プルサーマル計画を憂慮する有志の会

愛媛県伊方発電所3号機におけるプルサーマル発電の問題を考える有志の会です。

政府地震調査委員会の報告書

2011年05月10日 | 日記
 政府の地震調査委員会の報告書があったそうです。地震の前に取りまとめられていましたが、震災、津波災害、原発人災と続く中、公表が延ばされていたとのことです。(以下、引用はNHKニュース)

「東日本大震災が起きる前のことし2月、政府の地震調査委員会が、1100年余り前に東北の太平洋沿岸で起きた地震の研究成果に基づいて、巨大津波の危険性を指摘する文書をまとめ、公表する予定だったことが、NHKの取材で分か」った、「検討に関わった専門家は『危険性の評価や公表を急ぐべきだった』と話してい」るそうです。

「この文書は、最新の研究成果に基づいて、従来の評価を見直し、1140年余り前に大津波を引き起こしたとされる『貞観地震』について初めて記述」、「『貞観地震』は三陸沖の一部と宮城県沖、それに福島県沖の少なくとも3つの海域で連動して発生したマグニチュード8.3程度の巨大地震だったと推定され、宮城県と福島県の広い範囲が津波で浸水していたと分析」、「そのうえで、宮城県沖と福島県沖では、今後も『巨大津波を伴う地震に留意する必要がある』として津波の危険性を指摘」、

「文書の検討をした部会の委員で、東京大学地震研究所の都司嘉宣准教授は『巨大地震が発生する確率は低くても、可能性が分かった時点で注意を喚起するべきだったと痛切に感じている。今後は、各地の対策に生かすために過去の地震や津波をさらに解明し、評価に反映させることを急がなければならない』と話してい」るそうです。

 貞観地震については、これまでも随分と指摘されていたはずですから、この報告書自体が遅きに失したと言わざるを得ませんが、同委員の言われるように、せめて危険性が判明した時点で注意を喚起する姿勢があったならば、それに連動するあらゆる対応に僅かづつでも差が出てきていた、つまり今回のシビア・アクシデントに至らない対処が可能であったのではないか、逆に言うと、こうした政府側の最新の知見とそれに基づいた耐震指針なり安全対策が、全て後手後手となってきたのであり、その集大成が今回の事故であったとも言えるのではないかと思うのです。こうした情報が即座に出てくるようであれば、事故は起きなかったと・・・

 そして、現在もその事故が収束の兆しを見せずに、未だ大気中へ、そして海洋へと放射性物質の放出を続け、また一旦放出された放射能が、一層深刻な度合いでその汚染を深めていっているのです。本当の被害は数年後から、年十年、更には何百年、それ以上に渡って影響を及ぼし続けることになります。だからこそ、今回の事故を教訓にして、「もう二度と同じ過ちは繰り返しません」と言うのならば、根本的に全てのシステムを見直していく必要があるのではないかと思うのです・・・

P.S. 原発は活断層の上には建てられない、造らないというのが一般的な常識ですが、この断層に関しては、かつては5万年動いていないと活断層ではないと見なしていましたが、現在では12万年動いていなくても、リスクあるとする知見となっているそうです。そうなると、現在の54基の原発のほぼ全てが、この活断層の上にあることになるのです。あってはならない原発が、断層の上に鎮座しているのです。結論は明白なはずなのですが・・・

P.S.2 一時帰宅が始まったそうです。防護服を着て、2時間の時間制限があるそうですが、帰宅を望む住民の方々にとっては、たとえ被曝の危険性はあっても、そのリスクを上回る貴重な帰宅となることでしょう。このように、きちんとリスクが開示され、それを認識した上で行動することが必要なのであって、今までの原発行政は、事業者である電力会社も、専門かも含めて、「安全神話」で全てを覆い隠すことで住民や国民からリスクを隠し、本当の危険を認識することを妨げてきた、それはつまり騙してきたのと同義ではないかと思うのです・・・

全ての原発の一旦停止を!

2011年05月10日 | 日記
 今朝報道でどなたかが言われていましたが、原発を止めても、止めただけでは安全ではないことが今回の事故で明らかになりました。福島第1原発では、4号機は定期点検中でしたが、電源喪失により冷却できなくなり、使用済燃料プールの温度上昇、水位も低下し、現在注水により(プールからの蒸発によって気化し易い放射性物質は放出されているかと思いますが、)綱渡り的に最悪の状態を免れている状態です。

 それでも、取りあえずはまず(徐々に、電力供給を確保しながら)全ての原発を一旦止め、まず現在でき得る可能な全ての安全対策を講じる必要があると思います。もし仮に、福島原発のような事態が他の原発で再び起きれば、最早日本は壊滅的な打撃を受け、決して再起できない損害を被ることになります。これだけは避けなければなりません。浜岡原発だけでなく、「想定外」の地震や津波に襲われる可能性は、決して低くはないことが、まさに「想定」されるからです。

 ただ、どのような安全対策をしても、実質、地震や津波、その他人災を防ぎようがない、というのが実際のところかもしれません。過日の講演で小林圭二先生は、最初に水素爆発した1号機は、通常運転中70気圧のところ、8気圧まで急激に低下しており、これは最循環系の配管が破断し、冷却水が漏出し、なくなってしまった(空焚き状態)ことがメルトダウンの引き金になったと分析されておられました。つまりこの時点で、海水を注入する(し続ける)しか、最早手はない状態だったのです。

 この地震による配管断裂や破断は、原発1基で10キロも20キロもあると言われている配管の総延長に鑑みれば、配管のどこで断裂や破断が起こっても、冷却水や放射性物質が漏れ出る危険性をゼロにはできません。老朽化した原発では尚更その危険性が高まるわけで、実際、地震の猛威を考えれば、新品の配管であっても、断裂や破断から守る手立てなど存在しないのです。

 津波でも同様のことでしょう。浜岡原発の(10数メートルの)あの砂浜を見ても、あんな物今回の津波であれば簡単に乗り越えていただろうと想像が付きます。その背後にやはり10数メートルの防潮堤を造っても、果たして津波の巨大な圧力に耐えられるのか、甚だ疑問です。(20メートル級の津波の発生の可能性を誰も否定できませんから)10数メートルの防潮堤で防げる保証がないばかりか、高くても一部が決壊してしまえば、事態は全くの壊滅的な事故へと繋がってしまう可能性があります。

 そもそも、いくら冷却水が必要でも、海のまん前に、津波に襲ってくださいと言わんばかりに原発を何基も並べて建設していること事態が、異常というか、あり得ないことだと思うのです。(やはり原発の安全性が、信じる信じないの「信仰」の話にならざるを得ない所以です)地震も同様、この4つのプレートが複雑に入り組む地震列島日本において、まさに震源地の真上に原発を散りばめている、そんな恐ろしいことがよくもできるなあ、と思います。(やはり「神話」でもない限り、無理なことです)

 そして最後に、人災です。これだけは、人間が関与する限り、決して100%排除することのできない要素です。あやゆる原発事故には、原発設置の許可の時から始まって、建設、運転、検査、さらには緊急時の対応、事故発生時の処理等、あやゆる段階で人為の関与、そして判断が生じ、その一つでも誤りがあれば、破滅的な事故に繋がり得るのです。原発に決して「安全」はない、それでも原発を運転するのか、そのことを、そのコスト(犠牲)を原発労働者から放射性廃棄物、そして事故時の被害想定まで含めて、冷静に議論し、対策を講じる、或いは原発を使い続けるのかどうか話し合う必要があると思うのです。そして、それまでは、少なくとも一旦停止して、リスクを可能な限り低くすることが第1歩なのだと思うのです・・・