ささやかなJUNKER

手に入れたデジタルアイテムやジャンクPCなどを紹介したいと思います。
しかし最近はジャンクとはご無沙汰です。

"ささやかなJUNKER"氏、「路地裏のあやかしたち」を読む。

2015-04-19 10:22:52 | Novels
ささやかなJUNKER氏は、行田尚希の「路地裏のあやかしたち―綾櫛横丁加納表具店」を読んだ。
高校生の小幡洸之介は、画家である父の作品が夜になると動き出すという怪奇現象に悩まされていた。
「そうした事件を解決してくれる場所がある」と耳にして訪ねると、そこはいかにも怪しげな日本家屋。
意を決して中へ入った洸之介が目にしたのは、驚くような光景だった。
そして彼は、加納環と名乗る、若く美しい女表具師と出会う―。
人間と妖怪が織りなす、ほろ苦くも微笑ましい、どこか懐かしい不思議な物語。
第19回電撃小説大賞“メディアワークス文庫賞”受賞作。

レーベルから言うとライトノベルであり、最近のライトノベルにはなかなか優れものもあるので、この作品はどうだろうかと思った読んでみた。
結論から言うと期待はずれである。
ライトノベルとしても、いかがなものか・・・。
表具師を扱うという着眼点はいいのだが、肝心の人物描写も甘く、学生の習作レベルである。
ストーリーももっと面白く出来そうな題材なのに、全く面白くない。
うーん、2作目も買ったが、どうしよう・・・・。

"ささやかなJUNKER"氏、「ちゃらぽこ」2作品を読む。

2015-04-04 13:01:36 | Novels
ささやかなJUNKER氏は、朝松健の「ちゃらぽこ 長屋の神さわぎ」「ちゃらぽこ フクロムジナ神出鬼没」を続けて読み終えた。
中山道を江戸へ向かう白装束の男と愛らしい幼女。
二人の通るところ、作物は枯れ、大火事が起こり…あらゆる災厄がまき散らされるのだった。
妖怪長屋の大家・杢兵衛も、幼女が放ったヤクダマをのどに詰まらせ頓死してしまう!
旗本の次男坊・新次郎と妖怪たちは、厄病神を悪用せんとする奴らに、正義の闘いをいどむ!

シリーズ第3弾の「ちゃらぽこ 長屋の神さわぎ」は、冒頭からメインキャラの1人が死ぬという驚きで幕を開け、何と可愛らしい女の子の姿をしている疫病神が、子供同士、福太郎と仲良くなって遊び始めてしまうという一筋縄ではいかないという展開で、この先の予想がまったくできない。
これがこのシリーズの面白さであり、最後は疫病神の子供を決して単なる悪役にしないのである。
さて、お次は「ちゃらぽこ フクロムジナ神出鬼没」である。
飛鳥山で暢気に紅葉狩りを楽しむ妖怪たち。
その上に天から一人の仙人が降ってきた。
可愛がっていた妖怪・袋狢が逃げてしまったので、探してほしいという。
一方、江戸では不思議な仕事をする盗賊一味が世を騒がせていた。
錠前を破りもせず、蔵の中のお宝を根こそぎ盗むのだ。
どんな壁や扉も通りぬけられる袋狢も仲間なのか?

今回もメインキャラが冒頭でいきなり死ぬ(?)というとんでもない始まりで、スラップスティックなギャグの連発に、クライマックスの大混戦と息つく暇もない。
恐るべし!「ちゃらぽこ」シリーズなのである。

"ささやかなJUNKER"氏、「銀漢の賦」を読む。

2015-03-24 21:37:44 | Novels
ささやかなJUNKER氏は、葉室麟の「銀漢の賦」を読んだ。
寛政期、西国の小藩である月ヶ瀬藩の郡方・日下部源五と、名家老と謳われ、幕閣にまで名声が届いている松浦将監。
幼なじみで、同じ剣術道場に通っていた二人は、ある出来事を境に、進む道が分かれ、絶縁状態となっていた。
二人の路が再び交差する時、運命が激しく動き出す。

第十四回松本清張賞受賞作である。
葉室麟の出世作であり、後に書かれる作品の特徴がよく現れている。
「花の美しさは形にありますが、人の美しさは覚悟と心映えではないでしょうか。」という松浦将監の母の言葉が印象的である。
少年期の身分を超えた3人の友情が、時を超えて絡み合い動き始めて、3人の立場における覚悟と心映えが美しい。
そして、単に男たちの生き方を示す展開だけでなく、九鬼夕斎との政争に敗れて隠居している松浦兵右衛門の娘で、将監や源吾への思いを抱きながらも藩主の側室とならなければならなかった志乃、将監の母親の千鶴と彼女への思いを持っていた将監の叔父、そして、病死した源吾の妻や源吾への思いを寄せる十蔵の娘の蕗など素晴らしい女性たちも登場する。
すべてが落着し、将監も江戸で事態を収めて死んだ後、荒れ果てた九鬼夕斎の隠居所の留守番となった源吾と蕗が結ばれていくラストは心を和ませる。
お薦めである。

"ささやかなJUNKER"氏、「生き屏風」を読む。

2014-12-24 19:45:13 | Novels
ささやかなJUNKER氏は、田辺青蛙の「生き屏風」を読んだ。
村はずれで暮らす妖鬼の皐月に、奇妙な依頼が持ち込まれた。
病で死んだ酒屋の奥方の霊が屏風に宿り、夏になると屏風が喋るのだという。
屏風の奥方はわがままで、家中が手を焼いている。
そこで皐月に屏風の話相手をしてほしいというのだ。
嫌々ながら出かけた皐月だが、次第に屏風の奥方と打ち解けるようになっていき・・・。

第15回日本ホラー小説大賞短編賞の受賞作である。
ホラーに分類されるのだろうが、全く怖くない。
ファンタジー小説の要素が濃く、妖鬼が県境で里の守り人をしていて、人より遥かに長い時の中を生きている。
異界と人間界の狭間でのエピソードを幻想的に描いた何とも不思議な作品である。

"ささやかなJUNKER"氏、「神様の御用人」を読む。

2014-12-08 22:58:12 | Novels
ささやかなJUNKER氏は、浅葉なつの「神様の御用人」を読んだ。
神様たちの御用を聞いて回る人間──“御用人”。
ある日突然、フリーターの良彦は、狐神からその役目を命じられた。
膝を壊して野球の道を諦め、おまけに就職先まで失った良彦は、古事記やら民話やらに登場する神々に振り回されることになり……!?
特殊能力もない、不思議な力を放つ道具も持ってない、ごく普通の“人間”が神様にできること。
それは果たして、助っ人なのかパシリなのか。
けれどそこには、確かに神々の「秘めたる願い」があった。
モフモフの狐神、黄金とともに、良彦の神様クエストが今幕を開ける!

「神様の御用人」とその続編「神様の御用人2」を続けて読んでみた。
神様の御用聞きという、風変わりな題材で、古来の神様がその姿を実際に現し主人公に依頼をするという、なかなか面白い話である。
少しばかりコミカルで、心温まる話は、忘れていた大切なものを思い出させてくれるようである。
初詣で神社に行っても、何かしら違った心持ちで手を合わせられそうである。
ライトノベルなので、描写に甘さはあるが、お薦めである。

"ささやかなJUNKER"氏、『さようなら、「うらしま」』を読む。

2014-12-07 07:45:06 | Novels
ささやかなJUNKER氏は、海洋SFが大好物である。
Webで「海洋SF」のキーワードで検索していると、たまたま藤崎慎吾の短編『さようなら、「うらしま」』を見つけた。
海洋科学技術センター(JAMSTEC)の自律型巡航無人機(AUV)「うらしま」の30年後を主人公とするジュヴィナイルSF短編である。

pdf版が公開されていたので、ダウンロードしKindleに入れて読んでみた。
現に活躍しているAUVの「うらしま」を題材にした掌編で、この短さの中にも海洋小説の面白さを詰め込んだ佳作である。

JAMSTECで公開されている「うらしま」の性能だが、この「うらしま」が退役した後、最後の大きな仕事をする様を、ロマンシチズムあふれる筆致で綴っている。
お薦め。

"ささやかなJUNKER"氏、「妖庵夜話」を読む。

2014-12-06 17:15:22 | Novels
ささやかなJUNKER氏は、榎田ユウリの「妖庵夜話 その探偵、人にあらず」を読んだ。
突如発見された「妖怪」のDNA。
それを持つ存在は「妖人」と呼ばれる。お茶室「妖庵」の主、洗足伊織は、明晰な頭脳を持つ隻眼の美青年。
口が悪くヒネクレ気味だが、人間と妖人を見分けることができる。
その力を頼られ、警察から捜査協力の要請が。
今日のお客は、警視庁妖人対策本部、略して“Y対”の新人刑事、脇坂。
彼に「アブラトリ」という妖怪が絡む、女子大生殺人事件について相談され…。

なかなか面白かった。
人間と新たに判明した妖人という世界設定で、個性的な登場人物と会話が魅力的な作品である。
シリーズの第一弾ということで、登場人物を描くのに多く使い、事件そのものはそれほど複雑でもない。
これからに期待できそうなので、氏は次も読むことにしたらしい。

"ささやかなJUNKER"氏、「オニマル 異界犯罪捜査官」を読む。

2014-11-04 21:56:46 | Novels
ささやかなJUNKER氏、ご贔屓の作家の一人である田中啓文の「オニマル 異界犯罪捜査官 鬼と呼ばれた男」を読んだ。
警視庁忌戸部署に、アメリカから美しき警部がやってきた。
凛々しい総髪に、宝石のような碧眼。
あまりに優秀だったため、在籍していたロス市警が、長年手放さなかったという。
名はベニー芳垣。
裏の顔はなんと凄腕の陰陽師。
しかし、彼が相棒に選んだのは、鬼丸という署内で最もさえない刑事だった。
一体なぜ!?そんな中、人間の仕業とは思えない眼球が左右逆にはめ込まれた死体が発見され…!?
“異形”コンビが奇怪な事件の真相を追う!

シリーズの第一作目である。
鬼と陰陽師の相棒ものという、リアリティなんか糞食らえって小説である。
だから楽しく読めれば良いわけで、氏はしっかり楽しませてもらった。
二人のやりとりも楽しいし、夜には普通に妖怪が存在している。
二作目も読みましょう。

"ささやかなJUNKER"氏、「BOSS」を読む。

2014-11-03 07:27:52 | Novels
ささやかなJUNKER氏は、堂場瞬一の「BOSS」を読んだ。
メジャーリーグベースボール(MLB)のナショナル・リーグに所属するニューヨーク・メッツは、低迷が続いていた。
テコ入れのため、ゼネラルマネージャー(GM)に、日本人の高岡脩二が大抜擢される。
39歳の彼はそれまで、メジャーの数チームで編成を担当しており、その手腕をかわれて、日本人で初めてGMに起用されたのだ。
「勝つ野球」のため、高岡は大胆なトレードを敢行。
出塁率を重視する“スモール・ベースボール”で好発進したメッツを迎え撃つのは、高岡のかつての師で、アトランタ・ブレーブスの老練GM、70歳になるアーノルド・ウィーバーだった。
グラウンドの裏側で組織(チーム)を率いる対照的な二人のBOSS。
その熱い駆け引きの行方は。日本人初のGMによるメジャー制覇は実現するのか――。

日本のプロ野球はホークスの日本一で、ささやかなJUNKER氏はほっと一段落ついた。
堂場瞬一の野球小説は実に面白い。
この作品も、氏は一気に読破してしまった。
選手を描いたものでなく、GMを描いたところが新鮮であるし、若手とベテランの二人のGMを対比しながら物語は進んで行く。
スタートダッシュに成功したメッツの歯車が徐々に狂い始めたり、ナックルボールを武器に日本人メジャーリーガーが復活したりと、いかにもという展開だが、これがなかなか読ませるのである。
お薦めである。

"ささやかなJUNKER"氏、「たましくる」を読む。

2014-11-02 00:25:31 | Novels
ささやかなJUNKER氏は、堀川アサコの「たましくる イタコ千歳のあやかし事件帖」を読んだ。
愛人と無理心中を遂げた双子の姉。
残された姪を預けるために弘前にやってきた幸代は、死者の声を聞く「イタコ」の千歳と出会う。
姉の死の真相を探ろうと、幸代は千歳に協力を頼むが…。
超常現象をごく論理的に解明する千歳と、おばけ・幽霊の類が大嫌いなのに霊の声を聞いてしまう家事手伝い・幸代の美女探偵コンビが、次々と起こる猟奇事件に挑む。

この世とあの世の不可思議な交錯を描いた傑作「幻想郵便局」でファンになった堀川アサコの作品である。
昭和初期の東北が舞台で、一種のゴーストハンターもののホラーかと思ったが、ミステリっぽい作品であった。
その点では当初の期待を裏切られたのであるが、比較的若い作家なのに作品舞台の雰囲気をよく出していると感心した。
単行本を読んだが、文庫化されており続編も出ているようだ。