物語に救われるってどういうことなのでしょうか? けっして健全とは言い難い場面、作家が趣味嗜好全開で描いたのか、わざとインパクト重視で盛り込んだのか。でも、投げられたボールをうまく受け止めて、あるいは流してしまえるような、しなやかさが読者にも求められるのかもしれません。私はまだその境地には達していませんが。
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良書との出会いは一期一会。いい感想はなるべく早く伝えたほうが、著者も、出版社も、度読者界隈も活気づきます…とわかっていながら、できなかった遅筆レヴュアーのぼやきなのでした。本や作品と向き合ったときの語りを通じて、自分の人生の価値観を再発見することがあります。読者の意識は変わるもの、前は面白かったのに、つまらないと思っていたが、などなど自分の意識の違いを発見するのも読書家ライフの醍醐味なのです。
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あなたの池田理代子はどこから? 私は「ベルばら」でも「オルフェウスの窓」でもなく、この漫画からでした。大陸の大国と対等な外交を結び、戦争で人心の荒れた組織を構成するため制度を整えた謎の人物、日本で最初の法律家こと厩戸皇子の半生を華麗にコミカライズ。
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若かりし頃は東京や大阪、京都では古書のコレクションに励んでいた私。リュックサックいっぱいに古本をつめて持って帰ったものです。今だとあんな体力も情熱もありません。私が若かったころ欲しかった生きる知恵は本に書かれた文字ではなくて、ウェブ上のあちこちのコメントでもなくて。実生活でも仕事でも様々な人と関わっていく中で学ぶしかないことに気づいたのは中年になってからなのでした。 . . . Read more
若者受けのよさそうなイラストレーターに表紙を描かせている小説は、キャラクター人気に頼っていて、物語としては深みのある主題がないことがあります。対象年齢が自分にあっていないのだから致し方ないのですね。 . . . Read more
人生の記録を残したがる人は、自分の死に怯えているのである。だから死後も誰かが自分のことを覚えていて、語り継いで、あわよくばあの人は素晴らしかったのだとほめたたえてほしいのだと、傲岸不遜にも思っている。つまらない本を出すこと自体がカーボンニュートラル時代において、資源の無駄遣いである。 . . . Read more
ネット上のあらすじをたどって物語を理解した気になるよりも、長期シリーズの小説や漫画の最終巻だけ買って読んでしまうという離れ業もあったりします。おしまいがよければ全巻読んでもいいとしませんか。 . . . Read more
会社員として、あるいは事業主として、地味ながらしっかりとは働いてきた人の話には傾聴に値するものがあります。私はそうした方の、ほぼ無名に近いながらも、伝えるべき言葉と行動力のある本が大好きです。この世界は一部のいまを時めく、輝けるひとのためにだけあるのではないのですから。 . . . Read more
近年の学習漫画偉人シリーズは実業家やら思想家やら文化人やら、絵師も画力アップでよりどりみどり。ダイジェスト版で大活字の読みやすい名作文学は、忙しい読書家にもぴったりですね。
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三国志ファンならば外してはならないのは、なんといいましても横山光輝先生の漫画『三国志』! 私の馴れ初めは、荒木伸吾、姫野美智さんの美しいキャラデザのアニメ版からなのでした。
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本を読むことは、著者の思考を自分に憑依させるようなものです。どんな本を読んできたか、選ぼうとしてきたか。その結果で、その時々の自分の望み、もしくは悩みがわかります。自分に足りないものだから、同じように苦しみ、乗り越えてきた先人の知恵にすがりたくなるのです。 . . . Read more