プルサーマル計画を憂慮する有志の会

愛媛県伊方発電所3号機におけるプルサーマル発電の問題を考える有志の会です。

東電、お殿様の驕り

2011年05月16日 | 日記
 「携帯電話で世界に君臨した」(以下、引用・抜粋は『朝日新聞』)ノキアが、「販売台数では今でも世界最大だが、スマートフォンの勝負で、米アップルのiphoneに差をつけられ利益が伴わない・・・電話事業部門の12%にあたる7千人の削減を余儀なくされた」、激烈な競争を勝ち抜いてきたノキアですが、「それが世界で覇権を握ると『官僚化が進み、創造性が失われた』」と。

 同様に、「大型コンピューターの巨人だった米IBMは90年代、組織の硬直化が問題になった」、「圧倒的な地位によって、内向きの世界が形成され」、そして『競争』や『シェア』等の「言葉狩り」が起こり、「次第に考え方にも及ぶようになった」とのこと、「市場そして顧客との距離ができたとき、企業の命運は尽き始める」ということです。

 まさにこの、「官僚化が進み、創造性が失われ」、「組織の硬直化」、そして「圧倒的な地位によって、内向きの世界が形成」され、「市場そして顧客との」乖離が、それも最初から生じていたのが「東電」を始めとする電力業界の「原発神話」だったのではないかと思うのです。その流れは当初から停滞していたのです。その水が腐敗し、腐臭を発するのは時間の問題だった。その兆候が、様々なトラブルや事故であり、その隠蔽工作だったのです。

 その中でも東京電力の福島第1原発は、群を抜いて事故やトラブルが多く、またその隠蔽事件も取り沙汰されてきました。そうした事故を防ぐ為の補修費も、他の電力会社と比べて極めて低い支出だったようです。甘い地震や津波の想定もコスト(対策費)も低く抑え、利益優先に走ってきた、それでも殿様商売を続けていけるだけの、法と補助金、政府からの天下り等の幾重もの「防護」によって守られてきたから可能だったのです。まさに、事故を起こす為にこそ存在していたかのような「東電」の「原発」ではないかと思えるほどに。

 まさに「圧倒的な地位によって、内向きの世界」を形成し、過酷事故の「想定」すらできない、まさに「神話」の中にどっぷりと浸かっていたのです。彼等には、今回の事故すら、「白昼夢」に過ぎないのではないかと思えます。東電の記者会見も、社長の言動も、対応も全て、原発の事業主であり、賠償の主体であるという認識と責任感が感じられないのです。「吾は殿様じゃ。良きに計らえ」ぐらいの感覚ではないかと思えます。競争すら潜り抜けていない殿様は、自らの身の処し方まで「良きに計らってくれるはず」と高を括っているのかもしれません。

 しかし、いくら私たちがお人好しでも、放射能汚染の現実がある限り、殿様でも何でも、簡単に「良きに計らう」ことなどできはしないのです。お殿様でも、切腹しなければならない時はあるのです。お家断絶もあるのです。下々(しもじも)のことを考えず、そのしわ寄せを下々ばかり押し付けるのであれば、いくら殿様でも無事でおられるほどこの世の中は甘くは無いのです。それを逃れ得るとお考えならば、それはまさに「お殿様(巨人)の驕り」そのものだと思うのです・・・

P.S. お殿様たちの実入りは、50%カットしても、平均2、000万円だとか。3年も腰掛ければ、退職金を入れて軽く1億5千万は超えるのでしょう。やはり歴代のお殿様には、お一人何億かは(命までは取りません)「自腹を切って」頂きたいものです。そして殿様に集(たか)っていた、あぶく銭欲しさの「金貸し」の勘定も、この際全てご破算にしては如何かと思うのです・・・

P.S.2 地震後16時間で、1号機の燃料はほぼメルトダウンし、お釜の底に落下していたそうです。ピアノ調律師の某友人Nさん曰く、「今頃言われても、恐ろしく無いなあ」と。事故後10日目には覚悟を決めていたNさんだからなのか。さすがお殿様、私たち下々のことを良く分かっていて下さっています。恐怖も、2ヶ月前のことだと言われると、そうでもありません。「そうだったのか」、で終わってしまうのです。驚天動地(パニック)を避けるべく、お心遣い下さったのですね。「お上」(おかみ)とともに、お殿様には感謝申し上げなければならないようです・・・しかし、事故後の現実とその認識、事故の対処が余りにもかけ離れているのです。お殿様とお上の責任は非常に重いようです・・・