陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

『小説鋼の錬金術師3 白い花の舞う谷』

2010-07-16 | 感想・二次創作──鋼の錬金術師
ハガレンノベライズ版レヴューも三冊目。
『小説鋼の錬金術師3 白い花の舞う谷』(原作・イラスト:荒川弘・著:井上真、スクウェア・エニックス、2004年)
あとがきで明かされたとおり、著者の井上氏が荒川先生からキャラについて指南を受けたせいか、一巻めにあった違和感が消えています。そして、物語のつくりもよく練られていておもしろかった。あいかわらず、ストレスなくすいすい読めます。

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東部と南部との境界線上に位置する町ウィスタリアを、視察することになったエルリック兄弟。
そこは錬金術師の男レイゲンが支配する町で、地形上鉄壁の守りをもち、豊かな財源を有していた。強盗団に襲われそうになった少女ルビィを救ったことから、街出歓迎された兄弟。居場所を無くした者に仕事をあたえ、正当な報酬を約束するという「等価交換」のルールで、その社会は機能している。生き生きとはたらく住人を眺めたアルフォンスは、元の身体に戻りたいという目的が揺らぎはじめてしまう。だが、エドワードは理想と平和の裏にある真実と陰謀とを、なんとなく嗅ぎ取っていた。

小説版のゲストキャラは、どことなく本編の漫画に出てくるキャラを模した人たちが多いですね。
腕っぷしが強く、アルフォンスと行きずりの恋(?)を演じるルビィは、挿絵を見るかぎり、イズミ師匠とパニーニャを足して二で割った感じ。
そして、このルヴィ戦も含めて、今回のアクションシーンはなかなかおもしろかったです。
レイゲンは見かけは違うんでしょうけど、立ち位置としては「鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST」 第三話のコーネル神父そのものかも。

キャラは似ていますが、依って立つ背景は違います。
一巻と同様、脇を固めるキャラのドラマがなかなかよく描きこまれていますね。ただ、一巻と筋書きが似ているのを非難する向きはありそうですが。
そして、この一作はある意味、現実の格差社会に対する異議申し立てともいえそうですね。

ルビィの出現でやきもきする(?)エドワードですが、あるシーンでやっぱりこのふたりの仲には誰も入り込めない絆の深さを再確認。今回は意外なことに、アルフォンスの方がなにかと積極的です。やっぱり、女の子にもてたからか?(笑)

そして、今回もマスタング大佐は暗躍します。最後のオチが笑えますね。
ラストのイラストも必見です。
そういえば、小説版のハガレンは原作やアニメと違って、あんまり血なまぐさくないですね。絵で見ないからかもしれないですけど、私はその方が好き。逆にあの漫画のおどろおどろしいのがお好きなら、たぶん合わないでしょう。

どうでもいいけど、この著者の方、あとがきで編集者にラヴなことを告白するのはやめてくださいな(苦笑)



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