プルサーマル計画を憂慮する有志の会

愛媛県伊方発電所3号機におけるプルサーマル発電の問題を考える有志の会です。

原発同盟

2011年11月30日 | 日記
 政府は、ヨルダン、ベトナム、韓国、ロシアと原子力協定を結ぶため、今日から衆議院外務委員会で審議入りするそうです。原発人災事故で滞ってい原発輸出が、これで再び大手を振って邁進できるということでしょうか。日本は既に、米国、カナダ、フィンランド、リトアニア、カザフスタンと協定を結んでおり、インド、トルコとは交渉中です。

ご存知のように、三菱重工はフランス・アレバと、日立は米国のジェネラル・エレクトリックと提携し、そして東芝は米ウエスト・ハウティングを買収し、企業間での結びつきを深めています。その日立・GE連合はカナダの地方政府と小型原子炉の共同開発で合意しており(参照は『朝日新聞』)、三菱重工は「既に米国で3基の受注を内定」、「フィンランドでも受注活動を展開」、東芝も米国で「8基の受注にこぎつけている」といった具合に、各々世界の原発受注競争で凌ぎを削っています。

こうした結びつきは国を超え、軍事、経済、政治的な全ての結びつきを通じて(元々、それらに区別などありませんが、)共に「利」を得るためのシステムとなり、まさに「原発同盟」とも喩えられるものとなっています。特に、(部品や関連機器では既に武器輸出国ですが、)表向き武器を輸出できない日本にとって、原発人災事故など何のその(反省して輸出を止めるなんてとんでもないことであって)、「原発」が、今後の日本の趨勢を担う主力商品となるのは間違いのないことのようです。原発輸出を含むこの流れ、TPP開国、消費税導入、全てこの「利」のシステムで生き残るの為の必須の条件とは言い過ぎでしょうか?・・・

P.S. 9月から止まっているフランス・アレバ社の(ポンコツ)高濃度汚染水処理システム、最早補助システムとしての役割も終えてお払い箱だそうです。トラブル続きで稼働率も低く、さらに高濃度廃液である高レベル放射性廃棄物のスラッジの処理が難しいそうで、米国キュリオン社製の装置と東芝のサリーを組み合わせた(ゼオライト吸着型の)システムが現在動いているようです。アレバの技術を導入している六ヶ所村の再処理工場等も、トラブル続きで全く機能していません。

しかし日本の技術が高いかといえば、そうではありません。原発の導入時から米国頼りで、再処理も原発先進国のイギリスやフランスに任せっぱなしです。独自の原潜も失敗、核燃料リサイクルのもんじゅもダメ、原発人災事故ならずとも、これまでもまともに原子力を制御できてはいないのです。こうした代物を、金になるからと輸出しまくる「原発同盟(共同体)」がどれほど血迷っているか、理解できるというものです。戦争を輸出する代わりに、原発を輸出しているのです。これで儲けているのですから、この世界の「利」のシステムの実態が否が応でも分かるというものです・・・

P.S.2 福島市大波地区に隣接する伊達市、旧小国村と月舘町の3戸の農家が生産した米からも、基準を超えるセシウムが検出されたそうです。生産農家の方がインタビューで答えられていましたが、避難勧奨地域の米を2ヶ所だけ測って、それで安全だとした国のあり方がおかしい、さらに信頼を失うといった主旨のお話をされていましたが、最初からこんな検査方法では、米の安全など確保できないにも拘らず、非常にいい加減な体制のまま、汚染米を流通させている現在の政府のあり方は、生産農家、流通業者、そして消費者全てを追い詰めているのだと言わざるを得ません・・・今回の汚染米は出荷停止にはなりましたが、流通しています。当然消費された物もあるかと思います。余りにも杜撰で、いい加減な政府の対応だと、怒りを持って追記します・・・

P.S.3 カタログハウス社の『通販生活』の、「原発いつやめるのか、それとも、いつ再開するのか」というCM放送を、テレビ朝日が断っていたそうです。断る言い訳は縷々述べていますが、結局、東電をはじめとする電力会社(スポンサー)には逆らえないということなのでしょう。別段どちらかに偏った内容のCMでもないかと思うのですが、それでも流そうとしないということ自体が、(一番最初に原発の広告を載せた朝日新聞だけでなく、)全てのメディアが原発を推進する電力会社と強く結びつき、共に(「利」を共有し合い)安全神話を推し進めてきたという事実を証明しているようなものではないでしょうか・・・

伊方原発運転差止訴訟の原告として

2011年11月29日 | 日記
 これまでの原発の裁判で(勝訴した記憶がありませんので、間違っていたら済みません)住民側の主張が認められたことはありません。まあ、原発だけでなく、総じて国に対する住民、国民の訴訟で、住民、国民が勝つということは余りありません。地裁、高裁レベルでは勝っても、最高裁で理不尽にも引っくり返されることが殆どです。そういう仕組みになっている、ということではありますが。

 そうは言っても、国に対する裁判が無意味だとか、勝ち得ることは100%ない、ということでもないかと思います。「100%起こるはずのない」原発事故が起きたのですから、100万年(ですか)に一度の大地震が起きたのですから、何が起こっても不思議ではありません。いずれにしても、手を拱いていても(不真面目ではありますが)しんどく辛いのは変わりませんから、原告の一人として伊方原発運転差止訴訟の原告となることにしました。(昨日、委任状と承諾書を郵送しました)

法律的なこと、技術的なことは、私には良く分かりません。ただ危険なものを危険だというほかはないのです。これまでの伊方原発を巡る裁判では、「現在の科学水準に照らし、調査審議において、具体的審査基準に不合理な点、判断の過程に看過しがたい過誤、欠落がある場合、違法と解すべき」、「行政庁の判断に不合理な点があるとの主張の立証責任は本来は原告が負うべきものだが、審査に関わる資料を全て行政庁が保持しているので、被告行政庁が、判断に不合理がないことを立証し、立証を尽くさない場合は、判断に不合理な点があると事実上推認されるというべきもの」とされました。

 安全を主張するなら、現在の科学水準に照らして、その安全性を立証せよ、できなければその主張は不合理であることを事実上証明することになるとの判断です。しかし現在の科学的な知見そのものが定まっていないのが現実ですし、全てのデータを東電や政府が握っている以上、原告側の住民ができることは極めて限定的なものとならざるを得ません。それでも原発事故が起こった今、また今後同様の事故が起こる可能性が高い以上、最早可能な全てのことをやっていくしかない、というのが私の達した結論です。(不真面目でやる気がないとお叱りを受けるかもしれませんが、この世界の「利」のシステム、その流れは原発推進ですから、その流れが変わるとは到底思えないのです。でも、やるしかないということです。まあ兎に角、気鬱ですが・・・)

P.S. 「入市被曝」でも原爆症として認定されない方々の裁判では、(地裁レベルでは)国側の敗訴が続いています。最終的にどうなるか分かりませんが、少なくとも国の姿勢は、「内部被曝は無視しえる」という立場のようです。「国が決めた年間20mSvの被曝基準を『私のヒューマニズムから受け入れがたい』」(『朝日新聞』)として内閣参謀参与を辞任した少佐古敏荘東大大学院教授も、大阪地裁で国側の証人として証言し、「原爆放射線による人体への影響の主なものは、初期放射線による外部被曝であり、内部被曝によるものはほとんどない」との報告書を証言後に提出しています。

つまり、この20mSvも外部被曝のことしか考慮されていないのです。IAEAの基準は勿論、内部被曝を隠蔽する為の基準です。彼等にとっては、放射性物質がそこにあっても、なんら影響することなく存在し続けるものだとの認識に立っています。今後の裁判でも、国のこの認識、姿勢、立場に変わりはないでしょう。それを如何に覆していくことができるか、それは被曝者の健康と命が削られていく、そのことを実証するしかないのですが、その「犠牲」さえも「因果関係」の壁の前に切って捨てられるというのが、これまでの歴史であったということです・・・

P.S.2 有識者による「低線量被曝のリスク管理に関するワーキンググループの初会合が開かれています。福島の避難基準ともなっている「年間20mSv」の是非が議論されていますが、「被災地で放射能汚染地図をつくった木村独協医科大准教授は、「長期にわたる内部被曝がウクライナの子どもの赤血球などに影響を与えているという研究結果を根拠」に、チェルノブイリ原発事故時の避難基準である「年間5mSvが妥当」としましたが、基準引き上げには異論が相次いだそうです。同教授は少なくとも、内部被曝の重大性を主張されているかと思いますが、私が感じるに、多くの専門家が、内部被曝そのものを余り重視していない、或いは意図的に無視しようとしていると思えてなりません。まあ、それが原発を維持するという政策に繋がる認識、姿勢、立場なのでしょうが・・・

市民原子力委員会 提言⑰

「外部被曝と内部被曝を明確に区別し、各々に適切な基準を設けること。また、外部被曝と内部被曝それぞれに、大人と子ども、そして妊婦や胎児といった影響を受ける度合いの違う対象を区分して、その被曝限度を設定すること」

記事のタイトルを入力してください(必須)

2011年11月27日 | 日記
500ガルで壊れる原発(広瀬隆講演会より)

 初めて広瀬さんの講演会に行ってきました。同講演は、広瀬さん自身から愛媛で話したいと申し出られ、実現したそうです。講演20分前から演壇の椅子に座って、聴衆が来るのを待っている講演者を見たのは初めてでした。以下、要点だけ箇条書きにてご紹介します。(*薄暗い中でのメモ書きなので、誤りがありましたらご容赦下さい)

・東電は3月11日のデータを未だに公表していない
・福島第1原発は、500ガルで壊れた
・地震の直後に約100キロ離れた茨城の筑波気象研究所で、沸点が4、265度のテクネチウム、4、639度のモリブデンが観測されている。つまり、沸点184度のヨウ素、671度のセシウム、1、382度のストロンチウム、3,228度のプルトニウム他、ウランやクリプトンなど殆ど全ての放射性物質が気化し、圧力容器、そして格納庫内に充満し、そのガスを「ベント」と称して排出したのが「事故」の始まり
・3号機爆発には、ダンガーセン氏のいう垂直のベクトルが働き爆発が上へ向かった。臨界爆発で燃料棒が吹き上がり、落下している(映像)
・4号機の爆発は使用済燃料プールの爆発であって、東電が言う3号機からの水素の逆流による爆発ではない。逆流したという配管は、3号機での爆発で既に吹き飛んでしまっていた
・結局東電は、1~4号機の爆発を全て食い止められなかった
・東電が500ガルの地震で配管等が損壊したことを認めないのは、もし認めれば54期全ての耐震バックチェックが全部だめだということになってしまうから
・報じられていないが、田中氏や後藤氏を招いた秘密のヒアリングが持たれ配管破断等の質疑があった、この配管破断は最初から想定されていなかった
・そもそも地震のないアメリカでは、(津波もそうですが)地震そのものを想定していない
・ストレステストは意味がない
・2000年阪神淡路大震災1,482ガル、2003年宮城北部地震2,637ガル、2007年新潟中越沖地震2、515ガルと100ガルを超える地震が続いている
・重力は物体を1000ガルで地球に向かって引っ張っている。揺れが1000ガルを超えると、物は浮いてしまう。
・いくら耐震補強(対策)をしても、物理的には1000ガル以上の地震には耐えられないのであって、それは机上の計算に過ぎない
・運転員が1号機の非常用腹水器を止めた問題で、東電は地震による配管破断を認めたくないが故に、「放射性物質の放出を恐れて止めた」と言っている
・2号機ではコンクリート・コア反応で溶融デブリは地下へ、そして地下水へと出ている
・10万トンの汚染水の放射性物質の量は膨大(数字は書き留めれられませんでした)
・東電が、建屋地下に地下水が流れ込んでいるというのは嘘で、実際は地下水へ汚染水が流れ込んでいる。実際、調べることも、手のうちようもない
 ・溶融デブリが何処にあって、どうなっているのか、注水した水が掛かっているのかも分からない
・溶融デブリは崩壊熱を出し続け、永遠に冷やすことなどできない、取り出すこともできない
・東電は1%以下の水素を測ることができない素人
・臨界かどうかは(インコアモーターで)中性子が2個以上出ているかを測りさえすればよいが、東電は測ることができない
・ウラン235は濃縮度が高くなるといつでも臨界になり得る
・(地震や爆発で)建屋の骨組みが脆くなっており、余震等で燃料プールが崩れる恐れがある(崩落によって放出される放射性物質は膨大なものになるかと思います)
・東芝、日立OBが保安院に就職し、検査に関わっている
・東電の電源喪失の想定はたったの30分、その想定で対策を講じていた
・石垣島の津波は40メートル、世界一の津波は525メートルの高さまで駆け上っている。実際、東海第2、福島第2原発もギリギリのところだった
・防潮堤を高くすれば倒れやすくなる。津波は水嵩(水量)の問題で、津波を遮ることなどできない。基本的に津波対策は不可能

 以上、間違いがあればご指摘下さい。3時間の講演中、2時間ほどで帰ってきてしまったので、全てではありませんが、参考にされて下さい。

P.S. 公演を聴いて一番怖かったのは、使用済み燃料プールの崩落のことです。地震と爆発で(4号機のプールは補強したとはいえ)相当ぼろぼろの状態でしょうから、それほど大きな地震でなくても、崩落するか、しなくてもプール自体が損傷する危険性は非常に高いと思います。ただ、地震が起こらないように祈るだけです・・・そう言えば汚染水のタンクも心配ですが・・・

P.S.2 1、000ガルを超える耐震対策はできないとなると、全ての原発が地震の前では無防備ということになります。しかも500ガルで簡単に壊れたわけですから・・・事故後、政府も東電も地震のことを全く口にしないは、地震対策などできないことを、その危険性をよ~く知っているからなのでしょう・・・

事故後4ヶ月間の全国のセシウム積算値

2011年11月26日 | 日記
 文科省は、原発事故後の3月から6月までの4ヶ月間の、全国におけるセシウム134とセシウム137の積算値を公表しました。「自治体の観測所にある容器にたまったちりを測定」(以下、『朝日新聞』)したものです。福島県と宮城県は、「東日本大震災で計測器が壊れるなどで測れなかった」ということです。(観測所でなくても、ちりが溜まっている場所があればどこでも、降下した放射性物質は採取できますから、測定値は出せるはずなのですが・・・)以下、市単位で公表された数値を列記します。

(単位は1㎡あたりのベクレル数)
茨城県ひたちなか市 40,801ベクレル
山形県山形市 22,570ベクレル
東京都新宿区 17,354ベクレル
栃木県宇都宮市 14,600ベクレル
埼玉県さいたま市 12,515ベクレル
群馬県前橋市 10,362ベクレル
千葉県市原市 10、141ベクレル
神奈川県茅ヶ崎市  7、792ベクレル
岩手県盛岡市  2,992ベクレル
長野県長野市  2,496ベクレル
静岡県静岡市  1,292ベクレル
山梨県甲府市    413ベクレル
秋田県秋田市    348ベクレル
青森県青森市    138ベクレル
新潟県新潟市     91ベクレル
高知県高知市     73ベクレル
(* 以下割愛させて頂きます)

 ちなみに愛媛県は、1㎡当たり13ベクレルのセシウムが降下していたとのことです。こうして数値が出たのですから、それぞれの町で降下した放射性物質がどのような影響を今後もたらすのか、やはりこうして降下した放射性物質に関しては、吸い込んだり、食物から取り込んだりと、内部被曝が懸念されますから、きちんとした監視と調査を行い、そして対策が求められるべきだと思います。

P.S.  福島市大波地区の汚染米問題で、全袋調査を行った結果、34戸864袋中、6戸131袋が基準とを超えた、最高で1270ベクレル、2戸の27袋が1千ベクレルを超えていたとのことです。現在は保管されていますが、今後飼料等に使われないか心配です。(東電の賠償対象として)国が買い取り廃棄(管理)して、補償すべきだものだと考えます・・・

P.S.2 「京都大、筑波大、気象研究所などの合同調査で」、「福島県中央部を流れる阿武隈川から海に流れ出る放射性セシウムの量が1日当たり約500億ベクレルにのぼることが」分かったそうです。これは、「東京電力が4月に海に放出した低濃度汚染水のセシウムの総量に匹敵する」(「河口部でセシウム137が1日当たり291億ベクレル、同134が234億ベクレルと推定」)もので、それだけのセシウム等が毎日海へと流れ出ているということで、今後の海の汚染、魚介類等の汚染が深刻化するものと思われます・・・やはり継続したモニタリングが必要です・・・

P.S.3 福島原発では、3号機の圧力容器内に溜まっている水素を出す為に、窒素を注入するそうです。未だ「1~3号機の格納容器には窒素を入れ続けている」状況で、「圧力容器内で水が放射線分解されて発生した水素が、圧力容器のふたのつなぎ目から格納容器に漏れている」とのことです。注水し、放射線が出続けている以上、水素も発生するわけで、窒素を入れ続けなければ爆発の危険性があるという状態では、事故収束とは到底言い難いと思うのです・・・


原発コスト検証委員会のヤラセ事情

2011年11月24日 | 日記
 昨日も原発のコストについてコメントさせて頂きましたが、朝の某TV番組で特集をしていましたので、そのコスト検証のあり方が、如何にヤラセに満ちているのかをご紹介します。

 現在コストを検証しているのが政府の「エネルギー・環境会議」の下にある「コスト等検証委員会」(11人)です。そもそも経済産業省の中にある「エネルギー・環境会議」、その下にぶら下げられた同委員会では、自分で自分の評価をするようなもので、原発の発電コストは火力や水力より安いと喧伝してきた経産省がまともな検証を行なうことなどできません。

 確かにこの「検証委員会」には、立命館大学の大島教授や、原子力資料情報室の伴さんがおられますが、あとは中間派か推進派が多数です。また、試算の最も大きく関わる事故コスト、再処理コストは、実は同委員会で検証するのではなく、内閣府の原子力委員会(保安院でも、安全委員会でもなく、原発導入時から、原子力予算や原子力政策を決めてきた、原発行政の中心的組織)の下に作られた「原子力発電・核燃料リサイクル技術等検証委員会」に丸投げされているのです。

 大島教授は、これでは「公正さが担保できない」と言われます。これもまた、自分で自分の採点を行なうようなものです。3月11日の原発人災事故以降、原発行政を推進してきた「原子力委員会」の5人の内、誰も責任を取って止めていないというのも、また非常識ですが、「コスト等検証委員会」に、最もコストの大きな部分を占める事故コスト、再処理コストを検証させず、事故を防げなかったにも関わらず、責任を取らない組織にその検証を丸投げする、まさに検証の「ヤラセ構造」そのものの構図です。

 さらに問題なのは、このコストの検証には、まともにやれば100兆を超えるとも言われる除染費用や、被害者の方々への賠償金や廃炉費用は含まれていないのです。官僚の言い分は、「はっきりしたコストが分かっていないので、コストには入れない」という、全く意味不明なものです。そのコストの検証をする為に同委員会が作られたのではないのでしょか?いいえ、そんなコストを検証させない為、作られたのが「コスト等検証委員会」であって、1円か2円、コストのアップを認めて後はお茶を濁すというのが、ヤラセ委員会の役割のようです。(政府の「事故調査・検証委員会」も同じ役割です。国会の「事故調」も同じようなものだそうですが・・・)

 伴さんなどは、除染費用を28兆円とすれば、原発コストは21.3円まで上がると試算しておられますが、こうした意見が採用されることはないということです。(併記されることもないでしょう)そして、お墨付きを与えられた原発コストが一人歩きし、それ程原発は高くない、火力発電も燃料代が嵩むから原発は再稼働しなければいけない、という展開に利用されていくのです・・・(つまり賠償金も低く抑えるため、避難させるべき住民を避難させずに被曝させている、或いは汚染された食品も流通させているというわけなのですか?到底許されることではありません・・・)

P.S. 東北でも3本指に入るゴルフコースを持つ福島県二本松市の「サンフィールド二本松ゴルフクラブ」が、事故後コースが「毎時2~3μSvの高い放射線が検出されるようになり営業に障害が出」(以下、引用は『朝日新聞』)、東電に対して「汚染の除去を求めて仮処分を東京地裁に申し立てた」裁判の判決で同裁判所は、原告の訴えを退けました。その裁判の答弁書で東電は、放出させた放射性物質について、「もともと無主物であったと考えるのが実態に即している」と主張しました。

つまり、「原発から飛び散った放射性物質は東電の所有物ではない。したがって東電は除染に責任を持たない」という、とんでもない言い草です。仮に100歩譲って、放射性物質が東電も物ではないとしても、それを撒き散らしたのは東電です。(これぐらいはお認めになるでしょうねえ。いえ、津波がやったと言っているかも知れませんが、)少なくとも、(意図していなくても)自ら放出した物によって被害が生じているのです。(自然由来とか、原発実験によるものだとか、今度は因果関係も否定しだすかもしれませんが、)それを撤去し、原状を回復するというのが、「法治国家」たる日本の法律なのではないのでしょうか?・・・いえ、そう言えば日本は、「不法治国家」なのでした。「三権不分立」の無法国家なのでした・・・

P.S.2 事故後25年経ったベラルーシでは、今も放射性セシウムが3万7千ベクレルを超える「汚染地域」が国土の14%をそうです。25年では、やっと半減したに過ぎないのです。やはり少なくとも何百年という単位の時間が必要だということなのでしょう。ちなみに、ベラルーシにはストロンチウム90に関する食品の基準が設けられており、飲料水が0.37ベクレル/ℓ、牛乳、パン、ジャガイモが3.7ベクレル/㎏orℓ、で乳幼児食品は1.85/㎏orℓと半分に設定されているそうです。また、簡易型ホールボディ・ーカウンターや食品を検査する放射線簡易測定器が普及しているそうです。迅速な内部被曝の把握の為に、或いは食品の全量検査を可能にする為、日本も早く導入するよう、政府は動くべきだと思うのです・・・

市民原子力委員会 提言⑯

「政府は、食品のストロンチウム90の基準を設定し、測定を実施し、汚染状況を把握すること」

「簡易型ホールボディ・ーカウンターや食品を検査する放射線簡易測定器を早期に導入し、被曝の状況を把握し、また今後の被曝を最小限にするための食品の全量検査を実施すること」

伊方原発運転差止訴訟

2011年11月23日 | 日記
 伊方原発を抱える愛媛県では、過日「伊方原発をとめる会」が発足し、その一環として四国電力を被告として、伊方原発1~3号機の運転停止を求める「伊方原発運転差止訴訟」を提起する方針を決められました。(某友人Mさんから頂いた資料から、)原告を希望される方々へ、お知らせをさせて頂きます。(以下、箇条書きにて抜粋します)

・原告の募集締切は12月2日(金)、同日までに委任状と承諾書の送付、または持参すること
・印紙代等で金1万円の負担(送金先は、事務局にお問い合わせ下さい)
・訴状に記載する等の関係で、使命の秘密が守れないことを了解できる方
・連絡・通信が原則としてメールによるものとすること(可能な方)
・連絡先 郵便番号790-0003 愛媛県松山市3番町5-2-3 ハヤシビル3F 
「伊方原発をとめる会」 ℡ 089-948-9990 FAX 089-948-9991
 
 松山地方裁判所への提訴は12月8日(木)13時、12時30分に松山地裁の正面玄関前に集合とのことです。是非原告として原発問題に関わりたい方は、ご参加されて下さい。同会は、同時に会員も募集されています。(年会費一口1,000円)

 同会は、お寺さんや弁護士、有機生協や医療生協など、これまででは考えられなかった幅拾い方々が集まっておられるようです。福島第1原発の事故を受けて、小異を捨てて伊方を止めるために意を同じくした感があります。訴訟の行方は未だ見えませんが、同会の活動の重要な柱の一つとなることは間違いのないことでしょう。ご一考されて下さい。

P.S. 広島の放射線影響研究所は、「前身の原爆障害調査委員会が1950年代に行なった調査」のデータを使って、「黒い雨を浴びた地点の分布図などを作成し、公表する」(以下、『朝日新聞』)そうです。同調査は焼く12万人を対象にして行なわれ、「約1万3千人が原爆投下直後に降った『黒い雨』を浴びたと回答していた」とのことで、これまで非公開でしたが、「黒い雨の被害を訴える住民らの団体が開示を求めたのを受け」、マップ作成、公開ということになったようです。戦後66年経った今でも、未だ原爆症の認定問題は解決しておらず、被害に苦しむ被爆者の方々が、当然受けるべき補償から除外されています。やはり情報の公開が如何に大切か、改めて感じさせられます・・・

P.S.2 朝日新聞が専門会に依頼し、「政府の『エネルギー・環境会議』のコスト等検証委員会が公開したデータで原発の発電コストを試算したところ、発電量1キロワットあたり7.7円程度となり、従来の約4割高となった」そうです。様々なパラメーターの取り方にとってそのコストは大きく変わってきますが、実際のコストはもっと大きいかと思われます。毎年度の原子力予算や、電源3法による補助金、また東電による広報費や莫大な寄付金等も、当然ながらコストに算入すべきものではないかと思うのです・・・

P.S.3 東電の内部調査で、「最初に炉心溶融した1号機の冷却装置『非常用腹水器』について、破損して放射性物質が放出されることを懸念した運転員が運転を止めていた」ことが明らかになりました。「炉心を冷やす唯一の手段だった・・・非常用腹水器は1号機だけにあり、原子炉の蒸気を冷やして水に戻し、再び炉心を冷やすのに使う」、「装置は2系統あり、水を満たしたタンク内に通した配管に蒸気を送る構造で、電源を失っても機能する」ものだそうです。

まずもって、非常用腹水器が1号機にしかなかったことが、まず大問題です。しかも今回の運転員による停止は、腹水器かそれに通じる配管が地震で既に壊れていた(だから放射能漏れを止める為に、停止した)ということが推察できます。電源喪失しても冷却できる、最後の手段である「非常用腹水器」を止めるぐらいですから、かなりはっきりとした損傷(損壊)が認められたのでしょう。原子炉以外の建物や配管等の耐震性が、如何に地震に対応できないものかを示す証拠となり得るものだと思います・・・

市民原子力委員会 提言⑮

「各原子炉には、必ず非常用の腹水器を1基以上設置すること。設置されてない原子炉は、過酷事故対策に極めて重大な不備があるものとして、原子炉の運転を即刻停止すること」

国による断層の徹底調査を

2011年11月22日 | 日記
 朝刊(『朝日新聞』)によると、「東京電力は・・・、東日本大地震で動いた湯の岳断層(福島県いわき市)を掘削調査したところ、過去にもずれていた痕跡が見つかったと発表」、「湯の岳断層は福島第1原発の南50キロにあ」り、「大震災に誘発されたとみられる地震で地表にずれが見つかった」そうで、「東電が9月末から掘削調査をしたところ、原発で活断層として扱う基準の12~13万年前以降の過去にも動いていたことを示す地表のずれが」あった、これまで「東電は地震前、この時期のずれはないと判断」、「経済産業省原子力安全・保安院も追認していた」とのことです。

 国や東電が、「ずれた痕跡はなく、考慮が必要な活断層ではないと評価していた」断層が、過去にずれていたわけです。また今回の大地震で連動して動いたわけで、完全に国と東電の評価は誤っていたということが証明されたのです。私は、活断層かどうかの技術的な論争をするつもりなどありません。ただ、原発の安全性に関わる重大な評価が間違っていたこと、その結果耐震性を超える地震により原子炉が制御(冷却)不能となり、結果膨大な放射性物質を放出する大事故に至ったという事実をきちんと認識したいだけです。

 そして何より問題なのは、これほど重要な活断層調査を、国は専門家もいない電力会社に丸投げし、ただその調査結果を鵜呑みにして追認し、そうしたデータに基づいて耐震評価を行ない、原発の安全性を主張していたことです。自らの手足を縛る断層のデータを電力会社に調査させ報告させる、(発生する地震の低い想定を唱える)地震の専門家(御用学者)に評価をさせて権威付けをし、国(保安院)は自ら何もせずただ黙って判を押す。これで安全だというのです。まさに「ヤラセ活断層調査」であり、「原発耐震評価」です。このようなものに何の意味があるというのでしょうか?・・・

市民原子力委員会 提言⑬

「国は、原発の耐震基準の元となる、活断層調査を全ての原発の敷地及び周辺にて自ら行い、ずれる恐れのある全ての断層を洗い出し、連動する可能性のある全ての断層を考慮に入れた上で、原発の耐震基準を決めること」

P.S. 海洋研究開発機構の推計では、「事故で海に流れた放射能汚染水が焼く4千キロ東の日付変更線まで広がっている」、「11月末で放射性セシウム137の濃度は約1リットルあたり0.1~0.01」とのことです。過日も数千キロ離れた海底でセシウムが検出されていますから、確実に汚染は広がっているということです。濃度自体は当然拡散されて低いですが、今後吹き溜まりと言いますか流れ溜まりと言いますか、自然に濃度が高い一帯が出てくるはずです。その地帯の深海魚には当然セシウムが取り込まれるはずです。海底でなくても、小型魚から中型魚、大型魚と、生物濃縮による魚の汚染には、今後さらなる注意が必要となると思いますが、検査方法を含めた不備もあって、汚染の実態は未だ何も分かっていないという状況です・・・

市民原子力委員会 提言⑭

「魚介類の放射能検査は、頭、骨、内臓を含む全体の沈着線量を対象に検査すること。特に骨に関しては、ストロンチウムの検査も行うこと。
 また、日本沿岸で水揚げされる全ての漁港の魚介類の放射能検査を行い、汚染の広がりの実態把握に努めること」

P.S.2 「生協と大手の食材宅配サービス企業など4団体は」、「市民が信頼できる物差しを提案したい」として、「食品に含まれる放射性物質の基準について共同で検討」するとのことです。これまでこうした企業は、自主検査を行い、独自の基準を設けて食材の提供をしてきたそうですが、国の基準に信頼が置けない以上、食の安全を守る為には、消費者も、企業側も自ら動かざるを得ない状況のようです・・・

絶対あきらめないガン治療

2011年11月21日 | 日記
 伊丹仁朗先生の「絶対あきらめないガン治療・30の可能性」(売り切れだった)が、新たな項目を加筆され出版されています。先生のご活動も含めてご紹介致します。(本書の内容に関しては、これまで10回ちかく書いていますから、どうぞそちらをご参照下さい。また是非、ご購読されて下さい)

 先生が臨床で実践されてこられたのは、「手を尽くした医療」ということです。がん患者さんの(森田療法を元にした)心の治療(鬱病対策)を同時に行ない、ヨーガや気孔、笑いを取り入れた「生きがい療法」を行なってこられたのです。治療的な側面としては、保険適応の安価な治療法や薬を駆使し、組み合わせ(ソラリア療法)、進行がんの患者さんや、標準治療から見捨てられた所謂「ガン難民」の患者さんにもこうした治療を施し、またその結果も出てきており、「『進行がんを治す方法』を追い求めてきた『貧乏医者の見果てぬ夢は、しだいに現実のものとなりつつある』(序文より)ようです。

 先生は今夏、元厚生大臣の長妻さんを含む民主党の議員に会い(某友人Oさんも随行されお話を伺いました)、現在の制度の中でもできる「手を尽くした治療」が実行されていないこと(標準治療の改正)や、効果のある治療法や治療薬の認定や保険適用等の要請をされています。こうした点を先生は同著書の中で、「『ガンになっても元気で長生き』を可能にする、さまざまな治療方法」が存在する、「しかも現在日本で実施可能な治療法であるにもかかわらず、そのベストの組み合わせの治療を受けている人は極めて少ない」と訴えられています。これが日本の現状であるわけです。

 こうした医療のあり方の改正は、非常に重要です。そして同時に、患者側のあり方も非常に大事になります。その点に関して先生は、
1、 ガンのすべての治療を一つの病院、一人の医師だけに期待することをやめること
2、化学療法はその専門家のもとで行なうか、その助言(セカンドオピニオン)のもとで行なうこと
(*現在日本では、今村貴樹先生のような腫瘍内科医は少ないですが、少なくともセカンドオピニオンを得て、その上で抗がん治療を実行すべきということです)
3、自分が主治医のつもりで、さまざまな専門家の協力を得ながら、全体の治療法を構成すること
4、代替療法、健康食品、サプリメントなどに過大な期待を持たないこと
 と言われています。実際、実行するのは容易なことではないと思いますが、自分自身や家族の生死に関わることですから、大切な教訓としたいと思うのです・・・

P.S. 過日のイレッサ訴訟の控訴審判決は、製薬会社や国の責任を否定し、患者側敗訴という結果になってしまいました。副作用の表示に問題がなかったとし、その薬を認定した国に何の責任がないという判決には全く承服できかねますが、確かに治療を行なう医師の側や治療方針にも問題はあります。現在はイレッサを初期治療(First‐line)から使う方針になってはいますが、実際に行なわれているのか疑問です。イレッサ等の抗がん剤を専門とする腫瘍内科医も不足しています。これまで免疫力が落ちているところへイレッサを投与し、その経過を注意深く見届けることなく多くの患者さんの命を奪った責任の一端は、当然病院と医師にもあります。非常に効果の高い分子標的薬であるイレッサの使用は、これからも非常に重要な治療法の一つとなります。製薬会社は患者さんん命に関わる表示の問題を適正に行い、政府はその適正な認定と、そして副作用による障害や死に対する補償制度を確立し、病院や医師は、何より患者本位の治療を行うことを要望したいと思うのです・・・

P.S.2 「提言型政策仕分け」かなにか意味の分からない名前で、また「仕分け」が始まりました。原発事故を受けて、原発関連、とくに「もんじゅ」は「無駄」として、その槍玉に上がっていますが、問題はその「無駄」を削減できるのか?ということです。これまでの結果では、「無理」という答えになります。・・・それにしても、六ヶ所村の再処理工場も無駄なんですよねえ、「もんじゅ」の倍以上ですか、そんなの挙げていけばきりはないですが・・・

P.S.3 一方で、気象庁気象研究所の放射能測定のための予算(めでたく復活したそうですが)、それまで自腹で測定していた研究員に対して別の大学や研究機関から、消耗品等の支援があったそうですが、原子力安全課(バックは財務省みたいですが)は、何処の機関から何が提供されたのか「スパイ」探しをしているとか。その分の予算を返還せよということです。確かに「流用」かもしれませんが、この「流用」は認めるべきもの、とうよりも、事故後に放射線測定の予算を突然切ったこと自体が異常とも言うべき「権力の濫用」なのでは?つまり、これは違法行為に対する適法な「訂正」行為であると、私は断じたいと思います・・・

先進国の「途上国化」と新興国の「先進国化」

2011年11月20日 | 日記
 失業率22%のスペインの国債も危険水域(10年物国債の利回り7%)に入ってきました。ギリシャ、イタリア、スペインと、「泥舟」の火の手は納まるどころか燃え広がっています。パパンドレア首相、ベルルスコーニ首相と退陣が、今度はスペインに波及しそうです。「過渡期」の地殻変動、その下のマントルの激動に、ちっぽけな一国の政権など吹き飛んでしまった感があります。こうした動きは、過日の北アフリカ、中東に巻き起こった、「アラブの(物悲しい)秋」に連動するものだと推察します。

 某友人Mさんの持論である「中米覇権連合」の動きに照らして考えると、中国(大陸)に米国(大陸)が急接近しているようです。まさにプレートが滑り込んでいるのです。マグニチュード10を超える激震が起こっても不思議はありません。多くの論者による、米中の「覇権」を睨んでの政治的、経済的、軍事的小競り合いも、Mさんの理論に従えば、米中の「幸福な結婚」に至るまでの「痴話喧嘩」と言うことになります。ただ、その喧嘩に巻き込まれる小国はたまったものではありません。無理難題を押し付けられて、国は二分、激動の嵐が吹いています。

 かつての覇権国、列強国であり、先進国と呼ばれてきたスペイン、ポルトガル、イタリア、フランス、イギリス各国は、今や高失業率に喘ぎ、所謂「中間層」は崩壊し、政府は財政赤字に苦しみ、国債は暴落、政府はその負担に一国では最早耐えられない状況です。某友人はこれを「民主主義」(「民主化」)の「低度化」と呼んでいますが、まさに先進国が中進国、或いは途上国へと凋落していく、「途上国化」時代へと突入しているのです。それは、程度の差こそあれ、米国も日本も同じ状況です。

 それとは逆に、中国、インド、ブラジル、ロシア等の新興国は、今後「民主主義」(「民主化」)の「高度化」の過程に入り、堅実な経済発展とともに中間層の形成と福祉国家化(福祉の充実)の方向へと進んでいくことでしょう。(年金、医療等の破綻している日本とは真逆の動きです)ただ、それもすんなりこうした流れが行くわけではなく、様々な揺り戻しがあり、せめぎ合いがあるわけです。先進国も黙って自国の凋落を見守っているわけではありませんし、こうした先進国の沈没が引き起こす波に、まだ脆弱な新興国はもろにその影響を受けてしまいます。

現在は非常に危うい、コントロールできない状況である、ということです。「過渡期」はまさに混沌として、極めて破滅的な(一方で、数々の難問を一瞬にしてリセットしてくれる)「戦争」への衝動に駆られる時期でもあります。最大の産業が軍需産業であり、その他の産業もまた、その先進技術の民間化したものです。その需要を掘り起こすには、「戦争」が一番手っ取り払いことは言うまでもありません。戦争をしても儲かる企業や資本があるのではなく、戦争こそ儲かる手段なのです。実は平時も(福沢が言うがごとく)交易を通じて戦争を行なっているのであり、今はその「戦争」への誘惑が最もピークを迎えている時期とも言えます。私などは、東関東大地震も原発事故も、またタイでの水害やその他の災害も連動している(というより、自然の大きなうねりに人間の活動が影響を受けている)というように感じます。

こうした危うい激動の中で、「アラブの秋」は起こりました。そしてすぐにまた、「冬」へと突入しています。彼ら多くの途上国は、依然これまでの最も厳しい状況から、なんら変わることなく途上国の地位に留まり続けなければなりません。彼等に「春」は来ないのです。この世界の「利」のシステムの中では、最下層の国として先進国を下支えする「産物の国」としての役目を与えられているのです。過酷で哀しい現実ですが、彼らが実質的に「植民地」的な立場から脱却できる「春」はまだ先のようです・・・

P.S. オーストラリアでの米軍海兵隊の訓練、駐屯が決まったとか。中国のミサイル射程から逃れる為だと言いますが、突撃隊長(悪く言えば、捨て駒)の海兵隊をここまで下げるということは、南シナ海問題などといっても、米国は全く中国とやる気はない、ということです。(尖閣事件の時にはっきり感じました)グアムへの海兵隊移転が既に決まっているのも頷(うなづ)けます。(日本が金を出さないので、ぐずぐずしているだけです)正直、フィリピンから米軍を引いたのは、表面的にこそ、フィリピンの国会での決議で、同国(民)の意思として出て行ったかのように装ってはいましたが(傀儡政権を作れる米国が、国会を牛耳られないはずがありません)、これも明らかに中国との衝突を避けた、「撤退」に他なりません。残された日本やフィリピンのことなど、米国は考えてはいないのです。(これまでのよしみで)リップサービスはしても、米国が日本を守ることはない、ということなのです・・・

P.S.2 厚労省が「食品に含まれる放射性物質の新たな基準を設けるそうです。これまでの暫定基準である年間許容線量5mSvを1mSvに引き下げ、食品の分類に応じて割り振るそうです。また、新たに乳児用の食品を分類し、18歳以下も年齢ごとに細かく分類して基準を設けるとのことです。至極当たり前の動きだと思いますが、結局分類が全体として大雑把になっていますし、また子どもに対して細かく分類したとして、結局汚染食品を食べさせるという方針ならば、全く評価することはできはしません・・・

ベラルーシの内部被曝状況

2011年11月19日 | 日記
 ロシア連邦立小児血液・腫瘍・免疫研究センター長のルミャンツェフ氏が千葉市で開かれたシンポジウムで、「チェルノブイリ事故から20年以上たっても、周辺住民に放射性セシウムによる内部被曝が続いている」、「子どもの免疫細胞も減少している可能性がある」と報告しました。(以下、引用は『朝日新聞』)

「2009年~10年にベラルーシに住む約550人の子どもの体内の放射性セシウムを調べると、平均で約4500ベクレル、約2割で7千ベクレル以上の内部被曝があった」、「03年にベラルーシで亡くなった成人と子どもの分析では、脳や心筋、腎臓、肝臓など、調べた8臓器すべてからセシウムが検出された。どの臓器でも子どもの方が濃度が高く、甲状腺からは1キロ当たり1200ベクレル検出された」とのことです。

 「内部被曝の原因として、食品の規制が徹底されていない可能性が考えられ」、同氏は、「周辺地域の食品はまだ汚染されている。周辺の子どもを3ヶ月間、汚染のない地域に移住させ、汚染のない食品を食べさせると、体内のセシウム量はかなり減った」ということで、汚染食品からの内部被曝は、20年以上経っても未だ深刻な大きな問題であることが分かります。

「また、事故後の1989年から約10年間、事故の影響を受けたロシアのブリャンスク州の子どもの血液細胞を調べると、がんや心臓疾患の一因で、細胞を傷つける活性酸素などのフリーラジカルが通常の約2倍多かった・・・病原体を攻撃する抗体をつくる免疫細胞は、通常より1割以上減っていた」そうです。未だはっきりした因果関係は解明されていませんが、「内部被曝により細胞レベルで様々な影響が出ている」ことは間違いがないことと思われます。

 一方日本の食品は大丈夫かと言うと、汚染食品が堂々と「暫定基準値以下」ということで流通・消費されています。せめてその基準が100分の1であれば、その影響もかなり軽減できると思うのですが、今の状況では、多くの方(特に子ども)が被曝を免れず、その少なくない影響を受け、健康被害をこうむる可能性は高いと思われます・・・

市民原子力委員会 提言⑫

1. 放射能による汚染の可能性のある食品は全量検査を行い、その汚染濃度を表示すること
2. 20歳以下の子どもや妊娠中の女性が汚染食品摂取しないように摂取制限を行なうこと
3. 子どもの(保育園、学校)給食は、汚染がゼロの食材を使用すること

食品を大量に放射能検査する簡易機器は、技術的にはそれ程難しくはなく、すぐにでも作れるそうです。政府が全量検査体制を敷けば、容易に実行できます。問題は、守るべき者を守る意思と意志があるかどうかだと思います。ただ、今のところやる気は全く見えませんが・・・

P.S. 「『アスク』ブランドで全国で保育園を運営する業界大手JPホールディングスは・・・保育園や学童クラブなど全144施設の給食で使う食材について、放射線量の自主検査を始めた」、「文部科学省の『放射能汚染マップ』などで高い線量が検出された地域の牛乳や野菜などを調べる」そうです。至極当たり前の動きですが、政府がやらないから、自治体が動かないから、自衛的にこうして業者が、或いは市民がやらなければいけないのが現実です・・・

P.S.2 過日の新聞記事で(探したけど見つからなくて、うろ覚えで済みませんが)、福島の子どもの内部被曝を検査したホールボディー・カウンターの検出限界値が、世界中で核実験が最も酷かった時期の、大人のセシウム蓄積量(ベラルーシの内部被曝のように数千から万を超えるベクレル数だったように思います)に相当するものだと、(お名前は忘れましたが、何処かの)先生が指摘されていました。当然それ以下は検出されないわけです。これでは、汚染の実態は分かりません。1ベクレル単位で計測できるように、すぐにでもその限界値の設定を変えるべきはないでしょうか・・・

P.S.3 これもどこかの記事を読んだもののうろ覚えなのですが(済みません)、子どもの尿からセシウムが出た時に、その検出量はやはりチェルノブイリ事故後の周辺住民の検出量と同じ程度だったと書かれていました。事故直後から、かなりの内部被曝に晒されてきた証拠です。でも喫緊の課題は、今後どれだけ内部被曝を減らせるか、ゼロにできるのかということです。それには食品からの被曝を限りなくゼロにする必要があります。やはり、汚染食品の流通を止めること、そして何より、子どもたちにその汚染食品を食べさせない仕組みを作っていく必要があると思うのです。そのためには、監視と提言、そして地道な行動が求められると思うのです・・・