陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

アニメ映画「ハウルの動く城」

2010-07-16 | 映画──ファンタジー・コメディ
金曜ロードショーでやっていたので観てみました。
ちなみに酷評ですので、これお好きな方ごめんなさい。

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近年の宮崎アニメ、映像のクオリティは高くても、物語解読能力がよわい自分には、そのメッセージがいまいちわからないので敬遠しています。背景画像が美しいだけなら実写観たほうがいいもの。

にしても、「紅の豚」もそうでしたが、十代の美男美少女がここまで出ないアニメもすごい。すごいというか、アニメ文化の視聴者層をひきあげたと言いますか。
主役のカップルは、なんと老女と美貌の青年魔法使い。この挑戦的なくみあわせで話題をかっさらってしまうのがまさに宮崎アニメなんですけど。九〇年代後半に端を発する日本のオタクカルチュアーの美意識のひとつ、「カワイイ」に徹底的にはむかう駿カントクの意気込みやすごい。その最新型が、人面魚なわけですが(笑)

「ぼくの美しい人だから」みたいな年の差純情カップルかと思いきや、じつは美女と野獣。魔女に呪いをかけられたソフィーはしだいに若さを取り戻し、逆にハウルは魔王に魅入られた魔物に変わり果てていく。敵方のほうがまともに紳士淑女なあたり。

「千と千尋の神隠し」もそうなんですが、絵的にきれいな世界じゃないと思う。かなりゲテモノ世界。
ま、あの明和電機のオブジェみたいな城は、さすが宮崎センスといわざるをえないが。

しかし、これがいいたいことって何なのでしょう。
精神的老いを克服すること?
青年期の無気力?
老人の介護問題?
ウーマンパワー?

ハウルのように幼年期に熱いハートを取り出してしまって、体裁はかっこよく繕うけどダメダメなオトナになっちゃった。
そんな人間への教訓アニメ?
舞台のからくりがすごいのに、ラストがなんだかあっさり片づいてしまいまして消化不良。
あと、戦争が中止になるいきさつがあっさりしすぎ。ソフィーとハウルが想いつながるラストも、白雪姫逆ジェンダーバージョンという感じで、お伽噺的な唐突感が残ります。
なんか『ハリポタ』シリーズのヒットにからめて、魔法使いファンタジーで一作あてたかったという気がしないでもない。なお、ネットで検索するとこれの原作にあたる小説では明らかな設定を、宮崎監督がわざとぼかしたとのこと。


にしても、最近話題のアニメのヒーローって、イケメンなんだけど軟弱多し。「天空の城ラピュタ」のパズーみたいな打たれ強そうな男児はいまどきはやらないんでしょうね。
最後におさげを切って、青い服の銀髪少女になったソフィーの表情は,まさにナウシカ。ようするにどんなに若さや見かけの可愛さをうしなっても、意思しだいで逆境のりこえられるよということでしょうか。

ちなみにいちばん意外だったのは声優。
主演のキムタクの声、棒読みだろうと侮っていたんですが、意外なことにかなりハマっていました。といいますか、キムタクらしさを感じさせないで、自然さがあって。このひとって、けっこう演技力買われているらしいですが、なんとなくそれも納得。美声じゃないですけれど、本職の方みたいに声をつくりすぎないところが逆によかったのかもしれませんね。
賠償千恵子さんの上品な声もよかったですが、いちばんハマリ役なのは、なんといっても美輪さんでした(笑)

(2008年10月3日)

ハウルの動く城(2004) - goo 映画

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