ささやかなJUNKER

手に入れたデジタルアイテムやジャンクPCなどを紹介したいと思います。
しかし最近はジャンクとはご無沙汰です。

"ささやかなJUNKER"氏、「銀漢の賦」を読む。

2015-03-24 21:37:44 | Novels
ささやかなJUNKER氏は、葉室麟の「銀漢の賦」を読んだ。
寛政期、西国の小藩である月ヶ瀬藩の郡方・日下部源五と、名家老と謳われ、幕閣にまで名声が届いている松浦将監。
幼なじみで、同じ剣術道場に通っていた二人は、ある出来事を境に、進む道が分かれ、絶縁状態となっていた。
二人の路が再び交差する時、運命が激しく動き出す。

第十四回松本清張賞受賞作である。
葉室麟の出世作であり、後に書かれる作品の特徴がよく現れている。
「花の美しさは形にありますが、人の美しさは覚悟と心映えではないでしょうか。」という松浦将監の母の言葉が印象的である。
少年期の身分を超えた3人の友情が、時を超えて絡み合い動き始めて、3人の立場における覚悟と心映えが美しい。
そして、単に男たちの生き方を示す展開だけでなく、九鬼夕斎との政争に敗れて隠居している松浦兵右衛門の娘で、将監や源吾への思いを抱きながらも藩主の側室とならなければならなかった志乃、将監の母親の千鶴と彼女への思いを持っていた将監の叔父、そして、病死した源吾の妻や源吾への思いを寄せる十蔵の娘の蕗など素晴らしい女性たちも登場する。
すべてが落着し、将監も江戸で事態を収めて死んだ後、荒れ果てた九鬼夕斎の隠居所の留守番となった源吾と蕗が結ばれていくラストは心を和ませる。
お薦めである。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿