【実話怪談】赤い光

十九歳で運転免許証を取得した早田君(仮名)は、その年の夏、隣町にある廃ホテルへ肝試しに行こうと仲間たちに声をかけた。
彼の呼びかけに集まったのは同じ十代の男女六人。早田君は父親が所有していた大きなワンボックスの車を借りると全員を乗せて出かけて行った。
1900年代後半に閉業した湖畔のホテルだったが、そこでは数件の自殺があったことから地元では心霊スポットとして有名だった。
湖の脇を通り早速建物内へと侵入する。当然電機などは通っていないので手にした懐中電灯で照らしながら奥へと進んで行った。1Fの受付やロビー、階段を上がり2Fの宴会場と見て回る。
ところがどれだけ探索したところで怪現象が起こる訳でもない。3Fに到達した頃には全員が飽き始めていた。廊下を中程まで歩いた頃には、
(この廊下を歩ききったらそのまま階段を下って帰るか)…(続く)

