製造や加工の際に新たな化学物質の排出を避けることは不可能であり、規制を厳しくすれば工業技術の発達や産業社会の発展を大きく阻害する」、「規制の時期や内容については、行政の裁量に委ねられている部分が大きい」とし、「事業者がコストなどを理由に排気装置の導入に積極的でな」いとして国の責任を認めませんでした。

 判決だけ読めば、人権を無視した「野蛮」の国での裁判かと見紛うばかりですが、これが「文明」の民主主義国家の本質なのかと感じ入るしかありません。まあ、これまでの公害や薬害等の裁判も、四半世紀、半世紀を掛けても裁判闘争の果てに、やはり同様の敗訴に終わることが殆どでしたから、「三権不分立」の国民不在の国家による判決としては、当然といえば当然なのかも知れません。

 しかしながら、この判を押したような判決は、今後提起されるであろう「フクシマ裁判」を占うに十分過ぎるものです。同判決に倣えば、「電力創出の際に、猛毒の放射性物質の排出やその事故を防ぐことは不可能であり、その規制を厳しくすれば、原子力技術の発達や原子力産業の発展を大きく阻害する。その規制の如何はひとえに行政の裁量に任されているものであり、コストを理由に放射性物質の排出や事故の防止を怠った責任は、一義的に電気事業者にあるのであって、規制当局である政府には存しない」といったものでしょうか。

 賠償に関しても、フクシマで作業を行い被害を受けた東電社員や警察官、自衛隊員、消防隊員のみの限定的な労災認定で終わり、避難を余儀なくされた多くの被災者は所謂「救済法」によって、僅かばかりの補償と医療費支給を受けるに過ぎないのではないかと危惧します。自主的避難やその他ホットスポットでのヒバクや、汚染された食料品による内部ヒバクによる健康被害に関しては、門前払い、原告適格すら認められることはないのではないでしょうか。

当然ながら、「フクシマ・インフィニティー」として働いてきた、今も作業されている多くの(4次以下の下請けの)名もなき作業員の方々が、救済の対象となることは決してないのではないかと思うのです。これが、少なくともこれまで国が国民に示してきた「お上」の姿勢であり、今後も変わるとは思えないのです・・・

P.S. 福島第1原発では、過酷な労働状況の中、熱中症等で倒れる方が多いようです。同原発の勤務医である森医師によると、作業員の健康状態が十分把握できていない、健康診断は東電の社員だけで、下請けの作業員は受けられない、よって癲癇などの既往歴すら把握できていないのが現状のようです。さらに、ヒバクの危険を冒しての作業の末に、賠償等を理由にした賃金カットや、ヒバクによる補償を求めないことを約束させられるとか。まさに原発奴隷そのものです・・・(そう言えば、「元祖」民主主義のギリシャでは、市民は奴隷の犠牲に「支え」られていたのでしたが、どうも「元祖」ばかりじゃないようです・・・)

地震に耐えられない原発

2011年08月25日 | 日記
 日本の原発は、津波どころか地震にも耐えられないようです。武田先生もご著書のなかで、「震度5や6、ひどいときには震度4で冷却のための電源が失われてしまう」(以下、引用は『原発大崩壊』より)、実際「4月7日に東北地方で起きた最大震度6を記録する余震、青森県の東通原発(震度4)と六ヶ所村の再処理施設の電源が切れ、ディーゼル発電の非常用電源を使」っており、「停止中の女川原発(震度5)も通常電源が止まり、予備電源に切り替わ」っています。「一連の事故の中で、東通原発が震度4以下で耐震設計されていることがバレ」たと辛辣におっしゃっています。

 実際耐震設計は、電力会社に都合よく、地震の想定を低く見積もる地震学者が重用され、それで耐震設計を行い、保安院も形式的な審議だけで合格とする内情であり、正に「耐震基準偽装事件」だと告発されています。また、「電源系とかその他付帯設備の耐震強度が一般家庭並み」、「正式には1,5倍となっていますが、震度4で壊れるぐらいだから、ほとんどやられると見ていい」と言われます。配管やその溶接部は特に弱いと言われますが、こうした部分の耐震性について、電力会社も保安院もその脆弱性を故意に無視してきたわけです。

 事実、今回の地震で、フクシマ第1の1号機は地震による冷却水を循環させる配管の破断がメルトダウンの引き金になっていると考えられているのです。しかし(某雑誌によると)2号機の水素爆発も、地震で既に圧力抑制室の一部が破損しており、メルトダウンにより発生した水素がそこから漏れ出て、格納容器内の酸素と反応して爆発した可能性を指摘しています。メルトダウンそのものは津波による電源喪失が原因としても、放射性物質を大量に放出することになる2号機の水素爆発は、地震による圧力抑制室の破損(破壊)が原因だった可能性が高いのです。(未だにその破損箇所の特定すらできていませんから、それが地震によるものか、水素爆発によるものかさえ判明はしていませんが)

 「2005年に運転を始めた東通原発も震度4の地震で全停電になったわけですから、地震に対しては新旧全ての原発は全部危ないということになる」ということです。ベントも圧力容器も格納容器も、「『三重防御』というのは原子炉を守る為の犠牲、捨石となる壁のことであって、決して住民を守ってくれる・・・壁ではない」とのことです。つまり、最終的なヒバクという犠牲(コスト)を払わされるのは住民、国民だというわけです・・・

P.S. 津波は「想定外」と強弁してきた東電ですが、「マグニチュード8.3級の地震で福島第1、第2原発に来る津波の高さを08年に試算」、「福島第1、5,6号機の海側で10.2m、1~4号機も8.4~9.3mとなり、いずれも最大5.7mの設計での想定を上回った。場所によって15.7mまで津波が駆け上がると見積もられ」ていたそうです。東電は「08年6月に・・・この試算を経営陣に報告していたが。『あくまで仮定に基づく試算』として対策は取らなかった」、09年9月には保安院に対して、「福島第1で津波が6メートルを超える可能性があると」口頭で説明したが、保安院は「東電に対策の指示は出してい」ません。さらに事故直前の3月7日には、「保安院に文書で説明。保安院の担当室長が、早急に報告書を提出し、設備面の対策を取るよう口頭で求めた」とのことです。

 これで、「想定外」は嘘で、かなり正確に「想定」していたことが判明しました。これだけ重要な事柄を殆ど口頭で済ますことも異常ですが、「想定」に基づいて津波対策を行っていれば、少なくとも津波による被害はほぼ防ぐことができていたと、返す返すも悔しく思います。東電は(或いは保安院)も、「政府の事故調査・検証委員会の調査対象になるため、公表は考えなかった」ということですが、意味が分かりません。(人の悪い私などは、)隠蔽しようとした、できるだけ知られるのを避けようとしたとしか思えないのです。こうなると益々、「事故調」は隠蔽を促す為の「ヤラセ」委員会として機能しているように思えてくるのです・・・

P.S.2 米国のバージニア州でM5.8の地震があり、ノースアンナ原発の2基が緊急停止、外部からの電力供給が途絶え、非常用ディーゼル発電機で原子炉を冷却しているとのことです。6月にはミズーリ州の原発で、「大雨の為に防水施設の一部が破損、核燃料プールの冷却機能が一時的に失われ、非常用ディーゼル発電機を動かし」ています。(引用は『朝日新聞』)地震、津波、大雨、雷、そしてテロと、原発が示す脆弱性、その危険性は際限がないように思えるのです・・・

フクシマ第一 事故原因究明の遅れ

2011年08月24日 | 日記
 「政府の事故調査・検証委員会・・・これまでに延べ126人の関係者に計300時間のヒアリングをしたことを明かにした」、「ヒアリングを拒否されたケースはない」、「ただ、『判明した正確な事実を公表できる段階にはない』として内容の詳細は明かさなかった」とのととです。中間報告は年内にまとめる予定だそうです。もうすぐ事故から6ヶ月が経とうとしているのですが、設置の遅れた調査・検証委員会の報告はさらに遅れ、それまでは手に入れた情報さえ公開しない姿勢のようです。これでは意図的に事故原因の解明を遅らせているようにしか見えません。

 また自民・公明・たちあがれ日本の野党3党が提出した国会内の「事故調査委員会」の設置法案について、慎重姿勢と言いますか、否決しそうな様相です。同法案は、「民間人10人で構成。原子力業界の影響を極力排除するよう『公正な判断』ができる有識者を衆参両院議長が任命」、「委員が利害関係者と接触した場合は原則報告を義務付ける」、さらに「調査委は事故原因究明に加え、政府や東電の事故対策も検証。関係者の参考人招致も可能にし、首相や閣僚の対応も対象となる」、「調査委は原則公開で、設置後6ヶ月をめどに報告書を衆参両議院に提出する」との内容です。

 正直、この法案を否決する理由が見当たりません。あるとすれば、民主党政権、政府の誤初動の責任を逃れたい、事故原因を隠蔽したいとの思いだけです。過日の国会答弁でも、米側からの協力の申し出を菅総理が断ったとの追及に、菅さんは気色を変えて「根拠もなくそのようなことを言わないように」と自らの弁護に終始していました。根拠がないのは菅さんで、3月11日の地震直後から、米軍は有事並みに大艦隊を宮城県沖に派遣して「TOMODATI」作戦を展開、「科学者20人と実働部隊50人で成る核兵器対応部隊『DART』を11日夜に青森県三沢基地に配備」、「急速冷却装置を使って原発の外部から水素爆発を止める準備をしていたが、官邸から出動要請がないまま、1・3号機で爆発が起きて」います。

 菅総理は直接米の協力を断ってはいないかもしれませんが、迅速な情報収集、適格なメルトダウン、そして水素爆発の判断と、部隊の展開、そして冷却材の搬入をし、あとは日本政府からの出動要請を待つばかりだった状況で、その「要請」を出さなかったことが、実質的に米の支援を断ったことになるのです。ベントの(「指示」でなく)「命令」の遅れや、避難命令や住民の誘導の誤りもそうですが、全て判断が遅く、しかも誤っているのです。折角米軍が国内にいる(占領を甘受している)意味が、その支援を断ったことで水泡に帰しているのです。

菅さんは、「困ったら米国任せでいいのか。日本でできることは日本がやれ」とのたまわったそうですが、何も米軍任せでなく、日本(首相)の判断として米軍の支援(外部からの冷却と水素爆発の防止)を受け入れ、日本と日本国民を守ることができたのではないでしょうか?・・・まさにこうしたことを、一つ一つ検証していくことが、「二度と同じ過ちを繰り返さない為に」非常に大切なことなのではないでしょうか・・・(それを、菅さんは、政府は、民主党は逃げようとしているとしか思えないのです・・・)

P.S. 某雑誌には、3月11日、4号機の定期点検をしていた作業員が地震発生後すぐに避難、滞在数時間に過ぎませんが、約1ヵ月後のホールボディーカウンターでの検査で大量の被曝をしていることが判明しています。(他の多くの作業員も極めて高濃度の線量を浴びています)つまり、地震直後に高放射線が放出されているとうことです。1号機の水位に関しても、当初東電がないといっていたデータはあったようで、水位の低下は明か、地震により1号機から冷却水が大量に漏れ、メルトダウンが始まっていたことが分かります。こうしたことは、いくつかのデータが出てくれば一つ一つ事実として公表できる事柄であって、一刻も早く、事故原因を明かにして頂きたい、或いは少なくとも得た情報を適宜に全て開示して頂きたいと思うのです・・・
 
P.S.2 先日の「TVタックル」によると、過日首を切られた経済産業省の松永事務次官、細野エネルギー庁長官、寺坂原子力安全・保安院長のお三人、退職金が早期退職扱いの2割増しで、6千数百万(細野、寺坂)、7千数百万(松永)だそうです。更迭など名ばかりで、逆に厚遇しているのが実態のようです。後任も順繰りの人事で、これを手柄として菅さんと海江田さんが鞘当していたとは、何ともレベルの低い国家のトップであることでしょうか。情けなくてこちらが泣けてきます、海江田さん・・・(ちなみに、退職金を被災地に募金なさるお気持ちはありませんか?・・・)


環境を破壊する自然エネルギー

2011年08月23日 | 日記
 原発事故後、「自然エネルギー」が持てはやされ、我が国のトップも、「脱原発」して自然エネルギーにすれば問題は解決するかのようなお考えなので、きちんと自然エネルギーがどれほど環境を破壊し、生態系に影響を及ぼすものか考えて見たいと思います。

 水力発電に関して武田先生はその著書『原発大崩壊』の中で、ダムを作ると「水が淀むのです」、「淀んだ河はやがて水が腐ります」、「水質が変わったことで死滅する生物も出てきます」、さらに「奪った水力の3分の1で発電し、残りの3分の2は熱となってしまいます。だから正確には水力発電の下流は温かい水が淀んでゆっくり流れる」ことになるのです。(原発の場合は、放射性物質を含んだ温排水が大量に流れ出ていますが)これでは地球温暖化に寄与してしまいます。原発も当然、温暖化にかなり寄与しています。(ただ、地球温暖化そのものが「嘘」のようですが・・・)(また、捨てている揚水発電は利用すべきだとは思います)

 太陽光発電はどうでしょうか。広瀬隆氏は某雑誌で、「原発1基の100万Wを発電するのにどれだけのパネルが必要か。東京の山手線の内側と同じ面積の土地が必要」、「太陽光パネルを大きくすればするほど自然破壊になる」と言われていますが、武田先生も、「太陽光発電というのは全ての生物や植物に平等に降り注ぐ太陽光を奪っている」、「膨大な数のソーラーパネルを敷きつめれば、膨大な土地が太陽を奪われた『死の世界』になるのは自明の理」、「ビルの上とか民家の屋根に敷きつめれば、自然破壊をしないじゃないとの反論」には、「その程度で発電できる量はたかが知れて」いるとのことです。

 風力発電について広瀬氏は、「太陽光発電の5倍の土地が必要」、「風力発電を建てさえすれば国から補助金が出た」、「原発と同じ構造」があると言われます。発電量が少ない上に不安定、発電できる強風(暴風)がふくとブレード(羽)が故障し、「鳥がブレードに当たるバードストライクで、付近の野鳥の生息数は20分の1に激減」、「ブレードの羽の影がストロボのように目にちかちかする」、「たまに回れば騒音がひどい」うえに、「山を削る面積が大きく。自然破壊がひどい」とのことです。

 地熱発電やバイオマスにも問題はあるようです。武田先生によると、日本は山国で平地が少なく、しかも人口が多いので、自然エネルギーでやっていくには無理があるようです。(結局、日本の現在の原発は全て危険なので止めて、もっと安全な原発を造って運転すべきだ、というのが先生のお考えのようです)また以上のような自然破壊、環境破壊が造る時点から、そして使用中に発生するようですから(勿論、大量のガレキ等の廃棄物が出ますから、バックエンドの負荷も大きいでしょう)、自然エネルギーは決して環境に優しい安全な代物ではないのです。結局のところ、電力を使う生活、電力を使う経済活動そのもの(まさに、この世界の「利」の構造を支えているものの象徴が「電力」ということなのでしょう)が問題なのであって、原発はその問題の頂点にあるというだけのことなのです。原発がなくなれば、それで問題が解決するのであれば、それほど安易なことはないのですが・・・

P.S. 国立環境研究所は津波を被ったガレキの燃焼実験を行い、ダイオキシンの発生が汚泥と廃材を一緒に燃やした場合、ダイオキシンの発生が2倍以上となったが、「既設のフルターで取り除くことができ、濃度は基準値以下にできた」(以下、引用は『朝日新聞』)、「ただ粒子が細かい汚泥はフィルターを目詰まりさせやすくなり、交換頻度は上げる必要がある」との結果を公表しました。「毒性を持つダイオキシンは塩素を含む物質の不完全燃焼などで発生」し、「仮置き場では津波の堆積物と一緒に置かれている」とのことです。

実際、津波を被ったガレキは、塩分を含んでおり、ダイオキシンだけでなく、他の重金属類による被害の恐れもあります。さらに、岩手の松の木により明らかとなった、放射能物質がどれくらいガレキに付着しているのかも調べる必要があります。ただ、フィルターそのものが高価な為、頻繁な交換はランニングコストが嵩み、実際には規定どおり行なわれないことが多く、業者任せでは結局のところダイオキシンや重金属類、そして放射能汚染が拡散する恐れがあるのです・・・

P.S.2 九電で発覚した耐震安全評価でデータの誤入力が関電でも発覚しました。「原子炉建屋が揺れを受けた際に壁に生じる抵抗力の数値を誤って実際より小さくしたため、隣接部位で想定される最大のひづみが約1.2%小さく算出されていた」とのことです。これは委託された大手ゼネコンの竹中工務店による誤入力ですが、入電の場合は別の委託先で、どうも電力会社は複数の委託先にこうした仕事を丸投げしているようです。こうなると当然ながら、仕事を受注した企業は電力会社に都合の良いデータで計算や評価をすることとなり、甘い結果が出ることになります。つまりこうした誤入力は、構造的な「ヤラセ」であるとの疑念が自然と湧いてきます。小さなデータの過小評価も、様々な項目ごとに積み重ねていけば、その乗数の差は膨大なものになります。そしてさらに、その結果にお墨付きを与える保安院もまた、天下り先の特殊法人等にその検査を丸投げしていく構造となっているのです。ですから誰も責任を取らない、取れないはずです。これで安全を保障することなどできるはずもありません・・・

原発輸出政策の堅持

2011年08月22日 | 日記
 (『朝日新聞』によると)7月中旬に、「リトアニアの原発入札で、日立製作所が米ゼネラル・エレクトリックとともに東芝傘下の米ウエストハウチングを抑え優先権を得た」とのことです。これまで「民主党政権は・・・(閣議決定して)新成長戦略の柱に原発を位置づけ、官民一体のインフラ輸出戦略を描い」いてきたのです。新たなビジネスモデルを展開できない日本にとって、原発輸出は今後の金のなる木となる可能性が高いのです。

実際、フクシマを経ても尚、世界の原発推進の流れは変わってはいません。中国やインド、タイ、ベトナム、トルコやヨルダン、そしてリトアニア等々、経済発展を目指す国々にとって不可欠の電力供給には、いくら危険であっても原発が欠かせないわけです。いえ、そのコスト(犠牲)を払ってでも、経済発展をしたい、しなければ生き残れないとの思いは強いのです。この流れは、残念ながら今後も不変だと思います。

現在原発を輸出するには、輸出移入国間での原子力協定の締結が必要です。これは、原子力推進組織であるIAEAの旗の下、原子力の「平和」利用をアピールする為の(一応、国際組織間の原発輸出の為の法的枠組みですが、実質は)「通過儀礼」です。IAEAの有り難い監視の下で、原子力(核爆発)は「平和」に使われますよ、という形を取ったヤラセ協定です。ちなみに日本は、米、英、仏、中、豪、加、カザフスタン、ユーラトム(欧州原子力共同体)と同協定を締結済みで、インド、南アフリカ、トルコ、ブラジル、アラブ首長国連邦と交渉中、ロシア、ヨルダン、韓国、ベトナムとの交渉を今国会に提出する予定とのことです。

菅総理も国会にて、国内での原発新設や稼動中の原発の停止等の政策と、原発輸出との矛盾点について野党から追及されていましたが、確かに、国内と国外の原発を「差別(しゃべつ)」する謂れはありません。国内の原発が危険なら、海外の原発も同様です。国内の原発が(原発奴隷なしでは維持できない)非人道的代物なら、海外でも同様のはずです。同じ論理で、浜岡原発が危険なら、全ての原発が危険であって、停止しなければならない論理です。(まあ、止めただけでは、使用済燃料プールに大量の核燃料がぎゅうぎゅう詰めとなり、トタン一枚隔てただけで何の防護もありませんから、返って危ないのですが・・・)

今現在日本企業が輸出を目指している国は、トルコ、ヨルダン、ベトナム、リトアニア、カザフスタンですが、三菱重工は仏アレバと、日立は米GEと東芝は米ウェスト・ハウティングを買収しての三つ巴で、しかも最早一国だけの「利」というよりは、各国提携しながらの原発ビジネス争奪戦であって、これもまた熾烈な経済戦争が進行中なのです。この「利」の構造からの脱落は、この世界からの脱落を意味し、福沢のいう「差別化」をより多くの他国から受けることを意味します。(勿論現在は、より多くの他国を「差別化」しているわけで、それにより「文明」であることが可能となっているのです)つまり、「文明」から「半開」、さらには「野蛮」へと落ちていくことになるのです。(そのことがどのようなことを意味しているのか、皆さんはお解かりでしょう・・・ちなみにソマリアは40万人の餓死者の危機にあるとか、これはこの世界の「利」のシステムから見放された国の、その民の行く末です。まさに構造的(システム)暴力であり、「人道に反する罪」だと思うのです・・・)

 こうした流れは、原発、その輸出(日本は米国から輸出され、これだけ甚大な被害を受けながら、今度はそれを「利」の為に輸出するするというのです)だけに留まるのではありません。現在製造・流通しているほぼ全ての製品が、そのほぼ全ての経済活動が、この「利」の構造下にあるのです。(原発どころか、所謂、自然エネルギーが、如何に自然を破壊するものであるかは言うまでもありませんが)少なくともこうした電力を象徴とするエネルギーを必要とする活動を放棄しない限り、この「利」のシステムから脱することはできないのです・・・(当然ながら、パソコンも、ネットもできません・・・)

P.S. 政府は、放射線量の高い原発周辺の土地を(買い上げでなく)「借り上げ」、住民の居住を長期間禁止、地代を払うことで損害賠償とする考えのようです。しかし、大熊町小入野では推定年間積算線量が508,1mSvとのことで、最早50年、いえ何百年も住めるような環境ではありません。先祖の土地を手放したくないとの懸念があると民主党内の意見もあるそうですが、その地元とどうも政府は交渉していない、相談すらしていないようです。20日に視察のため現地入りした細野原発担当大臣は、同行した双葉町大熊町の両町長には「国を挙げて除染に取り組む」と伝えだけで、「借り上げ」の話(相談)は一言もなかったようです。またまた民主党の、民主党政権の独断、上意下達方式ですか。相手の話を聞くという、物事を進める基本的手順すら知らないのでしょうか?・・・

P.S. 文部科学省が19日に発表した、20キロ圏内の警戒区域の推定年間放射線積算量は、先ほどの大熊町小入野(西南西3キロ)の508,1mSvを最高値として、大熊町夫沢(西2、5キロ)393,7mSv浪江町川房(北西20キロ)、双葉町長塚(北北西2キロ)172,4mSv、富岡町小良ヶ浜(南南西6キロ)115,3mSv等々となっています。大熊町、双葉町はもとより、浪江町の高線量は、避難基準となっている20mSvの範囲が、実際何処まで広がるのかという懸念を増大させます(少なくとも60キロ離れた福島市はその範囲に入るでしょう)。しかも、その基準が極めて高い(人権抑圧を叫ばれていたソビエトのチェルノブイリでさえ5mSv)ですから、年間積算の推定値は20キロ圏内ではなく、少なくとも100キロ圏内で年間1mSvを超える危険性があるところは全て出して頂きたいと思うのです・・・

コメから放射性セシウム検出

2011年08月21日 | 日記
 「茨城県は19日、鉾田市で採取したコメから、放射性セシウム134が1キロあたり23ベクレル、同137が同29ベクレル検出された、と発表」、「8月11日に市内3ヶ所の水田から刈り取っり、検査したところ、1ヶ所のコメからセシウムが検出された」とのことです。

 コメから初のセシウムの検出で、100キロ以上はなれた茨城県での検出ですから、放射能汚染の広がりを実感するとともに、極めて強い危惧を感じます。今回の茨城県での検出が、数十ベクレルで微量だと片付けることは決してできません。主食であるお米は毎日食するものですから、それが微量でも毎年、何十年と食べ続けるわけですから、その健康への影響は少なからぬものがあると推測されます。摂取し、蓄積し、被曝し続けると考えると、その晩発性障害の危険性は非常に高いものがると思います。

 また、これまで食品に関しては、当初半減期の短い放射性ヨウ素、そしてその後はセシウムに特化して調査が行われてきましたが、骨癌を引き起こすといわれているストロンチウムや、さらに毒性の強いウラン、プルトニウムの汚染調査は未だに行われていません。テルル129やアメリシウム等、何十種類とある核種のうち、2種類だけの内部被曝だけでは、被曝の総量を正確に把握することはできないのです。

 福島の子供達の尿から検出されたセシウムに関して矢カ崎先生は、「どう少なく見積もっても、尿として出た線量の150倍近くが身体の中にあると推計できる」、「さらに・・・ストロンチウム90が出てきたら、生物学的半減期はさらに長く、大変なことになる。『軽微な被曝』と過小評価してはなりません」、「体内で放射性微粒子が放射線を出すと、特定の部位を集中して被曝させることになり、人体に非常に危険な作用を及ぼす」(『週刊現代』)と警告を発しています。

体内被曝の検査にしても、ストロンチウムの検査が必要だということです。また、ほんの微量でも極めて強い毒性を示すプルトニウムは、検出されただけで近づくことができない代物です。そのような危険な放射性物質の調査を、なぜ政府は国を挙げて行わないのでしょうか?国民の安全を守る為には、決して避けては通れないものだと思うのですが・・・兎に角、全てが闇の中です。政府は自ら積極的な汚染調査をせず、握っている情報も出してはいません。ですから、自治体や市民の方々が辛うじて、自ら自費で、調査や検査をしている状況です。しかしこれでは実態把握からは非常に遠いところにあるというのが現状なのです・・・

P.S. 「島根県は19日、福島県内の牛を5~6月に購入した農家15戸のうち2戸から放射性セシウムを検出、1戸は国の暫定基準値を超えていたと発表」、「15戸は福島第1原発周辺の農家が飼育していた牛を含む計77頭を購入」、「農林水産庁はこのうち64頭について今月11日、汚染わらは与えられていなかったとして県に出荷を認める通知をしていた」が、「島根県の独自調査で、64戸中、2頭を購入した1戸から2700ベクレル、3頭を購入した別の農家で100ベクレルを検出した」そうです。

農水省のお墨付きは、決して安全を意味しないことが判明してしまいました。汚染経路は定かではありませんが、牛が汚染され、その牛が移動(拡散)し、その糞尿によって汚染がさらに広がるという悪循環が生まれています。「口蹄疫」発生の時でさえ、畜産を守る為に、発生地域の全頭殺処分を行ったというのに、人や動物、植物の遺伝子を含むあらゆるものに影響を及ぶす放射能汚染牛を、ここまで簡単に拡散させるとは・・・この政府は全てに渡って、余りにも危機管理意識がなさ過ぎるのではないかと言わざるを得ません・・・