プルサーマル計画を憂慮する有志の会

愛媛県伊方発電所3号機におけるプルサーマル発電の問題を考える有志の会です。

薄氷の上の伊方原発

2011年05月28日 | 日記
 昨夜、NHK(ローカル)の「四国羅針盤」で伊方原発をフィーチャーしていました。伊方原発は加圧水型の軽水炉で、福島第1原発の(GE製の)沸騰水型よりは圧力容器も厚く、発生した蒸気を使った(電気を使わない)冷却システムで、より安全だと言われていますが、結局、蒸気発生器(その中の(約3千本ある)電熱菅(直径2センチ、厚さ1.3ミリしかありません)が損傷してしまうと、フクシマを同じ事態が生じてしまいます。

 四電は、国の要請に応え、ポンプ等を高台へ移したり、電源車を配備したりして、津波対策、電源喪失対策を講じましたが、この地震による配管破損(或いは断裂)に対する対策は手付かずです。実際これまでも、蒸気発生器(つまりこれが実質的な冷却装置です)にヒビが入ったり継ぎ目の溶接の不備が見つかっています。

この地震による電熱菅(細菅)の断裂の可能性について、四国電力原子力本部の柿木副本部長は、「地震による破損はない」、「基準値振動の1,5倍では壊れない」が、でも「どこまでもつかは分からない」と矛盾した答えをしています。しかしその基準値振動自体が、断層のずれを最大で54キロ動いたと想定した570ガルであって、日本国内の他の原発と比べても低い評価なのです。

 高知大学の岡村教授は、200キロを超える断層のずれを予測し、最低でも1000ガルの揺れを想定すべきだとしています。(ずっとそう言い続けてこられています)伊方には、30年以内に60%の確率で起こると言われている、M8.6の想定の南海地震や、M8.0の中央構造線による地震が、いつ襲うかも分からず、最悪の事態を想定して安全対策を行う必要がありますが、現在伊方原発がそれに耐えうるとは思えません。

電源喪失もそうですが(某友人Nさんの話では、福島では電源車からの接続がショートして繋げなかったとか)、電源車やポンプを高台に用意するだけでは、安全対策は万全ではありません。やはり、地震による配管の断裂、継ぎ目からの冷却水の漏出が、メルトダウンを将来させる可能性は、決してゼロになることはありません。

 伊方原発から私の住む町、隣接する松山市は伊方から直線距離で50キロ余りです。風向きを考えると、飯舘村や浪江町と同じく、一旦シビア・アクシデントとなれば高濃度の放射能汚染の被害地となることは必至です。フクシマは決して他所事でも他人事でもありません。シビア・アクシデントは私事(わたしごと)なのです・・・(真面目に考えると怖くなります。家も土地も、仕事も、そして健康(人命)までも含めて、全てを失うことになるのですから・・・)

P.S. 現在点検中の伊方3号機には、プルサーマルによるMOX燃料が装荷されています。MOX燃料に含まれるプルトニウムの恐ろしさと危険性は、言うまでもありません。中村知事は、3号機の運転再開について、「現在白紙」とコメントしていますが、これは決して、原発政策を見直そうとか、県民の安全を考えてのことのようには思えません。年間降りる電源交付金(約7億6千万、県にも1億数千万分担されます)の大幅増額が、その意図のようです・・・

P.S.2 中村知事は、運転再開の条件に、地元の意向をその条件の一つにしていますが、地元とは、交付金を貰っている伊方町(と八幡浜町)だけなのでしょうか?これまで伊方原発に関わる裁判で、原告適格が50キロ圏内との判決もあり、一旦シビア・アクシデントが起これれば被害を受ける危険性の高い50キロ圏内は、まさしく「地元」なのだと思います。その地元の意向を、つまり住民の意思にきちんと耳を傾ける、その為には、「住民投票」をはじめとする住民意思を問う方策を、是非実行して頂きたいと思います・・・